ブリスターフェンダーとは?
スバル インプレッサS206
ブリスターフェンダーは標準仕様よりも膨らんだフェンダーのことで、スポーツカーの定番装備の1つになります。近年はスポーツカー自体が減少しているものの、一部の車には採用され続けている仕様となっています。
フェンダーの意味をおさらいすると、車の前後のタイヤ部分を覆っている外板のパーツを指す単語となります。一方ブリスターとは水ぶくれを表す単語で、車業界においてはフェンダー全体を膨らませる形式を指します。
つまり2つを合わせて膨らんだフェンダーとなり、ワイドなイメージを演出できるアイテムの一種になります。
ちなみにこういったフェンダーの取り付けは、旧車やスポーツ車に多く見られる仕様でした。しかし技術が発達し外付けが容易になってからは、SUVやクロスカントリー・4WDにも多くみられます。
ブリスターフェンダーとオーバーフェンダーの違い
トムス、カローラスポーツ用オーバーフェンダー
車の前後フェンダーにはいくつかの種類がありますが、よく見かけるものにオーバーフェンダーがあります。ブリスターフェンダーと同様に、ボディの幅を広げる、という意味では同じ目的のパーツとなります。
この2つの明確な違いとしてはフェンダーそのものの形状、車体と一体化しているかどうかの2点です。オーバーフェンダーとは幅広いタイヤを付ける際に被せるパーツで、三日月型の形状となっています。
信号機のライトの上にある、ひさし部分を浅くしたものと考えるとイメージしやすいでしょう。一方でブリスターフェンダーは、車体部分に一体化して途中から膨らんでいるという形状が特徴です。
オーバーフェンダーのように外付けの形状ではなく、もともと車体のデザインに組み込んで加工されます。
■フェンダーを広げる意味とは?
フェンダーを広げる目的は、より幅の広いタイヤを履かせるため、という場合がほとんどです。タイヤとホイールは車両の外側方向に突出してはならないと、道路運送車両法の保安基準で定められているため、フェンダーでカバーする必要があります。
もちろん、単にオーバーフェンダーを装着し、見た目を良くするという点もその動機に挙げられます。ワイドな外観を求めてタイヤとそれに応じたフェンダーを装備するのは、自動車をカスタマイズする際の定番の手法でもあります。
ブリスターフェンダーが象徴的な車5選!
ブリスターフェンダーに関してや、他の種類との相違点を把握した所で具体的な車種を見ていきましょう。印象的なブリスターフェンダーを標準装備している、各社の名モデルを5つ紹介していきます。
■トヨタ GRヤリス
トヨタ GR ヤリス(欧州仕様)
世界各地でレースに参戦するGAZOO Racing(ガズーレーシング)が手掛けるスポーツカーブランド『GR』の専用車種として、GRスープラに続く第二弾モデルが、GRヤリスです。
もともとはラリーでの活躍を第一に専用設計されており、その用途ならではの仕様が盛り込まれています。目を惹くのは迫力あるフェンダーであり、ベースとなる標準仕様のヤリスよりも印象的なデザインとなっています。
■日産 スカイラインGT-R
日産 スカイラインGT-R(R34型)
日産自動車が生産していたスカイラインをもとに開発されたのが、スカイラインGT-Rになります。モータースポーツ活動に主眼を置いて作られた車種で、初代のPGC10/KPGC10型だけで数えても、クラス優勝を含めば50勝以上もの戦績があります。
GT-Rのブリスターフェンダーは、初代後期型・二代目ではオーバーフェンダーを装着していたのに対し、1989年発売のR32型がリアフェンダーにブリスターフェンダーを採用し、以降R33・R34型とモデルが変わるたびに形を変え継承されました。
■三菱 ランサーエボリューション
三菱 ランサーエボリューションX
2016年まで生産・販売されていた、セダン型およびステーションワゴン型のスポーツカーになります。世界ラリー選手権におけるホモロゲーション取得を目的に、限定車として生産および販売されました。
2001年製造のGH-CT9A型のランエボⅦに採用されたブリスターフェンダーは、レースにおいても不足のない頑強・屈強なデザインとなりました。
■スバル インプレッサ WRX
スバル インプレッサWRX STI
1992年の初代インプレッサ発売からラインナップされていたスポーツグレード、WRXは、ランサーエボリューションの好敵手として、車名にインプレッサがつかなくなった現在に至るまで人気を博しています。
ブリスターフェンダーに関して言えば、2007年に発売された三代目インプレッサでは当初、WRX STIが先代までのセダンボディではなくハッチバックボディのみ発売されたことが話題になりましたが、STI専用装備の大きく張り出した前後のブリスターフェンダーが特徴的でした。
WRX STIはまるでラリーカーそのもののようなワイドな迫力満点のボディとなり、見た目にもインプレッサ WRXの魅力を引き出していました。
■ホンダ シティ ターボII
ホンダ・シティ・ターボII
ホンダによって1983年に販売されたのが、独特なスタイルを持つシティターボIIになります。ブルドッグという愛称を持ち、標準仕様のシティに比べて迫力のある外観となっています。
大型のブリスターフェンダーが採用され、車幅とトレッドが大きく拡大してよりワイルドなイメージの車種となります。
結構大変!愛車をブリスターフェンダーにする方法
フェンダー加工作業
形状の違いからオーバーフェンダーよりも、ブリスターの方が後から取り付けるのは至難の業となります。設計段階からデザイン・仕様に盛り込まれているため、後からないものを付け足すのは大変になります。
ここではカーショップに頼らない自作の方法や、改造を施した後の車検について解説していきます。
■ブリスターフェンダーを取り付ける方法
もし自作でフェンダーを取り付けるのであれば、加工のための材料を揃えることから始めましょう。塗装も自分で行う場合においては、塗料もあらかじめカーショップなどで揃えておくと良いでしょう。
用意したウレタン・ガラスマットなどを用いて、ブリスターフェンダーの成形を行います。成形が終わったら、次はFRP樹脂を使ってブリスターフェンダーの型をとる作業へと移行します。
成形と型を取り終えたら、パテを使って車のボディのタイヤ上部へと取り付ける作業になります。このままの状態で完成でも良いですが、車のボディカラーと合わせた塗料を用意すると見栄えが良くなります。
■車種専用にキット販売されているものも
スポーツ車など特定の車種に向けた、専用のブリスターフェンダーのキットも販売されています。専用キットと銘打っているだけあって、汎用品よりも適合率が高いためぜひ利用しましょう。過去の名車のモデルのキットや、既に塗装が施されている専用モデルのキットも販売しています。
■フェンダー幅によっては構造変更申請が必要に!
自作の場合もカーショップに依頼したケースにおいても、普通はそのままでは車検に通りません。車幅に規定があり左右の合計値で20mm、片側だけの場合10mm以上全幅が広くなると、届け出が必要となります。
公道を走る車は長さや幅・高さが、車検証の記載より一定以上変化した場合は検査を受ける義務があります。
構造変更は、基本的には先に必要書類を提出し、書類審査を受けた後に管轄の運輸局・運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)へ車を持ち込んで検査を受けます。
この手続きは、ブリスターフェンダーなどを取り付けて車検証記載値から車幅が変わってしまってからすぐに行わなうことが原則で、またその車両の検査を受け直すことになるため、一般的な車検と同様に事前の整備も必要になります。
検査を受ける時期によっては車検の残り期間を切り捨てることになってしまうことも注意が必要です。
なお一度加工すると戻しにくいカスタムでもあるため、フェンダー加工は慎重に行うことが大事になります。
まとめ
スバル・レヴォーグ
オーバーおよびブリスターフェンダーは、いずれも車幅を広げて太いタイヤを履かせるパーツになります。スポーツ車に多く搭載されており、装備することにより外観もよりワイルドに変化しますが、用途に応じて選び方も異なる上に、車幅も変わるということに注意しなければなりません。
憧れのブリスターフェンダーを装備するには、自作とカーショップに依頼するという2つの方法があります。それぞれの利点やデメリットを把握しつつ、自分の愛車に適した方法およびパーツを選びましょう。