10年目間近のロングセラー、トヨタ アクア。その人気の理由は?
《画像提供:Response 》トヨタ アクア
数代の歴史を重ねて10年という車は珍しくないものの、1代で10年近く売り続けるという車はなかなかありません。小型ハイブリッドカーとして登場以来市場を席巻してきたトヨタ アクアは実はそんなロングセラーな車の一台。デビューはなんと2011年12月と、今年で10年目に突入しようとしているのです。
自動車は流行り廃りの入れ替わりが激しく、通常の車は4〜5年でモデルチェンジをすることで新鮮味を持たせ、販売台数を維持しています。しかしアクアは、顔つきや装備内容が細かく進化し続けているとはいえ、基本的な構成はそのままに人気を維持するという稀有な存在です。
なぜここまでアクアはロングセラーとなっているのでしょうか?
その答えを見つけるべく、オーナーの方々の感想や、自動車評論家によるレビューなどをまとめてご紹介してきます。アクアの人気の秘密を、探っていきましょう。
■登場当時は貴重だった5ナンバーのベーシックハイブリッド!
《画像提供:Response 》トヨタ アクア(改良前モデル)
初代プリウスが世界初の量産ハイブリッドカーとして登場したのは1997年のこと。
その初代プリウスは5ナンバーボディのセダンとして登場し、2003年まで販売が続けられましたが、2003年に登場した2代目プリウスでは全長・全幅を拡大したことで3ナンバーボディへ成長。ボディサイズに余裕ができたことで、居住性や空力性能のより一層の強化を図りました。
プリウスが3ナンバーサイズとなったことで、日本国内の道路事情にもマッチする5ナンバーサイズのハイブリッド車がトヨタのラインナップから消えてしまったことに。その結果、ハイブリッドは気になるけど駐車場などの制約の関係で3ナンバーは選びにくい… と悩んだ方も多数いたものと思われます。
トヨタとしてもそのことはもちろん認識していたようで、より低価格でコンパクトな5ナンバーサイズのハイブリッド専用車の開発が急がれ、2003年に初代プリウスが販売終了してから8年ぶりとなる2011年、5ナンバーサイズのアクアが満を辞して登場したのでした。
現在でこそヤリスハイブリッドやシエンタハイブリッドなど、様々なボディスタイルで5ナンバーサイズのハイブリッド車がラインナップされていますが、アクアが登場した頃は意外と選択肢が少なかったのですね。
■同じくハイブリッド専用車のプリウスが「奇抜」に進化
《画像提供:Response 》トヨタ プリウス
先ほどもご紹介したプリウスは、おおよそ6年サイクルでのモデルチェンジを繰り返しており、現在では4代目モデルが販売中。しかし、これまで落ち着いた存在感が持ち味だったプリウスですが、4代目モデルではかなり大冒険したアヴァンギャルドな内外装が用いられ、話題を呼びました。
現在では2018年の一部改良でややトーンダウンされたエクステリアデザインとなっていますが、登場当初は拒否感を示す声が少なくなかった点は否めません。プリウスならではの燃費性能や上質さ、さらに新たにプリウスから導入されたTNGAによる走りの楽しさは認めつつも、どうしてもデザインが気に入らずに選べないという方もいたことでしょう。
アクアはデビュー年度が古めということもあって、新鮮味こそやや薄れてきているものの、端正にまとまったハッチバックスタイルで、多くの人から受け入れやすいデザインとなっていますよね。4代目プリウスに拒否感を示した顧客の中には、プリウスに迫るような低燃費を実現しているアクアを代わりに購入した場合もあったかもしれませんね。
■在庫車も多く、実は値引きも期待できちゃう?!
《画像提供:Response 》トヨタ アクア
街中でもよく見かけるアクアは、トヨタのディーラーにたくさん在庫車が並んでいることもしばしば。低廉な価格設定で一定の需要が継続していることもあり、アクアは新車・新古車・中古車の全てで在庫が豊富に見受けられる印象ですね。
特に近年では、さすがに10年近く販売が続いてきたということもあって、値引き交渉にも意外とすんなり応じてもらえるケースも多い模様。もともとリーズナブルな価格設定ですが、税金面での優遇に加え、さらにディーラーからの値引きも期待できるとあって、競合相手は軽自動車?!と思うような支払い総額も実現できそうですね。
もともと、近年の軽自動車は装備の充実化が進んでいることもあり価格が上昇中。上級モデルではコミコミ200万円オーバーもしばしば見受けられるようになってきていますので、5人乗れる普通車の余裕と、ハイブリッドシステムによる抜群の低燃費を持つアクアのコスパの良さがさらに光ります。
■何よりやっぱり高コスパな低燃費こそ、人気の理由!
トヨタ アクア クロスオーバー グラム
先ほども軽くご紹介した通り、アクアの魅力はその低廉な価格に対する圧倒的な低燃費性能。近年では軽自動車にもマイルドハイブリッドが備わる車が増えてきていますが、モーターアシスト量に限界のあるマイルドハイブリッド車は、アクアのようなストロングハイブリッド車と比べると燃費性能はガクッと落ちる印象もあります。
特に流行のスーパーハイトワゴン系では車重も重めなので、アクセル開度も大きくなりがちで燃費がより悪化しがち。そんな軽自動車と価格的に競合できるほど低廉なアクアなら、実燃費でもリッター20キロ以上が軽く狙えるとあって、お財布にもうれしいですよね。
トヨタ アクアのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,050mm×1,695mm×1,455mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,550mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,090kg | |
燃費 | WLTCモード:27.2km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリンハイブリッド 1,496cc | |
エンジン最高出力 | 54kW(74PS)/4,800rpm | |
エンジン最大トルク | 111N・m(11.3kgf・m)/3,600-4,400rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 45kW(61PS) | |
モーター最大トルク | 169N・m(17.2kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 1,933,000円(消費税抜) |
プロ自動車ジャーナリストは、アクアをこう評しています!
《画像提供:Response 》トヨタ アクア
改良版アクアで印象に強く残ったのは、実走行燃費が大幅に向上したこと。登場当初はJC08モード値こそ優秀なものの、高速道路や山岳路などをいいペースで走るとガックリと燃費が落ちる傾向があったが、今回の改良でその弱点は完全に近い形で解消されていた。
ドライブフィールが格段にスポーティさを増したことも好印象だった。絶対的な速さは大したことはないが、ドライバーの操作に対するクルマの反応の素直さは登場当初とは別物で、ワインディングロードでのドライビングプレジャーはかなり高いものであった。シートバックのホールド性が良く、体幹のブレが少ないことも、その楽しさを後押しした。また、高速道路における直進感も改善されていた。
乗り心地が格段によくなったアクア。ボディがかちっと決まった感じがよくわかる。そしてもうひとつの改良点は、ブレーキの感触だ。これまでは停止する直前で、くっと減速が強まるところがあった。ペダルがひっぱられていくような違和感というか。それがなくなっているのである。マイナーチェンジ、恐るべし。
よく「断りなく改良のため変更することがあります」という台詞を見るけれど、これ、断ったほうがいいですよ。もっと大声で「違和感なくなりましたー! 乗り心地上がりましたー!」と、叫んでいただきたい。いっしょに叫んであげますから。
アクアは約10年販売が続いているということもあって、細かな改良の数も多くなっていますが、大幅な改良も複数行われてきました。
そんなアクア、やはりデビュー当初はちょっと動的質感面で難のある部分もあった模様ですが、改良を積み重ねることで欠点を細かく修正してきているようです。
特に実燃費の伸びはお財布にも直結する部分ですので、あらゆる運転シーンで燃費が伸びる方向に改善されているという点は、うれしいポイントですね。
アクアユーザーの口コミ評価はどう?ネット上の評判まとめ
実際にアクアを運転している方の感想をネット検索してみると、やはり何より燃費の良さに驚かれている感想をよく目にしました。エコ運転をすればさらに低燃費なことはもちろんですが、普段何気なく運転していればそれだけでリッター20キロ以上が実現できるという点は、やはりアクアの大きな魅力のようです。
また、低めの全高もあって、特に背が高い方では室内高が不足しているといった感想も見受けられました。近年では頭上に広大なゆとりのある背高系の車が流行していることもあって、アクアに乗り換えるとやや閉塞感を覚えてしまう場合もあるかもしれませんね。
前席だけでなく後席空間や荷室なども、ぜひ実車で確認しておきたいところでしょう。
【2021年最新】トヨタ アクアの新車・中古車価格まとめ
《画像提供:Response 》トヨタ アクア
2021年3月現在、アクアの税抜新車価格は、Lグレードの165.3万円から、クロスオーバー“グラム”の199.9万円が主なラインナップとなっています。
何かと物入りな新生活、新たに相棒として選ぶのにもピッタリなリーズナブルさは、老若男女を問わずにおすすめしたくなるアクアの魅力のひとつですね。
また、一味違うアクアとして、トヨタ ガズーレーシングの知見が活かされたスポーツグレード「GRスポーツ」も用意されており、こちらは特別パーツがふんだんに装備されることもあって221.9万円からとなっています。
トヨタ アクア TRDパーツ装着車
アクアは、モデルライフが長くなっているだけに中古車でも非常に選びやすい車種のひとつ。2021年4月現在、在庫は7,000台以上が確認できるので、年式や色、グレードなどの希望も通しやすそうです。
税込中古車本体価格平均が85.2万円と安くなっていることからも分かるとおり、安いものでは10万円台から豊富にラインナップされていますので、とにかく安くハイブリッドカーを手に入れたい場合にもぴったりですね。
まとめ
トヨタ アクア
トヨタ アクアの口コミ評価や試乗記などをご紹介してきました。
安かろう悪かろうではなく、あらゆる部分を工夫して価格を抑えている努力が垣間見えるアクアだけに、実際にお乗りの方の評価も高い様子。
近年では軽自動車が大人気となっていますが、やはり普通車にしかない余裕も捨てがたいという方なら、アクアのようにコスパ良好な普通車を選ぶことをぜひおすすめしたいところです。