ポルシェ初の市販EV車「タイカン」(ミッションE」)とは?
「ミッションE」は、2015年9月に開催されたフランクフルトモーターショー2015にて、ポルシェ初の4ドアEVスポーツとして発表されたコンセプトカーです。
同年12月にポルシェ本社より、正式に「ミッションE」の市販化が発表されています。
ミッションEは2018年6月に正式名称を「タイカン」とすることが発表されました。本記事では2018年6月までの発表前まではミッションEと記載します。
ドイツの高級スポーツカーメーカー、ポルシェが、同社初となるEV(電気自動車)を市販することが分かった。
これは12月4日、ポルシェのドイツ本社が明らかにしたもの。「同社の取締役会が、『ミッションE』プロジェクトの市販化を承認した」と発表している。
2016年7月にはドイツ・ツッフェンハウゼン本社とその周辺の開発、生産部門において1400名以上の新規雇用を行うと発表され、その後2018年2月には「ミッションE」の生産に備え本社工場を拡張する旨と、電動パワートレイン車の開発に向けた投資を、30億ユーロから60億ユーロ以上にすると発表し、EV車生産及び、「ミッションE」市販化に向けた動きがいよいよ佳境を迎えています。
ポルシェ取締役会のオリバー・ブルーメ会長は、「ポルシェは電動車への投資を、30億ユーロから60億ユーロ以上に倍増させる。これは、将来の重要な進路を決定するもの」と述べている。
現在開発中の「タイカン」(ミッションE)市販モデル。全容を時系列に紹介
本記事では現在わかっている「タイカン」(ミッションE)の情報を時系列に沿いお伝えします。
■フランクフルトモーターショー2015で「ミッション E」コンセプトカー初公開
「ミッションE」が初めて公開されたのは、2015年9月にドイツで開催されたフランクフルトモーターショー2015。
ポルシェ初の4ドアEVスポーツで、パワフルなEVパワートレインを載せた未来のスポーツカーを提案するコンセプトカーとして初公開されました。
初公開された同年の12月に、ポルシェ本社より正式に市販化する旨が発表されました。
■2017年 プロトタイプのテスト走行が頻繁に
その後、2017年に入ると「ミッションE」のプロトタイプと見られる車両のテスト走行が、複数回に渡りスクープされ話題を集めています。
2017年1月 スカンジナビアにて
この時点でのテスト車両は、ポルシェ「パナメーラ」にカモフラージュが施された車両でしたが、関係者の話から「ミッションE」のプロトタイプと判明。
2017年10月 ドイツ本社近辺にて複数台のテスト車両
同年の10月には、ポルシェの車両開発部がおかれるドイツ・ヴァイザッハにて、「ミッションE」開発車両の生産仕様ボディが複数台登場。
カモフラージュが多く施されているものの、この時点でデザインはかなり「ミッションE コンセプト」に近づいています。
ヘッドライトは「パナメーラ」、テールランプにはLEDストリップを隠し、ツインエキゾーストパイプをのぞかせています。
参考画像:ポルシェ「ミッションE」
2017年11月 ニュルにて走行テスト【動画】
その翌月となる2017年11月には、高速テストのためドイツ・ニュルブルクリンクに訪れ、EV性能のテストも行う姿が目撃されています。
11月時のテスト走行のラップタイムは、8分を記録。(ポルシェ市販車参考タイム:ポルシェ 911 GT3 RS(997) 7分42秒)
2017年12月 派生モデルの計画発表と2度目のニュル テスト走行
更に翌月となる2017年12月には「ミッションE」に派生モデルを計画しているとの発表もありました。
ポルシェは今回、このミッションEに派生モデルを計画していると発表。ポルシェによると、どのセグメントに派生EVを追加するべきか、調査しているという。
また、2度目のテスト走行をニュルブルクリンクで行いラップタイムを30秒縮め、7分30秒まで短縮しています。
2018年2月 スカンジナビアにて新型「911」と寒冷気候テスト
2018年2月初旬、摂氏マイナス20度にも及ぶスカンジナビア山間部にて、次期型となるポルシェ「911」と「ミッションE」が「カイエン」に見守られる中、寒冷気候テストを行う様子が捉えられています。
「This Road is Closed. For Privacy only! PORSCHE」(13:00~17:00)というパネルも見受けられ、一帯を封鎖し極秘テストが行われている様子がキャッチされています。
■2018年2月 生産体制の強化。EV車開発に向けた投資も倍額に。
更に同月、ポルシェは「ミッションE」の生産体制を整えるために、ドイツ・ツッフェンハウゼンの本社工場を拡大する予定であることを発表。
「ミッションE」の製造のために、塗装工場、専用の組み立てエリア、塗装済みボディとドライブユニットを最終組み立てエリアまで運ぶためのコンベアブリッジを建設し、現在あるエンジン工場は電動パワートレーンを製造するために拡張される予定とのことです。
この「ミッションE」の生産プロジェクトにおいて、約1200名の新規雇用を創出するとしています。
また、EV車の開発に投資する金額を当初の30億ユーロから、倍となる60億ユーロ以上とする発表もされています。
※60億ユーロ=日本円で約8000億円(2018/2/9時点)
■2018年3月 プロトタイプの画像を公開
2018年3月末、同社はいままでスクープ撮影されていたポルシェEVのプロトタイプ画像を公開した。
■2018年6月 「ミッションE」の名前が「タイカン」に決定
2018年6月8日、ポルシェはこれまで「ミッションE」としてきたポルシェ初の量産EVスポーツカーの正式名称を「タイカン」と名付けることに決定しました。
■2018年7月 さらにプロトタイプの画像が公開
2018年7月30日、ポルシェは南アフリカ共和国で耐暑テストを行う「タイカン」のプロトタイプの画像を公開しました。
ポルシェ「ミッションE」予測されている基本スペック
現在明らかになっている「タイカン」(ミッションE)の基本スペックは以下のとおりです。
■EV専用「J1」プラットフォームを採用。
■2基のモーターを装着。
パワートレインには、ル・マン24時間レースで優勝した「919ハイブリッド」と同型の永久磁石同期モーター(PMSM)2基を搭載し、最高出力600ps、0-100km/h加速3.5秒、0-200km/h加速11秒台のハイパフォーマンスを発揮。
現在販売中のテスラ・モデルSは0~100km/h加速が2.7秒であることから、加速性能もまだまだ改善される可能性も。
■リチウムイオンバッテリーを搭載し、15分で80%程度、20分で100%の充電が可能。
インダクティブ充電(非接触充電)が可能で、例えば床に充電設備を埋め込むことで、駐車するだけで充電が可能になるようです。
■フル充電での航続距離は530km以上
■従来のEV車の2倍である800Vの電池システムを採用
通常のEV車は400Vですが、その2倍の電池システムを採用予定。
■トルクベクタリングにより、4輪に最適な駆動力を配分
エクステリア
フロントは918スパイダーを彷彿とさせるデザインに、盛り上がるフェンダーは911にも似ているとポルシェはコメント。
前後ともに観音開きのドアを使用しており、未来的なデザインに。
インテリア
ドライバーの目線を認識するアイトラッキングシステムを備えたメーターパネルは、ドライバーの目線に合わせて表示を自動調整。ドライビング中の感情なども読み取り、メーターに表示することで安全な運転へ導いてくれる。
シートは全席が2分割式の軽量シートになっており、体を支えてくれます。
ポルシェ「タイカン」(ミッションE)はいつ発売予定?
ポルシェ「タイカン」(ミッションE)の販売は2019年〜2020年を目処に開発がされています。
しかし、今後の開発状況によって変動することもありえるでしょう。
まとめ
ポルシェ初の市販EVスポーツカー「タイカン」(ミッションE)についての情報をまとめて掲載させて頂きました。
各メーカーが技術を合わせて達成しようとしている先進的な取り組みには胸が高鳴りますね。
新しい情報が入り次第、随時更新してお届けしていく予定なので、お楽しみに。