アメ車の基本事項
■アメリカ合衆国の自動車がメーカーが販売する自動車のこと
アメ車とはアメリカ製の車全般を指しますが、特に第二次世界大戦後の旧車を指す意味合いが強い言葉です。
第2次世界大戦敗戦後、日本には占領国であったアメリカ合衆国の文化が多く入ってきました。
自動車も流入してきた文化の一つで、占領軍が不要のため売却した中古車は日本企業の社用車や官公庁の公用車として活用されることになります。
そうした背景もあっていつしかアメ車という言葉が生まれ、アメ車は上流階級の象徴的存在となりました。1960年代までの日本ではシボレーやキャデラックなど長大な車体とテールフィンを備えた旧車が走っており、日本車では決して実現できない独特のフォルムは憧れを集めていました。
しかし、1970年代はじめのオイルショックをきっかけとして、大排気量のアメ車は方針転換を余儀なくされます。
小型車は日本やヨーロッパが得意とする分野であったためアメリカは自動車市場の主導権を失い、再び景気が良くなる1990年代までは厳しい時期を強いられました。
■現代でも注目を集める
現代では、SUVなどアメリカの得意とする分野がブームになっていることもあり、アメ車にとっては好況と言えそうです。
また、テスラ社が販売する電気自動車などニュースで取り上げられる車もあるため、アメ車の知名度が以前とは違う形で高まっています。 テスラ社の株式の時価総額がトヨタ自動車のそれを超えたとして注目を集めたのも最近の出来事。
アメ車時代の完成度が高くなっているとも言われており、その成熟具合は必見でしょう、
アメ車の人気・魅力
■とにかくでかい車体とパワー
アメ車の人気には様々なものがありますが、まずあげられるものは車体とパワーの大きさでしょう。
アメリカ合衆国ではドライバーの体格に合わせる他、整備性を考慮して機構をシンプルにした結果車体が大型化しました。
例えばフォードのマスタング 2019年モデルはボディサイズが全長4,788x全幅1,915x全高1,379mm、搭載エンジンは5.0L V型8気筒で最高出力460馬力を発揮するスペックです。国内メーカーの車種と比べても、V8で5.0Lというスペックのものは非常に稀有な存在となっています。
車体の大型化には、国土が広く自由に使える土地が多かったという理由も挙げられます。そして、大型になった車体を引っ張るためには、大排気量のエンジンを積む必要がありました。これは数値でも明らかです。
日本の国土は377,971平方メートル、対するアメリカの国土は9,833,517平方メートルとなっています。アメリカの国土は日本の約26倍。それだけ広い土地を移動するとなれば、少しでも高出力なエンジンを載せて移動時間の短縮につなげたいと考えるのは当然至極です。
■頑丈でなおかつ構造がシンプル
優れた頑丈さがアメ車人気のひとつの要因となっていることも有名な話です。これは広大な土地を移動することが念頭に置かれていることにあると言われています。
整備面に目を向けると、アメリカ合衆国では日本のように車検が存在していません。1−2年に1回、登録手続きをする必要はあるようですが、日本の車検のような大がかりではないです。
そのため調子が悪くなった車はユーザーでメンテナンスを行う必要があります。アメリカ国内にいじるのが得意な人が多いことには、こういう背景もあると考えて良いでしょう。
シンプルな仕組みを持つために壊れにくく、仮に壊れたとしても構造がシンプルな多面修理しやすいです。。アメ車はシャシーを頑強にすることで事故の際に車体をつぶさずにドライバーを守るようにも設計されています
シャシーの重厚な存在感は事故の時の安心感の他、全体のマッシブな質感にも表れておりアメ車の魅力を作っています。
アメ車の燃費と維持費
アメ車は一般的に燃費が悪いと言われています。
これは確かに本当で、かつてのアメ車は極度に悪い燃費性能を持っていました。例えば、後で紹介するキャデラック デ・ビルは1959年の車両ですが、リッター2km程度しか走りません。
とは言っても、現在のアメ車も徐々に改善されてきており、かつてほどの燃費の悪さは見られなくなってきました。
もちろん、日本車と比較すると燃費性能は悪いのですが、その差にはお国柄が関係していると言えそうです。
それというのも、アメ車の燃費性能の悪さは車体の大柄さと大排気量エンジンによるところが大きいからです。
車体が大きくなる理由としては、いくつか考えられますが、まずアメリカの道路の広さが挙げられます。
日本と違って、アメリカは広い道路が多く、日本に比べ長距離走行で用いることを想定されています。そのため、安定性などを考慮すると、どうしても車体も排気量も大きくなるというわけです。
また、アメリカでは車検がないため、車が故障したら自分で治す方法が一般的です。そのため、なるべく構造を単純にした結果、車体が大型化しやすくなります。
車体が大型化するとエンジンも大排気量にせざるを得ないため、燃費性能が悪くなりやすいというわけです。
《撮影 宮崎壮人》リンカーン ナビゲーター
アメ車にかかるコストとしては、他に維持費があげられます。
アメ車に限らず外車は維持費がかかりがちです。これは部品を海外から取り寄せなければならなかったり、日本国内では整備や修理を行える場所が限られるからです。さらに、意外なパーツを消耗品として交換しなければいけないなどの理由もあります。
また、アメ車には税金もかさみがちです。自動車税はエンジン排気量で算出されるため大排気量のアメ車は高額になりやすく、自動車重量税も高額を支払う必要があるでしょう。
アメ車が欲しい場合は、普段の生活の中でどれくらいの燃費と維持費が必要になるか計算することをおすすめします。
なぜ?日本ではあまり評価されていない?
アメリカ合衆国のトランプ大統領は大統領着任時から、日本の閉鎖的市場が原因でアメ車が売れていないという旨の発言を繰り返し行っています。トランプ大統領の言葉が示すように、確かに日本国内において、アメ車はあまりメジャーな存在ではありません。いったいなぜなのでしょうか。
「道路事情がアメリカと異なり、家の前の道路や駐車スペースが狭い」
2017年2月にイギリスのテレビ局BBCのレポーターが日本でアメ車に乗ったうえで、トランプ大統領の発言に上記のようなコメントを残しました。
BBCレポーターのコメント通り、日本では路地や駐車スペースが狭く、軽自動車でも取り回しに苦労するところが存在します。京都市の市街地などでアメ車に乗っていたら、最悪の場合身動きが取れなくなってしまうかもしれません。
日本の道路事情にそぐわない以上、アメ車がメジャーな存在になれないのは仕方がないかもしれません。
また、かつてアメ車の燃費が悪かった時のイメージがいまだに残っており、燃費性能を高く重視する日本人ユーザーに訴えにくいという部分もあるのではないでしょうか。
人気・おすすめのアメ車 厳選5台を紹介!
ここではおすすめのアメ車を5台紹介します。どれもアメ車らしさが存分に感じられる良い車ばかりです。
■ダッジ チャレンジャー
チャレンジャーの初代モデルは1970年に発売され 、当時はポニーカー(新人ドライバーのためのコンパクトな車)というコンセプトで売り出されました。
平べったくもかっこいい車体は評判を呼び、1970年だけで8万台を超える売上を達成。 その後モデルチェンジを経て1983年には2代目が生産中止となりますが、2008年に現行モデルとなる3代目モデルが販売され現在に至っています。
ダッジ チャレンジャーはゴージャスな乗り心地に定評のある車です。重厚感あふれる走りを見せたかと思えば、スポーツモードに移行してピーキーな走行を行うこともできます。 車内は広く居住性も良いため、長旅でも疲れません。
ダッジ チャレンジャーは日本には正規輸入はされていませんが、いくつかのショップが並行輸入をしているようです。
2021年6月現在で、中古車市場には175台程度が流通していて、中古車の平均価格は453万円となっています。正規輸入がされていないクルマの割には、中古車の流通量は豊富と言えます。
並行輸入で相当数のダッチ チャレンジャーが日本に入ってきているという事でしょうね。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 5,028mm×1,923mm×1,461mm | |
---|---|---|
最大乗車定員 | 5名 | |
燃費 | 6.4km/L(市街地) | |
エンジン種類 | 5.7L V型8気筒ガソリン | |
エンジン最高出力 | 375PS/5,150rpm | |
エンジン最大トルク | 410N・m/4,200rpm | |
駆動方式 | FR | |
トランスミッション | 6速MT/8速AT |
■ジープ グランドチェロキー
ジープ社が提供するグランドチェロキーは、1993年に発売されたSUVです。 現行モデルとなる4代目は2010年に発売されました。
グランドチェロキーの魅力は大きな馬力です。設定されているモデルによっては5.7L V8エンジンを搭載しており、それ以外のモデルでも力強いスピードで進めます。その大馬力を肌に感じれば、運転している実感がひしひしと感じられます。SUV車であるためオフロード性能も確かで、少々の悪路ではグランドチェロキーを止められません。
積載能力も大きいため、大荷物を運ぶときにも活躍してくれるでしょう。ぜひアウトドアレジャーに使ってみてください。
ジープ グランドチェロキーの新車価格は476万円~、中古車価格の平均価格は373万円です。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,850mm×1,985mm×1,800mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,915mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 2,675kg | |
燃費 | UC08モード:5.5km/L | |
エンジン種類 | 5.7L V型8気筒ガソリン OHV | |
エンジン最高出力 | 344kW(468PS)/6,250rpm | |
エンジン最大トルク | 624N・m(63.6kg・m)/3,600rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 8速AT |
■フォード F-150
フォード F-150
アメリカで最も売れているクルマは、乗用車ではなくピックアップトラック。ピックアップトラックは、アメリカ車の魂と言える車種なのです。
フォードはアメリカで1948年からピックアップトラックのシリーズを作り続けており、その歴史的なブランドが「Fシリーズ」です。
F-150は2020年にモデルチェンジし、各種性能が大幅に進化しました。また、アメリカン・ピックアップトラックで初めてハイブリッドエンジンをラインナップして話題になりました。
モデルのなかで中心的なエンジンは、2.7L V6の「ECOBOOST」ダウンサイジングターボになっています。
しかし、アメリカ車の象徴である5L V8エンジンもしっかりとラインナップされています。
トランスミッションは、なんと10速ATが標準で装備され、V8エンジンでも比較的良好な燃費を記録しています。
巨大で豪快なフルサイズのピックアップトラックは、やはりアメリカを象徴するクルマと言えますね。
フォード F-150は日本に正規輸入されていませんが、アメリカ車専門のショップが並行輸入を手掛けてており、新車価格は500万円〜のようです。
F-150の中古車は、2021年6月現在で26台が流通しており、平均価格は280万円となっています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 5,886mm×2,124mm×1,921mm | |
---|---|---|
最大乗車定員 | 5名 | |
燃費 | 8.5km/L | |
エンジン種類 | 5L V型8気筒ガソリン OHV | |
エンジン最高出力 | 395PS/5,750rpm | |
エンジン最大トルク | 410N・m/4,500rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 10速AT |
■キャデラック デ・ビル
キャデラック デビル(5代目)
アメ車というと旧車を想像される方も多いと思います。事実、アメ車の旧車には熱烈なファンが付いており、現在でも乗っている人が存在します。
このキャデラックのデ・ビルも旧アメ車の代表的なモデルで、初代モデルが発売されたのは1959年のことでした。 当時のアメリカでは自動車ブームの真っ最中であり、この1959年モデルはアメリカでも大きな評価が寄せられています。
キャデラック デ・ビルは、ごく少数が中古車市場で流通しています。どの年式のモデルでも、非常に古いクルマとなるので、購入する際には状態のチェックが必須となるでしょう。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 5,715mm×2,035mm×1,440mm | |
---|---|---|
最大乗車定員 | 5名 | |
エンジン種類 | 6.4L V型8気筒ガソリン | |
駆動方式 | FR | |
トランスミッション | 4速AT |
■シボレー コルベット
《photo by Chevrolet 》シボレー・コルベット・スティングレイ 新型
シボレー コルベットは1954年に初代モデルが発売され、現在までアメリカン・スポーツカーとして確固たる地位を築いています。現行のモデルとなる8代目は2019年に発売されました。
8代目コルベット最大の特徴は、エンジンがミッドシップに搭載された事です。
歴代のコルベットはフロントエンジン・リアドライブのレイアウトを堅持して来ました。
しかし、年々高出力化するエンジンのパワーを吸収し、スポーツカーとしての良好なハンドリングとの両立を図るため、8代目からはエンジンをミッドシップに置くこととしました。
ミッドシップ化によって、コルベットのハンドリングはより限界が高くなり、スタビリティも高くなりました。スポーツカーとしての性能にますます磨きをかけたコルベットは、今後もアメリカンスポーツカーの頂点として輝き続けるでしょう。
8代目シボレー コルベットの新車価格は、ベースモデルで1,072万円(税抜)~となっています。極めてハイパフォーマンスなスポーツカーとしては、非常にリーズナブルと言えるでしょう。
シボレー コルベットの中古車は2021年6月時点で116台が流通しており、平均価格は1,034万円となっています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,630mm×1,940mm×1,220mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,450mm | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 1,670kg | |
エンジン種類 | 6.2L V型8気筒ガソリン OHV | |
エンジン最高出力 | 369kW(502PS)/6,450rpm | |
エンジン最大トルク | 637N・m(65kg・m)/5,150rpm | |
駆動方式 | FR | |
トランスミッション | 8速DCT |
■車をローンで購入するなら?カーローン申込ランキング
アメリカ車に関するQ&A
■アメリカ車って、どんなクルマ?
アメリカ車は、アメリカの広大な国土にふさわしく、車体や排気量が大きいクルマが数多くライナンップされているのが特徴です。伝統的なセダンから、SUV、スポーツカー、ピックアップトラックまで、様々な車種が販売されています。
■アメリアで一番売れているクルマは、どんなクルマ?
アメリカでは、毎年1500万台弱のクルマが販売されています。そのなかで、最も売れている車種は、ピックアップトラックです。ピックアップトラックは、全長6メートルに達する大型のトラックで、5L V8のような大排気量のエンジンを搭載するモデルが今だにラインナップされています。
■アメリカのSUVってどんなクルマがあるの?
アメリカを代表するSUVメーカーは、「ジープ」です。ジープは日本でもおなじみの四輪駆動車の専門メーカーで、小型SUVのレゲネードや本格的SUVのグランドチェロキーまで、様々なSUVを発売しています。
■アメリカのスポーツカーってどんなクルマがあるの?
アメリカを代表するスポーツカーは、シボレー・コルベットです。1954年に初代モデルが発売されて以来、半世紀以上本格的なスポーツカーとして販売され続けています。アメリカで2019年に発表された8代目コルベットのの日本での販売も始まっています。