日産 エクストレイルを復習しよう!
■初代エクストレイル
《写真提供:response》初代エクストレイル
日産 エクストレイルは、日産が2000年から販売している、ミドルサイズのSUVとなります。
初代エクストレイルは、2000年11月に発売されました。当時、SUVは市場が急速に拡大しており、そのセグメントに日産が送り込んだ戦略車種が、エクストレイルでした。
初代エクストレイルのコンセプトは、「Tough Gear」。日本語に訳すと、「丈夫で使い倒せる道具」と言うようなニュアンスになりますでしょうか。エクストレイルは、初代モデルから撥水シートや撥水ラゲッジスペースが設定されており、濡れた服のままクルマに乗り込めたり、濡れた荷物をそのまま放り込める便利さがありました。
その便利さはユーザーに大いに支持され、初代エクストレイルはそのモデルライフで、何度も国内SUV市場で最も売れたクルマとなりました。
また、280psを発揮する2L 直列4気筒ターボエンジン搭載モデルも追加され、今、大流行している「ハイパフォーマンスSUV」の先駆けとなったクルマでもありました。
■2代目エクストレイル
《写真提供:response》2代目エクストレイル
2代目エクストレイルは、2007年に発売されました。2代目のデザインは初代の販売好調を受け、キープコンセプトで、初代と本当によく似ていていました。
メカニズム的には、ガソリンエンジンが新型に切り替えられ、初代で設定されていた2Lエンジンに加え、新たに2.5Lエンジンモデルがラインナップされました。
また、2008年9月にはアライアンス先のルノーと共同開発した、2L ターボディーゼルエンジン搭載モデルを追加しました。「M9R」型2L ターボディーゼルは、世界一厳しい排気ガス規制と言われていた、日本のポスト新長期規制を初めてクリアしたディーゼルエンジンとして、大いに話題となりました。
ディーゼルエンジンと組み合わされるのは、発売当初は6速ATのみでしたが、2010年には6速ATモデルも追加されています。
2代目エクストレイルも引き続き販売は好調でしたが、他社もSUVモデルのラインナップを充実させ、国内市場でのSUVの販売競争は激しくなっていきました。
■3代目エクストレイル
《写真提供:response》3代目エクストレイル
3代目エクストレイルは、2013年に発売されました。初代、2代目と続いたカクカクデザインから、デザインポリシーが大幅に変更され、洗練されたスタイリングをまとってデビューしました。
2代目とくらべボディも大型化し、エクストレイルとしては初めて7人乗り仕様が登場しました。エクストレイルの伝統とも言える撥水シートや撥水ラゲッジスペースは、当然継続採用されています。
技術的なトピックとしては、2015年にエクストレイルとして初めてのハイブリッドモデルが投入されました。エクストレイルのハイブリッドはCVTと組み合わされたシステムで、駆動方式はFFと4WDのどちらも選択が可能です。
さらに、2017年には日産の高度運転支援システムである「プロパイロット」が搭載されました。2017年の導入直後は単眼カメラで状況認識をしていたプロパイロットのシステムは、2021年1月にミリ波レーダーの搭載のアップデートが実施され、更に精度の高い運転支援が可能になりました。
このように、発売以来7年以上が経過する3代目エクストレイルは、常に新しいテクノロジーを投入しつづけ、商品としての競争力を強化してきました。しかし、近年は、トヨタ RAV4やマツダ CX-5、スバル フォレスターのような強力なライバルとの競争激化で、徐々に販売台数が低下している状況です。
新型エクストレイルはどうなる?
■エクステリア|より力強く、SUVらしく進化
《写真提供:response》日産・ローグ
新型エクストレイルのスタイリングを予想するのに有力な手がかりとなるのは、昨年、北米市場で発売された「日産 ローグ」です。
日産 ローグは、北米市場で販売されているミドルサイズのSUVですが、2代目からはエクストレイルの兄弟車として、ほぼ同じデサインとなっています。その、ローグが一足先に昨年モデルチェンジを実施しました。
新型ローグは、今までの流れで考えれば、エクストレイルの兄弟車となると思われます。よって、新型ローグのスタイリングが、ほぼ新型エクストレイルのデザインとなる、と考えてもいいでしょう。
《写真提供:response》日産・ローグ
新型ローグは、フロントフェンダーとリアフェンダーに明確なブリスターフェンダーが導入され、サイトパネルの抑揚が強調されたデザインとなっており、力強い印象となっています。また、無塗装の樹脂製のホィールアーチもより幅が広くなり、存在感を強調しています。
3代目エクストレイルがワイルドさよりも洗練を感じさせるスタイルだったのに比べ、新型ローグはより力強く、SUVらしいカタチを追求していると言っていいでしょう。
新型エクストレイルは新型ローグを基本にしつつ、フロントマスクは日本市場向けにリデザインされるのではないかと見られています。
■インテリア|今どき仕様の大型ディスプレイにアップデート!
《写真提供:response》日産・ローグ
新型ローグのインテリアは、今どきのクルマらしくナビゲーション等を表示するマルチファンクションディスプレイがダッシュボードの一番上の一等地に配置されています。正式な数字は発表されていませんが、3代目エクストレイルの7インチディスプレイからは大幅にサイズが拡大しているように見えます。
インテリア写真のタンのレザーシートが日本でも設定されるかどうかは不明ですが、新型ローグのインテリアは質感も上がって、SUVはというよりも高級サルーンのような雰囲気となっています。
日本仕様の新型エクストレイルでは、伝統の防水シートや防水ラゲッジルームが設定されると思われます。
《写真提供:response》日産・ローグ
また、シフトレバーは新型の電子制御タイプに変更され、センターコンソールは新型ノートのようなフローティングタイプとなっています。フローティングセンターコンソールの下には小物入れが設定され、より利便性が向上しています。
■メカニズム|一気に電動化が進む?最新のe-POWER 4WD搭載も!?
新型エクストレイルで最も注目されているのが、パワーユニットとドライブトレインです。
新型エクストレイルは、三菱 アウトランダーの兄弟車になる事が決定しています。日産と三菱は、共にクルマの電動化に熱心なメーカーなので、新型エクストレイルには電動化の技術が大胆に投入されるのではないか、と噂されています。
ヒントは、昨年モデルチェンジした日産 ノートで、先代で大好評だったシリーズハイブリッドの「e-POWER」です。新型ノートはモデルチェンジに伴い、ハイブリッドの「e-POWER」専用モデルにしてしまいました。もはや、新型ノートではガソリンエンジンモデルは選べないのです。
ライバルであるトヨタ ヤリスやホンダ フィットは、ハイブリッドモデルとガソリンエンジンモデルを併売しているのに比べると、新型ノートの戦略はかなり大胆です。
《写真提供:response》ノート e-POWER 4WD
新型エクストレイルで注目されるのは、新型ノートのような「全グレード e-POWER化」のような大胆な電動化戦略を日産がとるのだろうか、と言う点になります。
3代目エクストレイルにもハイブリッドモデルはありますが、新型エクストレイルに搭載されるであろう「e-POWER」のシステムとは全く仕組みが違います。
3代目エクストレイルのハイブリッドは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挿入した構成になっていて、主な駆動源はエンジンでモーターはアシストと言う役割になっています。
一方の「e-POWER」は、ガソリンエンジンはモーターを回すための電気を作る発電機を回すためだけの役割になっています。なので、タイヤとエンジンは機械的に繋がっていません。駆動力は、100%モーターによって生み出されます。
トヨタとホンダのハイブリッドは、機械的にエンジンとタイヤが繋がっていますので、日産のe-POWER方式は最も純粋な電気自動車に近いシステムだと言えます。
《写真提供:response》ノート e-POWER 4WD
エクストレイルはSUVですので4WDの設定が必須ですが、2021年2月に新型ノートに4WDモデルが発売され、「e-POWER 4WD」という新しい4WDシステムが搭載されます。e-POWER 4WDは、フロントとリアに大出力のモーターを搭載した、本格電動式4WDとなります。
日産の発表では、緻密な制御が可能な電動モーターの特性を生かしてアイスバーンや深雪に加え、ウェット、さらにはドライでもあらゆる状況に応じて前後モーターの出力・トルクを瞬時に調節して安定走行を実現。減速時にはリヤモーターの回生制御を加えることで、エネルギー回収効率を高めながら積極的に車両姿勢をコントロールするなど、非常に高度な駆動力制御を実施するハイテク4WDとなっています。
おそらく、このe-POWER 4WDは新型エクストレイルに搭載されると考えられます。もしかしたら、SVUである事を考慮し、ヒルディセントコントロール等の悪路走行用のモードが追加される可能性もあります。
ノート e-POWER 4WD
また、兄弟車となる三菱 アウトランダーはPHEVモデルが販売の中心であった事と、ライバルであるトヨタ RAV4にもPHVモデルが設定されている事から、新型エクストレイルにもPHEVモデルが設定される可能性は高いと考えられます。
《写真提供:response》三菱・アウトランダーPHEV
価格|グレード展開はどうなる?
このように、日産のe-POWERは、非常にポテンシャルの高い技術となっています。一方、新技術なのでそれなりのコストがかかる事も確かで、全グレード e-POWERとなった新型ノートは、車両本体価格こそ先代とそれほど変わりはないものの、プロパイロット等の人気オプションを付けると、途端に価格が跳ね上がってしまう、という価格設定になっています。
新型エクストレイルは、車両本体価格が高いミドルサイズSUVとなる事から、コンパクトカーである新型ノート程、「オプションが高額」という価格設定にはならないと考えられます。ただ、e-POWER 4WDのモデルに、プロパイロット等の高度運転支援システムを加えていくと、車両本体価格だけで400万円を超える高額車になる事は予想されます。
エクストレイルクラスのSUVで400万円台の価格しかないとなると、ライバルとの販売戦略上、非常に苦しい事から、北米仕様のローグに搭載されている2.5L 直列4気筒ガソリンエンジンが、エントリーモデルに搭載され、300万円台前半からのスターティングプライスになる可能性が高いと思われます。
まとめ
《写真提供:response》日産・ローグ
新型エクストレイルの予想、いかがでしたか?
e-POWER 4WDの搭載等、新しい技術でどんな走りのクルマになるのか、ワクワクしますね。
新型エクストレイルの登場は、今年の秋が予想されています。それまで、楽しみに待ちましょう!