いざという時にも頼れるSUV!スズキの本格派「エスクード」
スズキ エスクード
SUVラインナップが充実しているスズキの中でも、ジムニーに次いで本格派なのが、エスクードです。見た目からも、本格的四輪駆動車の機能性の高さが感じられますよね。
30年以上前に登場した初代エスクードのコンセプトは、クロカンSUVにセダンの快適性をクロスオーバーさせるというもので、今でいうクロスオーバーSUVのはしりとして誕生しました。
現在まで続く各世代のエスクードは、初代のコンセプト通り、舗装路上での使い勝手を高めながらも、本格四駆に比肩するような高度な悪路走破性をも併せ持つことが特徴となっており、日本だけでなくさまざまな地域で愛されてきました。
スズキ エスクード
現行モデルとなる4代目では、先代までのボディサイズ拡大基調をガラッと切り替え、車体寸法もエンジン排気量もダウンサイズ。
また伝統でもあった3ドアのショートボディや、リヤに背負っていたスペアタイヤによる横開きの後部ドアを廃止し、ハッチバック5ドアのみの設定とするなど、時代の要請にマッチした仕上がり。
より扱いやすいボディサイズで燃費も上々、街中にもスイスイ乗っていけるコンパクトSUVとして再出発したエスクード。現行型の魅力を、詳しくお伝えしていきます。
■エスクードのSUVらしさ1. ALL GRIPによる優れた走破性
スズキ エスクード メーター
先代までの後輪駆動ベースの四輪駆動をやめ、新たに前輪駆動ベースとなった現行エスクード。
しかし、悪路走破性ももちろん諦めていません。現行エスクードには、四輪を協調制御して走破性と安定性を高める「ALLGRIP(オールグリップ)」が採用されています。
これは、車両の走行状態を各種センサーを使用して常時監視しつつ、挙動が乱れる前に対処するフィードフォワード制御が可能な電子制御4WDシステムと、パワーステアリングの操舵トルクまで協調制御してくれる車両運動協調制御システム、さらに路面状況などに応じて選べる4つのドライビングモードの3点から成り立つシステムで、あらゆる路面に自信を持って乗り込んでいける走破性の高さを誇ります。
ドライビングモードは、加速性能や旋回性能を高める「スポーツ」、凍結路面などでのアクセルの踏み過ぎを防ぐ「スノー」、空転している車輪にブレーキをかけてトラクションを確保する悪路向けの「ロック」、通常時は2WD走行しつつもスリップを検知すると4WDに切り替える「オート」の4つで、ドライバーが自由に選ぶことができます。
このALLGRIP自体は、同じくスズキのコンパクトSUV「SX4 Sクロス」の4WD車にも装備されるのですが、ロック以外のモードであってもブレーキLSD機能が自動でオンになるのはエスクードだけ。より四輪駆動車としてガンガン使える性能があります。
■エスクードのSUVらしさ2. 余裕のある最低地上高
スズキ エスクード(2017年型)
いくら四輪駆動が統合電子制御されていても、悪路を床下をぶつけながら進むわけにはいきません。その点エスクードは、185mmという余裕のある最低地上高で、四駆らしいスタイリングと走破性の高さを獲得。
最低地上高は、岩場をガンガンに攻めるときだけ有効なのではなく、積雪路面や泥濘路面における深いわだちを走行する際にも有効です。SUVらしく豪雪のウィンタースポーツ会場へエスクードで向かっても、途中でスタックすることなく、ALLGRIPの性能も相まって快適なドライブが楽しめるでしょう。
また、ボディは四方全て、樹脂プロテクターが下端を守る設計になっているので、これぞSUVという力強いルックスとともに、ちょっとした接触ならヘッチャラというような使い勝手の高さをイメージさせます。
■エスクードのSUVらしさ3. 使い勝手のいいラゲッジルーム
スズキ エスクード(2017年型) 荷室
SUVは、運転を楽しむ車というよりも、アクティビティを楽しむ場所まで向かう車という性格もありますよね。その点もエスクードは抜かりなく、広々として使いやすい荷室を備えています。
後部座席を立てた状態でもVDA法で375Lの大容量ラゲッジスペースは、後部座席を倒すと奥行きが約1.4m以上にも達する積載性の高さ。開口部も高さ、幅ともにしっかりと広く取られており、かさばる荷物の積み込みもラクラクです。
また、上下位置で調整が可能なラゲッジボードは、上段位置にすればボード上下で荷物を分けて収納できるほか、下段位置にして仕切り板を取り外すことで、ゴルフバッグのような幅のある荷物もしっかり収納が可能。
ショッピングフックやラゲッジフックなど、小物の収納や荷物の固定もお手のもの。そのコンパクトな外観からは想像できない使い勝手は、まさにSUVらしい特徴と言えるでしょう。
スズキ エスクードのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,175mm×1,775mm×1,610mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,500mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,220kg | |
燃費 | WLTCモード:16.0km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ターボ 1,371cc | |
エンジン最高出力 | 100kW(136PS)/5,500rpm | |
エンジン最大トルク | 210N・m(21.4kgf・m)/2,100-4,000rpm | |
駆動方式 | フルタイム四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 6速AT | |
新車価格 | 2,462,000円(消費税抜き) |
【スズキ エスクードの系譜】頼れるSUVとしての長い歴史
スズキ エスクード
現行で4代目となるエスクードは、スズキが国内市場で販売する車としては珍しい大型のサイズで、それまでのスズキ車とは異なるユーザー層の開拓にも成功していました。
洗練されたルックスと、高い四駆性能。30年以上も続いているエスクードの歴史を、詳しくご紹介します。
■初代(1988〜1997年):クロスオーバーSUVの先駆け
スズキ エスクード(初代)
1988年に登場した初代エスクードは、当時日本を席巻していた「RVブーム」に乗じて新規投入されたSUVモデルで、当時はライバルメーカーたちが進出していなかった小型の1.6リッタークラスのスキをついて登場しました。
ただし、当時はRVと呼んでいたSUV車のオーナーが、全員こぞってハードコアなオフロード走行をするわけではないことに気付いたスズキは、SUVながら燃費が良く、市街地や高速道路でも不安なく使える「乗用車」としての性能も高めるように開発。
SUVにセダンの価値観をも含ませるという、現代でいう「クロスオーバーSUV」のはしりとして登場しました。
当初は同社のジムニーを彷彿とさせるショートホイールベースの3ドア車のみ投入されていましたが、1990年には5ドアの「ノマド」を投入。より広い市場へのアピール力を手にしました。
もちろん四輪駆動車としては、直線基調の見た目のスマートさとは裏腹に、FRベースのパートタイム4WDと本格派クロカン同様の仕上がり。ラダーフレームの剛性の高さも相まって、本格的なオフロード走行をも受け入れる素性の良さを誇りました。
1994年の改良では、それまでのスズキ車としては例のなかった2.0リッターという大排気量のV6ガソリンと直4ディーゼルをラインナップに追加。ボディサイズだけでなく、車格としてもスズキのトップグレードとしての道を着実に歩んでいきました。
■2代目(1997〜2005年):海外も見据えて大型化
スズキ グランドエスクード Lエディション(2004年型)
既に初代から北米などの海外市場で好評を得ていたエスクードは、居住性の向上などを見込んでややサイズアップ。
やや遅れての登場となりましたが、初代の2.0リッターから馬力もトルクもアップした2.5リッター V6エンジンが設定されるなど、当初より上級化の勢いが強く感じられる仕上がりでした。
初代後期型のシンプルな直線基調のスタイリングは一気に転換され、曲面を活かして躍動感のあるルックスに。フロントやリヤの表情、ブリスターフェンダー形状に膨らむボディサイドなど、ディテール面では初代の特徴を引き継ぎつつも、主なマーケットの一つとなっていた「アメリカ風味」とも言えそうな印象にアップデートされています。
初代と同じく、ショートホイールベースの3ドアと、ホイールベースが延長された5ドアの2種類が設定されていた2代目エスクードですが、2000年には、5ドア車からさらにホイールベースで320mm、全長で485mm延長し、3列7人乗りのシートを装備した「グランドエスクード」が登場したこともトピック。
グランドエスクードは2.7リッター V6エンジンを搭載するなど、初代でやや小排気量のニッチ市場を狙ったのはどこへやら、国内外の大型ライバルSUVと真っ向勝負をしかけていました。
スズキ エスクード(2000年型)
また、2代目でも初代から引き継がれたエスクードらしさといえば、初代から続く特別仕様車の多さも特徴的。特に、国際スキー連盟「FIS」とのタイアップ車「FISフリースタイルワールドカップリミテッド」や、初代から続く「ヘリー・ハンセン リミテッド」などは毎年設定されたこともあり、お馴染みの特別仕様車でした。
ベースのエスクードの上級化や、グランドエスクードという大型バリエーションの登場の流れは、大きなっても初代同様のラダーフレーム構造とパートタイム4WDという本格派のメカニズムが維持されたこともあって、2代目でも市場からの高い評価を獲得。
日本ではややRVブームが下火となっていたこともあり、爆発的な人気とはなりませんでしたが、わかる人には評価される名車でした。
■3代目(2005〜2017年):国内スズキ随一のプレミアムSUVに
スズキ エスクード(2005年型)
初代、2代目と続いた人気は、3代目でも健在。3列シートのグランドエスクードはモデル廃止になってしまいますが、定番の5ドアモデルの他に3ドアモデルも当初はラインナップされるなど、エスクード本流の伝統は守られました。
3代目では新たに、ラダーフレームをモノコックボディのフロアに溶接した「ビルトインラダーフレーム」構造を採用することによって、先代まで同様にオフロード走行もヘッチャラな高い剛性を維持しつつも、大幅な快適性の向上を実現していました。
ラダーフレームの車両は、ハンドルに伝わってくる動きのあいまいさ、やや荒れがちな乗り心地など、独特の乗り味があり、その乗り味自体にもファンがいるものですが、高級化の一途を辿るエスクードとしては、初代で狙った「乗用車の安定感」をより追求したということでしょう。
もちろん、オフロード走行性能も備えてこそのエスクード。3代目では、先代までのパートタイム式に別れを告げ、新たにFRベースのフルタイム4WDシステムを採用。
デフロック可能なセンターデフには機械式LSDを装備、ダイヤルひとつで切り替え可能な副変速機も装備するなど、本格的な四駆性能にも磨きをかけました。
2008年から2009年の短期間とはいえ、一時は3.2リッター V6エンジン搭載グレードも用意されるなど、もはや国内スズキ随一の高級車でもありました。
スズキ ビターラ 3ドア(海外仕様 2005年型、日本名:エスクード)
3代目は、そのようなメカ面の変化もさることながら、ルックスの進化も顕著。先代までとは趣が異なり、一気に高級SUVのような存在感のあるデザインに変更されました。
実際、開発時にライバルとして比較が行われた車は、トヨタ RAV4や日産エクストレイルなどの国産車に留まらず、フォルクスワーゲン トゥアレグ、ランドローバー フリーランダー、BMW X3などの欧州プレミアムSUVにも及んだというのですから、高級感漂う外観も納得です。
存在感のあるデザインだけでなくパネル間のギャップの少なさ、コストのかかるクラムシェル型ボンネットの採用など、見た目の高品質感は、先代までのエスクードとは格の違いを感じさせました。
市場の変化や、スズキが北米自動車販売から撤退したこともあり、再び大幅なコンセプトチェンジを行った4代目では車格がやや下がっていますので、3代目の人気は今でも高く、中古車市場でも高値で取引されているようです。
スズキ エスクードの新車・中古車価格まとめ
スズキ ビターラ(欧州仕様、日本名:エスクード)
エスクードの新車価格はシンプルそのもので、グレード展開も1つ、駆動方式も4WDの一択となっています。
2020年9月現在の税抜き新車価格では、2,462,000円となっており、メーカーオプション設定も一切無し。この価格に追加できるのは有償ペイント色の追加代だけです。
面白いことに、ペイント色で追加料金なく選べるのは黒系のコスミックブラックパールメタリックと銀系のギャラクティックグレーメタリックの2色のみ。
その他の4色は全て有償色となっており、クールホワイトパールは2.2万円、ルーフが黒の2トーンとなる水色、赤、アイボリーは税抜き40,000万円の追加料金が設定されています。
スズキ エスクード インテリア
中古車市場では、あまり在庫数が多いとはいえず、2020年9月現在は310台しか確認できません。
現行モデルに限ると、中古車平均価格は税抜きで1,751,819円とあまり値下がりしている印象もありませんね。
4代目登場時は1.6リッター自然吸気エンジンもラインナップされていたのですが、現在は上級の1.4リッターターボのみラインナップ、しかも装備充実のトップグレード一本で勝負しているということで、サイズ的には割高感もある新車価格となっていますので、中古車価格としても下がりづらいことが伺えます。
現在の在庫では最安車でも約90万円となっており、これ以降も大幅に値下がりしそうな印象はありませんね。同じ予算なら、やや年式は古くなりますがより車格が上の3代目の中古車を探してみても面白いかもしれません。
まとめ
スズキ エスクード
小型車を得意とするスズキにおいて、一時期はブランドトップクラスの高級車種ともなっていたエスクード。現在ではかなり小型のモデルとなっていますが、悪路走破性へのこだわりもあり、むしろ初代の日本国内でも扱いやすいサイズ感に戻ってくれたと見る方が正しいのかもしれません。
大型のSUVでは日々の使い勝手も悪くなってしまうもの。小回りの利くエスクードで、スマートなSUVライフを送られては。