フライホイールって何?
スポーツフライホイール
フライホイールって何?と聞かれて、答えられる方は少ないのではないでしょうか。ほとんどの方がどんな物なのか?どこに使用されているのか?どのような働きをするのか?わからないと思われます。
簡単にいうとマニュアル車のエンジンに使用されている部品の1つで、エンジンをスムーズに回転させるための物であり、さらにレスポンスを左右するほどの重要な部品といえます。
日本語では、フライホイール=「弾み車」と言われており、回転運動の慣性のはたらきを利用してムラを抑えるための部品となります。
構造的には、シンプルで重量があることが特徴になります。後にご紹介しますが、重量がポイントになります。
フライホイールの原理
低イナーシャデュアルマスフライホイール
原理としては、「慣性の法則」(止まった物を動かすためには力が必要になります。また、一度動き出した物はそのまま運動を続けようとします。)というものになります。
例えば、手に何も持たない状態でグルグル回した場合は、いつでも回し始めることができ止めることも簡単にできるでしょう。
しかし、手に水の入ったバケツを持った場合は、回し始める際は重さがあるため力が必要になりなかなか大変となります。さらに、止める時でも重さと遠心力で急に止めることは難しいでしょう。これが、「慣性の法則」でありフライホイールの原理となります。
重量物を装着することで、回転ムラ(速度や力のムラ)がおこっても慣性の力で回転を続けようとするため、ムラを抑えてスムーズに回転をすることができます。
■フライホイールの役割
主な役割としては、エンジンの中ではピストンが上下の動きを繰り返していますが、この往復運動を回転運動に変換するのがクランクシャフトとなります。ピストンが上下なのに対し、クランクシャフトは回転します。
ピストンの原動力は、空気とガソリンの混合気を燃焼(爆発)させた力で下へ(押し下げる)動かします。逆に上へ押し上げる場合には、先ほど説明した慣性の力が働きます。
クランクシャフトに手にバケツを持つのと同様に、重量のある荷物(フライホイール)を持たせるのです。
それによって、ピストンが下へ下がる力を使い切ったとしても回転を継続しようとします。取り付ける重さも重要となり、ピストンが作り出す力に合った重さにしなければなりません。重さが合っていないと回せなくなってしまいます。
■軽量フライホイール
重さが重要とご説明しましたが、なぜ軽量なのかという説明をすると、加速や減速を繰り返し行う場合は、軽量のほうが適しています。主にあげられるのは、競技用途(モータースポーツ)などとなります。
フライホイールは慣性の力によって回転を保とうとします。そのため、現在の回転数を変えるためには力を必要とします。
その力は慣性の大きさに比例します。重いほど力が必要となるということです。このことから、同じ速度を保ちゆっくりと走行するのであれば、重いフライホイールのほうが運転が楽になります。
キープしたい速さまでいけば、その速さを保とうとする力が軽いフライホイールに比べ大きため、速度をキープしやすくなります。
逆に軽い場合は、一定速度へ達するまでの加速が速くなりますが、一定の速度を保つのは適していません。このことからわかるように、競技用途(モータスポーツ)などの加速や減速を繰り返し行う際にパフォーマンスが上がります。
■軽量フライホイールのメリット
加減速に強い
高い回転数にすることが楽になりクルマにもよりますが、加速が良くなります。また、減速を行う際にはエンジンブレーキの効きが強くなるため、制動距離を縮めることにもつながります。加減速のパフォーマンスが上がります。
レスポンス
エンジンのレスポンスとは、アクセルを踏んだ際のエンジンの反応をいい、軽くなることでエンジンの吹け上がりがよくなります。
フライホイールが軽いためクランクシャフトにかかる重さも少なくなり、エンジンが軽く回っていきます。
■軽量フライホイールのデメリット
操作
アクセルの操作が難しいです。レスポンスがあがるということは、敏感になり扱いが難しくなります。
例えば、クルマの動きにしても急な動きになったりすることで、急ブレーキや急発進と同じような動きとなります。エンジンの回転ムラが大きくなり、速度を一定に保つのが難しくなることもあげられます。
燃費
軽量化することで慣性の力が少なくなり、その分をエンジンがより多く力を作らなければなりません。
力を作り出すためにはガソリンが使われるため、アクセルを踏み込む力が大きくなればなるほどガソリンが必要になります。結果、燃費が悪くなるということにつながります。
■フライホイールは交換が必要か?
交換が必要かどうかはそれぞれ異なりますが、基本的にクラッチほど消耗することはありません。フライホイール自体に傷がつくなど不具合が発生した場合やセルモーターと噛み合うリングギアの歯が欠損した場合などに、交換が必要となります。
あまり故障することはない部品となっているため、クラッチを交換する際に点検をする程度でいいでしょう。
■フライホイールの交換時期
交換時期の目安として年数や走行距離を一概に言い切れないほど寿命の長い部品がフライホイールです。
具体的な交換の目安としては、クラッチの交換時にフライホイールへの不具合が見つかった際や、セルモーターと噛み合うリングギアの歯が欠損したときなどの不具合が生じたときとなります。
フライホイールの交換費用
交換費用
フライホイールは基本的にメンテナンスフリーの部品であるため、単体で交換する際にかかる費用を平均的に出すことは難しくなっています。
エンジンの大きさなどによってフライホイール自体の大きさと価格が異なるほか、駆動方式や脱着する部品の点数などによって工賃が跳ね上がってしまうことも。
クラッチの交換と同時に行うことで、交換工賃が節約できる可能性がありますので、合わせての交換を相談してみるとよいでしょう。
まとめ
ニスモ フライホイール
エンジン内部の部品であるため、なかなか見ることが少ないフライホイールですが、その働きや役割などとても重要なポイントであることがわかります。
また、ほとんど故障などがないことや寿命が長期間にわたることから、クラッチなどの点検の際に一緒に確認すると効率よく点検することができ、カーライフを楽しむことができます。