プリウス、プリウスPHV、プリウスα、一体どこが違うの?
トヨタ プリウス
燃費のイイ車が欲しいなあ、と思った時、一番に挙がる車名は、もしかするとトヨタ プリウスではないでしょうか?
世界初の量産ハイブリッドカーとして、1997年に先陣を切って登場した初代プリウスから続くそのパッケージ力の高さは、まさにトヨタならではといった印象。
大きすぎないサイズ、使い勝手のいい5人乗りの室内、そして何より驚異的な低燃費を実現してきたので、知名度の高さや人気の高さも当然かもしれません。
しかし、登場から20年が経った今、プリウスファミリーはどんどんバリエーションが増加。「プリウス」と名の付く車は、日本国内だけで3車種も存在するのです。
一体どれがあなたにぴったりのプリウスなのか、特徴をご紹介していきますので、検討してみてくださいね。
■プリウス|価格と低燃費の高バランス、プレミアムベーシック
トヨタ プリウス
まず、一番ポピュラーなのが、ベーシックな「プリウス」です。
ベーシックとは言うものの、WLTCモード燃費が最高で32.1km/Lと驚きの低燃費ですし、快適装備や先進装備も満載。立ち位置として基準点というだけで、正しくは「プレミアムベーシック」と呼ぶべきかもしれません。
現行型は2015年に登場し、トヨタのいい車づくりの合言葉ともなっている「TNGA」プラットフォームを採用した第一号ということで走行性能の向上が話題になりました。
また、燃費性能の向上にも余念がありません。先代プリウスから型式自体は同じ1.8リッター 直列4気筒エンジンを引き継いでいますが、熱効率40%という量販車最高レベルの効率性を達成し、その他の細やかな改良も加わって歴代最高の低燃費を実現しています。
トヨタ プリウス インテリア(クールグレー)
それでいて、室内はゆったりとした空間が確保されているのが特徴。近年はプリウスのタクシーもよく見かけることからも、その実用性の高さはお墨付きといったところでしょう。
特に、空力のために大きく絞り込まれたルーフラインは後席頭上空間を狭くしそうですが、ルーフ内装の形状を工夫することで、ゆとりある頭上空間を確保。普段から使える後席空間となっています。
現行型では、新たに流れるようなデザインと、特徴的なカラーバリエーションを採用。定番のブラックだけでなく、室内が明るくなるクールグレーの内装色も選択できます。
トヨタ プリウス
登場当初はトンガったデザインが賛否両論を巻き起こしましたが、2018年の改良でかなり角が丸められた印象のデザインに変更された現行プリウス。
しかし、ボディ各部には、いかにも空力最優先と思わせるような独特な処理が残っていますよね。特にボディサイドからリヤエンドへ続くフィン状の造形、まるでセダンのトランクのように後方に伸びるリヤウィング部などは、少し前ならコンセプトカーとしても十分通用するような未来的な仕上がり。
そんな特別な車が一般的な乗用車の価格帯で買えて、室内は5人と荷物がゆったりできて、その上普通に走って燃費もいいなんて、人気が出て当然ですよね。
トヨタ プリウスのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,575mm×1,760mm×1,470mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,700mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,350kg | |
燃費 | WLTCモード:30.8km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒 1,797cc | |
エンジン最高出力 | 72kW(98PS)/5,200rpm | |
エンジン最大トルク | 142N・m(14.5kgf・m)/3,600rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 53kW(72PS) | |
モーター最大トルク | 163N・m(16.6kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 2,413,637円(消費税抜き) |
■プリウスPHV|近場ならガソリン消費ゼロ?!次世代ハイブリッド
トヨタ プリウスPHV
そんなプリウスをベースに、新たに充電可能な大型バッテリーを搭載したのが、プリウスPHV。市販車としては先代プリウスにもPHVが設定されていたのですが、現行プリウスPHVは、WLTCモードのEV走行換算距離で60kmという実用的なEVレンジを実現。
お買い物や通勤などでは一切ガソリンを使わずに、充電した電気のみで走行可能な、次世代ハイブリッドなのです。
また、プリウスPHV専用の機能として、EV走行時はジェネレーターをモーターとして動かして、2個分のモーターで加速することができる「デュアルモータードライブ」システムが特徴的です。
もとより低速域からレスポンスに優れたモータードライブに、力強さまで加わった、PHVならではの運転感覚です。
もちろん、充電を使い切った後はプリウス同様に低燃費なハイブリッド走行が可能なので、長距離運転でも安心。もしかすると現時点でのエコカーの最適解は、プリウスPHVかもしれません。
トヨタ プリウスPHV(2017年型) ダッシュボード
後にプリウスでもメーカーオプションで選択できるようになりましたが、当初はプリウスPHV専用装備だった、縦長11.6インチの超大型ナビゲーションシステムも、PHVの先進性を表していますよね。
この大型ディスプレイ装備車では、乗車前からエアコン操作ができる「リモートエアコンシステム」にも対応。近年の酷暑だけでなく、冬場の寒い時期にも役立ちそうな機能ですね。
また、リモートエアコンを充電ケーブル接続中に行えば、充電を減らすことなく室内のコンディショニングが可能。レンジをフルに活かしつつ、快適なドライブが出発時から楽しめそうです。
トヨタ プリウスPHV
もちろん、室内の使い勝手も上々。追加されたバッテリーの分、プリウスよりもトランクの底が上がってはいますが、後席を倒さなくてもゴルフバッグが2個積める荷室や、改良によって5人乗りとなったリヤシートは、エコカーだからと我慢せずにガンガン使える実用性の高さがあります。
先代プリウスPHVでは外観でプリウスと区別するのはやや難しい、微妙な違いしかなかったのですが、現行プリウスPHVは、フロント・リヤの表情の違い、最先端のカーボン素材を使用したバックドアに取り付けられた2つのふくらみをもつダブルバブルウインドゥなど、一目見てPHVだ!と分かる独自のスタイルを獲得。
ご近所にもさりげなく自慢できそうな、最先端のハイブリッドカーです。
トヨタ プリウスPHVのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,645mm×1,760mm×1,470mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,700mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,510kg | |
充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ) | WLTCモード:60km | |
交流電力量消費率 | WLTCモード:107Wh/km | |
ハイブリッド燃費 | WLTCモード:30.3km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒 1,797cc | |
エンジン最高出力 | 72kW(98PS)/5,200rpm | |
エンジン最大トルク | 142N・m(14.5kgf・m)/3,600rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 53kW(72PS)/23kW(31PS) | |
モーター最大トルク | 163N・m/40N・m | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 3,011,819円(消費税抜き) |
■プリウスα|7人乗れるシリーズ唯一のモデル
トヨタ プリウスα
これまでご紹介してきたプリウスとプリウスPHVはどちらも5人乗りなのですが、2列シートの5人乗りの他に3列シートの7人乗りも選べるプリウスが「プリウスα」です。
多人数乗車が可能なのですが、ミニバンらしからぬ低全高と流れるようなデザインが特徴的なプリウスα。トヨタとしてもワゴン車という位置付けのようです。
しかし、そのロングルーフとやや高められた全高がもたらすユーティリティ性の向上幅はかなりのもの。
プリウスでも不満のない荷室ですが、プリウスαでは2列目より後ろの荷室スペースだけでゴルフバッグが4個も積めるので、4人同乗してゴルフ、なんてシーンでも余裕綽々です。
また、3列シート車でもシートを格納すればVDA方式で最大1,035Lもの荷室が確保できるなど、スムーズな見た目とは異なってかなり余裕のスペースがあります。
トヨタ プリウスα インテリア
メカニズム的には先代となる3代目プリウスと共有しており、現行型プリウスと同じような究極の低燃費ではないのですが、すでにお伝えした室内の使い勝手を考えれば驚異的なWLTCモード燃費で20.7km/Lの低燃費を誇ります。
2列シート車では荷室前方、3列シート車ではセンターコンソール下部に搭載される電池は、当時トヨタ車初だった高効率なリチウムイオン電池。それによって5人乗りとの重量差はわずか10kgに抑えられるなど、7人乗りでも低燃費は維持。
積極的に3列シートを選びたくなるような、使えるワゴンとなっています。
トヨタ プリウス+(欧州仕様、日本名:プリウスα)
現在、ベースとなった3代目プリウスは4代目に代替わり、その4代目プリウスすらも一部改良を受けるほどに長期間販売が続けられているプリウスα。
特に後継モデルの噂を聞くこともないのですが、それはプリウスαの完成度が非常に高いが故に、現在でも魅力が薄れていないためかもしれませんね。
同じトヨタでも、もっと背の高い大柄なミニバンでもハイブリッド搭載車はたくさんあるのですが、箱型の画一的なボディでは満足できない方には、スリークな見た目ながら7人がしっかり乗れる、プリウスαをおすすめしたいところです。
トヨタ プリウスαのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,630mm×1,775mm×1,575mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,780mm | |
最大乗車定員 | 7名 | |
車両重量 | 1,460kg | |
燃費 | WLTCモード:20.7km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒 1,797cc | |
エンジン最高出力 | 73kW(99PS)/5,200rpm | |
エンジン最大トルク | 142N・m(14.5kgf・m)/4,000rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 60kW(82PS) | |
モーター最大トルク | 207N・m(21.1kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 2,698,182円(消費税抜き) |
【結局どれがオススメ?】シナリオ別でおすすめをご紹介
トヨタ プリウス
今やハイブリッド車はコンパクトカーから大型高級車まで幅広く設定されているので、プリウスを選ぶ際には、プリウスにしかない魅力を見極めることが必要です。
さらに、プリウスシリーズ中だけでも3車種があるので、何を車に求めるか、よく吟味する必要もありそうですね。
まずベーシックなプリウスは、なんといってもその価格の親しみやすさがポイント。世界トップレベルの効率を実現している車ながら、エントリーグレードでは260.8万円と、ごく一般的なハッチバック車と同等に抑えられた価格が何よりの魅力です。
そして、意外なことに、シリーズ唯一の4WD仕様が設定されている点もプリウスの注目ポイント。積雪地方にお住まいの方だけでなく、最近では急にやってくる悪天候にもより安心感を持って運転できそうです。
トヨタ プリウスPHV GRスポーツ(プロトタイプ)
続くプリウスPHVは、更なる高効率と長距離のEV走行まで可能という先進性がポイント。その分価格はエントリーグレードで331.3万円と、ややプリウスからは上昇してしまうのですが、それを補って余りある最先端の技術を体感できる点が魅力的です。
価格上昇分は、EVレンジ内でしか使用されない方なら給油する機会が大幅に減ると思われるので、もしかすると浮いたガソリン代で回収できてしまうかもしれませんね。
また、プリウスには設定のないスポーツグレード「GRスポーツ」が設定されているのもプリウスPHVの強み。世界中のレースで鍛えられたノウハウが注ぎ込まれた「GRスポーツ」グレードは、そのアグレッシブな見た目もあって設定されている各車で大人気ですので、PHV一択!となる方もいらっしゃるかもしれません。
トヨタ プリウスα 助手席リフトアップシート車 Bタイプ
最後にプリウスαは、その使い勝手の良さが特徴的です。
同じ7人乗車可能なモデルとしては、トヨタ シエンタのハイブリッド仕様に燃費では抜かれてしまっていますが、ゆとりある室内空間はプリウスαの圧勝。また、よりスペース効率の高いノアなどには、僅差ながらプリウスαの方が低燃費で差をつけています。
また、ミニバンとしてではなく、2列シート車を選べば、最近日本では絶滅危惧種のワゴン車を低燃費に楽しむこともできます。
プリウスにも設定があるのですが、福祉車両のウェルキャブ仕様として使うにもプリウスαはぴったり。余裕ある頭上空間とともに、助手席リフトアップシート車ではかなり低い位置まで助手席が降りてきてくれるので、乗り降りもしやすいです。
トヨタ プリウスシリーズの新車・中古車価格まとめ
ここまで、現行プリウスシリーズ3車の魅力とおすすめポイントをご紹介してきましたが、車を購入する際に重要なのは性能や機能だけでなく、価格もかなりのウェイトを占めますよね。
それぞれの新車、中古車価格をまとめましたので、ご紹介します。
トヨタ プリウス(北米仕様)
プリウスのトリムグレードは、廉価なものからE、S、A、Aプレミアムの4種類から選ぶことができ、E以外には「ツーリングセレクション」という装備充実グレードも選ぶことができます。またE以外では4WDのE-Fourも選択可能です。
2020年9月現在の税抜き新車価格では、最も廉価なEが2,370,910円、最も高価なAプレミアム “ツーリングセレクション” E-Fourが3,233,637円と、200〜300万円台に収まる価格帯となっています。
中古車は、人気車種であることもあり選び放題。プリウス全世代を合わせた在庫台数は2020年9月現在 9,331台となっており、あらゆるグレード、色、程度のものを選ぶことができます。
現行モデルに限ると、中古車平均価格は186万円と、新車価格よりもさらにお手頃に。改良前の初期型であっても驚異的な低燃費は変わりないので、割り切って格安な車両で節約するのもおすすめです。
先述の通り、現行型プリウスの特徴であるE-Fourの在庫も412台と豊富。お安いものでは100万円ちょっとの車両もあるので、悪路でもより安心して運転できるプリウスをお探しならおすすめです。
トヨタ プリウスPHV
プリウスPHVは4WD仕様がなく、プリウスに設定されている燃費スペシャルのエントリーグレード Eも無い点がプリウスとは異なりますが、基本的には同一。廉価なグレードからS、A、Aプレミアムと並びます。
このほか、プリウスPHVの特徴でもある11.6インチナビを標準装備する「ナビパッケージ」や、Sに対して安全装備が追加された「S “セーフティパッケージ”」、「GRスポーツ」などのバリエーションがあり、合わせて9個のグレードが用意されています。
2020年9月現在の税抜き新車価格では、最も廉価のSが3,011,819円、最も高価なAプレミアム “ナビパッケージ”が3,992,728円と、プリウスからはランクアップして300〜400万円台の価格帯となります。
中古車では、やや高めの車両価格も影響してか、プリウスほどの在庫台数はありません。2020年9月現在では397台の在庫があり、現行モデルの平均価格は271.7万円となっています。
このうち、趣味性の高いGRスポーツはたったの34台。街中で見かけることもまだまだ稀かと思いますので、スポーティなGRスポーツに特化して中古車をお探しになるのも楽しそうです。
トヨタ プリウスα GRスポーツ(プロトタイプ)
プリウスαは、基本的にはお求めやすいSと豪華なGの2グレードなのですが、豪華仕様の「ツーリングセレクション」がそれぞれ設定されるほか、5人乗りと7人乗りのバリエーションがあるので、グレード数としては11個と多め。どんな仕様をお求めなのか、先に決めておくとスムーズにグレード選びができそうです。
実はプリウスPHVと並んでGRスポーツも設定されているプリウスα。7人乗りでもぐいぐい攻めていける足回りを楽しめる、貴重な存在です。
2020年9月現在の税抜き新車価格では、最も廉価なS “Lセレクション” 5人乗り仕様が2,375,000円、最も高価なS “ツーリングセレクション・GRスポーツ” 7人乗り仕様が3,293,000円と、プリウスと同様に200〜300万円台の価格帯に収まります。
中古車は、販売期間が長いこともあり、在庫は豊富。まだ1世代しか販売されていませんが、2020年9月現在、2,730台の在庫が確認できます。
その中古車平均価格は1,038,182円と、広々とした室内と低燃費を考えれば大バーゲン。なんと最安では29.8万円の本体価格が付けられた車両も確認できるなど、ハイブリッド車をお探しの方だけでなく、ミニバンをお探しの方にまで積極的におすすめしたい価格帯となっています。
まとめ
トヨタ プリウス
プリウスって、実際に乗ってみると、過不足がなく1台で大満足できる完成度の高い車ですよね。
しかし、そんな大満足のプリウスだけでなく、プリウスの個性を先進性へと特化させたPHV、多人数乗車のユーティリティ性へと特化さえたαと、3台が揃っているので、現在はなおのこと盤石の体制。大人気になるのも当然ですね。
中古車でも選びやすいプリウスは、新たな日本の国民車となっているのかもしれません。