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走行距離課税(走行税)はいつから実施?仕組みや海外で導入している内容についても解説!

走行距離課税(走行税)はいつから実施?仕組みや海外で導入している内容についても解説!

毎年5月になると送られてくる自動車税の納付書。家計の出費が増え、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。そんな自動車税に、「走行距離課税(走行税)」という新しい税制が導入される可能性があると話題になっています。ネット上では、「誰が言い出したのか」「いつから始まるのか」「また出費が増える」など、新しい税制が導入されるかもしれないことについて、不安の声も多いようです。今回は「走行距離課税」について、いま分かっていることや今後の見通しについて解説します。

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走行距離課税(走行税)とは?

走行距離課税(走行税)とは、車の走行距離に応じて税額が決まるものです。

自動車税は、車の排気量に応じて課税されます。しかし近年、電気自動車や燃料電池車、ハイブリッド車のような排気量の小さい車が売上を伸ばしています。こうした「エコカー」は燃費が良く、ガソリン税による税収もかつてほど望めない傾向にあります。

また、カーシェアリングの普及により、自動車保有台数が減少傾向にあることもあり、従来の課税方法では今後の税収の確保が難しい状況です。

このような状況をふまえ、政府は車が走行した距離に応じて課税する「走行距離課税」の導入を検討し始めました。この制度が実現すれば、自動車の排気量やエコカー、二輪車などに関係なく、走行距離に応じた一律の課税が行われる可能性があります。

走行距離課税(走行税)の仕組み

気になるのは、税額を決定する車の走行距離がどのように測定されるのか、という点です。

日本に先行して走行距離課税を導入している諸外国では、GPSやオドメーターを使って測定した走行距離をもとに課税を行う取り組みが実施されています。

一方、日本にあてはめて考えた場合、まずGPSが付いたカーナビやドライブレコーダーの設置が一律で義務付けられているわけではなく、これらを税額算出の基準とするのは難しい状況といえます。

また、累計走行距離が表示されている「オドメーター」は、車検のたびに確認され、車検証にもその数値が記載されますが、メーターを交換すれば実際の走行距離とは異なる数値の表示が簡単にできてしまのが実情です。

一部では、専門的な知識を持つ業者が、中古車の市場価値を高く偽るためにオドメーターの数値を改ざんするケースが昔から後を絶たず、不正を防ぐためにはしっかりとした対策を講じる必要があるでしょう。

走行距離課税(走行税)が検討されている理由

走行距離課税の根拠となるのは、車が走行すると道路が傷むため、その補修にかかるコストを車の走行距離に応じて負担し合うという受益者負担の考えです。

これまで、車の走行距離を国が一元的に管理することは困難だったため、かわりに燃料の消費量で車の使用頻度を計り、燃料を多く使う人ほど税を多く納めるという形で受益者負担を実現してきました。距離が延びるほど使用する燃料が増えるのはもちろん、燃費の悪い車は重量がかさむ車に多い傾向があり、すなわち路面に与えるダメージも大きいという論理です。

しかしながら、近年では燃費が良いハイブリッド車や、そもそも燃料を必要としない電気自動車などが増加し、将来的に燃料による税収を確保することが難しくなると予想されています。

そのため、ガソリン税に代わる税収として走行距離に応じた課税制度を導入し、財源を確保しようという試みが行われているのです。

走行距離課税(走行税)はいつから始まるか?

日本において、走行距離課税は以前から検討されてきましたが、現時点で明確な開始時期は示されていません。

ひとつの目安として有力視されているのが、2020年に政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」です。この取り組みでは、2035年までに新車販売される乗用車を、すべて電気自動車とする目標を掲げています。

ガソリン税に代わる税収の確保という観点から考えると、この目標達成時期と前後する2030年ごろに施行されるのではないかと言われていますが、現実的には、後述するようなさまざまな課題が残されており、解決にはまだ時間がかかることも予想されます。

走行距離課税(走行税)をすぐに導入できない問題

走行距離課税が導入された場合、単純に走行距離がかさめばかさむほど税額が上がります。そのため、物流業や運送業など、長距離移動が必要な業種では、コストの増加が避けられません。その結果、輸送費や運賃の上昇につながる可能性があります。

また、地方都市など、自動車への依存度が高い地域の住民に負担が集中することを懸念する声もあがっています。特に、ガソリン車を使用する立場からは、燃料税と走行距離課税の並行実施は、二重課税にあたるのではないかという指摘も。

そもそも、走行距離の把握をどのように行うのか、その方法にも課題があります。一個人の移動を記録するということになれば、プライバシーの保護やデータの管理方法について十分な検討が必要です。

このように走行距離課税の導入にあたっては、さまざまな面での課題が存在しています。

走行距離課税(走行税)を導入している国

諸外国の中には、走行距離に応じた課税制度をすでに導入している国があり、国によって課税方法や対象となる車種も様々です。それぞれどのような取り組みが行われているのでしょうか。

ニュージーランド

課税対象となるのは、軽油を使用するディーゼル車や大型車が対象。車種によって金額が約90種類に細かく分かれており、例えば、小型のバスであれば1,000kmごとに日本円換算で約5,000円課税されます。走行距離は1,000キロ単位で事前申告し、超過した場合はあらためて申告が必要な仕組みとなっています。

アメリカ(オレゴン州)

米国で有名なのが、オレゴン州の「OreGO(オレゴー)」です。走行距離はマイレージレポートデバイスという走行距離報告装置で集計され、1マイル(約1.6km)あたり1.9セント、課税されます。

ドイツ

ドイツでは、今後乗用車にも拡大予定ではあるものの、現時点では7.5トン以上の大型トラックに限定し走行距離課税が行われています。対象の車両にはGPS付きの専用車載器を設置し、課税額が算出される仕組みです。

フランス

フランスでは、3.5トン以上の重量貨物トラックを対象に、「エコタックス」と呼ばれる走行距離課税の導入が検討されていました。フランス国内で登録されている3.5トン以上のトラックにGPS車載器の搭載を義務付け、約4キロごとに課金するというものでした。しかし、主に運送業界からの反発が強く、実施か見送りかで議論が交わされた結果、廃案となりました。

まとめ

脱炭素社会の実現に向けて、世界各国が内燃機関を使用した自動車からの脱却を計る中、これまでのように燃料の使用量に応じた税負担の按分が難しくなってきました。走行距離課税は、ガソリン車や大排気量車に税の負担が集中し、エコカーが優遇されている現在の税制度を是正するための一つの解決策として生み出されたものです。

ただ一方で、一律に走行距離に応じた課税を行った場合、運送業・物流業のコスト増加や地方都市への負担増、ガソリン税との二重課税への懸念など、解決すべき課題が多く残されています。道路維持整備のための財源を安定して確保するために、実情に合わせた制度設計がどのように行われるのか、今後の動きに注目したいところです。

よくある質問

走行距離課税(走行税)は誰が言い出したのか?

走行距離課税(走行税)は以前から検討されてきた制度でしたが、昨今話題となるきっかけとなったのが、2022年10月に開催された参議院予算委員会における鈴木俊一財務大臣の答弁でした。また、同月に開催された「政府税制調査会」の第20回総会においても審議が行われました。

走行距離課税(走行税)のメリット・デメリット

走行距離課税(走行税)のメリットは、ガソリン車やハイブリッド車、電気自動車など内燃機関の種類に関係なく、道路の使用量に応じて負担の按分ができること。

ガソリンを使用しない電気自動車や使用量の少ないハイブリッド車の増加に伴い、安定した道路維持管理のための財源確保が根底の考えとして存在します。

しかしながら、運送業や物流業など長距離移動を必要とする事業者や、自動車への依存度が高い地方都市の生活への影響がデメリットとして懸念されており、導入を危惧する声も多く寄せられています。

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