トヨタのMR-Sの基本情報
■MR-Sってどんな車?
トヨタ MR-S
トヨタ MR-S(エムアールエス)はトヨタ自動車(正確にはセントラル自動車)が1999年10月から2007年7月にかけて生産・販売していた2ドアクーペの自動車です。名前から想像することができる通り、MR-2の後継モデルに該当する車両になります。
MR-Sの良いところとして、2シーター(2人乗り)でクーペ、後輪駆動でなおかつエンジンを運転席・助手席の後方に配置するミッドシップ(MR車)であること、約1トン(1,000kg)を下回る軽量ボディにスポーツカーらしいローワイドなボディフォルムなどが挙げられます。
さらにはソフトトップタイプのオープンカーでもあるなど、高級スポーツカーの特徴的な部分をぎゅっと集めて形にしたスポーツカーです。
■MR-Sの外装
トヨタ MR-S
初代モデルが1999年に登場していますが、2020年となった現代の視点から見ても、色あせない、時代を感じさせないスタイリッシュなデザインです。
ボディサイズは5ナンバーに収まるほどのサイズですが、ロー&ワイドな雰囲気を感じられます。と言いながらも、ボディ幅の割に全長が長く感じられることも。
オープンカーということもあり開放的なイメージはスポーツカーの中でもトップレベルと言えるでしょう。
フロントのオーバーハングは長いですし、反対にリアのオーバーハングはそれと比べても明らかに短いです。この点は結構、好みが分かれるところではないでしょうか。
■MR-Sの内装
内装はスポーツカーらしいものとなっています。
立体感のある各種メーター類や本革巻き3本スポーツホイールステアリング、アルミホイールやアルミペダルなどを採用、幌を外してオープンで走っても恥ずかしくないデザインです。
SMTのシフトレバーは、フェラーリF355を思い浮かばせそうなメッキ仕様となっています。
■MR-S スペック
MR-Sのスペックをまとめると以下の通りです。
駆動方式 | MR | |
---|---|---|
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,885mm×1,695mm×1,235mm | |
ホイールベース | 2,450mm | 室内寸法(長さ×幅×高さ) | 895mm×1,350mm×1,055mm |
車両重量 | 960~970㎏ | |
最大乗車定員 | 2名 | |
燃費 | 14.2km/L(10・15モード) | |
最小回転半径 | 5.0m | |
総排気量 | 1,794cc | |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHCエンジン | |
最高出力 | 103kW (140PS)/ 6,400rpm | |
最大トルク | 171N・m (17.4kg・m)/ 4,400rpm | |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
燃料タンク容量 | 48L | |
サスペンション(前/後) | マクファーソン・ストラット式コイルスプリング | |
ブレーキ(前/後) | ベンチレーテッドディスク |
当メディアの姉妹サイトであるe燃費にMR-Sの実燃費データがありましたのでそちらをチェックすると、5MTモデルで12.16km/L、シーケンシャル・マニュアル・トランスミッション(SMT)モデルで13.58km/Lとなっています。
カタログ値から1−2km/Lほど低い数値で、燃費達成率は結構高い部類ではないでしょうか。
■販売当時の価格帯
トヨタ MR-S
MR-Sの販売当時価格をまとめると、以下の通りです。2シータークーペでミッドシップのオープンカーが200万円を切る車両価格となっている点は、とても驚かされるものではないでしょうか。
【発売当時の新車価格(消費税抜き)】
B EDITION : 1,680,000円
通常グレード : 1,880,000円
S EDITION : 1,980,000円
※1999年10月発売モデルのビスタ店用カタログをもとに作成
最終型の新車価格は、次の通りです。
【発売当時の新車価格(消費税抜き)】
通常グレード:1,980,000〜2,055,000円
S EDITION:2,030,000〜2,1,05,000円
V EDITION:2,180,000〜2,255,000円
※2005年12月一部改良モデルのカタログをもとに作成
■MR-Sは人気がなかったの?生産終了の理由とは?
スポーツカーとして十分な運動性能を持ち、200万円以下と非常にお求めやすい価格帯、そして国産車でMRをお手軽に味わうことができるという贅沢感など、優秀なスポーツカーと言うにふさわしいMR-Sですが、大きな人気を博した1台とはなりませんでした。
これは世間一般的に言われていることで、中古車市場の価格帯を見ても明らかです。
MR-Sが人気車種とならなかった理由として、デザイン性の問題、そしてMR-2と比べた時の運動性能の物足りなさ、これら2つの理由を挙げることができます。
一目見てスポーツカーだなと分かるフォルムはOKですが、よく見るとボッテリ感が否めないこともありますし、横から見た時のお弁当箱みたいな四角っぽいフォルムは、結構好みが分かれそうです。
また、すでに述べたようにオーバーハングが短いのでそれによる物足りなさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
個人的な意見ですが、筆者としては前後オーバーハングの不均等な感じが一興だとは思うのですが。
■MR-SとMR-2と比較!
参考:MR-2
トヨタ MR2 2代目
上述したように、MR-SはMR-2の後継モデルにあたる車両です。つまり、絶対的にMR-Sが良いスポーツカーであったとしても、必ずMR-2と比較されることとなります。時代背景ももちろん関係しますが、MR-2ほどスポーツカーとしての魅力をあまり感じられなかった、という指摘は一理あります。そこで先代のMR2のスペックをまとめると、次の通りです。
低い車高に低重心でスポーティーな外見、サスペンションも4独(サスペンション前後ともに独立懸架式であること)、ブレーキは前後共にディスクブレーキが採用され、エンジンは高スペックとまでは言わないけれども1トンを切る軽量な車両重量などはMR-Sの絶対的な主な魅力です。問題は、先代のMR-2と比べてどうなのか、ということになります。
MR2のスペックは以下のようになっています。
駆動方式 | MR | |
---|---|---|
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,170mm×1,695mm×1,235mm | |
ホイールベース | 2,400mm | 室内寸法(長さ×幅×高さ) | 940mm×1,420mm×1,030mm |
車両重量 | 1,210〜1,380㎏ | |
最大乗車定員 | 2名 | |
燃費 | 10.6〜11.2km/L(10・15モード) | |
最小回転半径 | 4.9m | |
総排気量 | 1,998cc | |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHCエンジン(NAとターボの2種類) | |
最高出力 | ガソリン:200PS/ 7,000rpm、ターボ:245PS/6,000 | |
最大トルク | NA:21kg・m/ 6,000rpm、ターボ:31.0kg・m/4,000 | |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | |
燃料タンク容量 | 54L | |
サスペンション(前/後) | マクファーソン・ストラット式コイルスプリング | |
ブレーキ(前/後) | ベンチレーテッドディスク |
MR2のスペックとMR-Sのスペックを比較して気がつくように、MR2のエンジンスペックはMR-Sよりも優れたものになっていることがわかります。
MR2にはNAエンジンモデルとターボエンジンモデルの2つが用意されているなど、NAエンジンで高回転まで回したいユーザーとターボエンジンでパワフルな走りを味わいたいユーザーの両方が選択肢となり得るラインアップとなっていたのです。エンジンを比較しても、MR2とMR-Sの方向性は違うことがわかります。
車両重量は1,210〜1,380㎏と1トンを超えていてMR-Sよりも重たいです。NAエンジン搭載モデル同士でパワーウェイトレシオを比較すると以下の通り。
MR2:1,210kg ÷ 200PS = 6.05kg/PS
MR-S:960 ÷ 140PS = 6.85kg/PS
このことからわかるように、加速性能という面でもMR2がMR-Sより優れているという計算になります。MR-Sのほうが軽量であるためブレーキ性能は期待ができるとしても、MR-2のエンジンと比較して感じられるスペックの物足りなさは否めません。
MR2について詳しく知りたい方はこちら
■ヒットしなかった理由は、エクステリアデザイン?
ボディデザインの問題も考えられます。MR2とMR-Sのボディデザインは、写真をご覧いただくとわかる通りで、かなり方向性の異なるものとなっています。
MR2のボディデザインは全体的に丸みがあり、今では絶滅したリトラクタブルライトが採用されていますし、何よりも直感的にカッコいいと思わせる魅力があります。
MR-SはMR2の後継モデルとして発売されていたことを前提とすると、MR-Sに為された外観の大きな変化があまり受け入れられなかったのではないでしょうか。
■試乗記・口コミ
e燃費サイトにMR-Sのレビューがありますので、紹介したいと思います。故障することが多いけれども街乗りでも便利なSMTや、売りである軽い車両重量で加速も気持ち良いなど、ワインディングで使い切ることのできるパワーが強みであることがわかります。
シーケンシャルマニュアルトランスミッションとは
F1マシンのようにハンドルのボタンでギヤを上げ下げできるミッションです。
私のも2002年式のSMTです。
MR-SのSMTには停止時に自動的に1速に戻ってくれるし、
低速度では自動的に2速に変わります。これは非常に便利です。
基本はギアを上げるも下げるも自分の意志で、自分の操作で行います。
クラッチが無いことで渋滞時なんかも楽ちんです。
ただし、SMTはトラブルもありますので良く確認しましょう。
MR-Sの走りはどうなの?
一言で言うと、誰でも扱えるおもちゃです。
ライトウェイトスポーツの魅力を感じさせるのが、加減速を繰り返す走行の時。
走り慣れたコーナーの多い道に行き、全開にしてみます。
すると実用エンジンの割りに思ったより加速感いいです。
自動クラッチのセミマニュアルのタイプですが軽いショックと共に
100㎞くらいまではストレスなく加速します。ホント軽いってすばらしい。
MR-Sのハンドリングはノーズがロールしないし、ヨーの立ち上がりも早い。ブレーキの安定感も高い。
低速域では比較的安定しているけど、高速域ではスッとリアが流れることもあります。
ですからヘアピンカーブが連続するようなワインディングロードなんかが大得意なんです。
速度が上がるにつれて回頭性も上がります。でも100km/h以上は軽すぎて安定がなくなります。
つまり、低速でも軽量ミッドシップというクルマの特徴を十分味わえる、非常に貴重なクルマなんです。
レギュラーガソリンですし、街乗りですと14km/l前後です。
実は結構飛ばすので12以下もあります。。
経済的にもセカンドカーとしての資格は十分だと思います。
ただ、14年以上前の車なので自動車税が15%も多く重課されています。
こんな制度は日本だけです。
古い車でも大切に乗っているオーナーに対して失礼ですよね。
イギリスなんかは逆に税金が安くなります。
日本の・・役人は思いやりが無いですよね。
MR-Sを今から購入したい!そんな人は?
■これからMR-Sを購入するのはアリ?ナシ?
ここまで読んでいただいた読者の中にはMR-Sに乗ってみたいと考えている方もいらっしゃることでしょう。そういった方々が必ず疑問を持つのが、これからMR-Sを購入するのはアリなのかそれともナシなのか、ということです。
答えとしては、アリといえばアリであるし、ナシといえばナシ、というところでしょうか。
アリとする理由としては、好きな車(乗りたい車)に乗るのが一番良いということ、NAエンジンであるためターボチャージャー(過給機)が壊れる心配がないこと、140馬力の程よいエンジンパワーでワインディングからサーキットまで幅広く運転を楽しむことができること、タイヤサイズが小さい(15インチあるいは16インチ)、などが挙げられます。
乗りたいと思った自動車を購入して乗ることがベストであることに疑いの余地はありませんが、如何せん生産終了から13年ほど経過しています。
そのため中古車市場に乗っているものであってもガタが出ていたり、事故車であったなど、心配になる要素もあるのでしっかりとご自分の目で確かめましょう。
■MR-S、こんな人におすすめ!
筆者の考えになりますが、MR-Sは次のような方にはオススメです。
90年~00年代前半の国産スポーツカーに乗りたい
1990年から2000年代前半の国産スポーツカーに乗りたいと考えているのであれば、MR-Sは選択肢の1つとなるでしょう。すでに述べたように生産終了となった車種ですから台数がこれ以上増えることはありませんし、希少性を見出されて価格も次第に高くなると考えられます。
ワインディングで気持ちよく走れるくらいのエンジンパワーは欲しい
サーキット走行はしないけれどワインディングで気持ちよく走りたい方にもオススメです。先代のMR2よりエンジンスペックが劣ると述べましたが、カタログ値で140馬力はありますので週末のドライブでワインディングをしても十分に楽しむことができます。
ミッドシップ・レイアウトの自動車に乗りたい
ミッドシップ・レイアウトの自動車に乗ってみたいと思っている方にもオススメです。
国内自動車メーカーでミッドシップ・レイアウトを採用する車種は一部のモデルだけですから、貴重です。後方からエンジン音が聞こえてくるのは少しばかりうるさいかも知れませんが、それも含めて魅力として味わうのもありでしょう。
MR-Sのデザインが結構好み

ポルシェ 718 ボクスターGTS 4.0(2020)
MR-Sのデザインが結構好みというのであれば、MR-Sはオススメです。中古車とは言えども自動車は高額ですから、せっかく高いお金を払って購入するのであればデザインが自分好みであるに越したことはありません。
また、ポルシェ ボクスターに似ているとよく言われるデザインでもあります。ヨーロピアン・テイストな雰囲気を味わうこともできるのではないでしょうか。
オープンカーで開放的な車に乗りたい
オープンカーに乗りたい方にとってもオープンカーは選択肢の1つとなります。しかし、オープンカーが欲しいのであればロードスターでも良いのでは、という真っ当な意見もあります。
その際には、デザインや中古車価格、そして運動性能などを比較して判断するようにしましょう。
リーズナブルにサーキット走行を楽しみたい
基本的にサーキット走行はお金がかかりますが、リーズナブルにサーキット走行を楽しみたいのであれば、MR-Sが選択肢の1つとなります。
純正タイヤサイズが15インチ(モデルによってはリアタイヤが16インチ)でそれほど大きいタイヤではありません。それゆえタイヤコストを抑えることができます。17〜19インチサイズのタイヤを履く自動車よりは、確実にコスト削減が可能です。
■MR-Sの中古車価格
すでに生産終了となった車種ですが、中古車市場にはまだまだ数が流れていますのでそちらで購入可能です。現在の中古車相場は次のようになっています。
16.5万〜680.0万円
※中古車相場はレスポンス中古車検索より(2020年2月現在)
680万円の中古車はちょっと変わったカスタムがしてあるため異常に高い価格がついていますのでこれを除くと、価格の高い中古車で320万円(Sエディション)となっています。
MR-Sの全グレードの中で比較的高い価格で販売されている中古車は、2006年11月に発表されたVエディション・ファイナルバーションです。
このモデルは1,000台限定で生産された特別仕様車で、最後に追加されたMR-Sのグレードに該当します。
姉妹サイトのレスポンス中古車検索サイトで車両価格の高い順でMR-Sを検索しますと、10台中4台はこのグレードです。価格帯は218.9万円〜258.0万円、この特別仕様車の新車価格が232万円(MT)・240万円(SMT)となっていましたので、1割落ち程度あるいは1割増し前後となっていることがわかります。走行距離も3.2万km未満と、低走行車両です。
反対に安い中古車両ベスト10を見てみると、価格帯は18.8万円〜26.0万円で走行距離は7.5万km(修復歴あり)〜18.6万km、グレードはSエディションとVエディションでSMT仕様が多くあります。修復歴や過走行車であったり、耐久性が懸念されるSMT、グレードも中上グレードと、年式相応といった感じです。
まとめ
MR-Sは販売終了から2020年現在、すでに13年経過した自動車となりました。
日本国内では新車登録から13年以上経過した自動車に対しては風当たりが厳しいので購入・維持を悩まれる方も数多いことでしょう。
それでもMR-Sに乗りたい、走らせたいという強い意志を持っている方は、程度の良い中古車を探して見てはいかがでしょうか。