■最近はかなり改善されている
ダイハツ ハイゼットカーゴ エンジンルーム
そんな状況ですから低燃費に特化した最新のエンジンではなく、実績があって信頼性は高いものの旧型のエンジンを使用するのが定番だったのです。
また、コストをかけられないという事も、古いエンジンとミッションを使っていた大きな要因であることも事実です。
ホンダ N-VANのエンジンルーム
個人事業主がほとんどの宅配業者にとって、燃料代は死活問題です。年間3万㎞近く走ることも珍しくないので、燃費が良くなることは長年の夢と言っても過言ではありません。そしてようやく、軽バンも新しいエンジンとミッションが搭載され、一頃よりずいぶんと燃費が良くなりました。では3車種の燃費を中心に調べてみましょう。
■ハイゼットカーゴ
ダイハツ ハイゼットカーゴ
現行モデルの「ハイゼットカーゴ」が発売されたのは、2014年ですからもう15年もたっています。それでも最新型のライバルと変わらぬ実力を発揮できているのは度重なる改良の成果と言えます。その代わり要は、基本構造は変えずにエンジン、ミッション、足回り、そして居住部分にいたるまで、デビュー当時とは別物と言ってもいいくらいです。
現行モデルは、2010年にはオートマが4速化され燃費が向上、その後乗用車にも採用される「e:Sテクノロジー」を導入。2015年4月の改良では、AT車は電子制御式4ATを採用し、全車に電子制御スロットルを採用したことで燃費を向上し、2017年11月に大幅改良され、アイドリングストップシステム「eco IDLE」を採用されるなど、AT車では「エブリイ」を上回る燃費となっています。
ハイゼットカーゴ JC08モード燃費
ハイゼットカーゴ2WD :5M車17.8㎞/L 4AT車17.8㎞/L
■エブリイ
スズキ エブリイ
015年2月に約9年半ぶりにフルモデルチェンジされた「エブリイ」は、吸気側にVVTを搭載したR06A型に置き換えられ、ミッションはNA車は従来の3ATに替わり、5MTをベースにクラッチとシフト操作を自動化したAMTオートギアシフト(5AGS)車を新たに設定しました。2017年5月には4AT車を追加設定しています。
特徴となるAMTオートギアシフト(5AGS)は、5MTをベースに、クラッチおよびシフト操作を自動化され、電子制御によって優れた燃費性能、MTベースの力強い走破性、ギヤ比の最適化による高い登坂性能、高速走行時の高い静粛性を実現させています。乗用車には変速ショックなどの点で不向きとされていますが、軽バンにとってはAT車よりもトルクがダイレクトに伝わるなど、メリットの多い機構となっています。
エブリイ JC08モード燃費
エブリイ2WD :5MT車19.0㎞/L 4AT車17.0㎞/L 5AGS車19.4㎞/L
■N-VAN
ホンダN-VAN
エンジンは「N-BOX」と共通の「S07B」型を、商用車特有の積載負荷や使われ方に配慮して最適化して搭載。
ミッションはホンダの商用車では初採用となるCVTを全タイプに設定し、NAエンジン車にはS660用をベースに改良した6速マニュアルを軽商用車で初採用されています。
アイドリングストップシステム、ECONモードを搭載するなど乗用車同等の燃費性能を誇り、ターボ車であっても23.6㎞/L(NA車は23.8㎞/L)とNA車と変わらぬ低燃費も特徴となっています。
N-VAN JC08モード燃費
N-VAN2WD : 6MT車18.6㎞/L CVT車23.8㎞/L
【軽バン3車種比較】 ハイゼットカーゴ エブリイ N-VAN 安全装備の比較
スズキ エブリイ
コストの問題からどうしても後回しになりがちな軽バンの安全装備ですが、一日中運転する軽バンこそ安全装備は必要なのです。
初めての家を探しながら運転する宅配ドライバーなどは(最近はカーナビのおかげで少しは楽になりました…?)、わき見運転もしがちですし、疲労困憊していることでヒヤリとすることもあるかもしれません。
そんな時助けてくれる、緊急ブレーキを初めとした安全装備は必須です。特に最近はプロドライバーの高齢化も進んでいるのでなおさら急務と言えます。
■ハイゼットカーゴ
スマアシⅢ ステレオカメラ
ハイゼットカーゴに設定される衝突回避支援システム「スマートアシストIII」には、ソナーセンサーに加えステレオカメラを採用し、軽商用車初の歩行者も認識して作動する機能を採用。運転中の「ヒヤッ」とするシーンで事故の回避の支援や被害の軽減を図っています。また、リアコーナーセンサー、エマージェンシーストップシグナル、VSC&TRCも同時に装備されます。
■エブリイ
スズキ エブリイ
エブリイは、そして2019年6月の仕様変更によって、衝突被害軽減ブレーキを夜間歩行者の検知にも対応したステレオカメラ方式の「デュアルカメラブレーキサポート」に変更し、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストを追加。さらに、リアパーキングセンサーと軽キャブバン/ワゴンでは初採用となる「後退時ブレーキサポート」も追加され、誤発進抑制機能が後方にも対応しました。
■N-VAN
ホンダセンシング作動イメージ
「N-VAN」には、「N-BOX」などホンダ製乗用車の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全タイプに標準装備としたことがポイントです。「ホンダセンシング」には、衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能は全タイプに備わるほか、CVT車のみに、誤発進抑制機能、ACC、LKAS、後方誤発進抑制機能の各機能が加わります。
【元宅配員が選ぶ】仕事に使える軽バンはこれ!
スズキ エブリイ
軽貨物運送の経験者として、今回の「エブリイ」「ハイゼットバン」「N-VAN」の中からどれを選ぶかというと、どんな荷物にも対応できるという点から「エブリイ」か「ハイゼットバン」のキャブオーバータイプでしょう。
その中でもわずかですがクラストップの荷室を誇り、5AGSが魅力の「エブリイ」を私なら選びたいと思います。
ただし、荷物量が少なかったりに姿が決まっている仕事の場合なら、運転間隔が乗用車と同じで疲労が少なそうな「N-VAN」が浮上してきます。
ただし、最終的には価格が決め手になるので、やはり「N-VAN」は無理かもしれません。軽バンの理想形は、広い荷室と経済性、そして安全性能に加えてリーズナブルであることが求められるからです。
メーカー希望小売価格(消費税込み)
ダイハツハイゼットカーゴ:951,500円~
スズキエブリイ:968,000円~
ホンダN-VAN :1,291,400円~
■【おまけ】そうか!「N-VAN」は仕事+アルファで利用されてたんだ!
ホンダN-VAN
最後になりますが、「N-VAN」は仕事にあまり使えないなら、なぜ売れているのでしょうか?つまり、レジャーや趣味に多くの資材を載せる必要のある人。
あるいは仕事は仕事でも運送そのものではなくて、商店の配達用など少量の荷物である場合や、営業ツールを載せる場合、そして乗用と兼用で時間のある時に様々な配達をするといったキャブオーバーバンとは異なる使い方でしょう。
そのような用途にはキャブオーバーバンも乗用車も使いにくくても、「N-VAN」なら最適なのです。
まとめ
日本の物流のラストワンマイルを担っている軽バンは、今日もあなたの生活を豊かにする為に24時間働いています。
そのプロドライバーが選ぶ軽バンは、どれも機能性バツグンで使いやすく、最新技術とアイデアが満載です。
街で見かけたらその違いを観察してみましょう。
でも、仕事のジャマにならないようにして下さいね!