軽車両とは?
自転車
軽車両とは簡単に言えば原動機を持たない車両のことです。運転に当たって運転免許証が不要なので、実に利用しやすくなっています。しかし、後述するように、法律を守って運転しないと罰則金等を支払わないといけなくなることが特徴です。
この軽車両と間違われやすいのが軽自動車であり、両者は全く違うものです。イメージがつきにくいという人もいるかもしれませんが、自転車やリヤカーのようなものを思い浮かべて下さい。こうしたものが軽車両であり、実は意外と身近な存在でもあります。
■軽自動車とは別!法律上の定義は?
軽車両は法律でその定義付けがされています。
「自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつレールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)」、「原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であって、車体の大きさ及び構造を勘案して内閣府令で定めるもの」となっています。
具体的にはリヤカーや山車等が軽車両の典型です。原動機がない車両であれば軽車両とみなされることが多くあります。しかし、これにも例外があるので注意しておきたいところです。
■軽車両の種類
軽車両は実に種類が豊富なことが特徴です。軽車両と一口にいっても千差万別ですから、ここで整理しておきましょう。
例えば、軽車両には、馬車、牛車、馬そり、荷車、人力車、三輪自転車、リヤカー等があります。
これ以外にも原動機を用いないような車両であっても、小型の車両の場合には軽車両とみなされるのが特徴です。下記ではそれぞれの軽車両についてもっと詳しく見ていきましょう。
自転車
ヤマハ PAS リン
軽車両の代表的な存在が自転車です。自転車は最も身近な軽車両であり、多様な場面で活用されています。しかし、自転車も多様化しており、実は自転車のように見えて実は自転車ではないものがあります。(例:モペット)
自転車のフレームに原動機を取り付けたようなものも、実は軽車両扱いされません。逆に、電動アシスト自転車は出力などの制限を守っている限り軽車両に分類されます。
ますます分類は多様化しているので、自転車のように見えるからといって免許が要らないかというとそうでもないことがあります。
荷車(リヤカー・代車など)
リヤカー付三輪電動アシスト自転車
リヤカー等の荷車は良く見かける軽車両の一つです。リヤカーはバイク以上に重量物を運搬出来るものの、軽車両扱いになります。
ちなみに、ショッピングカートは荷車ではありません。ショッピングカートは歩行者扱いされており、軽車両とみなされていないのが特徴です。
山車
青森ねぶた
山車は祭りでよく見かけけることもあるでしょう。山車はモノによってはかなり大きなものもありますが、こうした原動機がない車両は軽車両扱いされます。
しかし、自動車を改造して山車にしたようなものは、やはり軽車両ではなく自動車として扱われます。山車はかなり複雑なものもあるので、ひと目ではどういった車両に当たるのか分類しにくいものもあります。
馬車・牛車
馬車「ラ・マランゴット」
馬車・牛車は軽車両ですが、他の動物が牽くような車両も基本的に軽車両です。例えば、犬橇等も軽車両ですし、他にもこの分類に当てはまる車両は多いです。しかし、馬車鉄道は軽車両ではなく路面電車として扱われます。
被牽引車
MINI カウリー
被牽引車は自動車や原動機付自転車に牽引されている場合は、その牽引車の一部とみなされますが、切り離されて単独で置かれている際は軽車両扱いされます。
軽車両の交通ルール
自転車専用通行帯
軽車両といえど交通ルールは適用されます。むしろ不規則な車両が多いだけに、しっかりと交通ルールを守って通行しないと危険です。
例えば、軽車両にも制限速度が設けられていますし、並走禁止等の規定もあります。もしもこれから自転車等に乗る際には、こうした規定はしっかりと守るようにしておきましょう。
ちなみに、自転車等の検挙数は確実に増えているので、これから運転する際には気をつけておくことも大事です。
■意外!制限速度は自動車と同じ
軽車両には法律上は制限速度が規定されておらず、道路の制限速度に従うことが求められるだけです。これは制限速度の面では時速30kmの制限がある原付を追い越せてしまうという不思議な状況が生まれます。
もちろん、安全が確保できる速度で走行するのが大前提ですが、どんどん高性能化する自転車などに対して法律が追いついていないと言えるかもしれません。
■道路の左端を通行する
軽車両は最も左の車両通行帯を走行しないといけません。この通行帯は第一通行帯とも呼ばれます。これは路線バス専用通行帯等がある場合でも同じことです。
ちなみに路側帯がある場合には道路左側になる路側帯も通行可能です。この際、道路右側部分にある路側帯は通行出来ません。これはモーターサイクルでも同じです。
■他の車両との並走禁止
軽車両は他の車両と並走出来ません。これはサイズが大変小さかったり、挙動が不規則なこともあるので、事故を防ぐための措置です。しかし、追い越しなどの一時的な並進は許可されています。
■歩道を通行できない(自転車を除く)
軽車両は車両であることもあり、歩道を通行することは基本的に出来ません。基本的には最も左の車両通行帯を通行することとなります。
この例外なのが自転車で、自転車通行可の標識や表示のある歩道であれば走行しても問題はありません。しかし、自転車であっても「普通自転車専用通行帯」がある場合にはそちらを通行することとなります。
軽車両も交通ルール違反をすると罰金・罰則
交通ルール
軽車両だからといって交通ルールを無視する事ができません。軽車両専用の道路標識も幾つかあるくらいです。
もしも上記に紹介したようなルールを破ると、軽車両であっても交通切符が交付されます。支払う罰金の額も変わりません。
例えば、通行止めの場所を走行したら、他の自動車等と同じ用に罰金が適用されます。とはいえ、実際にはやはり軽車両は規制されにくいもので、あまり交通切符が交付されるケースは多くありません。
■自転車の検挙数、急上昇中!
最も身近な自転車は検挙数も増えています。自転車に関する条例なども増え、自転車専用レーンの設置も急増しています。
これは自転車使用者と歩行者等との事故が相次いでいることがその原因です。警察としても事故を防ぐために自転車を検挙する事例が増えています。
例えば、自転車といえど夜間には灯火しないといけません。防犯登録も義務付けられています。これから自転車に乗る際には、れっきとした車両に載っているのだと自覚した走行が必要となってきます。
自転車は免許も必要ないので、検挙されても自転車に乗れなくなることはないものの、違反金等は支払わないといけません。
特に自転車の検挙数が増えているのが東京です。東京でこれから走る際には警察の目を常に気にしないといけないくらいに、自転車の検挙数は高まっています。
まとめ
CarriRo
この記事では普段余り耳慣れない車両についてじっくりと説明しました。「リヤカー等はどういった区分ワケがされているのだろうか」と思ったことがあるかもしれませんが、そんな疑問もこの記事を呼んで解決できたはずです。
何より、こうした車両であっても「歩道を通行できない」「並走禁止」といったような法律は適用されますから、これから乗る際には注意しつつ運転することが大事でしょう。
また、事故を起こすと高額請求されること等もあるので、自転車に乗る際には個人賠償責任保険等も検討してみると良いかもしれません。