水を燃料として走るバイク
■1リッターの水で500km走る!?エコなバイク T Power H20
参考動画
まず最初に紹介するのは水を燃料として走るオートバイです。T Power H20という名称のついたオフロードバイクになります。
サンパウロ在住のRicardo Azevedo氏が発明したオートバイで、なんと1リッターの水で航続距離500kmという驚異的な性能を誇ります。
自動車メーカーから販売されている電気自動車をも超えるこの発明心溢れるオートバイの仕組みですが、水の電気分解の仕組みを用いて水分子から水素を取り除くというものです。この一連のプロセスによってエンジンの燃焼工程に必要なエネルギーが生まれ、オートバイを動かします。
水を燃料としているため、燃焼工程を経て排気されるのは水蒸気のみです。環境負荷の大きい排気ガスが出てこないため、エコロジーなものとなっています。
排出ガスが出てこないという面では電気自動車も同じですが、それと比べてT Power H20は水とバッテリーを用いて燃焼に必要なエネルギーを自ら生み出しているので、真のエコな乗り物といっても言い過ぎではないでしょう。
マツダが開発した水素ロータリーエンジン
■水素ロータリーエンジンとは?
RX-8 ハイドロジェンRE
水素ロータリーエンジンは水素を燃料に使うことができるロータリーエンジンです。当然、マツダ車独自のロータリーエンジンが使われています。このエンジンを初めて搭載した車種がRX-8 ハイドロジェンREです。2004年に発表され、当時は大きな話題を読んだことを覚えている人も幾人かいるのではないでしょうか。
水素ロータリーエンジンのメリットの1つはすでにあるロータリーエンジンを用いているため開発にかかるコストを抑えることができる点です。既存の部品を使っているので、その分コストが軽減されます。
もう1つはデュアルフューエルシステムを採用することによる使い勝手の良さです。水素燃料とガソリンの両方を燃料として使用することができるので、長距離移動で水素が足りなくなったときや近くに水素ステーションがない場合でも燃料切れにならずに走行を続けることができます。水素燃料とガソリン燃料の切り替えはボタン1つ押すだけなど、効率が良いです。
■水素ロータリーエンジンの構造
水素ロータリーエンジンでは電子制御ガスインジェクター方式直噴が採用されています。ここから水素が噴射されるのです。
噴射された水素は吸気室にあるわけですが、燃焼室内部にあるローターが回転することによって噴射された水素は燃焼室へと移動します。燃焼室でプラグが点火して燃焼が発生、それによって動力が生まれるのです。
レシプロエンジンでもよく見かけるようになった直噴エンジン、ロータリーエンジンでは構造的にインジェクター関係のレイアウトに融通が効くことのことで、高出力化を狙って直噴化したのがその理由となっています。
先ほど説明したように吸気室と燃焼室が異なるということも水素ロータリーエンジンの重要箇所なのです。吸気室は燃焼室と比べて温度が低く、バックファイアと呼ばれる(高音部に触れた水素が着火すること)現象を防ぐことができます。
吸気・圧縮・燃焼・排気が全て同じシリンダーで為されるレシプロエンジンでは難しい一方、吸気室と燃焼室が分けられているロータリーだからこそ実現できたとも言えるでしょう。
■水素ロータリーの開発は凍結中
しかしながら、水素ロータリーエンジンの開発は現在凍結されています。その理由として挙げられているのがインフラで、水素ロータリーエンジンが普及するために必要となるインフラの整備や水素ガスの供給などが間に合っていないのです。
しかし、すでに存在していたロータリーエンジンを活かして水素で走るエンジンを生み出した点や、ロータリーエンジン特有のフィーリングを感じることができるなど、水素ロータリーエンジンは車好きなら期待に胸躍らすこと間違いなしのエンジンでしょう。
■【参考】水素ロータリーエンジンを搭載する車
マツダ プレマシー・ハイドロジェンREハイブリッド
水素ロータリーエンジン搭載車であるRX-8 ハイドロジェンREの次に開発されたのがプレマシー ハイドロジェンREハイブリッドです。
プレマシー ハイドロジェンREハイブリッドはデュアルフューエルシステムを継承しつつも、RX-8 ハイドロジェンREにはなかったハイブリッドシステムが新たに採用されています。
駆動ユニット出力の40%向上や、水素の燃焼エネルギーを電気エネルギーへと変換させてモーターを駆動させ、結果的に航続距離200kmを達成したのです。
この他、ゼロエミッションモデルとしてプラグイン化や高電圧バッテリーの大容量化が為されたプレマシーハイドロジェンREレンジエクステンダーEVというモデルもあります。
まとめ
RX-8 ハイドロジェンRE
水と電気で走るオートバイのT Power H20とマツダの水素ロータリーエンジンを紹介しました。
水と電気で走るオートバイは1リッターで500kmも走ることができるので魅力的ですし、水素ロータリーエンジンは開発が凍結中であるとしても車好きやロータリーエンジンファンなら魅了されることでしょう。
電気自動車が普及して将来的にエンジン搭載車両がなくなってしまうと考えるのは、まだまだ時期尚早かもしれません。