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日産 ジュークはなぜ消えた?!その理由と欧州の新型情報

日産 ジュークはなぜ消えた?!その理由と欧州の新型情報

トヨタのヤリスクロス投入などで現在も人気が爆発しているコンパクトSUVクラスに、日産からはジュークが参戦していました。その独特なスタイリングとSUVながら重視された操縦安定性をはじめとする運動性能は高い人気を得ていたのに、なぜ初代だけでブランド終了となってしまったのでしょうか? ジュークの魅力をご紹介しつつ、真相に迫りたいと思います。

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最高のデザイン?風変わり?! 議論を巻き起こす車、日産 ジューク

日産 ジューク

日産 ジューク

近年は日本車であっても批判を恐れない挑戦的なデザインの車がどんどんと登場していますが、ジュークのデザインはまさにその嚆矢だったのかもしれません。

クーペとSUVのクロスオーバーという、2010年の登場当時でも幾度となく試されてきたコンセプトを、ここまで極まった形で商品化したのですから、市場の反応も真っ二つ。これって最高にクール!とお思いの方もいれば、顔から色から全部イヤ!とお思いの方もいたことでしょう。

しかし、流行のSUVである上、扱いやすい小型サイズと想像以上に優れていた走行安定性を持っていたジュークは、熱心なファンを生み出していたことも事実。

それなのに日産は、ジュークの生産を2019年内で終了し、2020年に入ってからは公式ホームページからも抹消されてしまうという、驚きの対応でジュークの歴史に幕を下ろしてしまいました。

なぜ人気のSUVジャンルから車種を削ったのか? これ以降のジュークはどうなるのか? 詳しく見ていきましょう。

ジュークの特徴1. 似たもののないデザイン

日産 ジューク

日産 ジューク

時に嫌われる場合もあったとはいえ、ジュークのデザインは他の何物にも似ていない独特のデザインで、しかも非常に完成度の高いものでした。

2020年代に入っても流行している、超小型にして高めに配置したポジションライト(ジュークの場合はウィンカーも兼用)と、大きめで存在感のあるヘッドライトによる顔つきは、ジューク以前にもあったものですが、市場で広く受け入れられたものとしてはジュークが先駆けでしょう。

またボディ後部ではキャビンが大胆に絞り込まれ、リアフェンダーの張り出しを強調。まるでラリーカーか、コンセプトカーかというような、実用性よりも見た目を重視したボディは、ジュークの大きな特徴でした。

ジュークの特徴2. ターボエンジンも搭載された痛快な走り

日産 ジューク 16GT FOUR イメージ

日産 ジューク 16GT FOUR イメージ

SUVとはいえど全高は必要以上に高められておらず、見た目のスポーティさに違わない高い運動性能もジュークの特徴でした。

発売後に追加された16GTグレードでは、新開発の1.6リッター 直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載。190PSというハイパワーは、SUVというよりもホットハッチのような動力性能を実現していました。

また、4WD仕様の16GT FOURには、左右後輪のトルク配分をそれぞれ調整できる「トルクベクトル付ALL MODE 4x4-i」が搭載されるなど、先進的な装備もジュークの特徴でした。現在トヨタのRAV4の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が注目されていますが、かなり先駆けての搭載であったことが分かりますね。

その他、動力性能を向上したNISMO仕様や、日産 GT-Rのドライブトレインが移植された異色のモデル「ジュークR」が存在するなど、走れるSUVの筆頭格がジュークでした。

ジュークの特徴3. 豊富なバリエーションにカスタマイズも!

日産 ジューク プレミアムパーソナライズパッケージ(ミッドナイトパープルIV、2013年型)

日産 ジューク プレミアムパーソナライズパッケージ(ミッドナイトパープルIV、2013年型)

もとより趣味性の高いジュークですが、世界観の極まった特別仕様車や限定ペイント仕様が多数用意された点も特徴的な部分です。

中でも驚きは、R34型のスカイライン GT-Rに設定されていた、見る角度によって色が変わって見える不思議な色「ミッドナイトパープルIII」を再現し、パープルからオレンジまで色調が変化していく「ミッドナイトパープルIV」に塗装されたジュークでしょう。

前期型に設定されたプレミアムパーソナイズパッケージの限定色であったので、実車は相当にレアなのですが、こんな色でも着こなしてしまうのはジュークの個性的なデザインあってのものでしょう。

日産 ジュークのスペック

【日産 ジューク 15RX(2019年型)】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高)4,135mm×1,765mm×1,565mm
ホイールベース2,530mm
最大乗車定員5名
車両重量1,200kg
燃費JC08モード:18.0km/L
エンジン種類直列4気筒 1,498cc
エンジン最高出力84kW(114PS)/6,000rpm
エンジン最大トルク150N・m(15.3kgf・m)/4,000rpm
駆動方式前輪駆動(FF)
トランスミッションCVT
(2019年10月 日産 ジューク カタログより)

実は、欧州向けには新型ジュークが発売済なんです!

日産 ジューク(欧州仕様2代目)

日産 ジューク(欧州仕様2代目)

こんなに魅力いっぱいなジュークですが、2020年で残念ながら日本市場からは消えてしまいました。

しかし、ジュークの歴史はここで途絶えてしまったわけではなく、実は欧州向けには2019年から2代目ジュークが販売されているのです。

欧州車のトレンドであるダウンサイジングターボを採用し、わずか1.0リッターの直列3気筒ターボエンジンを7速デュアルクラッチトランスミッションと組み合わせて搭載。

新たにプロパイロットも選べるようになるなど、走行性能にさらに磨きをかけながら先進機能も追加された2代目ジューク。欧州でも人気のようです。

日産 ジューク(欧州仕様2代目)

日産 ジューク(欧州仕様2代目)

それに、デザインの特徴は初代を進化させたような関連性を感じるもの。キャビンの小ささは初代よりも強調され、最大で19インチもの大径アルミホイールが備わる足元のマッシブ感も相まって、初代以上にかなりスポーティな装いですね。

日産 ジューク(欧州仕様2代目) インテリア

日産 ジューク(欧州仕様2代目) インテリア

室内でも、二輪車のガソリンタンクをイメージしたとされる初代のセンターコンソールの塗装仕上げを継続しつつ、より大人っぽい上質さをも手に入れたデザインに進化。

車両全体を通して、初代モデルで弱かった部分を、丁寧に手直しした印象のモデルチェンジです。

日産 ジューク(欧州仕様2代目)のスペック

【日産 ジューク テクナ(欧州仕様2020年型)】スペック表
ボディサイズ(全長×全幅×全高)4,210mm×1,800mm×1,595mm
ホイールベース2,636mm
最大乗車定員5名
車両重量1,292kg
燃費-
エンジン種類直列3気筒ターボ 999cc
エンジン最高出力117PS/5,250rpm
エンジン最大トルク200N・m/1,750-3,750rpm
駆動方式前輪駆動(FF)
トランスミッション7速DCT
(2020年9月現在 日産UK公式サイトより)

どうして日本に新型ジュークが導入されなかったのか?3つの理由

こんな魅力的な2代目ジュークが、なぜ欧州限定なのでしょうか? そう、ジュークが消えたのは日本だけではなく、北米などの他の市場でも2代目にスイッチすることなくモデル廃止となっています。

日産側の思惑を、3つ想像してみました。

【ジュークが消えた理由1】初代の販売台数が販売初期以降で想定以下

日産 ジューク

日産 ジューク

センセーショナルなデザインと走行性能で評価は高かったジュークですが、あまりに特徴的すぎたのか、販売開始直後の勢いがあまり長続きしませんでした。

先述した特別仕様車の多さは、その失われた勢いを補うための目的もあったのかもしれませんね。

ジュークほど先鋭的ではない、ホンダ ヴェゼルなどは、息の長い人気を維持。同様に突き抜けたコンセプトのC-HR登場後は、追い討ちをかけられたように、顧客が一気にC-HRに流れてしまいました。

ジュークが好きな人からはとことん好きになってもらえる魅力があるのですが、販売台数の観点でいえば、もう少し広い顧客層にアピールしたかったのが日産の本音ではないでしょうか。

【ジュークが消えた理由2】室内空間が狭いSUVは日本でウケないから

日産 ジューク ダッシュボード

日産 ジューク ダッシュボード

ジュークは、外見からしてキャビンがかなり絞り込まれていることからも分かる通り、実用性は二の次というのが実情でした。特にリアシートの頭上・足元空間や、荷室の狭さは、日本や米国のユーザーからはかなりの不評ポイントだった様子。

2代目が販売されている欧州では、通勤などのパーソナルユース用に後席の膝前空間なんて二の次だ!といった車が受け入れられる市場性があるため、継続してラインナップされているようですが、日本ではSUVは多用途に使われるもの。

後席に人を乗せにくいし荷物が載らないSUVは日本ではウケないと、日産も分かっていたものと思われます。

【ジュークが消えた理由3】最大の理由は、キックスを導入するため!

日産 キックス

日産 キックス

ここまであえて触れてきませんでしたが、ジューク終了の最大の要因は、e-POWER搭載の新型SUV「キックス」が新たに国内に導入されたことでしょう。

キャラクターは被ってはいないのですが、サイズ的にはかなり近いこの2台。販売リソースを分散するよりも、キックスを集中して売りまくりたいと考える日産の思惑が、ジュークの販売終了からは透けて見えます。

キックスは、ジュークよりも室内居住性や荷室容量にも気を遣われた設計になっており、後席の余裕もたっぷり。荷室容量に至っては、クラストップとなる大容量を実現し、ジュークで散々指摘されてきた弱点をことごとく解消しています。

ジュークのターボエンジンの代わりに、充電要らずで電気自動車の乗り味を体験できるe-POWERという飛び道具を搭載していることもあり、日本市場でのコンパクトSUVのトレンドから見ればこちらの方がマッチしているという判断は、ジュークファンには悲しいですが、理解できますよね。

日産 ジューク NISMO RS

日産 ジューク NISMO RS

まとめ

日産 ジューク パーソナライゼーション アドベンチャー コンセプト(東京オートサロン2019 出展車両)

日産 ジューク パーソナライゼーション アドベンチャー コンセプト(東京オートサロン2019 出展車両)

時に名画は、その画家が存命のうちには真価が理解されず、画家の死後に価値が天文学的に上がったりするもの。もしかするとジュークも、ラインナップされているうちにはあまり理解がされなかった、隠れた名車だったのかもしれません。

狭い室内だって2人乗りと割り切れば問題なし。そんじょそこらのホットハッチを余裕で追い回せる動力性能を備えたグレードまで用意されたトンガったSUVが、ジュークで最後とならないことを願うばかりです。

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