ホンダ アコードとは?
《写真提供:response》ホンダ アコード EX(プラチナホワイト・パール)
アコードは、1976年の誕生以来、世界120以上の国や地域で、累計2,000万台以上を販売してきました、ホンダを代表するセダンです。10代目となる現行モデルは、2020年2月に発売され、力強く端正なフロントフェイスと、ロングホイールベースに裏打ちされた室内空間の快適性で、高い人気を誇っています。
この記事では、アコードのこれまで歴史の振り返りながら、現行モデルである10代目アコードの特徴を紹介します。
アコードの歴史
■初代アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(1976年)
初代アコードは1976年5月に発売されました。「ヒューマン・カー」をコンセプトに、存在感あるスタイリング、パワフルなエンジンを搭載し、優れた走行性能と乗り心地を実現。当時の国産車としては珍しかった、FF駆動の3ドアハッチバックセダンでした。翌年の1977年には、4ドアセダンモデルがラインナップに追加され、ホンダを代表するモデルとして確固たる地位を確立していきます。
エンジンは低公害対応として評価の高かったCVCCエンジンが搭載され、1.6リッターモデルと1.8リッターモデルが用意されていました。フロントフェイスには、この「CVCC」のエンブレムがみられます。
■2代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(1981年)
2代目アコードは、1981年9月に登場。初代モデルからのウェッジシェイプを踏襲しつつ、知的なイメージ漂うエレガントなエクステリアとなりました。
ボディタイプは初代モデルと同様、ハッチバックと4ドアセダンの2タイプが用意され、日本初の大型樹脂バンパーが採用されています。初代よりも、ボディサイズが拡大した結果、ユーティリティが向上しました。ほかにも意欲的な変更点が多く、足回りはストラット式4輪独立懸架を踏襲しながら、世界初の三次元リアダンパーや、日本初となる2段階の車高調整ができるエア式オートレベリングサスペンションが使われています。
■3代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(1985年)
3代目アコードは、1985年6月に発売され、時代を先取りした個性的なデザインで人気を博しました。FF方式の量産車としては世界初の4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションが採用され、低いボンネットとフロントフェンダー高を実現。この4輪ダブルウィッシュボーンはアコードの特徴となり、8代目モデルまで引き継がれます。
加えて、リトラクタブルヘッドライトを取り入れたことにより、空力特性が向上し、魅力的なスタイルフォルムとなっています。エンジンには、歴代モデル初のDOHCエンジンが採用され、2.0リッター直列4気筒DOHCエンジン+PGM-FI、1.8リッター直列4気筒DOHCエンジン+CVデュアルキャブ、SOHCエンジン+シングルキャブの全3タイプが当初設定されました。
■4代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(1989年)
1989年にフルモデルチェンジがおこなわれ、4代目アコードが誕生。ボディサイズはさらに拡大し、ホイールベースも延長したことから、室内空間に余裕が生まれ、居住性が向上しました。
エンジンラインアップも一新されたほか、4WSが設定されたという特徴もありました。
■5代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコードクーペ(1994年)
5代目アコードは、1993年に発売を開始。全幅が拡大し、全車が3ナンバーサイズとなったほか、新デザインのフロントグリルとバンパーがスポーティーなイメージを実現しました。いすゞ自動車へのOEM供給が開始され、アスカとして販売されます。
衝突安全性を高めた「全方位安全設計ボディ」が採用されたこと、歴代モデルで初となるVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)エンジンが搭載されたことで、特徴あるモデルとなりました。
■6代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(1997年)
6代目アコードは、1997年9月のフルモデルチェジによって登場。日本仕様では、4代目アコード以来となる5ナンバーボディが採用され、エンジンは全車にVTECが搭載されました。FFに加えて、歴代モデルで初となる四輪駆動モデルとなる「リアルタイム4WD」も設定されています。
SiRグレードには、ブレーキとアクセル操作を補助するVSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)が標準装備し、安全機能も充実しました。
■7代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(2002年)
7代目アコードは「ニュー・クオリティ・ツアラー(New Quality Tourer)」を開発コンセプトに、2002年に発売されました。国内仕様をヨーロッパ仕様と統合し、再び全車が3ナンバーサイズに拡大されています。スタイリッシュでありながら、洗練された内外装と、快適な室内空間を持つ、ミドルクラスセダンに仕上がっています。
インパネとセンターコンソールの一体化、世界クラスとなるCd値0.26の空力特性、吸気バルブタイミングを連続制御するVTCを組み合わせた「i-VTEC(高知能可変バルブタイミング・リフト機構)」を採用したエンジン設定、などの特徴がありました。
■8代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(2008年)
「アドバンスド・クオリティ」をテーマに、ベースとなる質の向上を目指して、2008年にフルモデルチェンジがおこなわれ、8代目アコードが登場。ボディサイズはさらに拡大し、居住性の向上と、走行性能全般の改善が図られました。最新の安全運転支援システムが追加され、安全性がさらに向上しています。
■9代目アコード
《写真提供:response》ホンダ・アコード(2013年)
8代目アコードは、2013年3月限りで国内販売終了。その後、少しの空白期間を経て、2013年6月に9代目アコードの販売が開始されました。国内向けアコードはハイブリッド専用モデルとなり、燃費性能が大幅に向上。上質なクルマにふさわしく、安全装備の充実も図られています。
■10代目アコード(現行モデル)
《写真提供:response》ホンダ・アコード(2020年)
2020年2月に、フルモデルチェンジがおこなわれて、10代目アコードが登場しました。クルマの基礎となるプラットフォームから構造を見直し、走行性能と室内空間をさらに向上させています。詳細については後述いたします。
アコードの詳細情報
■グレード・エンジン
《写真提供:response》ホンダ アコード 新型
アコードのラインアップは「EX」の1種類のみ。当然、エンジン・ミッション、価格も1種類だけですから、シンプルで分かりやすいでしょう。
エンジンは、2.0リッター水冷直列4気筒DOHCが用意されており、それに電気式CVT(電気式無段変速機)を組み合わせます。ハイブリッドシステムには、日常のほとんどをモーターで走行する「e:HEV(イー エイチ イー ブイ)」を採用。燃費がいいだけでなく、静粛性、発信・加速の良さなどを高いレベルで実現し、新感覚の走りを体感させてくれます。ドライブモードには、「ノーマル(NORMAL)」、「スポーツ(SPORT)」、「コンフォート(COMFORT)」の3種類があり、ステアリングフィールやアクセルレスポンス、サスペンションの硬さを変えてくれます。ちなみに、コンフォートモードは、輸出仕様にはない設定で、日本仕様のアコードのみにある特別装備です。
■燃費
《写真提供:response》ホンダ アコード EX(プラチナホワイト・パール)
アコードはハイブリッド車のみの設定で、燃費もよく、WLTCモードで「22.8km/L」です。搭載されているハイブリッドシステムは「e:HEV」。Honda独自のハイブリッドシステムで、2モーターならではの力強い発進や加速と、滑らかな走りを実現しています。
中低速域では、主に電気自動車としてモーターのみで走るEVモードを使用するほか、エンジンとモーターを組み合わせて使用するハイブリッドモード、高速クルーズ時のみ作動するエンジンの力で走行するエンジンモード、の3モードを使い分けて、燃料の消費を抑え、高効率な運転を徹底しています。
■ボディサイズ・エクステリアデザイン
《写真提供:response》ホンダ アコード EX(プラチナホワイト・パール)
ボディサイズは「全長4,900mm・全幅1,860mm・全高1,450mm」、ホイールベースは「2,830mm」あり、この数字からもロー&ワイドなデザインであることが一目瞭然です。低くどっしりとしたエクステリアデザインは、スタイリッシュでありながら、落ち着きを感じさせます。
これらは、アコードのために開発された「新世代プラットフォーム」を採用したことによるもので、従来モデルよりも居住スペースが拡大し、ゆとりのある室内空間がもたらしています。
■ボディカラー
《写真提供:response》ホンダ・アコード・ハイブリッド の2021年モデル(米国仕様)
選ぶことのできるカラーは、
・プラチナホワイト・パール[有料色](税抜:4万円)
・クリスタルブラック・パール
・ルナシルバー・メタリック
・ブリリアントスポーティブルー・メタリック
・パッションレッド・パール
です。プラチナホワイト・パールのみ有料色です。
アコードの高級感あふれるスタイルにふさわしい、上品な雰囲気と輝きを持つプラチナホワイト・パールはやはり人気が高いようですが、陰影な中に輝きを放つルナシルバー・メタリック、アコードの印象をガラリと変え、鮮やかな存在感を放つパッションレッド・パールなども、魅力的でしょう。
■インテリア
《写真提供:response》ホンダ アコード EX インテリア・フロント(ブラック)
室内空間は、「室内長2,070mm・室内幅1,585mm・室内高1,155mm」とかなり広々しています。インテリアカラーは、ブラックとアイボリーの2色から選択が可能。ブラックは抑制された上質感を、アイボリーは高級セダンらしいラグジュアリーさを表現し、いずれも上品で贅沢な空間を演出しています。
インテリアには、本革シートや本革巻きステアリングホイールといったレザーインテリアが標準装備されており、いっそうの高級感と、所有欲を満たしてくれる贅沢さがあります。さらに、運転席・助手席・リアシートにはシートヒーターが標準装備されており、冬場のドライブもストレスになりません。
■ラゲッジスペース
アコードは、ハイブリッドセダンとしてはクラストップのラゲッジスペースをほこります。これは、従来荷室を圧迫していたハイブリッド用のバッテリーの形状やレイアウトを工夫することにより、インテリジェントパワーユニット(IPU)をこれまでのリアシート背面から後部座席の下へ再配置できたため。これにより、トランクルームの広さも大幅に拡大しています。
9.5インチのゴルフバッグを4個積み込み可能で、一体可倒式のリアシートを前面に倒せば、さらに広大な荷室スペースを使用できます。また、4人乗車しているためにリアシートが倒せない状況でも、リアシート中央のアームレスト部分だけが倒せる機構のため、長尺物を積載することが可能です。
■価格
《写真提供:response》ホンダ アコード EX インテリア・コクピット(ブラック)
アコード EXグレードの新車本体価格は、2021年5月現在、税抜:422万7,273円となっています。
■口コミ
アコードの試乗記事には次のような口コミが見られました。
絶対的な加速性能も十分に良いが、アコードで素晴らしく感じられたのはそれよりもパワーの出し方だった。電気モーター駆動は広い範囲にわたってフルパワーを出せるが、そのぶん加速感がのっぺりした感じになりやすい。が、アコードはそうではなかった。スピードが上がるにしたがって上に伸び切っていくようなフィール。電気VTECとでも言いたくなるような爽快さを覚えさせる制御となっており、気持ち良いことこのうえなかった。
居住区と荷室は全長4.9mもあるセダンだけあって、どちらもさすがの広さ。シートはアメリカンセダンらしい分厚いクッションを持つが、それでも前席、後席ともゆとりは十分以上。日本ではラージクラスに相当するアメリカンミッドサイズらしさ炸裂である。
まとめ
《写真提供:response》ホンダ アコード フロントグリル
今回は、ホンダ アコードについてまとめました。上品で高級感あふれるセダンであり、最新の運転技術や安全装備も惜しみなく投入されていますが、それだけでなく、歴史が流れています。新車種も魅力的ですが、歴史を作り上げてきたアコードには、ほかにない魅力があると思われないでしょうか。