免許を取ったら突然やってくる、ガソリンスタンドの試練
給油の様子
車やバイクの免許を苦労してとって、さあ最初のドライブ! その時に一番困ってしまうことは、もしかすると燃料の給油方法が分からないことかもしれませんね。
教習車をガソリンスタンドで給油することはありませんし、ご家族がするところを見て学ぶ程度しか情報源もなく、いざ燃料が減ってきたからガソリンスタンドへと向かっても、普段触れることのなかったサービスだけに、まごついてしまうかもしれません。
また、近年ではスタッフが給油をしてくれる、いわゆる「フルサービス店」はどんどん見かけなくなってきており、セルフ式のガソリンスタンドが目立ちます。
このことは、初心者の方にもよりプレッシャーを与えそうですが、ベテランの方でもまだまだセルフ式ガソリンスタンドを使い慣れていない場合は、ちょっと緊張してしまうかもしれませんね。
この記事では、ガソリンスタンドを落ち着いてスマートに利用するために、押さえておきたいポイントをご紹介していきます。給油に自信のない方は、ぜひ読み進めて、しっかり予習をして見てくださいね。
セルフ式ガソリンスタンドとは?
セルフ式ガソリンスタンド
まず、セルフ式ガソリンスタンドとは、先ほども軽くご説明したように、店舗スタッフに給油してもらうのではなく、顧客自らが給油作業を行うガソリンスタンドになります。
フルサービス式では料金は後払いですがセルフ式では先払い、お釣りは別の機械から出る場合もある、など、細かな違いもありますが、最も大きな違いは「誰が給油するのか」ということでしょう。
セルフ式は道路沿いの看板に大きく「セルフ」等と記載されていますので、ガソリンスタンドに入る前から判断することができます。
まだまだ不慣れだから自分で給油するのはちょっと怖いかも…とお思いの方は、まずフルサービスのガソリンスタンドに行ってみて流れを確認してから、セルフ式にチャレンジしてみるのも良さそうです。
■セルフ式ガソリンスタンドが増える理由、ユーザーのメリット
ガソリンスタンド 価格表示
セルフ式がどんどん増えている理由は、人件費を削減できることが大きな理由でしょう。
ガソリンなど、扱いにしっかりとした注意が必要な可燃性のものを扱うのがガソリンスタンドですので、以前まではスタッフによる給油が義務付けられていたのですが、1998年の正法法改正によってセルフ式が解禁されました。
フルサービス式で元気のいいスタッフさんに給油してもらったり窓を拭いてもらったりするのも気持ちのいい体験ではありますが、給油する客がひっきりなしに来るような人気店ならまだしも、あまり客が来ない平日の日中などに複数スタッフを店舗に待機させておくのは、やはり無駄が多くなってしまいます。
さらに近年では自動車の燃費性能が飛躍的に向上中。ガソリンをそもそも入れる機会がどんどん減っていることもあり、ガソリンスタンドは経営が苦しい場合も多く、やむなくセルフ式に転向した店舗もあることでしょう。
その人件費節約の結果か、セルフ式とフルサービス式で燃料の価格を比べると、セルフ式の方がやや安く設定されている場合もあります。
また、人によっては、フルサービス式で店員さんと関わるのが苦手…という方もいらっしゃるかもしれませんね。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、給油待ち中にガソリンタンクの水抜き剤だとかオイル添加剤をセールストークしてくる店舗もひと昔前には見られました。
中にはそのスタッフさんの「おせっかい」で、パンク寸前のタイヤに気付けたりなど助かるケースもありますが、できれば給油はあまり気を遣わずにササっと済ませてしまいたいもの。
そのため、大型の店舗などでは、フルサービスが受けられる給油レーンとセルフ式の給油レーンが両方用意されていて、顧客の好きな方を選べるようなところもあります。
セルフ式ガソリンスタンドで注意したいポイント5選!
ガソリンスタンド 油種
ここからは、セルフ式ガソリンスタンドを利用する際に気をつけておきたいポイントをご紹介していきます。
ガソリンスタンドの使い方が間違っていても基本的には誰も教えてくれませんし、恥ずかしい思いはしたくないですよね。また、そもそも燃料は使い方を誤ると引火してしまう恐れもあり、重大な事故につながりかねません。
安全にスムーズにセルフ式ガソリンスタンドを使うためにも、これらのことに気をつけておきましょう。
■1. その車に給油すべき「油種」を予習しておく
ガソリンスタンド 油種
最も大事なことは、ご自分の車にはどの燃料を入れるのかを知っておくことです。軽自動車だから軽油を入れちゃった、などの間違いをしてしまうと、場合によっては車が動かなくなってしまうようなトラブルにもつながります。
ガソリン車ならレギュラーかハイオクの指示がある方、ディーゼル車なら軽油と、その車の燃料は何なのかをしっかり確認しておく必要があります。
レギュラーとハイオクの違いはそこまで大きなトラブルにはつながりませんが、ディーゼル車にガソリン、ガソリン車に軽油を入れてしまうと大変なことになるので、前もって車両の取扱説明書や、車検証などを確認しておきましょう。
車によっては給油口を開けたところに記載があるものもありますので、安心ですね。
■2. 「給油口」はどちら側にあるか、どうやって開けるのも確認
日産 エルグランド メーター
フルサービス式ならスタッフさんが誘導してくれるかもしれませんが、セルフ式では自分で給油レーンを選んで進む場合がほとんど。一般的な乗用車では給油口はどちらか片側にしかついていないため、車のどちら側に給油口がついているの知っておくことも、大事なポイントです。
車から降りたら給油口が逆側だったから車を動かす、なんてシーンは、ちょっと恥ずかしいですよね。
そんなピンチを未然に防げるのが、メーター内の表示。メーター内のガソリン残量計の横には給油機を模したマークがついていますが、最近の車はよく見るとそのマークに左向きや右向きの三角形がついています。この三角の向きの側に、給油口がついているというわけ。
レンタカーやご家族の車など、普段乗り慣れていない車ではどちらに給油口がついているか分からずに戸惑ってしまう場面もあることでしょう。そんな時は、メーター内を確認すれば答えがあると覚えておきましょう。
また、給油口の位置だけでなく、その開き方も事前に車両の取扱説明書などで予習しておけば、給油時にまごつかなくて済みます。
最近では車のロックが解錠されていれば給油口の蓋をぐっと押し込むことで開くことができるものもありますし、昔ながらの運転席周辺に給油口を開くレバーが隠れている場合もあります。スムーズに給油できるように、こちらもしっかり確認しておきましょう。
■3. スタンドに着いたら「エンジン停止とパーキングブレーキ」
《画像提供:Response 》ホンダ S660 サイドブレーキカバー
ガソリンスタンドに到着し、正しい方向の給油機の横に車を停めたら、オートマ車ならパーキングに入れて、サイドブレーキをかけ、エンジンを切りましょう。間違ってもエンジンをかけたままで車から降りてはいけません。
普段意識しているガソリンは液体の状態をイメージしがちですが、ガソリンは非常に気化しやすい危険な物質ですし、簡単に引火してしまいます。
エンジンが回っているからといって車の周囲に火花がバンバン飛び散ることはありませんが、それでも何らかの故障と運悪く重なってしまった場合は、手を近づけている給油口から激しく出火、なんていうおそろしい事故にもつながってしまう可能性もあります。
実際に起こる可能性は低くとも、エンジンを切るだけでリスクを減らすことができます。確実にエンジン停止してから給油するようにしましょう。
また、意外と見落としがちなのがパーキングブレーキ。ガソリンスタンドの敷地内は平坦になっている場合が多いですが、傾斜している場合もあり、マニュアル車でパーキングブレーキの引きが甘かったり、Pレンジに入れ損ねたオートマチック車などでは、給油中に不意に車が動き出してしまうおそれもあります。
ガソリンを周囲に撒き散らしてしまうことにもつながりかねませんので、オートマチック車はPレンジに入れてパーキングブレーキをしっかりかける、マニュアル車もパーキングブレーキをしっかりかけてから車を降りるよう、意識しましょう。
■4. 給油前に「静電気除去」、給油後の「継ぎ足し」は厳禁!
給油機
給油機で油種を選んだりお金を入れたりした後は、すぐにノズルを手に取って給油したくなってしまうかもしれませんが、それはNG。給油機に備え付けられている静電気除去シートに軽く触れることで、体に帯電している静電気を逃す必要があります。
車から乗り降りするとシートと服がこすれたりすることで、意外としっかりと静電気が溜まってしまうもの。ドアを閉める際にパチっときて嫌な思いをすることも、冬場にはよくありますよね。
この静電気によって実際にガソリンに引火してしまった事故も起きているとのことで、簡単な手順ではありますが、忘れずに静電気除去シートに触れてから給油を始めましょう。
給油口にノズルをいっぱいまで入れ、人差し指部分にあるトリガーをいっぱいまで引くと、給油が始まります。燃料が満タン状態になると「カチッ」と音がして給油が自動で止まりますので、ノズルから燃料をしたたらせないように注意しながら給油機に戻しましょう。
ちょっとでも多く給油しようと、給油が自動で止まった後、もう一度トリガーを握り込んで「継ぎ足し」を行うのはNG。ガソリンが吹きこぼれてしまう原因になります。
ガソリンは塗装面にかかると塗装をいためますし、服についてしまうと臭いがなかなか取れなかったり、シミになってしまうおそれもあります。何より燃料ですので、無闇に撒き散らしたくないですよね。吹きこぼれを防ぐためにも、一度トリガーが戻ったら、給油を完了します。
なお、車の給油口の構造にによっては、給油開始してすぐに満タン状態と誤検知されてしまってトリガーが戻ってしまうものもあるので、心配ならスタッフを呼んで確認してもらうとよいでしょう。
■5. 「キャップ」を忘れずに、お釣りも忘れずに
フォード キャップレスタイプの給油口
ノズルを給油機に無事戻したら、まずは燃料キャップをきちんと閉めましょう。給油口の蓋と燃料キャップが一体となっている「キャップレス」タイプの車も稀にありますが、一般的にはキャップをしっかりねじ込む必要があります。
少し力がいりますが、キャップから「カチ」と音がするまで回して閉めましょう。給油口の蓋を閉めることもお忘れなく。
さらに、支払い方法として現金を選択している場合、お釣りがそのまま給油機から出てくるものもあれば、近くにある釣り銭用の機械に釣り銭レシートを読ませなければならないものもあります。
無事に給油を完了できた達成感からお釣りを取り忘れてしまうということは、ベテランでもやりがちなうっかりミス。そのままお釣りを放置してしまうと、スタッフが気付いて取っておいてくれる場合もあるようですが、必ずしもそうとも限らないので、絶対に忘れないようにしましょう。
セルフ式でも店員さんはいます!
セルフ代々木サービスステーション ピザハット代々木店
セルフ式ガソリンスタンドは、給油以外の作業をしているスタッフさんを見かけることもあれば、特に夜間では、電気はついていても一見誰もいないような閑散としたところもありますよね。
しかし、ガソリンスタンドの規則上、セルフ式であっても実際の給油開始はスタッフが制御しているので、営業時間中の事務所には必ず危険物取扱者の資格を持つスタッフが常駐しています。
誰もいないようで常に監視されている、というと言い方が悪いですが、選択した油種とは違うノズルを持っていたり、明らかにディーゼル車ではない車に軽油を入れようとしている時に、声をかけてもらって助かった、なんていう実例もあるようですし、次にセルフ式スタンドで給油するときは、事務所内で確認をしてくれているスタッフさんに心の中で感謝してみてもいいかもしれませんね。
また、こちらは店舗にもよりますが、セルフ式であっても空気圧点検に対応してくれたり、洗車機などの利用方法を説明してくれるスタッフさんがいる場合もあります。
セルフ式の利用にまだ慣れていなくて不安なら、スタッフさんが近くにいるようなセルフ式ガソリンスタンドを選べば、いざというときにすぐに助けてもらえることでしょう。
まとめ
《画像提供:Response 》給油口へ差し込みが足らない例
セルフ式ガソリンスタンドで注意したいポイントをご紹介してきました。
慣れればスムーズに給油できてしまうセルフ式ですが、慣れているベテランこそ意外と危険行為をしてしまっているかもしれません。特にガソリンは危険物ですので、今一度使い方を見直してみると安心でしょう。