スリップストリームってなに?

スリップストリームとは?
スリップストリームと言うのは、自転車や自動車競技で使用される走行法の一つで空気抵抗を抑える事で後続車が速度を更に上げる事が出来る手法です。
仕組みとしては、物体は前に進む際に空気による抵抗を受けます。これを空気抵抗と呼び、自動車が前に進もうとした場合空気がぶつかる事で車体を押さえつけたり速度を低下させたりするのです。
しかし、自動車レースなどで前方を走る自動車のすぐ後方を走っている車は空気抵抗が少なくなっており、これをスリップストリームと呼びます。
その為、後続車両は更に速度を上げられるという利点が生まれるのです。 ただし、後続車は速度を上げられるメリットを受ける反面、車を地面に押さえつける空気抵抗も減少してしまう為、車を安定させる空気抵抗の恩恵を受ける事が出来なくなるというデメリットもあるのです。
それが、なぜデメリットであるかですが、自動車は速度が増せば増すほど空気の抵抗を受け、自動車のボディの形状によっては車体が浮かび上がろうとします。
それを抑える為に必要なものが空気抵抗になり、抵抗をあえてボディから発生させる事で強制的に車を地面に設置させているのです。しかし速度が増した車は、浮かび上がろうとする空気抵抗が増す為地面を離れようとします。
その為、高速で移動しているレースカーなどでスリップストリーム走行を行うと後続車両が浮き上がってしまい、稀に宙を舞う事があるのは空気抵抗を失っている為です。
スリップストリームとはどんな効果があるのか

自転車欧州最速記録挑戦をスリップストリームでサポートするポルシェ カイエン
スリップストリームとは気圧を使用した走行法で空気抵抗を減少させた後続車は気圧が低くなっている為、前方の車両に引き寄せされる現象が発生します。
この時、自動車のコントロールが急激に難しくなるのは、気圧が変化し、車を地面に接地させるだけの空気抵抗を失う事で車両のバランスを崩すのです。特にレースカーなどは自動車の形状から空気抵抗を発生させ、地面に接地させる事で安定を保っています。
その為、気圧が低下してしまうと空気による恩恵が受けられなくなるのです。よく、空気抵抗を受けなければ自動車はすごい速度で走る事が出来るのではないかと言われますが実際はその通りです。
しかし、空気抵抗が無い場合、物体は抵抗を失うわけですから速力が増した物体は地面から離れてしまうのです。
これが俗に言う宙を舞うという状態で、空気にて自動車を抑える力が失われ、速度がある事により、物体が地面を離れてしまう力の方が増した事により宙を舞ってしまうのです。
ですので、現在ではこのスリップストリーム走行は、空気抵抗を減らした上で燃料代を節約する手法として利用される手法と、米国の伝統的な自動車レースであるナスカーのように、順位を上げる為に空気抵抗を減少させトップに躍り出る2つの使い方をしてレースを有利にさせる手法として定着しています。
■スリップストリームのメリット

消費燃量も減少出来る
空気抵抗を減少させるという事は、前面からくる抵抗を軽減させる事が可能となります。その為、後続で走る自動車は、前を走る車よりも速力を出す事が出来かつ、タイヤに掛かる負荷も減少させる事が可能で燃料消費量を抑える事も可能なのです。
一方前方をトップで走る側は、後方にピッタリとつかれると、後続車はスリップストリームを利用して燃料の消費とタイヤの摩耗が抑えられる為、レースでは前方を走る自動車が不利となるのです。
なおスリップストリームは車の大きさも関係しており、大きな車の後ろを小さな車が走った場合、空気抵抗は前方の車が受ける為、後ろを走行する小さな車は空気抵抗をあまり受けずトップスピードが増加します。
逆に大きな車が、小さな車の後ろ に付けた場合、残念ながら空気抵抗を一部受ける為、スリップストリーム走行は可能ですが恩恵はあまり受けられないです。
■スリップストリームのデメリット

全損クラッシュ
スリップストリームにおけるデメリットですが、空気抵抗が消失するという事はコーナーなどグリップ力を必要とする場面においてはタイヤの性能のみで自動車を地面に押しつけなければならないというデメリットが生まれます。
このデメリットは、速力が早くなればなるほど大きく現れ、空気抵抗による地面に押さえつける力の恩恵が無いと、いずれタイヤのグリップ力だけでは補えなくなるのです。
その為、後続車両がコーナーを曲がり切れずにクラッシュするのは、速度が増加した分、タイヤがすでにコーナリングにおいてグリップを発揮できない状態になってしまっているのが原因です。グリップを失うという事は、地面にタイヤが食いついていない状態の事を指します。
地面にタイヤが食いついていないという事はハンドルを切ってもマシンは反応しない事を指し、バランスを取る事が出来なくなるのです。
この時、速力を落として減速するという手法を取れば、もしかするとタイヤがグリップする領域でコーナーを曲がる事が出来ますが、それをした場合レースにおいては速度を落とす事になりますので、先行車に車間距離を離されてしまう可能性が高くなります。
このスリップストリームは、追いついている状況下において発揮する走法である為、突き放されて車間距離が開いてしまうと効力を失います。
その為、スリップストリーム走行を行う者は前方のマシンに接近する必要があり、距離を見誤ると接触事故を起こすので、両車ともにバランスを崩し事故を起こす可能性もあるのです。
私たちにも使えるのか?スリップストリーム

高速道路
高速道路などで、大型車が隣を通過すると、小型車は引っ張られるような感覚になることを体験したことはありませんか?これは、大型車の車体に発生している負圧(スリップストリーム)の影響です。
しかし、公道上で意図的に前走車に近付いてスリップストリームを使うことは、運転技術に長けたプロのレーサーであってもレース中に事故を起こす場合もあることからもわかるとおり非常に危険な行為で、ドライバーが試すことは絶対にあってはなりません。
また、レース場においてはテクニックとして使用可能ですが、やはり接触の可能性もある為、レースにおいては走者同士が配慮をしたのちに安全を確認して行うのが正しいのです。
スリップストリームはレースの世界では有効

ブランパン GT ワールドチャレンジ アジア
スリップストリーム走行ですが、レースの世界ではとても有効的な走法で後続車でありながらトップ車両を追い抜く事が出来るテクニックの一つとして定着しています。
バランスこそ崩しやすい走行ですが、レース車両の駆動形式によってはバランスを崩しにくい車両もある為、パワーが無い車両でパワーがある車両に立ち向かう事が出来る走行法として有効です。
まとめ

F1日本GPスタート
今回、お話しした様に、スリップストリーム走行は、あくまでも自転車レース・自動車レースなどの競技において後続車両が前方車両を追い抜く際に使用する走行テクニックです。
スリップストリーム走行自体は、バランスを崩しやすい走行法である為、公道での使用は出来ません。危険を伴う為やってはいけない行為になります。忘れない様にしましょう。
また、安全が確保されたレース場内であっても、車同士の接触で大きな事故の原因となる可能性もありますので、スリップストリーム走行を行う場合は、レース前に参加者と主催者の間で車同士が接触した場合などについて協議をする事も良く知られていることです。