パワーウェイトレシオとは?
《写真提供:response》メルセデスベンツ SLS AMG クーペ ブラックシリーズ
パワーウェイトレシオは、加速力の目安として用いられる数値で、車の重量に対して馬力の大きさを示すものです。
一般的には、馬力が同じ2台の車を比べると、車重が軽ければ軽いほど加速力に優れることが多くなります。もちろん加速性能は馬力と重量だけで決まるものではなく、駆動方式やギア比などによっても大きく影響されるのですが、パワーウェイトレシオはそれらの影響を一旦無視した「目安」として用いられます。
パワーウェイトレシオは大きい方が良いのか?
BMW《写真提供:response》BMW M6 改良新型
日本でよく用いられる単位馬力あたりの重量を示すパワーウェイトレシオは、大きくなれば加速力がおちます。逆に小さいほど加速力はあがります。パワーウェイトレシオは数値が小さいほうが一般的に高性能という事になります。
パワーウェイトレシオの計算法
《写真提供:response》ランボルギーニ アヴェンタドールSVJ
パワーウェイトレシオでは「車両重量÷出力」で算出される数値のことを言い、単位はkg/PSで表します。そして1馬力あたりどれくらい重量を負担するのかを表すことができます。
算出された数値が小さければ小さい程加速力に優れているとされており、加速性能を示す数値として表されます。例えば車両重量1,000kg(1t)エンジンの最高出力が100PSで計算すると、パワーウェイトは、1,000kg÷100PS=10kg/PSという計算になります。
しかし、馬力の最高出力が100PSではなく200PSだとすると、パワーウェイトレシオは1,000kg÷200PS=5.0kg/PSという計算になります。
■軽い車はパワーウェイトレシオが小さい
自動車の動力性能の良し悪しは、エンジンの最高出力を見ればわかるような気がしますが、実際には様々な要素が影響するため、馬力だけを見ても判断できません。そこで、単位馬力あたりの重量を計算したパワーウェイトレシオを用いればより現実的な比較が可能になります。
150馬力のあるエンジンを搭載している自動車でイメージしてみましょう。その車の車重が1,000kgだとするとパワーウェイトレシオは約6.7kg/PSとなりますが、車重が1,500kgとした場合のパワーウェイトレシオは10kg/PSまで悪化します。
出力だけを見ると、どちらの車種も同じ馬力のエンジンなので加速性能は同等に思えてしまいますが、パワーウェイトレシオを用いれば、出力が同じなら車重が軽い車の方が加速力に優れていそうなことがイメージしやすくなりますね。
このように、パワーウェイトレシオを向上させる方法は、エンジンの最高出力を向上させるだけではなく、車重を軽く抑えることも効果があります。
パワーウェイトレシオが小さい車5選
《写真提供:response》ヴェイロン16.4スーパースポーツ
ここでは、パワーウエイトレシオが優れているとされるクルマを紹介していきます。
■パガーニ ウアイラ
《写真提供:response》《photo by Pagani》パガーニ・ウアイラ ・ロードスター BC
オラチオ・パガー二が率いるパガー二アウトモビリが、ゾンダの後続モデルとして2012年にデビューとなったモデルがウアイラになります。ゾンダと同様にレーシングプロトタイプの様なスタイルで、エレガントな要素を組み合わせています。
4灯ヘッドライトやリアエンド中央の4本出しエキゾーストなどは引き継いでいますが、ドアなどはルーフの中央まで切れ込んだ本格的なガルウィング式を採用しています。
また、車体ボディの四隅にフラップが備えられる事で、空力的に車体をコントロールすることができ安定した走りを実現し、運転席の後ろ側に搭載されているパワーユニットは、ゾンダ同様にメルセデスAMG製のV型12気筒DOHCであり、ツインターボ化されることで最高出力は標準仕様でも730PSを達成しています。
■ポルシェ 918スパイダー
《写真提供:response》ポルシェ 918スパイダー
ニュルブルクリンク北コースにおいて、公道走行可能な市販車として初めて7分切りのラップタイムを達成したことが目を引く918スパイダーではありますが、918スパイダーの目的は速さだけではありません。今後量産車に使用するテストベッドとしての役割も大きいとされています。
かつての959やカレラGTなどと同様の大義を背負って開発されました。その内容は極めて革新的でありボディについては軽量かつ高剛性なCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)製となっています。
918スパイダーのパワートレインは、最高612PSを実現するV型8気筒4.6Lユニットと156PSを発生させることができる電気モーターで後輪を駆動させ、さらには前輪駆動用として129PSのモーターを備えている1台となります。
■ ケータハム セブン 620R
《写真提供:response》ケータハム セブン 620R
ロータス セブンに端を発するケータハム セブンは、改良を重ねながら70年代から販売が続いているクラシックスポーツカーです。
そんなセブンの最強モデルとなる「620R」は、スーパーチャージャーをつけたフォード製のデュラテック2.0Lエンジンを搭載し、カーボン製の各パーツでさらに軽量化が進められたこともあって、史上最高に刺激的なセブンの1台となっています。
620Rという車名は、1トンあたりの最高出力に由来するものとなっており、2.0リッターエンジンの310PSというハイパワーと、約0.5トンという軽量な車重が車名からもアピールされています。
駆動するのは後輪だけ、トランスミッションは6速シーケンシャル式のみラインナップという点からも、ハードコアなスポーツカーらしさを感じさせますね。。
■マクラーレン P1
《写真提供:response》マクラーレン P1 GT
車好きな方なら、マクラーレンと聞けばF1を思い浮かべる事でしょう。しかし、マクラーレンは、それのみならず市販車部門も存在するメーカーとなります。つまり、公道を走行できるスーパーカーの製造・販売も行っています。
その中でもマクラーレンP1は2013年から2015年にかけて販売された一台です。この3年間で375台が製造されました。
マクラーレンP1に積まれたエンジンは最高出力737PSでしたが、ハイブリッドシステムのモーターアシストを加えると916馬力にも達しています。
車重は約1,500kgとされているので、パワーウェイトレシオは約1.63kg/PSとなります。
■ブガッティ・ヴェイロン
《写真提供:response》ヴェイロン 16.4スーパースポーツ
ブガッティ ヴェイロンは、世界でもトップクラスの性能とエクスクルーシブさを兼ね備えたまさにハイパーカーといった車で、2005年の市販仕様発表以降、シリーズ全体でも400台あまりしか生産されませんでした。国内にも数台流通したようですが、その中の一台は北野武(ビートたけし)が所有していたと噂されています。
この車を買うには「購入審査」を通る必要がありました。この審査に通った人のみが購入できるシステムとなっていたとされています。これはブガッティがいかに自社ブランドを大事にしてきたかの証ではないでしょうか。
ブガッティ・ヴェイロンは8.0L W16気筒エンジンに4機のターボを搭載したモンスター級の車でした。
最高出力は1,001PS/6,000rpmのエンジンで、約1,888kgの車体を動かせていました。したがってパワーウェイトレシオは約1.88kg/PSという事になります。
F1などはもちろん別格
《写真提供:response》《Photo by Matthias Schrader - Pool/Getty Images Sport/ゲッティイメージズ》F1アイフェルGP
パワーウェイトレシオに関しても、やはり車の最高峰であるF1の数値はとんでもないものとなっています。
現在では、F1も多くの規制が入り、以前とは異なっていますが、1986年のウィリアムズFW11は540Kgの重量に1000PS以上のエンジンを搭載し、パワーウェイトレシオは0.54以下になると思われます。やはりF1は別格ですね。
まとめ
《写真提供:response》《撮影 平川亮》トヨタ スープラ 新型
今回はパワーウェイトレシオについて紹介してきました。クルマのスペック等を確認する際はそこに載っている数字やトルクだけではなくパワーウェイトレシオなども確認し、計算までできれば他のクルマとの比較することもできるので、是非チャレンジしてみてください。