走り屋とは?
ドリフトの世界大会 FIA IDC
そもそも走り屋には、具体的な定義があるわけではありません。
ただ、総じて言えることとしては、車や二輪のバイクなどで高速走行する事を好む人々のことを指し、場合によっては公道上で競争するなどの違法行為を行う人々のことも指します。
車や二輪のバイクの運転に時間を割き、自分の自由な時間を運転に捧げている人たちの総称として「走り屋」という言葉が生まれました。
彼らは、法令違反の車を運転するというよりは、チューニングなどを行い、あくまで「公道」での走行が可能なようにチューニングをしています。
そして、法定速度以外の法令遵守をできるだけ心がけたうえで、運転を楽しんでいるというグループが走り屋です。
走り屋は漫画にも登場し、「頭文字D」や「湾岸ミッドナイト」などの作品はこうした走り屋を主人公にしたものとなっています。
■走り屋の種類
首都高速中央環状線 取り締まりの様子
ここでは、走り屋の種類について説明していきます。
走り屋と一重に言っても、実はいくつものカテゴリーが存在し、「ドリフト族」「ゼロヨン族」「峠族」「環状族」「湾岸族」「ルーレット族」などそれぞれに呼称があります。
それぞれの走り屋の特徴や成り立ちに関して説明していきましょう。
1. ドリフト族
自動車のドリフト走行とは、峠道や、駐車場などの広い場所において、タイヤを横滑りさせながら走行させるテクニックです。
ドリフト族は、夜間の埠頭や峠道などを中心に、いかに華麗なドリフト走行ができるかを競っている走り屋です。
2. ゼロヨン族
ゼロヨン族とは、停車状態から400mの区間を走り抜けるタイムを競うグループを指します。
ゼロヨン族は、埠頭などの公道で運転をする事が多いですが、この走行スタイルは、違法競争型の走行です。
近年このゼロヨン族の取締りは強化されており、減少しつつある走行手法となっています。
3. 峠族
峠族は峠道を高速走行するグループを指します。曲がりくねった山岳道路をいかに高速で走り抜けるかに焦点を置いたグループです。
峠での高速走行になる為、事故等の可能性もあり、危険な運転です。
4. 環状族
環状族とは、走り屋の中でも大阪の阪神高速環状線を中心に高速走行を行うグループを総称した呼び名です。
この環状族は、昭和60年代に数多く産まれ、環状線をどれだけ速く走れるかを競ったりするなどの暴走行為するなどしていたそうです。
現在では取締りの強化や測度取締機の増加もあり、その姿を見る事は少なくなりました。
5. 湾岸族
湾岸族は、首都高速湾岸線にて高速走行をしていたグループの呼称です。
湾岸線において最高測度を競ったりする走り屋で、大阪府でも5号湾岸線にて同様の湾岸族が生まれ、どれだけ短い距離で高速走行が出来るかなどを競って運転を行っていました。
6. ルーレット族
ルーレット族とは、大阪における環状族の東京版を指します。
首都高速の環状線を走る走り屋の総称となっており、基本的には深夜帯にグループが集結し、車通りの少ないタイミングを狙って高速走行を行います。
走り屋と暴走族の違いは?
PS3/XBOX360用ゲーム「RACE DRIVER GRID」
走り屋に近しい言葉として、暴走族という物があります。ただ、実際のところ走り屋と暴走族には明確な違いがあるというわけではありません。
どちらも信号無視や高速走行などの法律違反となるような走行をしています。その中で大きく異なる点としては、暴走族の車の改造は高速走行を目的としたものではなく、爆音のマフラーを装填した改造車であったりする点でしょう。
その一方の走り屋の改造は、高速走行に向けたチューニングが主となっており、その目的に違いが出てきます。
走り屋に選ばれている車3選!
ここからは、走り屋に選ばれている車を厳選して3車種紹介します。
トヨタ「86」、日産「シルビア」、ホンダ「シビック」は、走り屋だけでなく、スポーツカーを愛する人ならば一度は耳にした事のある名車です。
それぞれの魅力と伝統について解説していきます。
■トヨタ 86
トヨタ 86 GTブラックリミテッド(上)とAE86型スプリンター トレノ GT APEX ブラックリミテッド(下)
「ハチロク」は、スポーツカー好きなら誰もが一度は耳にした事がある名前です。
漫画「頭文字D」で主人公が運転したAE86型スプリンター トレノは、今や世界的なアイコンとなっています。その精神を受け継いだトヨタ 86は、走り屋の象徴とも言える一台ではないでしょうか。
「コンパクト・軽量・低重心・低慣性」のコンセプトで、スバルとの共同開発で生み出された車です。
スポーツカーを愛する人にとって、運転の楽しさを教えてくれる車となっています。
86の魅力は、スバルの得意分野である水平対向エンジンとトヨタの直噴技術「D-4S」の組み合わせによって、自然吸気エンジンでは不利となる環境規制をクリアしつつも高出力を実現した点です。
さらに、高級スポーツカーにも負けないほどの460mm低重心も魅力の一つと言えます。
86は2016年に5年ぶりにマイナーチェンジを行い、さらなる魅力に溢れる車として人気を博しています。
■日産 シルビア
S15型 日産 シルビア D1グランプリ参戦車両
日産が生み出したシルビアは、1965年の初代登場時から何度も更新を重ね、1979年の3代目からは確固たる人気で一世を風靡しただけでなく、現在でも中古車業界で人気のあるモデルとなっています。
ボディスタイルに大きな特徴を持ち、シャープな形状のヘッドライトや、FRクーペの魅力溢れるボンネット長とキャビンのバランスなど、デザイン的にも魅力に溢れた車です。
さらに、シルビアの人気を格上げしたのは、最終型であるS15型です。
S15型はデザインやエンジンの基礎スペックの高さはありながら、どこか持ち主による改良の手が残っているという点で愛される車となりました。
タイヤのインチアップやエンジンのパワーアップなど、カスタマイズをして長く愛せる車として走り屋の中でもシルビアという名を不滅のものとしました。
■ホンダ シビック
EP3型 ホンダ シビック タイプR
ホンダの傑作であるシビックは、家族向けのシンプルなハッチバックでありながらホンダらしいスポーティーな感覚を運転手に与えることで、1972年の登場から高い人気を誇っています。
その歴史の中でも5代目で登場した「SiR」、そして6代目で登場した「タイプR」は、ホンダのスポーツカーのアイコンであり、走り屋にも高い人気を誇りました。
最新のタイプRはターボエンジンですが、高回転型の自然吸気VTECエンジンを搭載したシビックは、そのハイパワーと軽量ボディを活かして峠族やルーレット族に使用される場合も多かったようです。
現在まで続くその人気の高さは、走り屋をテーマにしたたくさんの漫画にシビックが登場することからも伺えます。
まとめ
阿蘇山公園道路
今回は走り屋というテーマで、意外と知られていない走り屋の中身を暴走族と比較しながら解説してきました。
一見すると迷惑走行とも言える走り屋ですが、取り締まりの強化や社会情勢の変化に伴って、多くの走り屋はサーキットなどでの活動に移行しているのが現状のようです。
走り屋に人気のある車種は、スポーツカーを愛する人にとっては魅力あふれる車も多く、乗ってみたら病みつきになること間違いなしです。
ご興味ある方は是非一度チェックしてみてはいかがでしょうか。