新型シエンタがほしい? それならこんな車も検討してみて!
《画像提供:Response》〈写真撮影:中野英幸〉トヨタ シエンタ 新型(ガソリン Z 2WD 5人乗り)
2022年8月23日に、トヨタのシエンタのフルモデルチェンジが発表されました。コンパクトミニバンを選ぶのはファミリー層が中心で、4~5人までしか乗車しないものの時には大きな荷物を載せたい家庭や、緊急用でも構わないので3列目シートを使って6~7人で乗りたい方などに選ばれます。
シエンタと直接比較されるライバルにはホンダ フリードがあります。また、3列目シートにも快適性を求める場合には、同じトヨタであればノアも候補に入ってくるでしょう。一方、3列目シートや荷物の搭載はほどほどにし、乗員は3~4人までと割り切れば、軽乗用車のトールタイプも候補となります。
今回は、シエンタの購入を考える場合どのような車と比較して検討すればよいのかを紹介します。
トヨタ シエンタ
■7年ぶりのフルモデルチェンジで燃費性能や快適装備品などの性能が向上
《画像提供:Response》〈写真撮影:中野英幸〉トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)
2022年8月に発表されたシエンタのフルモデルチェンジは、実に7年ぶり。初代シエンタは大ヒットしましたが、一時生産が終了、その後奇跡的に「ダイス」というグレードを伴って復活しました。
二代目は2015年に登場、当時多くのミニバンが用意していた「カスタム」グレードを持たない、都会的なコンパクトミニバンとなりました。
今回登場した三代目シエンタは、トヨタ アクアと多くの部品を共用しています。
パワートレインは純エンジンモデルとハイブリッドモデルを選択可能、駆動方式はハイブリッド車のみFFと4WDを選択可能で、純エンジンモデルはFFのみです。
搭載されるエンジンは一新され、純エンジンモデルには1.5リッター直列3気筒エンジンのM15A-FKS、ハイブリッドモデルはM15A-FXSを搭載しています。
共に新世代のダイナミックフォースエンジンで、高い出力と燃費を両立していることが特徴。先代モデルに搭載されていた4気筒エンジンから3気筒エンジンに変えたことで摩擦抵抗を低減し、特に低、中回転域での力強さを得ています。
ハイブリッド方式は、これまでの多くのトヨタ車と共通の「1エンジン2モーターのTHS方式」を採用しています。4WD車は後輪にもモーターを搭載、前後の車軸をつなぐプロペラシャフトを廃止する代わりに、床面高さが低く、フラットで広い室内を実現しています。
スタイルは、特に横から見ると意外に先代モデルのボディラインに似ているところもあるのですが、角丸型になったヘッドライトや厚みを増したエンジン部分、太いドアモール、バンパーサイドモールが力強さを演出しており、近年流行しているSUVテイストを盛り込んでいます。このモールは無塗装であり、表面を軽くこする程度の事故ではボディの代わりに傷つき、塗装部分を傷めずに済ませてくれます。
■高い積載能力
《画像提供:Response》〈写真撮影:中野英幸〉トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)
シエンタのコンパクトミニバンとしての積載性能は高く、特に2列シートの5人乗りモデルは非常に優れています。リヤシートを折りたたむと、荷室から前席後ろまでがフラットになり、大きな荷物を積載したり車中泊にも対応した空間が得られるようになっています。
3列シート仕様車の3列目のスペースは、大人2人を乗せるのに必要最小限度となっており、臨時用といえます。この3列シート仕様車でも、後席を折りたたんで広いスペースを得ることができます。
すなわち、3列シート仕様車はコンパクトミニバンとしての機能を重視、2列シート仕様車はステーションワゴンとしての機能と、ちょっとした「バン」の機能を持っているといえます。
コンパクトミニバンといえど室内の快適性にも配慮されており、後席に風を送るリヤサーキュレーターが装着されました。より高額なモデルに装着されるリヤクーラーと比較すると冷却性能では劣りますが、前席の冷たい空気を2列目以降に送る機能により、夏場の後席快適性が向上しています。
このように、シエンタはフルモデルチェンジで燃費性能や各種装備品の性能が最新化されており、購入して高い満足を得られる車になっています。
ホンダ フリード
■シエンタと比べると少しスポーティ?
コンパクトミニバンとしての対抗車種は、ホンダ フリードです。旧型フィットをプラットフォームを共通とする車で、2016年に登場しました。
シエンタと同様に純エンジンモデルとハイブリッドモデルがありますが、車としての走りを決めるエンジンやハイブリッドシステムの構成は、かなり違います。この種の車に走りの機能を求める人は少ないかもしれませんが、運転する人によって好みに合う場合も合わない場合もあるでしょう。
エンジンは、1.5リッター直列4気筒エンジンを採用。シエンタと比較すると1気筒多くなっていますが、音や振動の点で大きく異なります。一般的に、3気筒エンジンよりも4気筒エンジンの方が、音質や振動の点で優れています。
シエンタもなるべく3気筒エンジンの音、振動を感じさせないように対策はされていますが、基本的にフリードの方が優れています。また、エンジンにもホンダ独自のi-VTECを採用し、比較的高回転まで回ろうとする性格になっています。
ハイブリッドシステムもシエンタとは全く異なっています。旧型フィットでホンダが採用した、7速トランスミッションと1個のモーターを組み合わせた、「i-DCD」方式を採用。モーターはエンジンをアシストするように働き、古き良きエンジン車の走行感覚を残しながら、燃費向上を図っています。
この点でもシエンタとは全く異なる走行感覚であり、実際に乗って確かめていただきたいポイント。特にエンジンとタイヤがダイレクトにつながっているフィーリングや小気味よい走りの性能など、ミニバンでも走りの性能をあきらめたくない人によく合うといえます。
ボディはボクシーなもので、フルモデルチェンジを受けても、なおかわいらしさを残したシエンタに対して、さっぱりした印象となっています。
■登場から時間が経っているため、燃費や安全装備などで劣ることも
《画像提供:Response》〈撮影 小林岳夫〉ホンダ・フリード改良新
ただし、フリードは2016年に登場したモデルで、既に登場から長い時間が経過しておりになっており、あらゆる点で点で最新の新型シエンタにはかなわない部分があります。
特に燃費性能や運転支援性能、予防安全性能の点は、最新のシエンタと比較するとスペック上では劣っています。また、流行のSUVテイストには「クロスター」グレードがありますが、SUV流行の過渡期的な内容であり、車に「SUVっぽさ」を求めるとなると、やや流行から外れた印象になっていることは否めません。
スペーシア ギア
■シエンタよりも価格をぐっと抑えられる!
《画像提供:Response》〈撮影:雪岡直樹〉スズキ・スペーシアギア
スペーシアギアは、スズキのトールタイプ軽乗用車「スペーシア」がベースとなっています。スペーシアにSUV風のルーフレールやサイドモールを加え、ヘッドライトを丸形二灯式にし、「遊び心」を加えたモデルです。
車としての内容はスペーシアと同等で、室内高さなどは十分以上にあります。しかし、軽乗用車ゆえにシートは二列仕様のみに、乗車人数は最大4人です。また、車内広さの関係から、4人が快適に乗車しようとすると荷物をほとんど搭載できなくなってしまいます。
一方で、シエンタよりも車両価格が100万円も抑えられ、さらに維持費も安くなっています。「家族でキャンプやバーベキューに行きたいと思っても、実際には行かないだろうな」、「子供の養育費がかかったりするので、SUVテイストであれば満足できそう」といった方にはぴったりの選択です。
トヨタ ノア/ヴォクシー
■もっと余裕が欲しいなら、ワンランク上のノア/ヴォクシー
《画像提供:Response》〈写真撮影:中野英幸〉トヨタ ヴォクシー 新型
シエンタは、3列シートを持つトヨタ車の中では、最も小さいクラスを担っています。3列目シートあくまでも臨時用で、短距離、短時間用のもの。そのため、3列目シートにも快適性を望む方にはあまり合わない選択かもしれません。
3列目を多く利用する、多人数の移動が中心となる使い方の場合、上のクラスであるノア/ヴォクシーがおすすめです。
ノア/ヴォクシーはトヨタの中型ミニバンの定番モデルとなっており、今年の初めにフルモデルチェンジされたばかり。
エンジンは、ハイブリッド車が1.8リッター直列4気筒エンジンを、純エンジン車が2リッター直列4気筒エンジンを搭載しています。ボディサイズは3ナンバーサイズとなりましたが、エンジンの排気量の関係で、維持費は5ナンバーのシエンタとは大きくは変わりません。
シエンタに対して、室内空間に余裕があり、3列目シートでも快適性が確保されていることが特徴です。価格の上でも、シエンタの最上級グレードとノアの最安価グレードが概ね同じ価格帯となっており、まさに用途に応じて選べるようになっています。
その代わり、ノア/ヴォクシーにはSUVテイストは全くなく、最安価グレードでは送迎用の車のような意匠や装備となってしまうこと、仮にグレードを上げてもこれまでのミニバンの範疇のスタイルになることから、新しい感覚のファミリーカーを望む方には向かないかもしれません。
生まれ変わったシエンタはSUVテイストを取り入れた新しい感覚の車
《画像提供:Response》〈写真撮影 中野英幸〉トヨタ シエンタ 新型(ガソリン Z 2WD 5人乗り)
シエンタは、SUVテイストを取り入れた新しい感覚のコンパクトミニバンとして登場しました。旧型モデルが登場した2015年頃は、「カスタムグレードを持たない、都市部に勤務する若いファミリー層を狙ったコンパクトミニバン」として、これまでのミニバンよりも都市部寄りの車として企画された節があります。
それから7年、少子化は一層進んでミニバン需要は意外に厳しく、新車市場はSUVブームが定着、2010年代の需要をけん引してきた、コンパクトハッチバックやミニバンの市場が奪われているのが実情です。
また、新しいレジャーとして車中泊が受け入れられたり、子供に手がかからなくなってもセダンに戻らない層が出てくるなど、シエンタを取り囲む状況はすっかり変わりました。
その一つの回答として、シエンタはSUVテイストを盛り込むことで、ミニバンの次にSUVを選択しようとしている人にも訴求可能な車になりました。
SUVは欲しいけれども室内の広さを優先したい方、ミニバンは欲しいけれども既存のミニバンは面白みがないと感じている方は、ぜひ試してほしい車です。
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よくある質問
■三代目シエンタはどんな車?
三代目シエンタは、トヨタ アクアと多くの部品を共用。パワートレインは純エンジンモデルとハイブリッドモデルを選択可能、駆動方式はハイブリッド車のみFFと4WDを選択可能で、純エンジンモデルはFFのみ。スタイルは、角丸型になったヘッドライトや厚みを増したエンジン部分、太いドアモール、バンパーサイドモールが力強さを演出しており、近年流行しているSUVテイストを盛り込んでいます。
■シエンタと同程度のおすすめ車はある?
シエンタと直接比較されるライバル車はホンダ フリード。3列目シートにも快適性を求める場合は、同じトヨタであればノアも候補に。一方、3列目シートや荷物の搭載はほどほどにし、乗員は3~4人までと割り切れば、軽乗用車のトールタイプも候補となります。