メルセデスベンツとは?
メルセデスベンツ E200 4MATIC スポーツ
メルセデスベンツはドイツのダイムラーという会社の乗用車と商用車のメーカーのことです。ドイツの高級車ブランドとして知られており、車好きでなくてもベンツは分かるという方もおられるでしょう。
欧米では、「メルセデス」や「メルセデスベンツ」と呼ばれることが多いですが、日本では「ベンツ」と呼ばれることの方が多いです。また高級車だけでなく、比較的お手軽な価格帯のモデルもあります。
■メルセデスベンツの概要
ダイムラー本社
そもそも「メルセデス・ベンツ」は、ダイムラー・モトーレン社とベンツ&カンパニーという2つの会社が合併して1926年に誕生しました。その後、「ダイムラー・ベンツ」、「ダイムラー・クライスラー」、「ダイムラー」と社名が変更されていますが、「メルセデス・ベンツ」というブランドは変更されずに販売されています。
日本とのメルセデスベンツの関わりは歴史が古く、1986年にはダイムラー・ベンツAGの子会社として、メルセデスベンツ日本株式会社が設立されました。会社が設立されたのは1986年ですが、最初にメルセデスベンツの車が輸入されたのはもっと以前の1912年のことです。
メルセデス カルダンヴァーゲンが御料車として輸入されたのが始まりです。天皇や皇族が乗るための車が輸入されたので、日本でのメルセデスベンツの本当の始まりといえるでしょう。1996年には商用車の販売もスタートさせるなど、乗用車、商用車ともに販売しています。
ベンツ?それともメルセデス?呼び方について
日本では「メルセデスベンツ」よりも「ベンツ」と呼ばれることが多いです。しかし海外では、「メルセデス」と呼ぶことの方が多いです。なぜ2通りの呼び方があるのでしょうか?
■「ベンツ」の始まり
原動機付き三輪車
そもそも「ベンツ」というのは、1886年に初めて自動車の特許を取得したカール・ベンツという人物の名前で、原動機付きの三輪車を製造しました。世界初の原動機付三輪車が、ガソリン自動車の誕生とされています。
同時期にゴットリーブ・ダイムラーが世界で初めての四輪自動車を製造します。ベンツが先に特許を取得していたので、世界初のガソリンエンジン車とはなりませんでしたが、ライバル関係となり切磋琢磨するようになりました。
■親しみを持てる名前「メルセデス」
メルセデスベンツミュージアム
1926年に別々だったベンツ社とダイムラー社が合併して、「ダイムラー・ベンツ」となりました。その合併会社の製造する車は、新たに「メルセデス・ベンツ」というブランド名が与えられていました。
このメルセデスとは、ダイムラーの自動車やエンジンの販売だけでなく、ダイムラー車でのレース活動も行うなど関わりの深かったオーストリア人実業家、エミール・イェリネックが、ダイムラー車に愛娘のメルセデスの名前をつけて販売したことから始まったもの。
それまでのダイムラー車の事務的な車名とは異なるエレガントな女性名は、まだ一般的でなかった自動車のイメージを向上させ、1902年には正式に商標登録もされるなど、ダイムラー車の代名詞のようになっていました。正式名称としては「メルセデスベンツ」ですが、親しみを持てる名前としてメルセデスと呼ぶことが多いです。
メルセデス・ベンツに搭載されている自自然対話式音声認識機能でも、「ハイ、メルセデス」と呼びかけることからも、メルセデスという呼び方が念頭に置かれていることが分かります。
日本でのメルセデスベンツ
メルセデスベンツ Sクラス 新型
日本では、メルセデスベンツは高級車というイメージが広がっています。高級車の代表的なメーカーとして知られていますが、Aクラスのような比較的手ごろな価格帯のモデルもラインナップされています。
いかにも高級車というSクラスなどもありますが、高級車メーカーではなく、コンパクトカーから商用車まで販売しているメーカーです。Aクラスなどは以前よりも街中で見かける機会も多いことからも、メルセデスベンツがより一般的になっているともいえるでしょう。
メルセデスベンツのクラス分け
メルセデスベンツ Bクラス
メルセデスベンツのラインナップを見ていると気づくのは、AからE、またSなどとアルファベットの車名があるということです。簡単に説明すると、Sクラスが最上級モデルで、そこからE、C、B、Aとランクが落ちていきます。
さらにそれぞれのランクに、セダンやスポーティーなクーペ、さらにSUVのボディ形状があります。クーペやSUVモデルには、アルファベットが3文字並ぶ車種もあるでしょう。たとえばCLAのようです。クラス分けを簡単に見分けるには、3つ目のアルファベットを見ます。
CLAならAクラスがベースとなったクーペという具合です。SUVも同じように3つのアルファベットがありますが、どれも3つ目のアルファベットで見分けることが可能です。「GL」以降のアルファベットがベースとなるモデルです。
メルセデスベンツの価格帯
メルセデスベンツ Eクラスクーペ/カブリオレ
既述しましたが、一般的にメルセデスベンツの価格は高いというイメージがあります。確かに、1,000万円を超えるSクラスのような高級車もありますが、Aクラスのように約367万円~から購入できるモデルもあります。
Cクラスセダンであれば、約489万円~の価格帯です。またEクラスセダンであれば、約769万円~からの車体価格です。ミニバンの高級化が進んでいるので、価格が非常に高いとはいえないモデルも選択可能なラインナップとなっています。
もちろんAMGのラインナップを選択すると、同じクラスでも価格が一気に高額になります。またマイバッハなどの高級ラインなどは数千万円からの世界になるので、一般人が購入するのは難しいほどです。
メルセデスベンツの評判は?人気の理由
メルセデスベンツ CLA新型 ユーロNCAP衝突テスト
メルセデスベンツのの評判はどのようなものでしょうか?人気の理由を見てみると、以下の3つのポイントがあります。
・安全
・最良で上質
・デザイン
これらの3つのポイントが、メルセデスベンツの人気の理由です。
■1:安全へのこだわり
メルセデスベンツのこだわりには、安全性が非常に高い地位を占めています。1951年には自動車の安全性の理論を確立して、衝撃吸収構造ボディの特許を取得しています。また1957年には二点式シートベルトを設定するなど、初期の頃から安全性へのこだわりを見せているのが特徴です。
1967年にはエアバッグの開発がスタートされ、1978年にデジタル式のABS(アンチロック・ブレーキング・システム)が発表されています。
数々の特許を取得しながらも、無償で公開しているのは世界中の車の安全性が向上することを願っているからです。自動車の歴史の初期から、現在に至るまで安全性にこだわっています。
■2:最良のものを作り続けるこだわり
最良で上質なものを作り続けることも、メルセデスベンツのこだわりです。安全性だけでなく、最先端の技術を開発し続けることで、車のあり方を考え続けています。たとえば、自動運転車の開発を行っており、安全に車を運転する方法を模索しています。
渋滞走行や高速道路の長距離運転で、ストレスを受けやすい環境で、ドライバーの負担を軽減することで安全に運転できる環境を提供します。もちろん自分でハンドルを握って運転したいときには、ボタン1つで運転を交代できるので、ドライビングの楽しさも味わえるのも特徴です。
■3:デザインへのこだわり
デザインへのこだわりもあり、伝統的なデザイン哲学の元にメルセデスベンツの車の形状を受け継いでいます。一目見てメルセデス・ベンツの車と分かるほどの統一感。空気抵抗や室内空間を考慮したスタイル、また機能性や安全性を考慮したデザインになっています。
すべての席で快適に過ごせるようになっていますし、操作系のデザインも操作性や視認性を高めているデザインです。スタイリッシュでありながらも、飽きがこないデザインを採用しているので、長期間愛用できます。
メルセデスベンツの最新情報
メルセデスベンツの最新情報をご紹介しましょう。
■Eクラスの改良新型が発売
メルセデスベンツ E200 4MATIC スポーツ
Eクラスの改良新型が2020年9月に発表されており、発売されています。改良新型では、シャープでダイナミックなスタイルに変更されています。最新のメルセデススポーティモデルに採用されているヘッドライトのデザイン。またクローム仕上げのダイヤモンドグリルなどスタイリッシュさが増したデザインです。
リアのデザインは、ボディのワイドさを強調するデザインに変更されています。インテリアには、新世代ステアリングホイールが採用されており、各種設定が手元で行えるようにされているのが特徴です。
ARナビゲーションが採用されているので、車両前面の景色をナビゲーション画面に映して、直感的に案内を理解できるようにされています。最新の安全運転支援システムが採用され、右折時に対向直進車と衝突の危険がある場合に、10km/h以内なら自動ブレーキが作動します。
■コンパクトミニバンが発売か?
メルセデスベンツ Tクラス プロトタイプ(スクープ写真)
メルセデスベンツが開発しているコンパクトミニバンの「Tクラス」、また手ごろな価格の「シタン」が発売される見込みです。「シタン」はルノーのカングーのメルセデスベンツバージョンです。シタンは商用車として利用される予定ですが、個人の顧客向けのモデルがTクラスです。
最新のインフォテイメントシステムや安全支援システムが搭載され、Vクラスと同じような上質な空間になることが期待されます。Vクラスは大きなボディサイズですので、Tクラスが発売されると、ボディ形状の選択肢が増えるでしょう。
Tクラスには、ガソリンやディーゼルの他に、EVも搭載されることが濃厚とされているので、今後の発表に期待されます。
メルセデスベンツの人気モデル
メルセデスベンツの人気モデルを3車種ピックアップしましょう。簡単に各車種の魅力をご紹介します。
■メルセデスベンツ Aクラス
メルセデスベンツ Aクラスセダン
メルセデスベンツの最小車種であるAクラスは、メーカー内の日本での販売台数でもトップになるほど人気のモデルです。メルセデスベンツの性能や装備をコンパクトにまとめたモデル。Aクラスは1997年に初代が誕生してから、現行型は4代目。初代と2代目は背が高いハッチバックでしたが、3代目からはスポーティなコンパクトハッチバックとなりました。
メルセデスベンツの乗用車初のFF車なので、質が劣るのではというイメージを持った人の予想を裏返すほどの高級感です。小さな高級車といえばAクラスといえるほど魅力的なモデルです。
上質なインテリア
メルセデスベンツのエントリーモデルである、Aクラスであっても新しいデザイン方針を体現し、モダンなスタイルが採用されています。インパネには2枚のスクリーンが配置され、ドライバーからの視認性が高いです。
エアアウトレットはタービン型が採用、水平基調のダッシュボードのデザインと相まって高級感を感じさせてくれます。シートなどの装備も充実しているのは、メルセデスベンツの上質さを表しているポイントです。
スポーティなスタイル
キャラクターデザインが曲面で構成されているので、スポーティな雰囲気を感じさせてくれます。サメのように鋭さがありながらも、丸みを感じさせるフォルムと、ボリューム感があるリアのデザインはスポーティなスタイルです。
上級車種と比較しても大きな違いを感じさせないので、Aクラスがクラスを超えた上質感を出していることが分かります。
■メルセデスベンツ Cクラス
メルセデスベンツCクラス
Cクラスはメルセデスベンツの定番モデルといえます。中間の位置に存在し、日本でも売れているモデルです。Cクラスはセダンが一般的になっているので、メルセデスベンツらしい高級感を感じさせてくれるモデル。
欧米の車の中では、比較的コンパクトなサイズなので、日本の道路でも運転しやすいのが特徴です。セダンだけでなく、ステーションワゴンやクーペ、カブリオレも選択できるので、多種多様なボディタイプから選べるのも魅力です。
価格と装備のバランスがよい
メルセデスベンツといえば、高級車というイメージがありますが、Cクラスなら比較的手が届きやすい価格帯なことも魅力です。新車でも400万円台からラインナップされているので、国産車と比較しても同じほどの価格ともいえます。見た目も高級感があるだけでなく、充実した装備があり所有感を見たしてくれます。
安全装備も充実しているのも魅力。ミリ波レーダー、ステレオカメラによる衝突予防が装備され、障害物や歩行者を検知して、衝突の危険性があるときに自動ブレーキがかかります。Sクラスで採用された安全装備が受け継がれ、メルセデスベンツらしい安全運転をサポートする機能が搭載されています。
リセールバリューもよい
機能も高く、上質さを感じさせてくれるモデルなので、Cクラスの人気は高いものです。需要が高いことから、中古でも売却できるので乗り換えやすいのもCクラスの魅力。新しい車に乗り換えたいときに、リセールバリューがよければ、元になる資金があるので選択肢も広がるでしょう。
中古市場にもCクラスが多くあるので、手にしやすいのも特徴です。中古で購入してからも査定のときに高額で売却できることもあり、乗り換えもスムーズにいくことでしょう。人気の高さから購入から売却までスムーズなのもCクラスの魅力です。
■メルセデスベンツ CLA
メルセデスベンツ CLA
メルセデスベンツのラインナップでは、最小級のサルーンであるCLA。クーペとシューティングブレークがありますが、ラグジュアリー感を感じさせてくれるスタイルと、プラットフォームのよさから人気モデルとなっています。
初代は2013年に発売されてから、ちょうどよいサイズと手にしやすい価格ということから、大人気モデルとなっています。2019年に現行モデルが発表されて、流麗なエクステリアと上質感でクラスを超えた魅力的なモデルです。
流麗なクーペスタイル
一目でクーペスタイルと見分けられるほど、低く抑えられたノーズとルーフラインの低さはクーペそのもの。Aクラスセダンよりも流れるようなラインが形成されており、軽快な印象を与えてくれるデザイン。
4ドアクーペの兄貴分ともいえるCLSと区別が難しいと感じるほど、そっくりなテールランプで高級感を与えます。上質さとスポーティさを両立させたデザインです。
上質なインテリア
どのクラスでも上質さを感じさせてくれるメルセデスベンツのモデルですが、CLAでもモダンな仕上がりは変わりません。近年のメルセデスベンツらしいスクリーン2枚のダッシュボード、エアアウトレットなどと相まってクラスを超えた高級感を楽しめます。