パドルシフトとは?
ドライビングフォースGT専用パドルシフト
パドルシフトとは、ハンドルの裏側に3時と9時の位置に配置されているパドルを指で操作してシフトチェンジすることができるものです。このパドルシフトのおかげで、AT車でもマニュアル車の感覚でシフトチェンジが出来ます。
パドルシフトは主にAT車に搭載されています。Dレンジで走行中でも使用可能な状態にありますので、急な加速が必要になった場合や減速が必要な際には、パドルシフトの操作によりこれらのことが可能となります。
また後ほど解説しますが、パドルシフトが装備されていない車にも後からパドルシフトを装備することが可能な車種もありますので、必要に応じて後付けすることができます。
今ではパドルシフトは特別な装置ではなく、ごく当たり前のパーツとして装備されています。身近なこのパドルシフトの使い方を見につけるのは、より良いカーライフを送るうえで重要です。
パドルシフトの歴史
擬似フェラーリF1マチック感覚のパドルシフト
割と有名な話ですが、パドルシフトは1989年のフェラーリがF1に搭載させたのが始まりです。
セミATとなったことでクラッチ操作から解放され、パドルシフトにより素早いシフトチェンジが可能となり、F1の世界でもパドルシフトが浸透し、やがて主流となっていったのは有名な話です。
当初の目的は操舵の安定性向上と、シフトチェンジに要する時間の短縮を目的に開発されたものですが、この後市販車では、やはりフェラーリのF355から採用されたのが最初と言われ徐々にスポーツタイプの車に広がりました。
今では国産の軽自動車にも採用され、一気に認知度は向上していきました。ほとんどのAT車にパドルシフトのラインナップが増えています。
軽自動車に限らず国産・海外車ともに、スポーツタイプの車にはほぼ装備されていることからもパドルシフトの有効性が実証されているのではないでしょうか。
パドルシフトは決してスポーツタイプの車の為だけのものではなく、全ての自動車に恩恵を与えていることもまた事実です。
こんな時に使おう
アルファロメオ ジュリア スーパー
パドルシフトが付いているけど、使い方が分からない方も多いかと思います。実際、通常のAT車であればそれほど気にすることや使用する機会は少ないでしょう。
付いているのであれば、使い方としてはMT車のようなギアチェンジが出来ますので、AT車でありながらMT車の感覚が味わえます。
■スポーティーな走り
パドルシフトでギアチェンジをすると、瞬時に加速したい場合や急な上り坂で失速を防止するのに役立ちます。
一番の特徴としてAT車の場合でも、きびきびとした走行が可能になるということではないでしょうか。
基本的にAT車ではシフトアップ・ダウンは車まかせとなり、加速したい時のキックダウンなどは、ドライバーの操作が車に反映されるまで間が空いてしまう場合もありますが、パドルシフトの活用でこういった点も解消されます。
車を運転するのが好きな方は、格段に走行する事が楽しくなる事でしょう。またクラッチ操作が不要なAT車において、効果は大きいといえるのではないでしょうか。
免許証の関係でAT車限定の方でも、このパドルシフトのおかげでスポーツカーで無くても気持ちの良い走行を楽しむことが出来る事も、大きな特徴と言えるのかも知れません。
パドルシフトは、今や世界中のスポーツカーの標準装備となってきており、近年はフェラーリやランボルギーニではマニュアルトランスミッションの装着車が選べなくなっていることからも、スポーティな走りへのパドルシフトの有用性が伺えます。
■エンジンブレーキ
エンジンブレーキはAT車の場合、MT車に比べると感覚的に効きづらく感じますが、そういった場合にもパドルシフトでギアを早めに落とすことによりしっかりとエンジンブレーキが体感できます。
勿論体感だけではなく、しっかりと速度を落とす事もエンジンブレーキでは大きく作用してくれますので、機械式ブレーキと併用する事でより大きい制動力となります。
またこちらも後述致しますが、パドルシフトによるエンジンブレーキの操作はブレーキパーツの消耗にも好影響を与えています。
メリット・デメリット
スバル レガシィ 改良新型 パドルシフト
パドルシフトのメリットとデメリットについても少し考えてみましょう。
もちろん機械ですのでメリットもありデメリットも存在しますが、比べてみればパドルシフトがある事のデメリットは少ないといえるようです。
■メリット1. 燃費の向上
燃費の向上にはパドルシフトは有効であると言えます。Dレンジでの走行より、早め早めのシフトアップは燃費の向上に役立つ場合もあるようです。
【注釈】
どの車種でも燃費が向上するのかは意見が分かれております。最近のCVT・DCT・AMTなども性能が向上してきておりますので、燃費だけを考えるならDレンジでの走行が一番燃費に良いという意見もあります。
■メリット2. ブレーキパッドの摩耗を抑える
エンジンブレーキを効かせる事により、ブレーキパッドやディスクの摩耗を抑えることが出来ます。
特に長い下り坂などでディスクブレーキを多用する場合などは、ディスクブレーキのパッドやディスクはかなり摩耗することになりますが、エンジンブレーキの併用によりこれらの摩耗はかなり抑えられることになります。
■デメリット1. ハンドルとパドルシフトの距離
パドルシフトが装備されている車を運転する場合、車種によってはパドルシフトの位置がしっくりこない場合も出てきます。特に女性ドライバーなど手の小さい方にはパドルシフトは使いづらいかもしれません。
これは運転していて精神的にストレスを感じる方も出てくる可能性はあります。解決策としては社外品ではありますが、パドルシフトのパドルパーツを交換するという事も出来ます。
イエローハットやAmazonなどでも、これらのパーツは割と多く販売されておりますので、ご自身にあったパドルに交換をするのもこれらの改善策になると思います。
また、パドルカバーと言った物も販売されておりますので、ご自身のパドルが使いづらい場合はそういった物もご活用ください。
■デメリット2. 車任せの変速より効率ダウン?
CVTを採用している車では、最も効率のよい回転数を維持しつつトランスミッションのみでリニアな速度調整をしてくれます。
これは燃費向上に多いに貢献しているのですが、パドルシフトを多用することによりそのバランスが崩れ、燃料の消費が増えるということも起こりえます。
このようにパドルシフトは機械である以上、良い部分と残念な部分があります。
後付けはできるのか
オートエクゼ『カーボンパドルシフトレバー』
結論から先に申しますと、後付け出来るものと出来ない車に分かれます。出来るものは最低条件である、マニュアルモードがある車でないと出来ません。
自分の車にパドルシフトを後付けしたいのであれば、販売店などやパドルシフトの販売メーカーなどに問い合わせる事をおすすめします。
まとめ
シボレー・コルベット・スティングレー 新型
パドルシフトはAT車をよりスポーティーに走らせたり、運転感覚をMT車に寄せたりする事が可能でありますが、やはりそれにはある程度の運転技術が伴わなければその効果は薄いといえるかも知れません。
パドルシフトの仕組みをよく理解し操作するのであれば、よりスポーティーな走行が可能です。走行性能だけを見れば今では既にMT車をしのぐAT車も存在しています。そこにはやはりパドルシフトの貢献度は高いと思います。