多人数乗車可能! 家族や友人とみんなで一緒にドライブできる「ミニバン」
《画像提供:Response》〈画像:トヨタ自動車〉トヨタ アルファード SR Cパッケージ
家族や友人など大勢を乗せて楽しく移動できる「ミニバン」は、その利便性や実用性の高さゆえ、自動車のジャンルのなかで常に高い人気を維持しています。
そこには「多人数乗車」に加えて、多くのミニバンが装備する「スライドドア」や車体の「大きさ」から感じられるカッコよさなど、さまざまな魅力があることもミニバン人気の要因として挙げられるでしょう。
そんなミニバンを中古車でなるべくお買い得に購入するには一体どうすれば良いのでしょうか?
やはり人気の高いジャンルであるため有名な車種では比較的値落ちしにくいものですが、実はちょっと知名度の落ちる車種や主流から外れた車種なら、意外なほどお買い得に手に入れることも可能です。
非常に車種が豊富なミニバン市場の中から、お買い得でありつつも個性と魅力がたっぷりで、自信を持っておすすめできる選りすぐりの5車種を紹介します。
マツダ ビアンテ
■今はなきマツダのミニバン「ビアンテ」
《画像提供:Response》マツダ ビアンテ
マツダがかつて販売していたワンボックス型のミニバンが「ビアンテ」です。
ボディ両サイドにスライドドアを備え、室内のシートアレンジも豊富という「いかにもミニバン」の格好をしたビアンテは、主なライバルとしてホンダ ステップワゴンやトヨタ ノアシリーズ、日産 セレナなどを想定し、ミニバン界の強豪が長年争う激戦市場に投入されました。
しかし現在のところ後継モデルも無く、中古車がお買い得という現状からも想像できる通りビアンテの販売は苦戦。販売スタートから10年の節目となった2018年にはついに生産終了となってしまいました。
しかし、ビアンテがミニバンとして機能が優れない車だったのかというと、そんな事はありません。
完全に新作モデルだったビアンテは販売開始時点で競合するライバル車種の知名度の高さと比べ知られていなかったことや、当時としてはやや斬新すぎたデザインだったこと、またトヨタなどの販売店数と比較してマツダ販売店が少くなかったことも販売台数の少なさに影響しました。
つまり、ビアンテに問題があるというよりもライバルが強すぎた、そんな見方も出来るでしょう。
また、ビアンテは一見するとただ普通のワンボックスミニバンのようにも見えますが、実は意外な個性をたくさん備えている魅力的な車種です。
■競合他車より大柄なボディを持ち室内空間も広い
《画像提供:Response》競合他車より大柄なボディを持ち室内空間も広い
まず、当時販売されていた同クラスの競合モデルが狭い道での使い勝手や駐車場の大きさなどを意識してボディの横幅を約1,700mmという「5ナンバーサイズ前後」に収めていたなかで、ビアンテはあえてその枠を超えた1,770mmという大柄な横幅に設定。これによって車内の空間をより大きく使用し、誰もが快適に出かけられるミニバンとなりました。
また室内に3列設けられたシートも、まるで劇場のように後方に行くほど床と着座位置が高くなるレイアウトに設計されているため、どのシートに着座しても見晴らしがよく、ドライブ中にも全席が眺めを楽しみながら移動できるなど、マツダならではのこだわりが各所に見受けられるところもおすすめできるポイントです。
ビアンテには販売途中で「GRANZ(グランツ)」というグレードが追加されており、これは内外装にカスタムが施された豪華なグレードですが、最も目を引くのはフロントデザインの変わり様です。
もともと同クラス内では個性の強かったビアンテのフロントマスクがますます迫力満点
となっていますので、愛車により強い押出し感を求める方にはビアンテの中でもこのGRANZグレートをおすすめします。
ビアンテの新車時価格は、213万~292万円ほどでしたが、現在の中古平均価格は59.2万円です。
中古ビアンテは20万円~50万円ほどの価格帯に集中しており、14万円台の車体も存在しています。
ホンダ エリシオン
■上級ミニバンだけど運転も楽しい!「エリシオン」
《画像提供:Response》ホンダ エリシオン
エリシオンはホンダの販売していた大型のミニバンで、車内の広さ一辺倒ではなく乗り心地の良さや静粛性、そして力強い加速力を備えた上級クラスのミニバンとして開発されました。
その外装や内装は大海原を疾走するクルーザー船をイメージしてデザインされており、とくに初期モデルのデザインはシンプルな中にも美意識がキラリと光る、デザイナーのこだわりを随所から感じる造形が魅力です。
エリシオンには販売途中でモデルが追加され大きく分類して2つのモデルが存在します。
通常の上級ミニバンである「エリシオン」とその上位に位置するホンダ国内最上級ミニバン「エリシオン プレステージ」です。
前者のエリシオンは主なライバルをトヨタの「エスティマ」に、後者のエリシオン プレステージはトヨタ「アルファード」や日産「エルグランド」を競合として設定され、それぞれ激しい販売競争を繰り広げました。
エリシオンの魅力や個性としては、重心が高くなりがちな大型ミニバンでありながら高級セダンのような乗り心地が快適で、しかも運転も楽しめるところにあります。
その理由には、足回りの形式をダブルウィッシュボーンにこだわって設計されたサスペンションや、ライバルより低重心なボディを実現するため少し全高を低めに抑えて設計された点が挙げられます。
車内空間の高さがライバルと比較し控えめになるのは好みの分かれるところではありますが、ソファのようなシートと両脚を前に伸ばすリラックスした姿勢で着座し長距離を移動できるエリシオンは快適そのもの。
とくに3列目シートは2人並んでも伸び伸びと座ることができ、肌触りも高さもちょうど良い肘置きに腕を置いてリクライニングすると、エリシオンの真の特等席は実は3列目なのではないかと感じます。
■最上級モデルプレステージも追加!今はない高出力エンジン搭載ミニバン
《画像提供:Response》ホンダ エリシオン プレステージ
そんなホンダのエリシオンですが発売当初は2.4Lと3.0Lのエンジンをラインアップしており、これでも十分に快適な走行が可能なパワーを備えていましたが、販売途中でホンダはトヨタ「アルファード」と日産「エルグランド」をライバルとする最上級モデル「エリシオン プレステージ」を追加。
プレステージにのみ搭載される3.5Lエンジンはホンダの最上級車「レジェンド」にも使用されるエンジンで300馬力もの高出力を誇り、エリシオン プレステージは名実ともに国内最速・最強のミニバンとして当時大きな話題となりました。
またエリシオン プレステージはエンジンのみならず外装デザインも大きく変更されており、前述したライバルと並べても引けを取らない迫力のフロントマスクを装着。
通常モデルのシンプルなエリシオンの面影を全く残さない押し出しの強いデザインは300馬力のエンジン同様に注目を集めました。
しかしそれでも知名度の高いライバル車がすでに市場の大部分を制していたこともあり、エリシオンは明確な後継モデルを発売しないままモデル終焉を迎えました。だからこそエリシオンシリーズは中古車で購入する際にはとてもお買い得なモデルとしておすすめのミニバンです。
とくにエリシオン プレステージはかつて最上級格だったとは思えないほどの見事な値落ちを見せており、手に入れた際の満足度は極めて高いと言えるでしょう。
電動自動車への切り替わりが見えてきた昨今、今後二度と発売されないであろう300馬力を誇った「最強」ミニバンに乗る最後の機会かもしれません。この時代だからこそ、あえて楽しんで乗っていただきたいおすすめの一台です。
エリシオンの新車時価格は、273万~461万円ほどでしたが、現在の中古平均価格は48.2万円です。
中古エリシオンは20万円~50万円ほどの価格帯に集中しており、15万円台の車体も存在しています。
スバル エクシーガ
■ミニバン?ステーションワゴン?
《画像提供:Response》スバル エクシーガ
スバルは悪路走破性にすぐれた駆動方式「AWD(四輪駆動)」と、重心の低い個性的なエンジン「水平対向エンジン」にこだわりを持つ、タフな車の印象を持ったメーカーです。
そんなスバルのミニバン「エクシーガ」ですが、3列並ぶシートを車内に備えてはいるものの、一見するとミニバンとは思えないステーションワゴンのようなボディ形状をしています。
スバルのラインアップには人気のワゴン「レガシィ ツーリングワゴン」がありますが、エクシーガはまるでそのレガシィに3列シートを詰め込んで全高を少しだけ上げたような雰囲気を纏っており、実際にもミニバンとは思えないような安定感のあるハンドリングと走破性を実現しています。
逆に室内空間の広大さでは他社に見られる箱型のミニバンには敵いませんが、それでもエクシーガは適度なタイト感と大人が快適に移動できるスペースが確保してあります。さらにオプションでルーフに広大なサンルーフを設定することも可能で、これによって開放感が高まり、3列どのシートに座っても快適にドライブを楽しむことができます。
そんなエクシーガはミニバン界の主流デザインではなかったこともあり大ヒットとはなりませんでしたが、販売後半で驚きの魅力的な派生モデルが投入されました。
それが「エクシーガ クロスオーバー7」です。
■SUVの要素をもたせた唯一無二の派生モデル「エクシーガ クロスオーバー7」
《画像提供:Response》〈撮影:井元康一郎〉スバル エクシーガ クロスオーバー7
エクシーガ クロスオーバー7は通常モデルのエクシーガの最低地上高を上げることでさらなる走破性を獲得したSUVタイプのグレードで、これによって「ワゴン×ミニバン×SUV」という、かつてない個性を成立させた斬新な車が完成しました。
もちろんエクシーガ クロスオーバー7はただ最低地上高を上げただけでなく外装にもSUVらしさを強調するよう各所に手が加えられており、大きなフロントグリルに無塗装のオーバーフェンダーやアンダーガード、屋根の上にはルーフレールが装備され、ひと目見た瞬間から力強さと万能さを感じさせてくれます。
エクシーガとエクシーガ クロスオーバー7はすでに販売が終了しており、中古車市場ではお買い得な価格で流通しています。
生活感を感じさせずミニバンらしくないのに実は万能。そんなワゴンやSUV風のミニバンが好みという方には最適な一台ではないでしょうか。
エクシーガの新車時価格は、191万~374万円ほどでしたが、現在の中古平均価格は55.0万円です。
中古エクシーガは30万円~50万円ほどの価格帯に集中しており、10万円台の車体も存在しています。
マツダ プレマシー
■大きすぎない使い勝手のいいミニバン
《画像提供:Response》〈撮影:島崎七生人〉マツダ プレマシー 20SーSKYACTIV Lパッケージ
マツダの中型ミニバン「プレマシー」は3代にも渡って販売された人気のあるミニバンです。
主にホンダ ストリームやトヨタ ウィッシュなどと比較されるクラスで、ミニバンでありながら全高は1,600mm前後と背は高すぎず、全長・全幅ともに使い勝手の良いサイズにまとめられた、まるでハッチバックに3列シートを詰め込んだようなレイアウトの車です。
そんなプレマシーの良さですが、全てにおいて「ちょうど良い大きさ」が挙げられます。
ミニバンを求めるご家庭でも日常使いでは1~2列目シートまでで十分で「3列目はあくまでも旅行や非常時用」というニーズが存在します。そのような方々には大きすぎるサイズの車は無駄が多く、また使い勝手の悪さからストレスを感じる場面も少なくありません。
その点プレマシーは世代にもよりますが全長は最大で4,550mmほどと、少し大きなコンパクトカー程度に収まります。また3列目シートは使用しない時は畳んでおけばミニバンらしさは完全に影を潜め、荷物を十分に詰め込めるスペースが現れます。
■きちんとスライドドアも装備! 運転も楽しい
《画像提供:Response》〈撮影:島崎七生人〉マツダ プレマシー 20SーSKYACTIV Lパッケージ
そんな普通のハッチバックと同じように使うことが可能でありながら、プレマシーの後席ドアはミニバン由来のスライドドアなので、隣の車や壁にドアをぶつける心配がなところもヒンジドアを持つライバル車には無い魅力と言えるでしょう。
またプレマシーは全高が抑えてあるために車体全体の重心も低く、ミニバンらしからぬスポーティな運転を楽しむことも可能です。
またミニバンとしてはコンパクトな車体であるため車両重量も比較的軽めとなり、それによって燃費も抑えられています。
「普段はコンパクトカーで十分だけど年に数回ミニバンを使いたい場面がある」「ミニバンが欲しいけどなるべく無駄のない生活がしたい」そんな方には中古車価格もお買い得なこのプレマシーがおすすめです。
プレマシーの新車時価格は、159万~252万円ほどでしたが、現在の中古平均価格は47.9万円です。
中古プレマシーは20万円~50万円ほどの価格帯に集中しており、12万円台の車体も存在しています。
ホンダ エディックス
■2列6人乗りの異次元なミニバン
《画像提供:Response》ホンダ エディックス
ここまで紹介させていただいたミニバンはどれも個性的で魅力溢れるモデルでしたが、このホンダ「エディックス」はそれにも全く劣らない個性を持ったミニバンです。
いわゆる普通のミニバンであれば車内に3列のシートを備えているところですが、なんとこのエディックスは「3人横並び可能なシート」が2列備えてあるのです。
もはや「ミニバン」と呼ぶのが正しいのか悩んでしまいそうですが、ホンダはこのシートレイアウトを「3by2」と名付けてエディックスを明確にミニバンと分類しています。
3人が横並びできるこのシートは前席、後席ともに真ん中の座席が後ろにスライドできる設計となっており、これにより大人が6人乗った場合でも全員肩や腕が当たらず、想像以上に快適な状態でドライブすることが可能です。
また普通のミニバンであれば1列目と3列目の距離が遠いため、声が聞こえず会話がイマイチ通いにくいという場面も珍しくありませんが、このエディックスであればその心配はありません。最も離れている2列目真ん中のシートでも振り返ればすぐそこにいるので、エディックスだからこそ車内の会話が弾む場面もあるでしょう。
なにより「フロントシートの真ん中」に座るという行為自体が珍しいもので、そこはまさに「特等席」。かつて感じたことのない無いワクワクしたドライブ体験を味わうことが可能です。
■全長に対して幅広なエディックスは運転も楽しい
《画像提供:Response》ホンダ エディックス
そんなエディックスの魅力は車内の楽しさだけに留まりません。
前後シートとも3人が快適に座れる設計なので、他車と比べ、全長に対して全幅が広く、横揺れが少なくなり、かつ安定したコーナリングが可能で、運転していても楽しいミニバンになりました。
また前後のセンターシートを倒すと室内を貫通する形で長尺の荷物を積載することも可能なので、実は意外なほど大きな荷物でも積載できるところも隠れた魅力です。
エディックスはこの独特すぎるシート配置ゆえ国内市場において実質的にライバルは不在、孤高のミニバンとして確固たる地位を築きあげるか…と思われましたが、難解すぎる存在だったためか販売は伸び悩んでしまいました。
その結果、中古車市場でも存外にお買い得なクルマになってしまいましたが、だからこそ今がエディックスの買い時だとも言えます。
唯一無二の魅力を理解した上で、ぜひ検討していただきたいおすすめの一台です。
エディックスの新車時価格は、179万~235万円ほどでしたが、現在の中古平均価格は36.3万円です。
中古エディックスは20万円~40万円ほどの価格帯に集中しており、19万円台の車体も存在しています。
まとめ
《画像提供:Response》
紹介した5車種はいかがでしたか。
どうしても人気モデルの多いトヨタから外れていたり、後継のない車種ですが、だからこそ「穴場」感が高くお買い得な値段で楽しむことが可能です。
意外なメーカーが魅力的なミニバンを販売していたり、販売ランキング上位の車種でなくとも実際に使ってみると思った以上に気に入ってしまったりすることは珍しくありません。
これ以外にも隠れた穴場のような車種は実在するので、希望に合う車種を探してみてください。