三菱 デリカスペースギアとは
三菱 デリカスペースギア
英語に訳すると「車内空間の活用性に富んだ車」という意味をそのまま形にしたような車両「デリカスペースギア」は、デリカスターワゴンの後継モデルとして、2代目パジェロをベースに開発されました。
現在のミニバンというジャンルを切り開いたパイオニアであり、パジェロ譲りの4WDシステム、スーパーセレクト4WDや足回りが搭載され、アウトドア派には特に、他のトールワゴンよりも一目置かれる存在となりました。
1994年5月12日にデリカカーゴと同時発売されてから、翌年2月にはジャスパーを発売。同年5月にはグリーンフィールドが発売された経緯から、特にオートキャンプなどのフィールドレジャーを意識して仕様を採用していたことがわかります。
1997年6月にはマイナーチェンジが行われ、4WD車では特徴的なグリルガード風のアクセサリーがなくなり、フォグランプの装着位置が変更になりました。4WDの後部座席への乗り降りがしづらいという声の多さから、電動ステップを採用しています。
AT車全車はファジィ電子制御のINVECS-Ⅱに進化。4WDのガソリン車はV6-3.0Lガソリンに集約し2.8Lインタークーラーターボディーゼルは燃料噴射電子制御化して140馬力にパワーアップしました。
国産販売は2007年1月で終了となりますが、それまでに、特別仕様車の販売やエアロなど一部改良もありましたが、約13年にわたったモデルライフは国産乗用車としては異例の長寿モデルとなりました。
■デリカスペースギアのスペック
三菱 デリカスペースギア
1BOXワゴンの優れたスペースユーティリティと、パジェロ譲りの本格4WDの走りをもつ、1BOXオフローダー三菱デリカスペースギア。5ナンバーサイズボディ(ハイルーフ仕様は全高2m強)に7/8人乗をランアップしています。
シートレイアウトは前から2-2-3もしくは2-3-3となっていて、人気グレードのシャモニーはバリエーションが、ベーシックなエアロルーフと2mを超えるハイルーフ、エアロルーフにはツインサンルーフを装着可能しています。
搭載エンジンは185馬力の3L V型6気筒SOHCの1ユニット。組み合わされるミッションは、コラムシフト式INVECS-Ⅱ4速ATMが用意されました。
前輪より前にエンジンを配置するためフロアはフラットで、コラムシフトにより前後とサイドのウォークスルーが可能となりました。
駆動方式は4H(フルタイム4WD)走行モードに加えて、悪路を走行するための4WDから経済的な2WD走行モードまで4つの走行モードが選べるスーパーセレクト4WDとなっています。
■デリカスペースギアのカタログ
三菱 デリカスペースギア
1994年5月から発売され、2007年まで長きにわたるデリカスペースギアの歴史を飾る車たちはフルモデルチェンジを1回、マイナーチェンジに至っては9回にも及びます。
その中でも2007年2月まで発売された3.0アクティブフィールドエディションSEクリスタルライトルーフ4WD ATのカタログ情報を紹介します。
・新車時価格(税込み):339.1万円
・型式:GH-PD6
・ボディタイプ:ミニバン
・ハンドル位置:右ハンドル
・排気量:2972cc
・最高出力/回転数:136kw(185PS)5500rpm
・最大トルク:265N・m(27.00kgf・m)4500rpm
・エンジン型式:6G72
・エンジン区分:ガソリン
・エンジン種類:V型6気筒 SOHC
・燃料:レギュラー
・燃料供給装置:電子制御式
・燃料タンク容量:75L
・ナンバーサイズ:3
・全長×全幅×全高:4685×1695×2060(mm)
・室内全長×室内全幅×室内全高:2850×1575×1275(mm)
・ホイールベース:2800(mm)
・最低地上高:190(mm)
・車両重量:2040(kg)
・乗車定員:7名
・ドア数:4枚
・ギア方式:パワーアシスト付ラック&ピニオン式
・パワーステアリング:標準
・サスペンション(前):ダブルウィッシュボーン
・サスペンション(後):5リンク式
・駆動方式:4WD
・ミッション:コラム4AT
・ブレーキ(前):Vディスク式
・ブレーキ(後):ディスク式
■デリカスペースギアのタイヤサイズ
三菱 デリカスペースギア
デリカスペースギアの標準装着されているタイヤサイズは次の通りです。
・フロント
タイヤサイズ:225/80R15
タイヤ幅:225㎜
扁平率:80%
ホイール径:15インチ
タイヤ外径:741㎜
・リヤ
タイヤサイズ:225/80R15
タイヤ幅:225㎜
扁平率:80%
ホイール径:15インチ
タイヤ外径:741㎜
■デリカスペースギアの燃費
デリカスペースギアのモデル別カタログ燃費と、実燃費を比較してみたいと思います。
・シャモニー ハイルーフ 4WD(AT3.0 8人乗 ガソリン)
カタログ値:7.7km/L
平均実燃費:5.7km/L
・シャモニー ハイルーフ 4WD(AT3.0 7人乗 ガソリン)
カタログ値:7.7km/L
平均実燃費:5.5km/L
・アクティブフィールドエディション ハイルーフ 4WD(AT3.0 8人乗 ガソリン)
カタログ値:7.7km/L
平均実燃費:5.8km/L
・アクティブフィールドエディション ハイルーフ 4WD(AT3.0 7人乗 ガソリン)
カタログ値:7.7km/L
平均実燃費:5.8km/L
カタログ値と、平均実燃費を比較すると約2km/Lの差が出ていますが、街乗りですと、5~6km/L、高速遠出で、低燃費走行をする場合は10km/Lが平均値となります。
三菱 デリカスペースギアの評価は?
1番評価すべきポイントは積載性能です。ミニバンの中でも車内空間の広さではトップクラスです。
また、雪の日でも悪路でも気にならないタフさを推す人もいるのですが、加速の悪さ、燃費の悪さを感じる人もいるのが、デリカスペースギアの評価が伸びなかった点になってしまっています。
しかし、スペースギアを愛車にした方は、乗りつぶして後もスペースギアに乗りたいという点から、三菱にもう一度スペースギアを生産してほしいという声も上がっているのが、評価として現れているのかもしれません。
デリカスペースギア 故障は?
デリカスペースギアが登場して25年が経過しました。長年、乗り続けていると愛車も不調が出てきます。特に次の様な部品は比較的故障が多いと言われているので、注意が必要です
・オートステップ
スライドドア部分にあるオートステップの動作がだんだんと遅くなり、警告音が出ることもあるようです。センサースイッチの交換が必要です。
・グロープラグ
エンジンの調子が悪いことから修理に出すと見つかるのが、グロープラグの不具合が発見されることが多いようです。
・ODスイッチ
ODスイッチの不良を放置すると、変速に問題が出てきます。放置することでシフトノブごとの交換が必要となってきます。
・ISCVバルブ
アイドリングの際の回転数を制御する部品ですが、この部品が故障することでエンジンが止まってしまいます。
・燃料噴射ポンプのリコール
燃料噴射ポンプの進角制御レバーに亀裂が生じた物が発覚されました。そのまま使用するとエンジン回転数が上昇する可能性があるので、対策品と交換が必要です。
・テールゲートガススプリングのリコール
テールゲートストッパーのブラケットの成型方法が不適切だったため、強度が不足している部分があります。そのため部品を対策品と交換する必要があります。
デリカスペースギアディーゼル
デリカスペースギアは、パジェロのフレームを使っていますので、普通のキャブオーバーワゴンやミニバンとは一線を画すボディがセールスポイントと言えるでしょう。
しかし、ボディは重たく4WDモデルですと、車体重量は2tを超えることになり、それ相応のパワーとトルクが必要となってきます。そえゆえに、エンジンは排気量が大きい物となり、ガソリンエンジンは2.4Lと3.0Lがディーゼルエンジンは2.5Lと2.8Lが搭載されたのです。
大きく重いボディの関係から、ガソリンエンジンだと燃費が悪化することもあり、経済性の高いディーゼルエンジンの人気が高くなりました。
また、ディーゼルエンジンはインタークーラーターボの採用で低回転域から強大なトルクを発揮しますので、重く大きなデリカスペースギアとの相性も抜群なのです。
デリカスペースギアのカスタム
デリカスペースギアのカスタムと言えば、4WD車をよりワイルドにカスタムするリフトアップが人気です。また、アウトドア派に人気のスペースギアは、ロングを購入し車中泊できるようなカスタムも人気となっています。
■リフトアップするとよりワイルドに
リフトアップ用のサスペンションスプリングやショックアブソーバーに交換することで車高を上げる方法のほか、デリカスペースギアやベースのパジェロのようにラダーフレームの車は、フレームと車体の間にあるマウントを交換することで全高を上げることもできます。
■ロングは車中泊におすすめ
シートを倒してフラットにすることもできるスペースギアですが、徹底的に車中泊を楽しみたいのなら、ホームセンターなどで売っているイレクターを使用し、土台を作成。足場の上にベッドマットを使用し、フラットな床面を作ります。その上に、布団などを敷詰めることで、車中泊のできるスペースギアが仕上がります。
中古の相場は
販売期間が長かったことや、カスタムの関係もあり価格帯は19.8万円~460万円と大きな開きがあります。平均価格は59.5万円となりますが、平均年式は2001年の車両が多く出回っています。また、平均走行距離が115000kmとなることから、200000km走行している車両もあります。
※2019年5月現在
まとめ
デリカスターワゴンの後継モデルとして発売されたデリカスペースギアはその特性から、長きにわたり愛され続けています。
アウトドア派のみならず、雪国での活躍もタフなボディと積載性能、それに相性の合うエンジンで売り出したデリカスペースギアは三菱のお家芸を搭載した車となっています。