軽バンとは?
《写真提供 ダイハツ工業》ダイハツ ハイゼットカーゴ
軽バンはスーパーハイトワゴンと同程度のサイズ感があり、「ワンボックスカー」と呼ばれる車のことです。室内空間も広々としており、街乗りからレジャー目的までさまざまな用途に用いられています。
仕様もスーパーハイトワゴンとほとんど同じですが、唯一異なる点は、スーパーハイトワゴンのエンジンは運転席に対して前方に搭載されておりFFを採用しているのに対して、主な軽バンはエンジンを運転席の下部に搭載していて、駆動方式がFRかMRであるという点です。
機動性を重視しつつ、広い室内空間を保つために駆動方式に工夫が凝らされています。
軽バンのメリット
ここでは、軽バンのメリットを紹介します。
■視界が広い

スズキ エブリイ
全高が高いため、視界が開けていて見通しが良いのが特徴です。障害になるものが少ないので、軽自動車のコンパクトなボディも手伝って、狭い道などでも運転しやすい車と言えるでしょう。
■維持費が安い

ホンダ N-VAN 荷室
普通車と比較して自動車税が安価に設定されているため、維持費を安く抑えられる傾向にあります。
車検にかかる費用も軽自動車は安く済むので、なるべくコストをかけずに車を持ちたい方にはおすすめです。
■乗り降りしやすい

スズキ エブリイ 車いす移動車
スライドドアや低床ステップ車など、子供やお年寄りでも乗り降りしやすいモデルが数多く揃っています。
スイングタイプのドアの場合は大人数の乗り降りに手間取る場合も少なくありませんが、軽バンなら導線もスムーズで、荷物も大量に詰め込めます。
おすすめの軽バン5選をご紹介
国内で発売されている代表的なおすすめの軽バン5種類をまとめました。グレードや燃費、安全性能や新車価格を一挙にご紹介します。
■ダイハツ ハイゼットカーゴ
《写真提供 ダイハツ工業》ダイハツ ハイゼットカーゴ クルーズターボ
ダイハツのハイゼットは1960年に発売されたモデルで、国内でも長い歴史を持つ軽バンです。
現行のモデルは2021年12月に17年ぶりにフルモデルチェンジし、11代目に進化しました。
ハイゼットカーゴのスペック
《写真提供 ダイハツ工業》ダイハツ ハイゼットカーゴ クルーズ
11代目ハイゼットカーゴは、17年ぶりのモデルチェンジとあって、各部が大幅に進化しています。
まず、トランスミッションには新開発のCVTが採用され、力強い発進性能とシームレスでスムーズな加速、そして高い静粛性を実現しています。また、軽バンとしては初めて、電子制御式4WDも採用し、路面の状況に応じて前後輪のトルク配分を最適化することで悪路や雪道でも安心して走行できるようになっています。
予防安全性能では、最新のステレオカメラを使用した「スマートアシスト」を採用し、安全安心性能も進化させています。とくに衝突回避支援機能には、夜間の歩行者にも対応し、後発進抑制機能にはブレーキ制御を追加しているほか、荷物を満載した時の後方視界や夜間の後方視界の確保にも寄与するスマートインナーミラーもクラス初で採用するなど、大幅に強化されています。
《写真提供 ダイハツ工業》ダイハツ ハイゼットカーゴ
軽バンの命とも言える積載性能も進化し、軽バンNo.1を標榜しています。特に、先代で不評だった天井付近が狭いという車体構造を見直し、車体の側面を垂直に近づける事でスペースを稼ぎ出しています。
また、荷室内に道具棚を自作するユーザーも多いということで、荷室のアクセサリー取り付け用のナット数を2倍に増加させています。そのほか、荷物を持ったままでも簡単にドアの開け閉めができるようなパワースライドドアや、キーフリーシステムやプッシュボタンスタートをクラス初採用するなど、万全の備えをしています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,890mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,450mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 930kg | |
燃費 | WLTCモード:15.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 39kW(53ps)/7,200rpm | |
エンジン最大トルク | 60N・m(6.1kg・m)/4,000rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(フロントMR) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,210,000円(消費税抜) |
ハイゼットカーゴの新車価格
ハイゼットカーゴの新車価格はグレードによって異なり、2WDと4WDでも差があります。最も安価に購入できるのは「スペシャル」で、2WD/5MT車が約95万円(税抜)、2WD/CVT車が約100万円(税抜)の価格設定となっています。
一方、最上級グレードは「クルーズターボ」で、2WD/CVT車が約132万円(税抜)、2WD/CVT車が約146万円(税抜)です。
■スズキ エブリイ

スズキ エブリイ
スズキのエブリイは「スズライトキャリイバン」として1964年に発売されました。
1982年のマイナーチェンジの際に「エブリイ」と改名され、以降は同名が使用され続けています。
エブリイのスペック

スズキ エブリイ インテリア
スズキ エブリイは、長年ダイハツハイゼットカーゴのライバルとして、激しい販売競争を繰り返してきました。エブリイは、ボディ側面の形状が真四角に近く、天井付近のスペースに余裕があることから、より荷物を乗せたいユーザーや、最近人気の軽キャンピングカーのベース車として選ばれてきました。
2021年12月のフルモデルチェンジで、ダイハツハイゼットカーゴもボディ側面の形状を見直し、真四角シェイプにしてきましたので、今後、ユーザーがどのような選択をするか注目されます。
また、2022年3月をもって、従来設定されていたターボモデルが廃止となっています。ターボ廃止の理由は、燃費基準の法規制対応と言われています。エブリイをキャンピングカーのベースとして使うユーザーや、ホビーの相棒として使うユーザーには、動力性能に余裕があるターボモデルは人気でした。
今回、ハイゼットカーゴがフルモデルチェンジでターボモデルを引き続き設定してきた事から、エブリイもフルモデルチェンジ&ターボ車設定が待たれるのかもしれません。
エブリイは4種類のクレードがラインナップされています。グレードはハイルーフの「PA」「PAリミテッド」「PC」「JOIN」の4種類です。
燃費性能はグレードによって多少異なり、14.6 km/L~17.2 km/L(WLTCモード)の範囲で変動します。
予防安全装備のスズキ セーフティサポートは、「PA」「PAリミテッド」でメーカーオプション、「PC」「JOIN」で標準装備となっています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,895mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,430mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 910kg | |
燃費 | WLTCモード:14.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 36kW(49ps)/6,200rpm | |
エンジン最大トルク | 60N・m(6.1kg・m)/4,000rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(フロントMR) | |
トランスミッション | 4AT | |
新車価格 | 1,261,000円(消費税抜) |
エブリイの新車価格

スズキ エブリイ
エブリイの新車価格で最も安価に購入できるのは「PA」で、2WD/5MT車が約90.1万円(税抜)の価格設定となっています。
一方、最上級グレードは「JOIN」で、2WD/5MT車が114.8万円(税抜)、4WD/4AT車が138.1万円(税抜)の価格設定になっています。
■ホンダ N-VAN

ホンダ N-VAN +STYLE FUNターボ
N-VANは2011年に発売された「N-BOX」の流れを汲む、「Nシリーズ」の第5弾にあたります。
2018年に発表・発売され、現段階ではモデルチェンジは行われていません。
N-VANのスペック

ホンダ N-VAN インテリア
N-VANの最大の特徴は、前輪駆動(FF)がベースである事です。N-VANは、ホンダの大ヒット軽自動車であるN-BOXをベースにして作られています。FFベースである事を最大限生かして、荷室床面地上高が525mmという超低床の荷室を実現しています。
さらに、助手席までフラットに格納する事で、全長2,635mmに達する室内空間を実現した事も、N-VANの特徴です。
また、助手席側ドア開口部は軽バン初となるピラーレス構造を採用しており、前後ドアを開けば開口幅は1,580mmにも達します。この広い開口幅によって、長い荷物や重い荷物などの積み込みもスムーズに行えるようになっています。
N-VANはFFのCVT/6MTと、4WDのCVT/6MTが各グレードに用意されています(ターボはFF・4WDともにCVTのみ)。グレードは「G」「L」「+STYLE FUN」「+STYLE FUN・ターボ Honda SENSING」の4種類です。
カラーは「G」「L」が2色で、それ以外のグレードが8色展開となっています。
燃費性能は17.0km/L~19.2 km/L(WLTCモード)となっており、安全装備の「Honda SENSING」は全車に標準搭載されています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,945mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,520mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 960kg | |
燃費 | WLTCモード:19.2km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 39kW(53ps)/6,800rpm | |
エンジン最大トルク | 64N・m(6.5kgf・m)/4,800rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,481,000円(消費税込) |
N-VANの新車価格

ホンダ N-VAN
N-VANの中で最も安価に購入できるグレードは「G」で、FFモデルが116万円(税抜)、4WDモデルが126.1万円(税抜)となっています。6速MTモデルとCVTモデルの価格差はありません。
一方、最上級グレードは「+STYLE FUN・ターボ」で、FF / CVT車が158.1万円(税抜)、フルタイム4WD / CVT車が170.2万円(税抜)となっています。「+STYLE FUN・ターボ」は、CVTのみの設定となっています。
■マツダ スクラムバン

マツダ スクラムバン
スクラムバンは1989年に登場したスズキ「エブリイ」のOEM車で、現行モデルは5代目です。
ラグビー用語の「スクラム」から命名されました。
スクラムバンのスペック

マツダ スクラムバン ダッシュボード
スクラムバンは2WDの4ATと、4WDの4ATが用意されています(PAは5MT/5AGS、PCは5MT車有)。グレードは「PA」「PAスペシャル」「PC」「BUSTER」の4種類です。
カラーは「PA」「PAスペシャル」がホワイトのみ、「PC」がホワイトとシルキーシルバーメタリックの2色、BUSTERが前述の2色にブルーイッシュブラックパール3を加えた3色展開となっています。
燃費性能は14.6km/L~17.2km/L(WLTCモード)となっており、「PAスペシャル」「PC」「BUSTER」には安全装備のデュアルカメラブレーキサポートなどが搭載されています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,895mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,430mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 910kg | |
燃費 | WLTCモード:14.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 36kW(49ps)/6,200rpm | |
エンジン最大トルク | 60N・m(6.1kg・m)/4,000rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(フロントMR) | |
トランスミッション | 4AT | |
新車価格 | 1,261,000円(消費税抜) |
スクラムバンの新車価格

(参考)スズキ エブリイ 荷室
スクラムバンの中で最も安価に購入できるグレードは「PA」で、2WD/5MT車が99.1万円(税抜)、4WD /5MT車が102.1万円(税抜)となっています。
一方、最上級グレードは「BUSTER」で、2WD/4AT車が126.1万円(税抜)、4WD/4AT車が138.1万円(税抜)です。
■スバル サンバーバン
サンバーバン
スバルのサンバーバンは、1961年に初代が発売されて以降、2012年まで自社生産されていましたが、7代目からはダイハツのハイゼットのOEM車として展開しています。
2022年1月に、ダイハツ ハイゼットカーゴのフルモデルチェンジに合わせて、サンバーバンもフルモデルチェンジしました。
サンバーバンのスペック
サンバーバンは、ダイハツハイゼットカーゴのOEMで、基本的なスペックはハイゼットカーゴと同じです。
グレードは、最廉価バージョンの「VB」から、最上級グレードの「ディアス」までの6種類となっています。
燃費性能は、14.9 km/L~15.6km/L(WLTCモード)で、ハイゼットカーゴと同じです。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,890mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,450mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 930kg | |
燃費 | WLTCモード:15.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 39kW(53ps)/7,200rpm | |
エンジン最大トルク | 60N・m(6.1kg・m)/4,000rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動(フロントMR) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,322,000円(消費税抜) |
サンバーバンの新車価格
サンバーバンの最廉価モデルは、「VB」の5MT/2WDモデルで、95万円(税抜)からの設定となっています。
最上級モデルは「ディアス」で、CVT /4WDモデルが171万円(税抜)の設定になっています。
まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ・ハイゼットカーゴ
乗り降りがしやすく、車高の高さも手伝って運転しやすい軽バンは、ファミリーにもレジャー好きにもおすすめできる車です。軽自動車に相当するため普通車に比べると維持費も安く、ランニングコストをなるべく抑えたいという方にも嬉しい車と言えるでしょう。
近年ではさまざまな軽バンが登場しており、燃費や安全性能などスペックも多種多様です。今回ご紹介したモデルはもちろん、複数のメーカーの製品を比較して、お気に入りを探してみると良いでしょう。
おすすめの軽バンまとめ表
車種名 | 燃費 | 価格帯(税抜き価格) | |
---|---|---|---|
ダイハツ ハイゼットカーゴ | 14.9 km/L~15.6km/L(WLTCモード) | 約95万円〜約146万円 | |
スズキ エブリイ | 14.6 km/L~17.2 km/L(WLTCモード) | 約90万円〜約138万円 | |
ホンダ N-VAN | 17.0km/L~19.2 km/L(WLTCモード) | 約116万円〜約170万円 | |
マツダ スクラムバン | 14.6 km/L~17.2 km/L(WLTCモード) | 約90万円〜約138万円 | |
スバル サンバーバン | 14.9 km/L~15.6km/L(WLTCモード) | 約95万円〜約171万円 |
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よくある質問
■軽バンって、どんなクルマ?
「軽バン」とは、一般的に貨物を載せるスペースを最大化するためにワンボックス型になっている軽自動車の事を言います。軽自動車のコンパクトなサイズながら広い荷室を持ち、仕事だけでなく趣味やレジャーにも使える点が人気となっています。最近では、車中泊用のクルマとしても大人気です。
■軽バンのメリットって何?
軽バンのメリットは、何と言っても新車価格も維持費も安い!という点です。軽自動車である軽バンは、リーズナブルな価格で大きな室内スペースを手に入れる事ができ、税金等、毎年の費用も安く押さえる事ができます。クルマは趣味の道具で、肝心の趣味にお金を使いたいと考える方にとっては、軽バンは最適なチョイスと言えるでしょう。
■軽バンって、どんな車種があるの?
ダイハツ・ハイゼットカーゴ、スズキ・エブリイ、ホンダ・N-VANの3車種があります。ダイハツ ハイゼットカーゴは、トヨタとスバル、スズキ エブリイは日産、マツダ、三菱にそれぞれOEM供給されています。そのため、実際に販売されている軽バンは実質3車種という事になります。
メカニズム的には、ハイゼットカーゴとエブリイはFR、N-VANはFFという違いがあります。これは、ハイゼットカーゴとエブリイは軽トラックと同く商用車として開発され、N-VANは軽乗用車のN-BOXをベースに開発された事によります。