ミニバンとは?
ホンダ フリード+ G ホンダセンシング
日本国内でミニバンと言えば、ワンボックスタイプの3列シート車を指すのが一般的な見解となっています。ここで一般的にと表現したのは、実はミニバンには明確な規格や技術的な定義が存在していません。
もともとの語源と車種の誕生は米国であり、フルサイズのバンより小さい車種という意味でミニバンというワードが生まれました。
名前に用いられているバンというワードは、屋根付きで商品を運ぶなどの目的に使われた荷馬車からもたらされたものだそうです。
もともと米国では大きいサイズが当たり前という文化圏であったため、バンのミニサイズという意味合いでミニバンという表現に至ったというのがことの経緯となります。広大な大地を走るには、SUVやワンボックスカーなど自家用車でキャンピングトレーラーを牽引するのが一般的でした。
日本で初めてミニバンが登場したのは1975年のことであり、ブームとなったのは1990年初頭から2000年頃にかけての時期で、国内の大手メーカーが競って多数のモデルを製造し、ミニバンというカテゴリーを確立・定着化させます。
2000年代以降は世間の節約志向により下火になるものの、2010年以降は回復傾向にあり再び往年の人気を取り戻しつつある車種となります。
主な車の特徴としては車高が高く、3列シートを装備していることが挙げられます。6〜8人の乗車が可能で、なおかつ広い荷室が確保できることなど、大きな車体によって多人数および多数の荷物の運搬が可能なことがミニバンとしての共通条件になります。
■ミニバンのサイズ
ミニバンというカテゴリー内では、大きく分けて5つのサイズ区分が存在します。S・M・Lに加えて、さらに小さいSSと最大となるLLの合計5種となります。
SSクラス
トヨタ シエンタ
車体のベースが最小のコンパクトカーとなるSSクラスは、全長4.2m程で全高は1.7m程となります。条件を満たす3列シートに関して、3列目は大人の男性が座るには少しつらいですが小柄な女性や子どもであれば問題ありません。
Sクラス
プリウスα S ツーリングセレクション・G’s
Sクラスとなると、全長が40cm程長くなりますが全高は10cm程縮みます。
車高が低く重心が安定するため運転がしやすくなっており、SSクラスよりは車内サイズが若干広くなっていますそのため、後列での男性の座り心地もSSクラスに比べ良くなります。
Mクラス
トヨタ ヴォクシー
一番人気のあるMクラスは、全長が約4.7m程で全幅が1.7m程、全高については1.8m以上とハイルーフになります。
このサイズから室内空間には余裕が生まれはじめ、2列目や3列目において体格の大きな男性でも足下までゆったりした空間が確保できます。
Lクラス
ホンダ オデッセイ
1ランク上がったLクラスは全長が4.7m~4.8m程で全幅が1.7m以上、全高は1.8m以下のロールーフタイプとなります。
車高を低くすることにより重心が安定し運転しやすい車となっています。
LLクラス
トヨタ アルファード
最後に一番大きいLLクラスとなると、それぞれ全長は4.9m程で全幅は1.8m以上の大きさとなります。
2〜3列目の空間の広さも最大クラスであり、室内空間にはかなりの余裕があります。
■ミニバンの乗り心地
ミニバンはサイズごとに区分があり、5つの種類の分だけ乗り心地は異なってきます。ここからはサイズ別の乗り心地についても見ていきましょう。
SSクラス
トヨタ シエンタ
最小サイズとなるSSは、コンパクトカー並のボディサイズによる小回りの良さが大きな特徴になり、ボディの小ささはそのまま最小回転半径のサイズへと反映されています。
回転しやすく運転が容易であるため安心感を得ることができる乗り心地となっています。街乗りなど普段使いにも最適であり女性に人気のあるクラスとなっています。
Sクラス
プリウスα S ツーリングセレクション・G’s
車高が低くなっているためカーブでも車体が安定し、アクセルワークと取り回しの容易さから思いどうりに操作できるという乗り心地になります。
また、後部座席用のドアはスライド式とヒンジタイプの2種類から選べるため子育て世代のファミリー層に人気があります。
Mクラス
トヨタ ヴォクシー
室内空間に余裕が出始めますが、車体はさほど大きくないため運転のしやすさはキープされており、機能面と性能面が両立しているクラスになります。
コーナーリングでのロールが抑えられ安定した乗り心地となります。
Lクラス
ホンダ オデッセイ
車高こそ少し低くなりますが、Lクラスは室内空間の広さとより一層のアクセルワークのしやすさが売りとなります。
振動が少なく静かな乗り心地となっています。
LLクラス
トヨタ アルファード
ミニバンの中でも最大のLLクラスは、車内の広さに大きな余裕が生まれさまざまな用途に用いやすくなります。
通常のミニバンであれば、構造上3列目の乗り心地の悪さについては目をつぶらなければなりませんが、LLクラスは十分な広さがあることに加えて、タイヤの振動の緩和など技術の粋が込められていることが多くみられます。
余裕のある空間に加えて高級感すら漂う後列の乗り心地の良さ、加速や高速走行の安定性の高さなど非常に評価が高くなっています。
■ミニバンの燃費
SSクラスからSクラスでは、燃費が良い車種に関しては27.2km/L〜28.2km/Lといった数値をたたき出す車種もあります。エンジン性能の高さに加えて、ボディがコンパクトカー並であることや取り回しの良さなどが大きく影響しています。
次に最も人気のあるMクラスに関しては、ガソリン車でWLTCモード13km/Lから。Lクラスでは12km/L台、LLクラスでは10km/L台からとなっています。
高燃費をたたき出している車種に共通しているのは、いずれも軽量で安定した走りを実現しています。スイッチを1つ押すだけで、低燃費走行のモードへと切り替わる車種もあります。
ミニバンにおすすめのタイヤ
グッドイヤー、ミニバン専用低燃費タイヤ EAGLE RVF
一般車よりも車高が高く、形状も異なるためタイヤ選びにもいくつかのポイントを抑えなくてはなりません。ここからは、ミニバンに適したタイヤの選び方のコツを見ていきましょう。
■低燃費性能とグリップ性能の高いタイヤ
車高が高くふらつきやすいという特徴を持つため、ミニバンには不安定感を軽減するタイヤを選ぶ必要があります。特に風が強い日や道であったり、高速走行時における車線変更の際にこのデメリットの部分が顕著に出やすいです。
ふらつきに強いタイヤを選ぶことで、構造上の欠点を克服するという訳です。エコタイヤを選んで、さらに燃費を向上させるのも忘れてはいけません。
他の車種と比べて重量が重いため、工夫が施された性能を搭載している車種が増えてはいるものの、古い車種には燃費が良くないものも少なくありません。転がり抵抗を低減させている低燃費性能が高いタイヤをおススメします。
ただ転がり抵抗を低減させると、雨天時のグリップ性能が下がるモデルもあります。そのため低燃費性能とグリップ性能を維持している両立タイプを選ぶのがベストとなります。
■静粛性と耐摩耗性が高いタイヤ
加えて、静粛性の高いモデルを選ぶのもポイントとなります。
ミニバンは車内にロードノイズが響きやすく、特に後輪の真上にある3列目の座席はダイレクトに影響を受けてしまう場所となります。利用目的の多くに大勢での楽しいドライブが挙げられますが、静粛性が高い方がより良い時間を過ごせます。
賑やかに喋っている時も、静かに景色を楽しんでいる時でも気にならないよう、ロードノイズを拾いにくいピッチや吸収構造になっているモデルを選ぶと良いでしょう。大きいサイズである程タイヤの摩耗が気になります。
耐摩耗性が高く、ショルダー部など偏って摩耗しやすい部分に対策を施してあるタイヤを選ぶのがベストになります。もしどのタイヤにすれば良いか迷ってしまうのであれば、いっそのことミニバン専用のタイヤを選択するのも賢い方法になります。
各メーカーがミニバン用に設計したモデルを、必ず1つはリリースしているためぜひ選択肢に加えてみてください。
まとめ
VW シャラン
ミニバンは米国でキャラバンのミニサイズとして誕生し、日本国内では70年代に登場して90年代にヒットし現在の地位を築き上げてきました。
大勢での遠出やファミリー層の週末のお出かけから、街乗りまで幅広く利用できる人気の車種になります。用途や利用人数に応じて室内空間や運転性・機能性を吟味しつつ選ぶと良いでしょう。