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AWDと4WDの違いって何?意味やメリット、各社の技術や代表車種を紹介

AWDと4WDの違いって何?意味やメリット、各社の技術や代表車種を紹介

車の駆動システム「AWD」。そもそもどんなものなのか、4WDとの違いはどこにあるのか?といった疑問をもたれてる方も多いのではないでしょうか。今回はAWDの意味からメリットについて、各社のAWDシステムの紹介や代表車種についての紹介を掲載しています。


そもそもAWDとは?

AWDとは「All Wheel Drive」の略で、日本語では「全輪駆動」と訳されています。

AWDはその名前が示す通り、全てのタイヤは駆動する車のことを指し、しばしば4WDと同じ扱いをされます。4WDとAWDの細かい違いについては後述しますが、AWDは4輪以外の車にも使える用語である点が大きな違いです。

現在ではAWDという名称はスバルの車に用いられることが多く、巷でもAWDと言えばスバルというイメージが強いです。スバルは1971年に日本初の4WD車を作って以来、4WD車製造の分野に力を入れ続けてきました。

AWDは車の駆動方式を指す一般的な呼称なので、近年ではトヨタやホンダ、マツダもAWDをうたった車を発売しています。4輪車の場合は4WDもAWDも変わりは無いのですが、あえてAWDという名称を使う所に、従来の4WD車とは違う物を作りたいという各社の意気込みが感じられそうです。

事実、従来の4WD車にあった問題点を克服した車も各メーカーから発売されており、今やAWDは4WDに代わる車という意味で使われているのかもしれません。

4WDも「AWD」。違いはあるのか?

4輪自動車の場合、4WDとAWDの指す意味に特に違いはありません。

4WDとは「4つのタイヤが独自に動く」という意味で、AWDとは「全てのタイヤが独自に動く」という意味だからです。違う点をあげるなら、AWDという言葉は4輪自動車以外にも使えるという点です。

日本ではあまり数はありませんが、6輪や8輪の自動車でそれぞれのタイヤが独立した動力を持っている場合は、AWDという言葉を使います。4輪自動車の場合はどちらの用語を使っても間違いではありません。

96式装輪装甲車

AWDという言葉が使われる車両は、軍用車両の方が有名でしょう。自衛隊で使用されている16式機動戦闘車や96式装輪装甲車は8輪駆動であり、AWDと言えます。

民間で流通している車両でも数こそ少ないもののAWDは存在しています。多輪AWDでは除雪車や消防車といった特殊用途車として活用されているものが多く、一般利用できる国産多輪AWD車は現在のところ皆無です。

以前はいすゞから6輪駆動トラックのTS/TWシリーズが販売されていましたが、1986年に民間販売が中止されました。

ですが、いすゞは東京モーターショー2017に「ISUZU 6×6」という名称の6輪駆動トラックを出展していた経緯もあり、将来的に販売される見込みはあるかもしれません。

「ISUZU 6×6」は、4輪駆動以上の悪路走破性を持った車両で、災害支援などの用途を念頭において作られていると言われています。東日本大震災の被災地支援に活躍した、いすゞのトラックの次世代発展形と言えるでしょう。

その他、国内販売はされていませんが、トヨタのランドクルーザーの派生車で6輪全輪駆動仕様車が存在しています。この車両はドバイのNSV社とオーストラリアのマルチドライブ・テクノロジー社が共同開発したものでした。

また、バイクにもAWDの名称が使われることがあります。

アメリカ合衆国のクリスティーニ・テクノロジー社が発表しているバイクには後輪駆動と全輪駆動を切り替えられる車両が存在します。

さらに、スバルと自転車メーカーの「DOUBLE」がAWDの自転車を共同開発し、2018年6月に限定販売したこともありました。

AWDのメリットは?

AWDのメリットは基本的に4WDと同じです。つまり、多輪駆動で強いトルクを得られるため悪路走破性を高くできます。また、それぞれのタイヤは駆動力を持つため、オンロードでの安定性も増します。

ただ、現在では各自動車メーカーで革新的な駆動技術にAWDという名称を使っている場合があります。

スバルのAWDを元に説明

例えば、スバルではシンメトリカルAWDという名称を独自開発した4輪駆動システムに与えており、この駆動方式はさらに4つに分類されます。

■アクティブトルクスプリットAWD
■ビスカスLSD(リミテッド・スリップ・デフ)付センターデフ方式AWD
■VTD(バリアブル・トルク・ディストリビューション)-AWD
■DCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)方式

シンメトリカルAWDを構成するこれらの4つのAWD方式はそれぞれ独自のセッティングがなされており、前輪と後輪のトルク配分が異なっている点が主な違いです。

例えば、アクティブトルクスプリットAWDは前60・後40のトルク配分を基本として、 加速や旋回など異なる状況に合わせて適宜トルクを調整しています。このアクティブトルクスプリットAWDシステムは、他の3つの駆動方式に比べて安定感を重視したセッティングとなっており、レヴォーグ(1.6Lエンジン車)やXV、インプレッサなどに使われています。

このアクティブトルクスプリットAWDの最大のメリットとは、トルク配分を自動的に行ってくれるため安定性が高いという点にあります。

アクティブトルクスプリットAWDは電子制御を活用して車輪に適切なトルクを配分し、その比率は50:50から100:0まで自由に変えられるため、旋回時や坂道でも強い安定性を保持できるという長所があります。

さらに、VDC(横滑り防止装置)を併せて活用することで、雪道など滑りやすい路面でも他メーカーの追随を許さない安定性を発揮できます。

スバルの車は雪道に強いという定評がありますが、その評価にはアクティブトルクスプリットAWDをはじめとするシンメトリカルAWDが大きく貢献しています。


その他のシンメトリカルAWDのうち、VTD-AWDおよびDCCD方式はスポーティな走り味を追求したセッティングとなっており、「WRX S4」や「WRX STI」といった車両に使われています。

ビスカスLSD付センターデフ方式AWDは前50・後50というクラシックな4WD車特有のトルク配分が特徴的で、電子制御を使用しないシンプルな構造を持ちます。

スバル車に使われているこれらのAWD技術は、従来の4WD技術とはまた違ったものです。その先進性こそが4WDに対するAWDのメリットと言えるでしょう。

AWDの代表的車種

AWDの代表的車種としては、まず世界的に有名なメルセデス・ベンツの「G 63 AMG 6×6」が挙げられます。

この車両はもともとSUVの「メルセデス・ベンツ Gクラス」の派生車両として2007年にオーストラリア陸軍のために作られたものでした。民間車両として販売されているG 63 AMG 6×6は2013年からオーストリアのマグナシュタイア社が製造していたモデルです。

残念ながら2015年に生産終了したG 63 AMG 6×6は全世界で100台余りしか製造されず、日本では2014年に5台だけが限定販売されました。

世界的に珍しい6輪AWD民間車両であるため、今でもカーマニア達の語り草となっています。

スバルのAWD車 代表車種

国内の一般乗用車では6輪の車こそ無いものの、各社が工夫をこらしたAWDを発表しています。

AWDといえば、4WD車の草分け的存在であるスバルの名前が最初に挙がるでしょう。スバルは前述の通りシンメトリカルAWDという独自の4輪駆動技術を自社製品に広く活用しており、スバル車の98%がシンメトリカルAWD仕様車であると言われています。

スバル製AWD車ではインプレッサやXVなど有名な車が多くありますが、注目されているモデルとして「フォレスター」が挙げられます。

2018年6月に発売された5代目フォレスターは燃費やエンジン性能を向上させて新機能も盛り込み、 4代目の正統進化系として登場しました。

新型フォレスターには、前述のシンメトリカルAWDのうち「アクティブトルクスプリットAWD」が組み込まれており、SUV車であるフォレスターに高い悪路走破性と運動性能を与えています。

その乗り心地は、ロールが少なく常に安定した姿勢を見せると評判です。スバルのAWD技術の冴えはこれからも続くことでしょう。

トヨタのAWD車 代表車種

AWDの技術ではスバル以外のメーカーも負けてはいません。トヨタは2018年2月に「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」という新しい4輪駆動技術を開発しました。

このAWDシステムにつかわれているトルクベクタリングとは後輪のトルクを左右で独立して制御する方法のことで、その実装により旋回性能と悪路走破性がさらに向上しました。

その他にも、自動で2WD走行に切り替わった際に、後輪に伝わる動力をカットして燃費を向上させる「ディスコネクト機構」など意欲的な技術を盛り込んでいます。

さらに、ハイブリッド車に搭載される4輪駆動システム「新型E-Four」は、後輪のトルクを30%増加させるという画期的な進歩を遂げています。

「Dynamic Torque Vectoring AWD」および「新型E-Four」を搭載している車は現在ありませんが、2019年春に国内発売予定の「新型RAV4」のガソリンモデルとハイブリッドモデルがそれぞれ搭載します。

RAV4(ラヴフォー)は1994年に発売されたSUVで、今では世界200ヶ国で利用されるベストセラー車です。フルモデルチェンジされた5代目RAV4が2018年11月にアメリカで先行発売され、日本でも2019年春に発売予定となっています。

ホンダのAWD車 代表車種

ホンダも「リアルタイムAWD」という4輪駆動技術を開発しています。

リアルタイムAWDは2011年に開発された電子制御式の4輪駆動技術で、「インテリジェント・コントロール・システム」と呼ばれることもあります。

この技術は、油圧を電子制御するという点で他メーカーの電子制御式と異なっており、動力を素早く伝達できるという特徴があります。また、リアルタイムAWDは機構そのものの重量をそれまでの4WDシステムより15%軽量化した画期的なシステムでした。

リアルタイムAWDは、4つのタイヤをそれぞれ電子制御することでトルク配分を行い、路面にあった最適の走行を可能にします。搭載車種としては2013年から販売されているコンパクトSUV「ヴェゼル」が有名です。

なお、ヴェゼルに搭載されているリアルタイムAWDには、コーナー時に後輪のトルクが強めになるよう細かな調整が加えられています。

マツダのAWD車 代表車種

左:CX-3 右:CX-8

マツダのAWD技術は「i-ACTIV AWD」という名称で、「CX-8」や「デミオ」、「アテンザ」などの車に搭載されています。

搭載車の中では、特に「CX-8」が注目されており、この車両は居住性を重視したクロスオーバーSUVとしてデザインされました。CX-8は走行性能もさることながら、定員上限である7人まで乗っても余裕のある車内空間に定評があります。

i-ACTIV AWDの最大の特徴は、徹底した電子制御にあります。

4WD車のタイヤを電子制御する方式は他メーカーでもおなじみですが、マツダはさらに精密な電子制御を行えるようデザインしています。

i-ACTIV AWDはドライバーの操作や路面の状況、車のステータスを全てデータに入れて制御するのはもちろん、ワイパーの動作といった細かい部分まで計算に入れています。その結果、i-ACTIV AWD搭載車は高い安定性を実現することができました。

まとめ

普段は4WDとAWDという言葉を使い分ける機会はあまりありませんが、あらためて意識すると異なる意味や特徴を持っているとわかります。

降雪の多い地域にお住まいの方やウィンタースポーツをする機会が多い方などは是非、AWD車と4WD車の違いも意識しながら、車選びをしてみては如何でしょうか。

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