ハザードランプって何?
運転手異常時ブレーキ
ハザードランプとは、ウィンカーと同じく車の動きを事前に周囲に知らせるための重要な安全装置の1つです。駐停車の際に自車の位置や動きをアピールするため、故障など何かしらのトラブルがあって動けなくなった際に使用するのが本来の使い方となります。
この他にも、後続車に道を譲ってもらった際、脇道から優先道路へ入れてもらった時の合図や感謝の気持ちを込めて1~2回点灯させるといった使われ方もします。
また、路肩に止まった通学・通園バスや路線バスが、人の乗り降りの際に点灯させるといった使い方もよく見かけることでしょう。
このように、主に後続車に何かを伝える手段として用いられるものがハザードランプです。
■ハザードランプの正式名称
ハザードランプ スイッチ
ハザードランプの正式名称は、「非常点滅表示灯」です。これに関しては道路を使う際のルールを定めた道路交通法施行令にも記載されており、第18条と第26条の3項目の合計2ヶ所に記述があります。
第18条では夜間走行時における決まり事であり、幅5.5m以上の道の路肩に停車および駐車する際には、ハザードランプかテールライトをつけなさいというルールです。第26条の3項目には通学・通園バス、すなわちスクールバス全般にまつわる規定です。
小中学校などの児童・生徒や、幼児の乗降のために停車する際には、同じくハザードランプを点滅させなければなりません。
なお現在は一般の乗客を乗降させる、路線・観光バスやタクシーなどにも採用されています。
■ハザードランプの使用例
名称に用いられている単語、ハザード(hazard)は危険な状態を引き起こす原因や障害物、潜在的な危険性を意味する言葉です。
その名前の通り、周囲に危険因子となる状態を警告する際や、自身が非常事態であることを車外の人に向けて示すのがハザードランプの役割となります。
路肩への駐車時
法令でも述べられている通り、夜間の路肩への駐車時やスクールバスなどの乗員の乗降時が挙げられます。
いずれも乗り降りする人間や、停車している車に対して他の車が追突しないよう周囲に注意を呼びかける合図です。
ただ、自動車を路肩に寄せた場合、歩道側のランプが標識や植木などの物陰に隠れてしまった場合、右側しか見えなくなり発進の合図と誤解されかねません。
この使用法に関しては好ましくないという意見も少なくないため、周りが開けている場所であることや後続車との間が詰まっている時など状況に応じて使用した方が賢明です。
悪天候での運転時
次に悪天候の状況下での運転中の合図として、積雪や豪雨の際における低走行時のランプが挙げられます。台風や積雪・豪雨などにより制限速度を大幅に下回った速度で走行しなければならない時、ハザードランプを点滅させることがあります。
除雪車や道路維持作業車が、作業しながら低速走行する場合も視界が悪いことが多く、衝突事故を未然に防ぐために周囲へと注意喚起を促す際も同様です。前方がほぼ見えないほどの濃霧が発生した場合も、同じようにハザードランプを点滅させる場合があります。
通常はヘッドランプやフォグランプなどで注意喚起を促しますが、ハザードランプを補助的に使用して周囲のドライバーや歩行者に自車の位置を知らせるという訳です。
バック駐車時
この他、特殊な動作をする場合にもハザードランプが使われることがあります。その1つにリバースハザードがあり、駐車スペースにおいて使用されます。
スーパーやショッピングモールなどの駐車場において、バックで駐車する際に周りのドライバーに注意を促す意味で使われるという訳です。
駐車場のバックの他にも、五叉路など普段とは違った動きを自動車にさせる場合においてもハザードランプを使用することで、不慮の事故を防ぐことが可能です。
渋滞の発生時
渋滞の発生時においても、ハザードランプが使用される場合があります。渋滞最後尾に位置している車が、後続車に渋滞の存在を知らせる目的で使用するというケースです。
今から渋滞に入るため速度を落としてくださいと通知することにより、追突事故の発生を未然に防ぐことが可能です。
ただ大抵は最後尾ではなくてもハザードランプが点滅しているため、渋滞に突入した際もそこまで神経質になる必要は無いかも知れません。
ハザードランプの使い方
V2Vで危険情報共有
ハザードランプの使い方は、赤色の背景に二重の三角形が描かれたボタンを押すだけです。ボタンの場所はハンドル付近、もしくはナビやエアコンが集中しているセンタークラスターに取り付けられています。
外から確認すれば分かる通りフロントとサイド、リアのウィンカーが同じタイミングで点滅します。再び車内に目を向けると、メーター内のウィンカーの表示を行うインジケーターがリアと同じように左右が同時に点滅しているのが分かるでしょう。
ハザードランプは、ウィンカーで使用されるランプや表示機器をそのまま併用する形となります。なおハザードはガス欠によってエンジンが作動しないなど、緊急時に使うことができるようイグニッションがオンではない時にも動くシステムです。
ただしバッテリーが上がってしまい、電気系統が使用できない状態ではハザードスイッチを押しても作動しないケースがあるため注意が必要です。
加えて、たとえエンジンを切っていてもハザードランプは点灯し続けます。ランプを消し忘れていると、バッテリーが上がる原因となるため十分に注意してください。
サンキューハザードについて
渋滞時 ハザードランプ
脇道から合流する際や、車線変更をする際、道を譲ってくれたドライバーに対して感謝の気持ちを示すという目的で、ハザードランプを使用することがあります。感謝の意をそのまま取って、サンキューハザードという通称名で一部のドライバーの間で使用されている使用法です。
挨拶やコミュニケーションの目的であり、この使用方法は本来想定されていた危険察知や注意喚起には該当しません。日本自動車連盟ことJAFも、このサンキューハザードに関しては本来の使い方とは異なるため推奨しないと述べています。
本来の注意喚起や非常事態での使用とは異なる上に、地域や状況によっては煽り目的など違った意味で使われる場合もあるからです。
ドライバー同士で広まってはいるもののあくまで一部であること、ローカルルールの範囲であることを認識しておきましょう。
特に、初めて行く地域や路線においては無闇にハザードランプを点滅させず、挨拶や感謝には会釈や手を使うようにすると良いです。
まとめ
ハザードランプの正しい使い方を知ろう
ハザードという言葉が意味する通り、潜在的な危険性を周囲に呼びかけて未然に事故を防ぐという用途において限りなく重要な装置です。
視界の悪い雨天・荒天時や濃霧の状態、夜間での駐停車などあまり意識していなかったという方は、この機会に改めて使用するタイミングをしっかりと覚えておきましょう。
また周囲の車が使用している際に、どういう意図でランプを使用しているのかが分かれば危機回避能力が飛躍的に向上します。しっかりとハザードランプの用途と活用法を把握して、安全運転を心がけましょう。