ホンダ レジェンドとは?
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
レジェンドは、最新かつ最高の技術が投入された、ホンダが誇るフラッグシップセダンです。
2015年から販売されている現行モデルのレジェンドは、伸びやかなフォルム、随所に織り込まれた工夫、精悍な印象を与えるフロントフェイス、「SPORT HYBRID SH-AWD」をはじめとした動性など、どこをとっても隙のないセダンに仕上がっています。
ところが、2020年11月のデータでは、レジェンドの月販はなんとわずか7台。同じ2020年11月の月販トップであるヤリスが、約2万台であることを考えると、売れていないクルマです。
この記事では、レジェンドの詳細情報を紹介と、売れていない理由を考察したいと思います。
フラッグシップモデルとは?
《写真提供:response》ホンダ レジェンド 改良新型(ハイブリッドEX ホンダセンシングエリート)
レジェンドは「ホンダの顔」ともいうべきモデル!
「フラッグシップモデル」とは、一般的にそのメーカーで展開されている製品のうち、最上級・最上位に位置づけられている製品のことです。「フラッグシップ(Flagship)」とは「旗艦」、つまり司令官が乗船している船のことを言いました。転じて、同種のものの中で、最も重要なもの、最も優れたものを意味するようになりました。
ですから多くの場合、展開されているシリーズの中で特に力を入れて開発されており、機能、性能、品質において妥協のない製品づくりがおこなわれています。最新技術を採用したり、高級素材をふんだんに取り入れたりするため、おのずと価格は高額です。
レジェンドは、ホンダのフラッグシップモデルにあたります。ですから、『メーカーの顔』ともいうべきモデルといえるでしょう。ちなみに、メルセデス・ベンツであれば「Sクラス」、レクサスであれば「LS」が該当するようです。
レジェンドの詳細情報
■価格・グレード
《写真提供:response》ホンダ レジェンド 改良新型(ハイブリッドEX ホンダセンシングエリート)
2021年5月現在、新車本体価格は税抜:659万円です。セダンの価格帯は、自動車のカテゴリーの中では比較的高めになりますが、それにしてもかなり高いクルマという印象かもしれません。グレードは「ハイブリッドEX」のみとなります。
加えて、2021年3月5日に限定100台で「LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite」という特別車が、リース専用車両としてリリースされています。価格はなんと、税抜:1,000万円(メーカー希望小売価格/販売価格は販売会社が独自に定めているようです。詳しくは販売会社に直接、ご確認ください)。こちらの特別車については、別途後述いたします。
■エンジン・ハイブリッドシステム
《写真提供:response》ホンダ レジェンド
レジェンドには、「3.5リッターV型6気筒直噴i‐VTECエンジン」に、3モーターハイブリッドシステムである「SPORT HYBRID SH‐AWD」が設定されており、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせです。
SPORT HYBRID SH‐AWDは、3モーターで、フロントにエンジンと1モーター。リアには、左右輪それぞれに配置した2モーターが駆動するシステム。走行や路面の状況に応じて、四輪駆動・前輪駆動・後輪駆動など、駆動方式そのものを切り替えます。しかも、状況に応じて後輪左右の駆動力にも差をつけます。こうすることで、たとえばコーナーでは、曲がる側とは反対の後輪に駆動力を多く配分してクルマを後押しし、旋回力を生みだします。この革新的な駆動システムは、ホンダのスーパースポーツNSXのコア技術としても採用されているものです。
■ボディサイズ・エクステリアデザイン
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
ボディサイズは「全長5,030mm・全幅1,890mm・全高1,480mm」、ホイールベースは「2,850mm」です。セダンらしいワイド&ローで、流麗として躍動感があり、凛とした存在感を放つフォルムです。とくに、前輪から後方へと流れる爽快なサイドラインは、レジェンドの上品さと躍動感を表現しているでしょう。
フロントのジュエルアイLEDヘッドライトは、まるで宝石を並べたかのような美しさ、そこに独創的なテールランプが加わり、レジェンドの優麗さを醸し出しています。
■ボディカラー
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
選ぶことのできるカラーは、
・マジェスティックブラック・パール[有料色](税抜:5万円)
・プラチナホワイト・パール[有料色](税抜:5万円)
・スーパープラチナ・メタリック[有料色](税抜:5万円)
・プレミアムディープロッソ・パール[有料色](税抜:5万円)
・モダンスティール・メタリック
・オブシダンブルー・パール
です。全6色のうち、4色が有料色となっています。アコードやオデッセイの有料色が税抜:4万円であることを考えると、レジェンドは一段上の価格設定になっています。
光輝感と艶やかさ兼ね備えたマジェスティックブラック・パール、上品な深みと輝きを放つプラチナホワイト・パールは人気がありますが、品格あふれる深紅のプレミアムディープロッソ・パールも、レジェンドのもつ雰囲気にマッチしているといえるかもしれません。
■燃費
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
レジェンドの燃費は、WLTCモードで「12.8km/L」です。搭載されているハイブリッドシステムは、刻々と変わる路面や環境に合わせて、最適な駆動方式を選択し、走りの豊かさだけでなく、燃費のよさも実現します。ドライブモードには、リアモーターだけで駆動する「EVドライブ」モード、モーターとエンジンの両方から力をもらいバランスよく発揮する「ハイブリッドドライブ」モード、エンジンのみで力強く駆動する「エンジンドライブ」モードの、3つが用意されています。
とはいえ、りっぱな車体サイズを持つセダンだけあって、燃費に優れたクルマ、たとえばヤリス(ハイブリッドG/FF)の「35.8km/L(WLTCモード)」や、プリウス(E/FF)の「32.1km/L(WLTCモード)」と比べてしまうと、かなり悪く感じられてしまうかもしれません。
■収納スペース
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
レジェンドには、トランクリッド内側のスイッチより、自動で閉じられるパワートランクが搭載されています。トランクの広さは、トランクアンダーボックスを含めて414L(VDA方式)と大容量、9.0型ゴルフバッグであれば3個入れられます。
さらに運転席周りには、サングラスボックス、電子式ロックリリースグローブボックス、センターホルダー、ドリンクホルダー、スリーアクセスコンソールなど、豊富な収納スペースがあります。リアにも、リモコンソールボックスがあり、ドリンクホルダーも搭載されています。
■インテリア
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
室内空間は、「室内長2,080mm・室内幅1,540mm・室内高1,155mm」で広々。ただし、全長が5,000mmを超えるわりには、ホイールベースが2,850mmと比較的短く、ショーファードリブンカーのような、あるいは超高級車に見られるような、ため息が出るほどの室内空間の広さではありません。
インテリアカラーには、「プレミアムブラック」、「ディープブラウン」、「シーコースト・アイボリー」の3色が用意されており、それぞれ趣を異にします。高級車らしい上質感を漂わせるプレミアムブラック、応接室にいるような雰囲気のディープブラウン、ルーフ色が唯一アイボリーで明るく華やかな雰囲気のシーコースト・アイボリーと、それぞれの良さがあり、全色ボディーカラーとの組み合わせが可能ですから、レジェンドに求めるイメージに合わせて選択できるでしょう。もちろん、レザーインテリアが採用されており、上品で高級感漂う室内空間となっています。
■中古車価格
《写真提供:response》original【ホンダ レジェンド新型発表】ライバルは国産車にあらず
2021年5月現在、レジェンドの中古車本体価格(response中古車価格)は、税抜:17万2,728円~税抜:581万6,364円となっています。
レジェンドは、1985年に初代モデルが登場し、現行モデルで5代目。中古車市場では、15年落ちくらいのクルマであれば、税抜本体価格30万円以下で見つけられるようです。
■口コミ
試乗記事を基にした口コミには、以下のようなコメントがありました。
「プレミアムクリスタルレッドメタリック」と呼ばれる美しい赤に塗られたレジェンドを受け取り、雑踏の中へ乗り出すと横断歩道を渡る人たちの視線を感じた。普段から様々なクルマに乗る機会が多いので、その時々で視線の傾向を探ることもあるのだが、今回は老若男女、特に傾向なく視線が集まったように感じた。
電気モーターは変速機に内装されたものが1個、後輪の左右それぞれに1個ずつの計3つ。とくに興味深かったのは後ろの2個のモーターの動きで、クルーズ時は2個とも前進方向に駆動力をかけるのだが、コーナリング時にはコーナー外側のモーターに前進方向の力を発生させつつ、内側のモーターに回生させてブレーキ力を得るという制御がかかる。最大で74psにもなる後ろ左右輪の出力差が生む反転力は強烈で、タイトコーナーでハンドルを切ると鼻先がぐーんとコーナー出口側に向くような力がかかるのがわかるほどだ。この制御は峠の下り区間のようにスロットル全閉で空走しているときも同じように行われ、旋回性を向上させるのに寄与していた。
特別車:LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite
《写真提供:response》「トラフィックジャムパイロット」を使い、渋滞中の高速道をハンズオフで走行するホンダ レジェンド
「Honda SENSING」は、ホンダが独自に開発した安全サポートシステムで、衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、歩行者事故軽減ステアリングなど、いくつかの機能から成り立っています。そして、このレジェンド特別車に搭載された「Honda SENSING Elite」は、現在展開されているHonda SENSINGの中でも、特別なもので、「Elite(精鋭)」と命名されました。
中でも注目したいは、「トラフィックジャムパイロット」と呼ばれる渋滞運転機能です。国土交通省により、自動運行装置として型式指定を取得した「自動運転レベル3(限定領域での条件付自動運転車)」に適合する先進技術です。これは、世界初の実用化となります。
このトラフィックジャムパイロットは、高速道路などの特定路線で運転中、速度が30km/h以下になると、クルマが渋滞中であると判定し、機能が選択できるようになります。トラフィックジャムパイロット中は、ナビ画面の使用やスマートフォンの操作も可能で、かなりの自由が利くようになるでしょう。
ただし、「すぐに復帰できる状態にある」ことが、トラフィックジャムパイロットの作動条件であるため、「目を閉じる」ことや、「新聞・雑誌を読む際に顔が見えなくなる」といったことはできません。速度が上がれば、ハンズオフ機能に移行するため、違和感もないでしょう。
このように、LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Eliteは、ホンダの最新技術が詰め込まれた仕様となっています。
なぜレジェンドは売れていないのか?
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド改良新型
このように、レジェンドにはたくさんの最新技術が用いられ、高い商品力を持っているのに「売れていない」のはどうしてでしょうか。いくつか理由が考えられます。ここでは、「価格」「セダン全般の苦戦」「ターゲット層にはライバルが多い」「高級車としての訴求力が不足している」ということを取り上げてみたいと思います。
まず、2021年5月現在、新車本体価格が税込で700万円を超えることが、売れていない大きな要因と考えられます。フラッグシップモデルですから当然なのですが、それだけに敷居が高く、いくらクルマが魅力的であっても、おいそれとは踏み出しにくい価格です。
そして、セダンというカテゴリーが、そもそも低迷していることも理由にあげられます。最近では、レクサス GS、トヨタ マークX、日産 ティアナ、ホンダ グレイスなどのセダンが、相次いで販売を終了しています。つい最近では、トヨタ プレミオと、その姉妹車アリオンが販売を終えました。今はかつてのように、クルマといえばセダンという時代ではなくなっています。SUVやミニバンに比べて、積極的にセダンを選ぶ理由が乏しいのかもしれません。
ターゲット層にはライバルが多いという理由も挙げられます。国産高級セダンであれば、トヨタ クラウンや日産 フーガはレジェンドより200万円以上安いグレードがあります。また、700万円を出すならば、メルセデスベンツ Eクラスや、BMW 5シリーズといった、強い輸入車もターゲットに入ってくるため、なかなかレジェンドが選択肢にならない部分があるようです。
また識者からは以下のような指摘もあります。
このレジェンドでミニツーリングをしてみて抱いた総合的な印象は、高性能車としてみると動力性能や走行性能は文字通り申し分ないレベルで、ホンダの独自性も濃厚。一方、プレミアムEセグメントのモデルとしてみると高級車的なまとまりを欠き、快適性、先進装備、雰囲気作りなどすべてが中途半端というものだった。
レジェンドに組み込まれている最新技術は、「高性能車」としては魅力的なものの、「高級車」としてはもうひとつ、という指摘です。こうした点も、売れていない理由となるかもしれません。
まとめ
《写真提供:response》ホンダ・レジェンド新型
今回は、ホンダ レジェンドについてまとめました。ホンダの最新技術と最高級の装備を搭載したフラッグシップセダンです。ホンダの最新技術を楽しみたい方は、ぜひ検討してみるとよいでしょう。