ここまで長かった。新型フェアレディZ、ついに姿が判明!
日産 フェアレディZ プロトタイプ
フェアレディZ。その車名が日産のファンに対して持つ重みは、非常に大きなものがあることでしょう。
1969年登場のフェアレディZは、古くはダットサン フェアレディや、さらに遡れば1952年のダットサン スポーツDC-3から続く2ドアスポーツの系譜。日産の会社としての浮き沈みをもともに歩んできた、歴史の深い車です。
特に近年の世代では、2000年代の日産復活劇において、突如登場したZ33型が業績のV字復活に華を持たせ、新生日産のイメージを強く植え付けたこともあって、印象深い車ですよね。
日産 フェアレディZ(初代 S30型) 432
そのZ33型の後継、Z34型は2008年発売。今や10年以上も販売が続いている長寿モデルになってしまっています。
人気故というよりは、クーペ市場の縮小による開発費用の削減、大型のFR車開発の萎縮などが噂され、事実上、ラインナップされるだけで放置されていたような印象も与えかねないZ34型。
このままフェアレディZの歴史は途絶えてしまうのか・・・と思っていた矢先、ついに後継車の開発が宣言されました。現在のところはプロトタイプという扱いですが、公表されている情報を詳しく確認していきましょう。
■歴代Zの流れを引き継ぐスタイリング!
日産 フェアレディZ プロトタイプ(左上、右下) S30型(右上) Z32型(左下)
一目見てフェアレディZと分かるアイコニックなスタイルはさらに先鋭化。
初代フェアレディZであるS30型への憧憬は、Z33・Z34型でも強く感じられていましたが、さらにワンランクアップしたオマージュが新型フェアレディZの特徴となります。
フロントの表情などは、もはや完コピと思えるほどの完成度。ボンネットとフェンダーが作り出すフロントグリルの形状や、完全な丸形状ではありませんが丸目基調のヘッドランプなど、特徴をうまく捉えつつ、現代的なスムーズさも併せ持つ、ハイレベルなデザインとなっています。
日産 フェアレディZ プロトタイプ
また、サイドビューでも、S30系の特徴を継承。
ノーズから流れるようにリヤへと向かっていくラインは、コンパクトなキャビンを抜けて、あえてボンネットよりも低い位置に設定されたリヤエンドまで続きますが、これはS30型の伸びやかなラインそのもの。
かなり深い部分まで歴代フェアレディZのデザインを研究した上での仕上がりは、ハードコアなフェアレディZファンであっても納得の仕上がりでしょう。
日産 フェアレディZ プロトタイプ
リヤではS30型だけでなく、ローアンドワイドなスタンスでそれまでのフェアレディZ像を打ち壊すことに成功したZ32型のモチーフも継承。
Z32型としても、S30型の矩形テールランプをデザインのモチーフとしていたそうですが、新型フェアレディZでは、見比べてもかなりの再現度になっていますよね。
背景部分が黒色に設定されたテールは、広めに取られたバンパー下部の黒色塗装部と合わせて上下方向に薄さも感じさせ、かなりスポーティ。
ただのオマージュにとどまらず、LEDを使用した光り方で先進性もアピールしているなど、継承しながら進化させるデザインとなっています。
日産 フェアレディZ プロトタイプ
個人的は、Z34型に比べて、新型フェアレディZではよりショルダー部の存在感が増している点が、S30型を彷彿とさせる点と感じました。シンプルなエクステリアデザインながら、見所が多いですね。
ここまでアイコニックな車ですから、失敗は許されず、革新しないことも許されない。そんな果てしなく高いユーザーからの期待を乗り越えて実現された新型フェアレディZのデザインはほぼ完成形とのことで、早く路上で出会ってみたいものですよね。
■V6ツインターボの圧倒的な動力性能!
日産 フェアレディZ プロトタイプ
詳細は未発表なのですが、エンジン種類としてはV6ツインターボガソリンエンジンの搭載が発表されている新型フェアレディZ。
2代目フェアレディZ、S130型の販売期間終盤に設定されたターボエンジンは、3代目のZ31型、4代目のZ32型と継続して設定されてきたのですが、新生日産をアピールしたZ33型からは自然吸気V6エンジンのみの設定となっていたので、久しぶりにフェアレディZにターボが復活することになります。
日産は、あまり話題にならない印象もありますが、電気自動車の実用化だけではなく量産車世界初となる可変圧縮比エンジンを擁しているなど、パワートレインの革新性が高いメーカーです。
詳細が未発表ながらフェアレディZのV6ツインターボエンジンにも新機軸が盛り込まれると思われますし、期待が高まりますね。
日産 フェアレディZ プロトタイプ
驚きだったことは、電気自動車化はしないまでも、ハイブリッド化などの電動化に関して言及がなかったこと。
これからどんどん厳しくなっていく環境規制や騒音規制に対応するには電動化が必須と思われている現代において、新登場するスポーツカーが純ガソリンエンジン車とはにわかに信じがたい、嬉しい驚きなのですが、公開されたプロトタイプのインストゥルメントパネルには電気モーターのアシストを示すようなメーターは含まれていない様子。
スカイラインの400Rなどでもハイパワーなスポーツエンジンを追及してくれている日産ですので、400馬力超の高出力も期待できそうですね。
■この現代にあって、6速MTも選べる嬉しさ!
日産 フェアレディZ プロトタイプ インテリア
パワートレイン以上に驚きなのが、プロトタイプがマニュアル仕様で登場したことでしょう。
見るからにショートストロークの丸型シフトノブには6速MTのシフトパターンがあり、効率化優先でATやDCTしか選べなくなってきている現代のスポーツカーの中で、強いこだわりを感じさせる部分です。
日産 フェアレディZ プロトタイプ インテリア
また、こちらも近年採用がどんどん減っているレバー式で手動のサイドブレーキも、スポーツカーらしい特徴の一つでしょう。
電子制御パーキングブレーキは、採用によって全車速追従クルーズコントロールなどの運転支援機能を大幅に向上させることができるのですが、ドライバーズカーたるフェアレディZにあって自動運転なんてもってのほか、ドライブの楽しさを存分に味わってほしいという日産の思いも透けて見えます。
日産 フェアレディZ プロトタイプのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,382mm×1,850mm×1,310mm | |
---|---|---|
最大乗車定員 | 2名 | |
エンジン種類 | V型6気筒ツインターボ | |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) | |
トランスミッション | 6速MT |
【いつ発売?】新型フェアレディZのデザインは「ほぼ完成」
日産 フェアレディZ プロトタイプ
2020年9月のプロトタイプ発表イベントにおいて、日産の内田社長は、新型フェアレディZのデザインは「ほぼ完成」とまで言い切っていますので、内外装の意匠に関しては大きな変更なく、このまま登場することが予想されます。
公開されたフェアレディZ プロトタイプに関する世間の反応を確認してみても、ポジティブな意見が多くなっていますので、日産としてもホッと胸をなでおろしていることでしょう。
しかし、ルックスの評判が良くても、スポーツカーは走れてナンボ。エコカーとSUV全盛の現代ではスポーツカーが減っているとはいえ、その分ライバル車たちはより味が濃い車ばかりとなっているので、動力性能面でライバルの後塵を拝するわけにはいきません。
フェアレディZという車名に恥じない究極の運動性能を実現すべく、車両開発が進められていることでしょう。
コロナ関連の先行き、経済の先行きが総じて不透明なこともあり、先日の発表イベントにおいては確定的な言及を避けたものと思われますが、順当に開発が進めば2021年末には市販仕様が登場することが予想されています。
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日産 フェアレディZ(6代目 Z34型) 50th アニバーサリー(2019年型)
まとめ
日産 フェアレディZ プロトタイプ
ここのところ新型車の連続投入に沸いている日産のニュースの中でも、群を抜いた注目度の高さがあった新型フェアレディZ。
プロトタイプを公開してしまうなんて、元々高かった期待値がさらに天井知らずに上がってしまいそうですが、その重圧を乗り越え、日産屈指のドライバーズスポーツカーとして素晴らしい動力性能を実現してほしいものです。