タコメーターとは?
NISMO マーチ用タコメーター
タコメーターとは、エンジン、モーターなどの回転数を指示する計器の一種です。エンジンや電動機・発動機など、軸回転が重要な位置を占める機器に搭載されることが多いです。
使用する主な目的としては、操作者・運転者が現在の回転数を把握するために用いられます。
ちなみに、タコメーターを装備していない機器の回転数を測定するための、汎用測定器としてのメーターも存在します。自動車やバイクでタコメーターと言えば、エンジンの回転数を計測する機器を示すという訳です。
■タコメーターの「タコ」って何?
タコメーターが回転数を示す機器ということは分かりましたが、その名前に付いているタコという名称は何を意味するものなのでしょうか。
回転計をそのまま英語に訳すと「revolution-counter」となり、実際に英語圏(主にイギリス)でもその名称で呼ばれています。
さらにその略称であるrev-counterとも呼ばれており、レブカウンターと言われた方が意味が通じる方もいるかもしれません。本題のタコメーターに話題を戻すと、英語表記にするとtachometerとなります。
そのことから、タコメーターは速度計では?と思う方も多いかもしれませんが、その昔は回転数を速度の目安として使用されていました。
今でこそキロメートルやマイルと時速という言葉を組み合わせた単位を用いますが、回転数が速度計としての役割を担っていた時代があったのです。
タコメーターの役割
ダイハツ ムーヴキャンバス
タコメーターでエンジンの回転数がわかる計器ということをお話ししましたが、では一体タコメーターはどんなことに役立っているのでしょうか。
タコメーターの役割は主に、エンジンの状態をドライバーに把握させることと効率の良い運転方法を伝えることの2点です。
機械が判断し制御してくれるAT車は、全体の半数をこえる割合で普及しており、タコメーターが装備されなくなった車種が増えつつあります。
しかし未だに標準装備されている車種が多いのは、エンジンに負担が掛かっていることや燃費の悪い走り方をしていることが判断できるなど有用な点も多いからです。ここからはタコメーターの役割について、そのメリットに関して見ていきましょう。
■1. クルマの状態がわかる
タコメーターの有用性を感じる場面として、まずエンジンやトランスミッションの調子が悪くなった場面が挙げられます。
燃料系統などメカの不調が原因でエンジン回転が激しく低下した時などは、タコメーターさえあれば原因は分からなくても状態を把握することが可能です。
特に危険な事態はエンジンが停止した時であり、パワーステアリングが作動せずに操舵力が極度に重くなったり、ブレーキの倍力装置が動かず制動性能が大幅にダウンするなど大事故に繋がりかねません。
こんな場面でもし、タコメーターがなかったら、タイヤの走行音に邪魔されてエンジンが停止していることを即座に判断するのは困難です。
しかしタコメーターが搭載されていれば、自動車の調子がおかしいと感じた時点ですぐにメーターをチェックすればエンジン停止が瞬時に理解できるという訳です。
もちろんエンジン停止は緊急事態なので、ハザードランプを点滅させてアクセルを戻し、エンジンブレーキで減速した後にフットブレーキを併用すればより安全に停車できます。
■2. 効率の良い運転の仕方がわかる
車の不調だけでなく、エンジンに負担の少ない効率の良い運転の仕方を知らせるのもタコメーターの役割の1つです。エンジンは回転数と共に出力やトルクが変化し続け、その様子は山なりのグラフの形を作り出します。
変速の際はその山なりのグラフを頂点を繋ぐようにシフトアップすることで、最大の加速をスムーズに続けることが可能です。その頂点を見極める際に、タコメーターは活躍します。
減速の為のシフトダウンは、ある程度エンジンの回転数が下がったところで行わないとギヤ比の関係で過剰回転となり、故障の原因となりえます。速度を上げる際と同様に、低速へとチェンジする際にもタコメーターは活躍するという訳です。
なおレーシングカーではタコメーターが不可欠な存在であり、エンジンの取り扱いに気をつければ良いので逆に速度計は装備されていません。
回転数を確認しながら車への負担を軽減する運転を行うことは、燃費効率の良い運転をすることにも繋がります。
エコドライブと呼ばれる、燃費効率が良い運転をするなら3,000回転以上にならないように保つと良いとされているため、その数値を目指すと良いでしょう。こちらの判断や見極めも、タコメーターがないと全くできません。
タコメーターの見方
日産 NV350キャラバン
メーターに表示されているrpmという表記は回転数を表す単位であり、「evolution-per-minute」の略称で1分間の回転数を示しています。
車やバイクのエンジン回転数は4〜5桁が表示範囲となるため、見やすくするために1,000の位までを省略して1桁表示にしていることが多いです。メーターの見方は簡単で、1メモリがそのまま1,000回転を示しています。
メモリが2を示していたら2,000回転をしているということであり、通常はこの状態をキープすれば良いということです。燃費効率の良さを追求するなら、2から3メモリの間をキープすると良いでしょう。
■タコメーターのレッドゾーンの意味
タコメーターのメモリを見ていると、回転数の最大値付近の2メモリほどが赤色になっています。これは文字通りレッドゾーンと呼ばれる区域で、エンジンの回転数が上昇しすぎて負荷がかかっていることを示すゾーンです。
車種やエンジンの種類にもよりますが、6,500回転から8,000回転ほどがこの域となることが多い様です。
ちなみにバイクでは1万回転以上でレッドゾーンとなるものもあります。レッドゾーンの始まりの回転数をレブリミットと呼び、これを超えたらオーバーレブと呼ばれます。
これを超えたらすぐにエンジンが故障するという訳ではありませんが、危険な状態であるのは変わりありません。
ただし現代の車は性能が良くレッドゾーンまで行くことは稀であり、特にAT車はコンピューター制御であるため普通の運転ではエンジンの回転数がレブリミットに届くことはありません。一方でMT車におけるシフトダウンでは、オーバーレブにならない様に注意が必要です。
最近のクルマにはタコメーターはついていないの?
トヨタ ヴィッツ GRMN
オーバーレブを自動的に防ぐAT車はもちろん、MT車もエンジン音やパワーの出方から何となく運転が出来てしまうため、タコメーターが必要かと問われれば不要かもしれません。
スポーツモデル車はエンジン性能をたくさん引き出すために回転数の把握が必要ではあるものの、一般的なAT車はそこまでエンジンの回転数を把握する必要がないからです。
近年リリースされているハイブリッドカーの多くにはメーターがない、もしくは標準では表示されていません。
ただし一方で1994年にリリースされたとある車種で、タコメーターを廃止したところ、ユーザーからクレームが相次いだという逸話もあります。
車が好きな方は、必要性が薄くてもエンジンの回転数を把握したいという要望は根強いのです。当然、エンジン停止など緊急時に対処するための装置として搭載して欲しいという声も残っています。
まとめ
レクサス LFA
タコメーターはエンジンの回転数をチェックすることで燃費効率や負担の少ない運転をサポートするという働きをする存在です。
現在、普及しているAT車には使用する機会が少ないため、搭載されていない車種が増えつつありますが指示する声も根強い存在が、タコメーターなのです。