運転中の「ながらスマホ」厳罰化の背景は交通事故の増加
スマホや携帯電話での通話や画像を見ながら運転する、いわゆる「ながらスマホ」。
「ながらスマホ」を原因とする交通事故が増加傾向にあり、「ながらスマホ」の厳罰化が今国会に提案されています。
本記事では、「ながらスマホ」の厳罰化提案が可決され道路交通法案が改正された場合、罰則はどのように変わるのかをご紹介します。
■携帯電話使用の交通事故は5年間で1.5倍に
主に携帯電話やスマホでの通話や、画像を注視することが「ながらスマホ」は交通事故を誘発する原因として問題視されています。
下記の携帯電話使用等に係る交通事故の発生状況を見てみましょう。
上記のグラフから分かるように、携帯電話使用に関連する交通事故は増加傾向にあります。
■青線で示されている交通事故の小計
平成28年には1,999件(平成23年1,280件に比べて1.6倍)
■赤線で示されている携帯電話の「画像目的使用」の交通事故
平成28年には927件(平成23年409件に比べて2.3倍)
上記のグラフから厳罰化提案の背景には交通事故の増加があることが理解いただけると思います。
「ながら運転」道路交通法違反の根拠となる法律
「ながらスマホ」が道路交通法違反である根拠はどのように定められているのでしょうか?
「ながらスマホ」は道路交通法第71条5の5によって禁止されています。
五の五 自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)
を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話
用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持
しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話
(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを
得ずに行うものを除く。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若
しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第41条第16号若しくは
第17号又は第44条第11号に規定する装置であるものを除く。)に表示され
た画像を注視しないこと。
道路交通法71条5の5では、
自動車又は原動機付自転車が停止しているときを除き
・携帯電話、無線装置を通話
・画像表示用装置を注視
することを禁止しています。
スマホ、携帯電話でのゲームや通話はもちろんのこと、カーナビなどを注視する行為も対象です。
【現行】ながらスマホの罰則
現行の法案では、道路交通法第71条5の5に違反すると下記のような2種類の罰則があります。
2種類の罰則のうち
交通違反や交通事故を起こすと『携帯電話使用等(交通の危険)』の罰則が科されます。
通話や画像の注視をすると『携帯電話使用等(保持)』の罰則が科されます。
■携帯電話使用等(交通の危険)
現行の罰則では、基本的に反則金を支払えば罪に問われることはありません。
罰則:3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
反則金:大型12千円、普通9千円、二輪7千円、原付6千円
基礎点数:2点
■携帯電話使用等(保持)
現行の罰則では、基本的に反則金を支払えば罪に問われることはありません。
罰則:5万円以下の罰金
反則金:大型7千円、普通6千円、二輪6千円、原付5千円
基礎点数:1点
【改正後】ながらスマホの罰則
もし「ながら運転」の厳罰化提案が可決され道路交通法案が改正された場合の罰則はどのように変わるのでしょうか?
■【改正後】罰則が厳罰化
ながら運転に関する道路交通法改正後は、罰則が厳罰化され懲役の長期化、罰金金額も増加する見込みです。
■携帯電話使用等(交通の危険)
罰則:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
基礎点数 2点
■携帯電話使用等(保持)
罰則:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
基礎点数:1点
■【改正後】交通違反申告制度の対象から外れ、刑事罰に
また、特に注目したいのが反則金に関する項目の記載が無くなっていることです。
これは「交通違反申告制度」から除外され反則金はなくなり、はじめから罰則の対象になることを意味します。
現行の道交法では「ながら運転」は「交通違反申告制度」の対象で、反則金を支払えば罰則は化されない項目でした。
もし道路交通法が改正された場合は「交通違反申告制度」の対象外となるため、懲役または罰金の対象となってしまいます。懲役または罰金は日本の刑事罰ですので、前科がつく犯罪行為です。
交通違反申告制度と反則金に関する詳細はこちら
ながら運転の厳罰化はいつから?
気になる「ながら運転」の厳罰化ですが、いつごろから実際に道路交通法が改正され実施されるのでしょうか?
国会は6月中旬に会期を終えるため、早ければ2018年末までには遅くとも2019年4月に法律が改正される見込みです。
もちろん、改正案に反対意見などが出て否決されれば道路交通法は改正されないため、厳罰化は実施されません。
【2019年12月1日更新】ながら運転が厳罰化
■反則金が3倍に!?
2019年12月1日から、ながら運転の厳罰化が始まりました。
これにより、「ながら運転」の場合(携帯電話・スマートフォンを手にもって操作・通話をした場合)や、画面を見続けた場合の、違反点数が1点から3点になります。
また、反則金も、6000円だったものが1万8,000円と3倍に引き上げられています。(普通車の場合)
■ながら運転で事故を起こすと一発免停
「ながら運転」で事故を起こしてしまうと、違反点数6で免許停止処分になります。
まとめ
厳罰化提案が国会に提出されている「ながら運転」。
厳罰化が可決され、道路交通法が改正されると、非常に厳しい罰則になります。
「ながら運転」は人の命を奪う可能性がある非常に危険な行為です。
厳罰化に関わらず「ながら運転」はすぐに止めましょう。