エンスーとは?エンスーな車とは?
ローバー・ミニ
エンスーとは
「エンスージアスト(enthusiast)」を語源に略された言葉で、その「熱狂的な支持者」という意味から、特別に愛情を傾ける対象となるクルマのことをエンスーな車と呼ぶようです。
では、どんな車をエンスーな車かというと、明確な規定はないものの一般的には絶版車や長く継続生産されている車、そしてクラシックカーとは呼ばれないものという分け方になります。
つまり、他人と同じ車選びはしたくない人の選ぶディープでマニアックな車、でもクラシックカーのように到底手の出ない車ではなく、買おうと思えば買える旧車…と言えるかもしれません。
英国車、ドイツ車、フランス車、イタリア車といった欧州車が対象となることが多いのですが、最近では日本車もその対象になっています。
エンスーな車 厳選10選
エンスーな車なのかどうかは人それぞれ意見が分かれますが、一般の人は買わないけれども好きな人にとってはたまらない魅力のある車種を選んでみました。
①ローバー・ミニ
ローバー・ミニ
エンスーな車の代表格といえるミニですが、全てがその対象というわけではありません。
2001年から現在に至るミニは、BMWが経営母体となって生産された車のために「BMW MINI」と呼ばれていますが、エンスーとして愛されるのは1959年から2000年までの「クラッシックミニ」、もしくはは「ローバーミニ」と呼ばれるモデルです。
Mark1~Mark4まで年代別に中身は大きく変化しているものの、40年あまりの間、基本的な構造とスタイルは変わっていません。したがって、今でも多くのローバーミニが元気に走っています。
古くて珍しいモデルほどエンスー心を駆り立てますが、日本への輸出が中止された1976年以前のモデルであるMark2がもっとも愛されています。
1969年に公開された映画「ミニミニ大作戦」で使用されたのがこのMark2であることからも、当時世界中で愛されていた車だということが分かります。
■ローバーミニのスペック
ミニとその設計者アレック・イシゴニス
ローバーミニのスペック
排気量 | 999cc~1271cc |
最高出力 | 40PS~61PS |
全長×全幅×全高 | 3100x1440x1330 (mm) |
駆動方式 | FF |
乗車人数 | 4人 |
■ローバーミニの中古車価格
ミニの中でも手に入りずらいモデルなのですが、それだけにエンスーであるオーナーの溺愛具合は相当なもので、残念ながらこの年式のミニは一般には流通しておらず、あっても個人間などで高額で取引されています。
現実的には1992年まで生産されていたMark3が多く流通しており、中古車価格も60万円台から300万円台と広い価格帯となっています。
1980~1989年式 | 60~298万円 |
②フィアット500(チンクエチェント)
フィット500
現在発売されている2007年に発表されたフィット500(チンクエチェント)は、その半世紀前の同じ日に発表された同名のスモールカーです。その原型となる1957年に発表されたのが正式名称NUOVA 500です。
ミニのFFに対してRRという駆動方式と空冷直列2気筒を採用し、丸みのあるユーモラスなフォルムで、
1977年まで生産されました。
イタリア本国やヨーロッパだけではなく、世界各国に熱心なファンが存在しており、現在でもレストアして愛用する者も多く見られるエンスーな車といえます。日本では「ルパン三世の愛車」として広く知られています。
■フィアット500のスペック
フィット500
フィアット500のスペック
排気量 | 479~594㏄ |
エンジン形式 | 空冷直列2気筒OHV |
最高出力 | 15PS~23PS |
全長×全幅×全高 | 2,970×1,320×1,320(mm) |
駆動方式 | RR |
乗車定員 | 4人 |
■フィアット500の中古車価格
フィアット500
ローバー・ミニ以上に古い車種ですが、中古車市場には多くの台数が流通しており、価格亭にも非常に高い相場となっています。
1964~1972年式 | 138~310万円 |
③ポルシェ911
ポルシェ911
63年に登場したポルシェ911ですが、エンスー車の代名詞として人気を誇っているのは1989年 - 1993年を中心にした964型といわれる空冷時代のモデルです。クーペ、タルガ、カブリオレといったボディなど多くのタイプがあります。
空冷時代のポルシェ911は、低重心の空冷水平対向6気筒エンジンをRRに搭載し、駆動ロスが少なく爆発的なレスポンスと、エンジンサウンド、そして手ごわいけれども鋭いコーナリングが魅力となっています。
特にエンスー度の高いのが限定生産された「カレラRS」や、カレラ4を2WDに簡略化した「カレラ2」、そしてシリーズ最大の排気量の「カレラRS3.8」です。
■ポルシェ911のスペック
911 ターボS
ポルシェ911のスペック
排気量 | 3299~3600cc |
エンジン形式 | 空冷水平対向6気筒 SOHC |
最高出力 | 320~381PS |
全長×全幅×全高 | 2,970×1,320×1,320(mm) |
駆動方式 | RR |
乗車定員 | 2人 |
■ポルシェ911の中古車価格
ポルシェ911のダッシュボード
世界的にも空冷エンジンのクラシックポルシェは人気人気があり、中古車価格も高騰しています。相場としては別表のとおりですが、一時期は投機対象になったほどですから、状態やそれぞれのタイプによっては相場以上の価格となることもあります。
1989~1993年式 | 385~2500万円 |
④シトロエンDS
シトロエンDS
先進的・前衛的な空力デザインと、油圧動力による「ハイドロニューマチック・システム」など、特異なメカニズムで知られ、1955年から約20年間が製造されたDS。ドイツ車や英国車ならわかるけどフランス車でしかも60年代のシトロエンとなると「ないなー」と思うカーマニアがほとんどでしょう。
しかし、エンスーにとってはまさに大好物となる愛されキャラなのです。全長4.81m、全幅1.8m、という、この時代のヨーロッパ車としては異例の大型であり、ガラスカバー付きの4灯式コンビネーションライトは内側2灯がステアリング角度に連動して常に進行方向を照らすなど先進性も満載。
そういえばそのステアリングも一本スポークでした。
「宇宙船」と揶揄される強烈な個性で時代に迎合しない全身フレンチスタイルのDSは、最強のエンスーな車といえます。
■シトロエンDSのスペック
シトロエンDSの一本スポークステアリング
シトロエンDSのスペック
排気量 | 1.9L~2.3L |
エンジン形式 | 直列4気筒 OHV |
最高出力 | 75~131PS |
全長×全幅×全高 | 4.810×1.800×1.4700(mm) |
駆動方式 | FF |
乗車定員 | 5人 |
■シトロエンDSの中古車価格
数多くの中古車が流通していますが、ほとんどが価格応談となっているほどの高い相場です。数少ない価格提示されたものでも500万円前後という高価格となっています。
⑤MG-B
1962年から1980年の迄に52万台以上も製造・販売された、英国製2ドアオープンカーで、エンスー車の代名詞存在です。
ソフトトップを備えたオープン型のモノコックボディに、1.8Lの直列4気筒エンジンを搭載し、4速マニュアルトランスミッションで後輪を駆動するFR車で、軽量な車体によるハンドリングや、高い信頼性、単純な機構による維持のしやすさが人気となっています。
「Pack Away」と呼ばれる取外しができる組立式の幌が標準である初期モデル、あるいはウレタンバンパーが装備される以前の「Mark III(マークスリー)」と呼ばれるモデルまでの評価が非常に高くなっています。
■MG-Bのスペックと中古車価格
■MG-Bのスペック
MG-Bのスペック
排気量 | 1789㏄ |
エンジン形式 | 直列4気筒 OHV |
最高出力 | 75~131PS |
全長×全幅×全高 | 3,890×1.520×1.250(mm) |
駆動方式 | FR |
乗車定員 | 2人 |
■MG-Bの中古車価格
MG-Bの中古車価格
1962~1982年式 | 120~308万円 |
※上記価格はレスポンス中古車検索より(2020年3月現在)
クラシックカーにも分類されるほどの歴史を持つモデルでありながら、驚くほど多くの台数が流通しています。価格も比較的リーズナブルで普段使いにも十分対応できるのでエンスーでなくても欲しくなる車です。
⑥BMW3.0CSとCSL
3.0CS
BMWの3.0CSは、BMWが1968年から1978年にかけて製造販売してい2ドアクーペで、世界でもっとも美しいとさされたその流麗なクーペデザインに、いわゆる「ビッグシックス」と呼ばれる3.0リッターの直列6気筒エンジンを搭載した伝説的なモデルです。
また、ツーリングカー選手権に参戦したマルティニカラーのCSLは、1972年のスパ・フランコルシャン24時間耐久レースでは優勝するなど、エンスー憧れのモデルす。
このCSLは、大型のフロントスポイラーやリアスポイラー、そしてボンネット上に整流版が取り付けられたホモローションモデルとして限定生産されています。
■BMW3.0CSのスペック
3.0CSL
BMW3.0CSとCSLのスペック
3.0CS | 3.0CSL | |
排気量 | 2,985cc | 3,003㏄ |
エンジン形式 | 直列6気筒 SOHC | 直列6気筒 SOHC |
最高出力 | 180hp/6,000rpm | 200hp/5,500rpm |
最大トルク | 26.0kg-m/3,700rpm | 27.7kg-m/4,300rpm |
全長×全幅×全高 | 4,660mm×1,670mm×1,370mm | |
駆動方式 | FR | FR |
■BMW3.0CSの中古車価格
少ないながらもCSもCSLも中古車市場に出回っています。しかし、全てが価格応談となっていて、エンスーにとっても垂涎の的となっています。
⑦サーブ・900
サーブ900
エンスーポイントとしては、スウェーデンの航空機メーカー・サーブの自動車部門が設計製造した初代の900。その後、GM傘下に入ったのちの、オペルベースのモデルの2つあること。
その立ち気味のフロントウインドウや低いサイドシルなどクラシカルなスタイルを始め、前モデルにあたる99から基本的に設計はかわらず、25年以上にわたり生産されました。
しかし、今では手に入れることが困難なため、多くのエンスーはこの2代目モデルを所有しています。手ごろな値段とまだまだ現役で使えるモデルですが、今ではメーカー自体が消滅したことで、エンスーな車として注目されています。
■サーブ900のスペック
2代目900
サーブ900のスペック
排気量 | 2.0L、2.2L、2.5L |
エンジン形式 | 直列4気筒 DOHC 及びターボ、V型6気筒DOHC |
最高出力 | 130PS/6,100rpm(2.0L) |
最大トルク | 18kgm/4,300rpm(2.0L) |
全長×全幅×全高 | 4,635mm×1,710mm×1,435mm |
駆動方式 | FR |
■サーブ900の中古車価格
サーブ900の中古車価格
1993年~1995年式 | 60~258万円 |
※上記価格はレスポンス中古車検索より(2020年3月現在)
エンスーな車としてはリーズナブルですが、この年式としては非常に高い芝となっています。特に高いのはターボ車で、独特のどっかんターボがエンスーにはたまらない魅力です。
⑧アルファロメオ・GTV
アルファロメオ・GTV
エンリコ・フミアによるウェッジシェイプのボディラインと、プロジェクターランプを用いた丸目4灯のヘッドライト、そしてキックアップした高いテールを結ぶ斜めのキャラクターラインが大きな特徴のGTV。
エンスーな車としては新しいモデルだろうと思われがちですが、こんなデザインの車が1996年に登場したのですから驚きです。それだけでエンスーとしては合格なのです。
フェーズ1と呼ばれる初期モデルから最終モデルのフェーズ3までの10年間に、様々な改良と多数のエンジンが採用されていますが、基本的なボディデザインはその個性的なデザインは維持されています。
■アルファロメオ・GTVのスペック
アルファロメオ・GTV
アルファロメオ・GTVのスペック
エンジン形式・最高出力/最大トルク | 直列4気筒2.0L・150PS/18.4kgmV型6気筒2.0Lターボ・202PS/28.5kgmV型6気筒3.0L・220PS/27.5kgmV型6気筒 3.2L・240PS/29.4kgm |
全長×全幅×全高 | 4,290mm×1,780mm×1,315mm |
駆動方式 | FR |
乗車定員 | 4人 |
■アルファロメオ・GTVの中古車価格
多くの台数が流通しているので、程度の良い個体が多く探せます。エンジンの種類が多いのですが、やはりV6エンジン車、特にターボ仕様がもっとも人気が高くなっています。
アルファロメオ・GTVの中古車価格
1996~2005年式 | 30~160万円 |
※上記価格はレスポンス中古車検索より(2020年3月現在)
⑨シボレー・コルベット
コルベットC2
以前は、アメ車や国産車はエンスー車とはいえないという風潮がありましたが、今ではそんなことはなく多くのアメ車がエンスー車として認められています。
その代表格がシボレーコルベットです。現在でも販売されている車種ですが、エンスー心を引き付けるのが1963年から1982年の間に「ビッグブロック」と呼ばれる7リッターオーバーのV8エンジンを搭載するC2型とC3型です。
「スプリット・ウインドウ」と呼ばれる独特のリアウインドウを持つC2から、ボディ中央部がコーラのビンを連想させたことから、“コークボトル”の愛称があるC3までがこの「ビッグブロック」を搭載していて、豊かなアメリカを象徴する大きくて力強い車種なのです。
クーペとオープンのボディタイプがあり、いずれも人気があります。また、1969年には幻のパワーユニット、ZL1ユニットがオプションで追加されていますが、日本へ入っているかどうかは不明です。
■シボレー・コルベットのスペック
コルベットC3
シボレーコルベットC3のスペック
エンジン形式・最高出力/最大トルク | V型8気筒7,440㏄・350~370PSV型8気筒5,738cc・300PS |
全長×全幅×全高 | 4,636mm×1,753mm×1,217mm |
駆動方式 | FR |
乗車定員 | 2人 |
■シボレー・コルベットの中古車価格
非常に幅広い価格帯が特徴となっており、C3とC2の差もありません。ビッグブロックの7リッターエンジン車でなくても人気が出ています。
シボレーコルベットC2、C3の中古車価格
1963~1982年 | 148~1330万円 |
※上記価格はレスポンス中古車検索より(2020年3月現在)
⑩ホンダN360
ホンダN360
最後に国産車を代表するエンスー車を一台ご紹介しましょう。N360はFF方式を採用して広い車室空間と突出した高出力のエンジンを搭載した軽自動車であり、ホンダ初の量産自動車となった記念碑的モデルです。
2ドアの2ボックス形状のボディに、タイヤを四隅に配置して車室空間を広く取り、横置きエンジンをフロントに置き、前輪駆動などミニの影響が色濃く出ていることも知られています。
また、二輪メーカーとしての技術による最高出力31pの四輪車としては異例の、8,500rpmの高回転型エンジンとなっているのも、エンスー魂を刺激してやまないエポックメーキングなモデルです。
■ホンダN360のスペック
ホンダN360
ホンダN360のスペック
エンジン形式 | 直列2気筒SOHC 354cc |
最高出力 | 31PS/8,500rpm |
最大トルク | 3.0kgf·m/5,500rpm |
全長×全幅×全高 | 2,995mm×1,295mm×1,345mm |
駆動方式 | FF |
乗車定員 | 4人 |
■ホンダN360の中古車価格
爆発的ヒットとなって一気に国民車となったN360ですが、さすがに約半世紀がすぎて流通する現存車は少なくなっています。それでも100万円を超えるプライスの物もあり、国産エンスー車としての貫禄さえただよっています。
ホンダN360の中古車価格
1969年式 | 85~140万円 |
※上記価格はレスポンス中古車検索より(2020年3月現在)
まとめ
いかがでしたか?エンスーの意味は少しわかりずらいですよね。でも車が好きな人たちは、メジャーでじゃないけど、人とは違う個性的な車を愛してやまないのです。
もし、車を愛する気持ちなら自信があるというのならあなたも立派なエンスーなのです。