Fモデルならではの豪快さと洗練の融合、レクサス RC F
レクサス RC F パフォーマンスパッケージ
レクサスのスポーツブランド、F。その名を車名に冠する車は、街中でのレクサスらしい扱いやすさと乗り心地を持ちながら、そのままサーキットに持ち込んで本気のラップを重ねることができるという、二面的な魅力を融合させた、レクサスらしいスポーツカーなのです。
現在ではRC Fただ一台しか設定されていませんが、Fモデルは、頂点となるV10エンジンのスーパーカー「LFA」の魅力を引き継ぎ、レクサスラインナップで広く設定されている「Fスポーツ」車よりも広範に手の入った研ぎ澄まされたスポーツ感が魅力です。
レクサス RC F パフォーマンスパッケージ
日本車でスポーツカーの選択肢がグッと減ってから早数十年。とはいっても、現在でも各メーカーから独自の魅力を備えたスポーツカーが登場しています。
しかし、時代の流れに逆らうかのような大排気量・自然吸気スポーツエンジンを搭載したRC Fの魅力は、現代のスポーツカーラインナップの中でも一際輝いて見える、特別な存在なのです。
そんなRC Fの魅力を4点まとめてご紹介していきます。
■【RC Fの魅力その1】消え行く運命!?自然吸気スポーツエンジン
レクサス RC F トラックエディション(北米仕様) エンジンルーム
もはや年々厳しくなる環境規制や騒音規制に対応するには、車の電動化や、せめて排気量や気筒数のダウンサイズは避けることができない自動車の未来です。
世界中の自動車メーカーが、それまでラインナップしていたV12やV8の選択肢をどんどんと削っている中、RC Fでは5.0リッター V型8気筒自然吸気のスポーツユニットを搭載。
その研ぎ澄まされた回転フィールや排気音、アクセル操作へのレスポンスの良さは、自然吸気エンジンならではのもので、世界中のエンスージァストから称賛の的となっています。
もはや5.0リッターという大排気量、しかも過給機をつけないエンジンがこれから新開発される見込みは世界的に見ても薄いので、もしかすると、レクサスの5.0リッター V8エンジンは、自然吸気エンジンのフィナーレを飾る歴史に残るエンジンかもしれませんね。
■【RC Fの魅力その3】「本物」の迫力のエクステリア
レクサス RC F パフォーマンスパッケージ
ベースとなっているスポーツクーペ、「RC」の洗練されたスポーティさを残しつつ、ボディ各部に追加されたエアロパーツは、効果の裏付けのある機能的なデザイン。
より開口部が拡大されたアグレッシブな形状のフロント、フロントフェンダーに追加されたダクトやロッカーモール、リヤのディフューザーまで、空力を味方につけるデザインは、本物のスポーツカーらしい迫力を感じさせます。
Fの証である台形配置の4連マフラーや、大幅にワイド化されたリアフェンダーなど、スポーツカーらしく後ろ姿にも抜かりがない点もポイント。
その優れた動力性能で抜き去った相手に対して、Fのイメージを強烈に植え付けることでしょう。
■【RC Fの魅力その3】レクサスらしいおもてなしのインテリア
レクサス RC F インテリア(ブラック&ホワイト/シルバースターリングファイバー)
スポーツカーらしい迫力を感じさせるエクステリアに呼応しつつも、レクサスらしい高品質なインテリアも忘れていません。
カラーコンビネーションの豊富さや、素材の高品質さはレクサス車そのもの。それでいて、オーナメントパネルではスポーティなカーボンを用意しているなど、演出にも余念がありません。
F専用デザインのシートは、ステッチの入れ方まで工夫してドライバーやパッセンジャーをよりしっかりホールドできる優れもの。
同じくF専用デザインとなるメーターパネルも合わせて、乗り込んだあとも期待がどんどん高まっていく、高級スポーツカーらしいインテリアとなっています。
■【RC Fの魅力その4】先進技術でサーキットの楽しさを全ての人に
レクサス RC F(2014年型) インテリア
RC FのV8エンジンは、最高出力 481PS、最大トルク 535N・mという、レクサスラインナップ内でもトップクラスの高出力エンジン。
ひと昔前のスポーツカーでは、技術レベルの高いドライバーですら運転が難しかったレベルの高出力なのですが、RC Fでは、先進デバイスを多数活用することで、誰もがスポーツ走行の奥深さを楽しめるようになっています。
トランスミッションは8速ATのSPDS(スポーツ ダイレクト シフト)を採用。オートマチックの簡易性を備えながら、Mモードではロックアップ領域を拡大。よりドライバーの意思に忠実な駆動力を実現しています。
また、後輪左右に振り分ける駆動力を電子制御するTVD(トルク ベクタリング ディファレンシャル)の用意がある点もRC Fならでは。
これはコーナリング中、コーナー外側の後輪により多く駆動力を与えることで、車両挙動を安定させるとともに、タイヤのグリップ力を最大限に活かした高速コーナリング性能を実現しています。
レクサス RC Fのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,710mm×1,845mm×1,390mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,730mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 1,720kg | |
燃費 | WLTCモード:8.5km/L | |
エンジン種類 | V型8気筒 4,968cc | |
エンジン最高出力 | 354kW(481PS)/7,100rpm | |
エンジン最大トルク | 535N・m(54.6kgf・m)/4,800rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) | |
トランスミッション | 8速AT |
RC Fとライバルを比較してみました!
レクサス RC F パフォーマンスパッケージ
2019年の改良によって、よりシャープなエクステリアデザインや研ぎ澄まされた動力性能だけでなく、新たにサーキット走行向けのハードコア仕様「パフォーマンスパッケージ」が設定されるなど、進化の歩みを止めないRC F。
世界中のライバルと比較して、レクサス随一のスポーツモデルがどのような実力を備えているのか確認してみましょう。
■BMW M4
BMW M4 CS(2017年型)
RC Fのライバルとして有力なのが、BMW M4でしょう。ベースの4シリーズでも走る喜びを追求しているBMWは、現行型のM4ではダウンサイジングターボを採用。
3.0リッターの直列6気筒ツインターボエンジンは、RC Fには最高出力で劣るものの、最大トルクでは逆転する現代のパワートレインらしい味付け。その最大トルクが低回転から広い回転数域で維持される点も、ターボらしい特徴でしょう。
M4のポイントは、RC Fに比べた軽量性。より軽量化が進んだRC F パフォーマンスパッケージ比でも約100kgほど軽いM4は、トルク値の大きさも相まってより軽快に加速できそうです。
また、M4にはカブリオレが用意されているのも特徴的。こちらはメタルルーフを折り畳んで収納する方式なこともあり、先ほどご紹介した軽量性が損なわれてしまうのですが、風を感じながらスポーツカーを操る喜びを感じられるのは、M4の強みでしょう。
既に本国では新型M4が発表されており、詳細は未公開ながらもパワートレインは現行同様の3.0リッター 直6ツインターボで、出力値は大幅に向上してをRC Fを抜き去る模様。また、今後4WDシステムも選択可能になるということで、四輪のタイヤ性能を使い切るハイパフォーマンスが予想されます。
特に新型M4とRC Fを並べてしまうと、RC Fのデビュー年度の古さを感じてしまいそうですね。しかし、RC Fのいわば古典的とも言える大排気量スポーツクーペの成り立ちに魅力を感じる方もいらっしゃるのでは。
また、内外装のデザインは、どちらのメーカーも近年どんどん先鋭化しているのですが、レクサスの精緻な印象をお好みの方もいらっしゃることかと思います。
特に先進安全装備では、RC Fにも弛まぬアップデートが入っていて最新鋭のものが備わっていることもあり、どちらを選んでも後悔せずに済みそうです。
BMW M4のスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,685mm×1,870mm×1,385mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,810mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 1,610kg | |
燃費 | JC08モード:11.7km/L | |
エンジン種類 | 直列6気筒ツインターボ 2,979cc | |
エンジン最高出力 | 331kW(450PS)/7,000rpm | |
エンジン最大トルク | 550N・m(56.1kgf・m)/2,350-5,500rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) | |
トランスミッション | 6速MT |
■日産 GT-R
日産 GT-R
国産車のライバルとしては、3モーターハイブリッドのホンダ NSXよりも、長寿モデルの日産 GT-Rの方が適当でしょう。
570PSというハイパワーを誇る3.8リッター V6ツインターボエンジンと、きめ細やかな前後トルク配分制御が特徴の四輪駆動システム「ATTESA E-TS」を備えたGT-Rは、2007年デビューでもう10年以上も継続的に販売されているにもかかわらず、いまだに第一線級の動力性能を誇ります。
GT-Rのターボエンジンならではの低回転から太いトルクと、四輪駆動のトラクション性能の高さで、加速性能では置いてきぼりにされそうなRC F。
しかし、その加速中の官能性という部分においては、RC Fには大排気量自然吸気エンジンならではの魅力があるのも確か。高回転でいよいよ勢いづいていくそのフィールは、今やターボ全盛のスポーツカー界において味わうことの難しくなった部分でしょう。
日産 GT-R NISMO(2020年型)
インテリアの仕上げでも、GT-Rが上質ではありますが事務的とも言えそうなデザインなのに対し、RC Fのシンプルながらレクサスらしい仕上げが光る部分。
RC Fのセミアニリン本革の前席には、GT-Rでは選べないベンチレーション機能も備わるなど、プレミアムブランドならではのホスピタリティはRC Fのお手の物といったところでしょう。
GT-RとRC F、どちらもサーキット志向のハードコアグレードが備わることは一緒なのですが、GT-Rのそれは値段からしてケタ違いの存在。GT-R NISMOは、ベーシックなGT-R プレミアムエディションが2台買えてしまう2,420万円という価格が設定されています。
これは、RC Fが大排気量自然吸気スポーツのフィナーレとなりそうなことと同様に、GT-Rも電動化しないターボスポーツのフィナーレとなることが予想されており、10年以上続いたGT-Rの集大成として専用パーツがこれでもかと奢られた仕上がりになっているため。
通常販売モデルとなるRC F パフォーマンスパッケージと異なり、GT-R NISMOは台数限定販売のため注文が殺到。GT-R NISMO 2020年モデルは既に完売済となっています。
日産 GT-Rのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,690mm×1,895mm×1,370mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,780mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 1,720kg | |
燃費 | - km/L | |
エンジン種類 | V型6気筒ツインターボ 3,799cc | |
エンジン最高出力 | 441kW(600PS)/6,800rpm | |
エンジン最大トルク | 652N・m(66.5kgf・m)/3,600-5,600rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 6速DCT |
レクサス RC F パフォーマンスパッケージ
レクサス RC F カーボンエクステリアパッケージ(2014年型)
まとめ
レクサス RC F パフォーマンスパッケージ
レクサスのFブランドをたった一人で背負っているRC F。そんな重責ながらも、雰囲気だけのなんちゃってスポーティクーペではない、本気の仕上がりのRC Fは、将来は2010年代の名車の1台として記憶されていくことでしょう。
新車で買える期間はもういつ終わってしまってもおかしくありません。今のうちに、レクサス販売店へ向かわれては。