ピックアップトラックとはどんな車?
≪写真提供:response≫ プジョー ランドトレック
ピックアップトラックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。皆さんはキャンプやアウトドアに行くときにどのような車で行きますか?おそらく荷室の大きなミニバンや、悪路でも力強く進むことができるSUVのような車を選ぶのではないでしょうか。
ここでは、あまり日本では見かけないピックアップトラックについて、その特徴や人気の車種を紹介していきます。
■ピックアップトラックの特徴とは
日本でトラックと言うと運転席の前にはボンネットはなく、そのままバンパーがついたような四角い形をしています。しかしアメリカのトラックは日本とは異なり、運転席の前にボンネットがありセダンのような前面をしています。
このピックアップトラックは、アメリカのトラックのような形状をしているのが特徴です。まるでセダンのリア部分が荷台に置き換わったような形で、日本ではあまり見かけないのではないでしょうか。
日本でも高度成長期時代には各メーカーから販売されていました。近年のモデルはボディが巨大なものが多いため日本の国土には合っていませんが、アメリカやヨーロッパでは比較的オーソドックスな車種となっています。
■ピックアップトラックの主な2種類
ピックアップトラックは大きく分けて2種類あります。一つは道も広く国土が強大な北米を市場とするものです。もう一つは、東南アジアなどの道路が完璧に舗装されていない国へ向けて販売されているものです。
前者ではSUVなどと並んで、ピックアップトラックながら高級車のようなラグジュアリーさを求めたデザインがされていることが多いです。それに対し後者は、日常使いとしての車という認識が強く一般車のようなデザインが多くなっています。
ピックアップトラックの使い方は?
そもそもピックアップトラックは、働く車として林業や農業従事する人々が重宝していました。日本の軽トラックのようなイメージです。しかし、最近発売されているピックアップトラックを見るとスタイリッシュでラグジュアリーさを感じるものが増えています。
労働用よりも普段使い車として地位を築き始めているのでしょう。アメリカ資本のスーパーマーケットを想像していただいたらわかるように、食材の量が多いアメリカでは、トラックの荷台に荷物を置くことがとても便利で人気があります。まさにアメリカの車の文化の象徴的な車種といえます。
■ピックアップトラックの使用シーン
日本でピックアップトラックが人気だった頃も、実用性がある車の代表的な車種でした。時代とともにピックアップトラックは荷台に荷物をのせるだけではなく、走るための車の一つとして存在感を表しました。
アメリカのダッジ社が手掛けるダッジ ラム SRT-10は8300ccのV10エンジンを搭載しており、最高時速248kmで高加速できるモンスターマシンとして販売されていました。
また、フォード社から販売されているフォード・ファルコンUTEは、ピックアップトラックながらまるでセダンのような使い方をする車として作られたピックアップトラックです。
■ピックアップトラックの荷台の使い方
ピックアップトラックの大きな荷台は様々な使い方が可能です。日本で積載容量の大きい実用車といえば、ミニバンやSUVが挙げられます。ミニバンなどではシートを倒すことによって、空間を広げ様々な物資を入れることが可能です。しかし、どれも荷台は室内にあるため物によっては少し運びにくいものもあるでしょう。
例えばバーベキューのグリルやコンロ、もしくは濡れたサーフィンボードやウェアなどです。その点ピックアップトラックは、トラックの荷台が外にあるため様々なものをそこに収納する事が可能です。トラックの種類によっては荷台の部分に様々なオプションを取り付けることができて、収納の幅をさらに広げられます。
代表的的なピックアップトラック
≪写真提供:response≫フォード F-150
ここで実際にどのようなピックアップトラックが販売されているのかご紹介します。
日本の他の車種は日頃からテレビなどで目にするのに対して、ピックアップトラックはたまに街で走っていたりする程度です。そのため、どのようなモデルが販売されているのか気になる方も多いでしょう。
■トヨタ ハイラックス
≪写真提供:response≫トヨタ ハイラックス
日本向けに発売されている唯一の車種であるトヨタ ハイラックスは、ダイナミックな見た目と裏腹にラグジュアリーな内装を備えた車です。巨大なボディを支えるための骨格は高剛性なラダーフレームで出来ており、サスペンションも頑強に作られているためオフロードの道も信頼して走破することができます。
オフロードも走ることができる駆動方式は、市街地では2WDモードに、悪路や雪道などではハイとローの2種類から選べる4WDモードにと切り替えることで、走行時の安定した走りを実現しています。国内仕様のハイラックスは2.4リッターのディーゼルエンジン仕様のみですが、コモンレール式燃料噴射システムを搭載し、緻密な制御でクリーンさと優れた燃費性能も実現しています。
北米向けのピックアップトラック
北米で売られているピックアップトラックをご紹介します。日本のディーラーからは手に入れることができず、なかなか見ないモデルになりますが見た目も性能もまさにアメリカンな車が多いです。
■トヨタ タンドラ
≪写真提供:response≫トヨタ タンドラ
北米で生産されるタンドラは、1999年からトヨタが、アメリカなどに向けて販売していたピックアップトラックです。発売時からさまざまなチェンジを経て、2021年モデルでは全幅が約2,030mm、全長に至っては最も大きなモデルで約6,300mmとかなり巨大なボディを備えています。
エンジンも5.7リッターV型8気筒エンジンを搭載していて、大きなものを牽引する時でも力強く引っ張るほどの馬力があります。タンドラの最新モデルを語るにあたってやはり特徴的なのは、存在感のあるフロントのグリルではないでしょうか。ピックアップトラックとしての実用性と、遊び心を兼ね備えたラグジュアリーなモデルです。
■ホンダ リッジライン
≪写真提供:response≫ホンダ リッジライン
ホンダの北米向けのピックアップトラックであるリッジラインは、乗用車とよく似た作りをしているピックアップトラックです。
ボディはモノコック構造で、3.5リッターのV6エンジンはFF仕様も用意される横置きエンジンを採用。サスペンションも乗用車同様の構造でトラック本来の商用車的な基準ではなく、一般車としての使い方が想定された仕様となっており、素晴らしい乗り心地を実現しました。
しかしパワーが劣るわけではなく、最大積載量は仕様に応じて最大で1,500ポンド(約700kg)、けん引能力は5,000ポンド(約2,300kg)となっています。
■日産 フロンティア
≪写真提供:response≫日産 フロンティア
北米市場で人気を集める日産 フロンティアは、最新モデルを2021年の夏に発売すると発表しました。堅牢性と存在感のある黒いグリルやはっきりとしたフロントフェイスが特徴です。ピックアップトラックとしての実用性と遊び心を兼ね備えたモデルとなっています。
3.8LのV6エンジンにトランスミッションは9速ATを採用。素早い反応でシフトチェンジ行えるとともに、ステアリング性能も改善され長距離ドライブでも疲労を感じにくい仕様となっています。
日産の技術力である先進安全技術では、米国モデル初のオフロードモードのアラウンドビューモニターが搭載されています。大きなボディを操るために、4台のカメラによって車を上空から見下ろしたような映像で、走行をサポートしてくれます。
ピックアップトラックの維持方法
≪写真提供:response≫三菱 トライトンのレース画像
日本の車ではなかなか見ない車種のため、どのような維持費がかかるのか気になる方もたくさんいらっしゃるでしょう。今回はピックアップトラックの年間の維持費についてご紹介します。
■ピックアップトラックの維持費は?
日本で手に入れることのできる唯一のピックアップトラックであるハイラックスを基準にご紹介します。ピックアップトラックは「貨物車」として扱われます。ピックアップトラックは貨物登録をするため毎年車検を受けなければいけません。
日本での相場としては約6万円がかかります。また自動車税は、5ナンバーや3ナンバーではなく普通貨物の1ナンバーとなります。この点がこのクラスの大きさの車を維持するにあたって少しお得な面でもあります。
1ナンバーは積載量で値段が決まり、ハイラックスの場合は年間16,000円となります。こちらが基本にかかる税金ですが、さらに駐車場代や燃料代がかかります。様々な使い方があるので一概には言えませんが、高級車などに比べるとそこまで高い維持費ではありません。
ただ、ボディが大きいぶん取り回しが難しく駐車なども難しくなります。購入を検討する際はぜひ自身の使い方を考えた上で検討しましょう。
まとめ
≪写真提供:response≫アメリカらしいフォードのピックアップトラック
日本では見かけることの少ないピックアップトラックについて、様々な面から紹介をしてきました。とても大きいボディで、ワイルドに走行する姿はロマンがあふれています。日本でもSUVのようなアウトドアシーンでも活躍する車が人気です。
ピックアップトラックはトラックではあるものの、乗用車としての実用性を十分に兼ね備えているためアウトドアやレジャーにももってこいの車といえるでしょう。メリットとデメリットをおさえた上で購入を検討すると良いでしょう。