ボンネットとは?
マツダ CX-8 25S Lパッケージ
ボンネットとは、ワンボックスカー以外の車についているエンジンルームのカバー(蓋)です。欧米では、エンジンフードまたはエンジンリッドとも呼ばれます。
ボンネットは車前方から持ち上げるタイプ、フロントガラス側から持ち上げるタイプがあります。素材はほとんどが金属性となっていますが、強化プラスチック・カーボン・アルミ合金が使われているものもあります。
ボンネットの役割はもちろんエンジンルームを守ることですが、空力抵抗を少なくしたり、エンジンルームを冷却したりする役割もあります。
ボンネットの裏側は強度や安全性を高めるための骨組みが張り巡らされています。衝突時には折れ曲がるようになっており、衝撃を分散する仕組みになっています。
また、歩行者がボンネットに叩きつけられたときの衝撃を緩和する「衝撃吸収ボンネット」の採用が2003年ごろから始まっています。
■ボンネットの開け方・閉め方
多くの車には、足元付近にボンネットが開いている絵のマークが記されているレバーがあります。これが「ボンネットオープナー」です。このレバーを引くと「ボン」という音とかすかな感触があります。
ジムニーなど運転席側にはボンネットオープナーがないタイプの車もあり、その場合には助手席側のグローブボックス内にレバーがあります。
ボンネットオープナーのレバーを引くだけでは完全にボンネットは開いておらず、かすかに蓋が持ち上がったような状態になっています。ボンネットと車体のすき間に手を入れると中にレバーがあるので、さらにそれを操作して開けます。
このレバーは上下に動くタイプと左右に動くタイプがあります。レバーを操作しながら完全にボンネットを開きます。
するとボンネットの裏側、または車体に「ボンネットステー」という棒があるので、それをフックから外してステー差し込み位置の穴にしっかりと差し込みます。車種によっては自動で開きボンネットステーが必要でないもの、開くとボンネットステーがロックされるタイプもあります。
ボンネットを閉めるときは、ボンネットステーを外してステーを元の位置に戻します。
次にゆっくりとボンネットを手で下げていき、20~30cmの高さから放して閉めます。それ以上の高さから手を離すと破損する可能性があるので注意して下さい。
軽めのボンネット、軽自動車のボンネットは手を放すだけではしっかり閉まらないことがありますので、勢いをつけたり手で抑え込むような感じでしっかりと閉め、半開きにならないように気をつけましょう。
■ボンネットを開けてここを点検!
ホンダ アコード 新型 エンジンルーム内部
では、次にボンネットを開け内部を点検していきましょう。
点検する際は、走行直後だと車に熱がこもって危険です。そのためエンジン始動前か走行後しばらくしてエンジンルーム内の温度が下がったときに行います。
主な点検ポイントは以下の通りです。
ウォッシャー液の量を点検する
ウォッシャー液はワイパーだけでは落とせない泥や油性の汚れなどを落とす洗浄剤の役割を果たすものです。
ウォッシャータンクに液体が入っているか確認しましょう。タンクが空の状態だとモーターの故障などの不具合につながります。
ブレーキ液の量を点検する
ブレーキリザーバータンクの液量が上限ラインと下限ラインの目盛りの間にあるか確認します。
ブレーキ液の減り方が早い場合はブレーキ液系統から液漏れしている恐れがあるため、自動車整備工場で点検してもらいましょう。ブレーキ液量が十分ではないとブレーキの効きが悪くなり、重大な事故につながる恐れがあります。
バッテリー液の量を点検する
こちらも同じく、液量が上限ラインと下限ラインの目盛りの間にあるか確認します。
バッテリー液量が十分ではないとバッテリーの寿命が短くなり、発熱・爆発の恐れがあります。なおバッテリー液は腐食性が高いため、体や衣服、車体に付着しないよう気をつけて下さい。
冷却水の量を点検する
ラジエーターリザーバータンクの液量が上限ラインと下限ラインの目盛りの間にあるか確認します。
冷却水の量が十分ではないとオーバーヒートの恐れがあります。
エンジンオイルの量を点検する
薄い板状または棒状のオイルレベルゲージを抜き取り、付着しているオイルをキッチンペーパーなどでふき取り、もう一度元にあった場所に差し込み、引き抜きます。
するとエンジンオイルの現在の量がオイルレベルゲージに付着しています。オイルレベルゲージに上限ラインと下限ラインが記されているので、その目盛りの間にあるか確認します。
オイルが汚れていたり、十分ではないと燃費が悪くなるなどトラブルが発生する恐れがあります。
オイルレベルゲージ
この点検で各点検場所の目盛りは上限が「UPPER」「MAX」または「H」など、下限が「LOWER」「MIN」または「L」など車種によって違う言葉で記載されていることがあります。
なかなか開けて点検することのないボンネット内ですが、定期的に点検することで未然にトラブル(故障、不具合など)を防ぎます。またそのことで自分の愛車の「体調」がわかるようになります。
長く大切に乗るために最低限確認できるようにしておきたいところです。
ボンネットのキズ・凹み対処法!
ボンネットに起きやすい悩みといえば、キズ・凹みです。
自分の愛車のボンネットにキズ・凹みができてしまった場合の対処法を紹介していきます。
■ボンネットにキズ・凹みができる原因
ボンネットにキズがついてしまう原因はほとんどが前方を走る車がはね上げた飛び石によるものです。
金属性のボンネットに肉眼ではっきりとわかるほどのキズができるのですから、大変に大きな力が加わったことがわかります。
そのキズは塗装部分だけではなく、下塗りの部分まで届いていることが多く、放置しているとそこからサビ・腐食の原因となってしまいます。
キズができる主な場所は高速道路でしょう。
スピードを上げたトラックやダンプカーのタイヤ溝にはまっていた小石が一気に後方に放出されてしまうことが多いからです。
できれば大型車の後ろを走ることは避けたいところですが、もしそれでも大型車の後ろについてしまったら十分な車間距離を取るようにしましょう(もちろんそのほかの車であっても同様ですが)。
確実な対策はなかなか難しいですが、車体に飛び石対策用の透明なフィルムを購入して貼るという方法もあります。
そしてボンネットの凹みの原因は、氷のように固まった雪・雹やあられ・ボール・鳥の落とす木の実などがありますが原因不明のものも多く、対策もしにくいのが難点です。
■ボンネットのキズ・凹みの修理方法
キズが1か所で、指で触っても爪にひっかからないくらいのごくごく浅いものであればタッチアップペンで対応できるかもしれません。
しかしキズが複数であったり、凹みが大きかったりするようであれば業者さんに依頼するのが一番確実な方法でしょう。
キズ・凹みの直し方には大きく分けて2つの方法があります。
1つ目は比較的小さい凹みである場合、「デントリペア」という工具を使って直す方法です。
これはボンネットの裏から特殊な専用工具で凹んだ箇所を押し出し直すものです。短時間で修復ができ、料金も安くで済むといったメリットがあります。
しかしキズ・凹みが大きく複雑な場合はその方法では直せないことがあります。
もう一つの方法が「板金塗装」です。
キズ・凹み部分をパテで埋めて塗装し、元の形に修復する方法です。
作業工程は多く複雑で、デントリペアより費用も高額になってしまいますが、熟練した業者さんに依頼すれば元の美しいボンネットの形を取り戻すことができます。
■ボンネット修理、気になるお値段は?
板金塗装だと最低でも3万円程度、デントリペアだとキズ・凹みの具合によって2万円を切る場合もあるようです。
特にボンネットは修理が難しい(微妙なカーブの加減や一枚板であること、太陽などによる熱、雨や雪による被害を一番受けやすい箇所であることから)ので、高額になる傾向もあるようです。
まとめ
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ボンネットは車の中で一番目立つ箇所、すなわち顔にあたります。そして、ボンネット内はエンジンを始め、車にとって大事な機材の入った言わば脳です。
普段運転している場合にはあまり気にすることがないかもしれませんが、しっかりとメンテナンスを行い長くカーライフを楽しみたいものですね。