高級車とは
ロールスロイス ゴースト シリーズII
自動車メーカーは、消費者のニーズに応じて車種ごとにいくつかのグレードを設けています。ほとんどの自動車メーカーは、平均的な収入の人が購入できるような大衆車を多く生産しています。
それでも富裕層や公用車向けに、グレードの高い高級車も存在します。高級車に該当する車種については、価値観や国・地域ごとに異なります。
例えば日本国内では大衆車として知られるトヨタ・カローラも、東南アジアでは高級車とみなされます。
高級車と大衆車の捉え方は人それぞれですが、日本国内であれば任意保険(車両保険)の「型式別料率クラス」で定義されるという考えがあります。
日産・シーマ
料率クラスが最高の車種はレクサスLS・LXや、欧州車であればメルセデスベンツやランボルギーニガヤルドなどがあります。
国や地域に関係なく全ての人が高級車として認めるような車種はかなり限られますが、いくつか存在します。有名なものであれば、ロールスロイスやマイバッハなどがあります。
これらの車はいずれもセグメントFまたはLタイプに属しており、ボディの全長は5mを超えます。このクラスの乗用車は価格が1000万円以上で、平均的な収入の一般庶民は購入できません。
販売価格が高いですが、高級車には各メーカーが持つ最先端の技術が多く盛り込まれているという特徴があります。
海外メーカーの高級車
ロールスロイス ゴースト シリーズII
海外メーカーで高級車ブランドには、ポルシェ・BMW・メルセデスベンツ・ベントレー・フェラーリ・ランボルギーニ・ロールスロイスなどが有名です。
これらのブランドには乗り心地が快適な大型セダンや、走行性能が際立って優れているスーパーカーなどが含まれます。
■セダンの高級車たち
セダンタイプの高級車であれば、ロールスロイス・ファントム、メルセデスマイバッハ、ベントレーなどが知られています。
いずれも全長が5mを超えており、エンジン排気量は5Lかそれ以上です。これらの乗用車は富裕層の個人だけでなく、王族や要人の公用車としても使用されています。
セダンタイプの乗用車はキャビンと荷物スペースが明確に分かれており、後席の快適性が高いという特徴があります。
ハッチバックタイプの乗用車と比べると静粛性に優れており、低重心で走行安定性が高いという利点もあります。
ロールスロイス・ファントム
ロールス・ロイス ファントム
ロールスロイスは英国の有名な自動車メーカーで、高級車の代名詞のような存在です。ファントムはロールスロイスが製造する乗用車の中でも、最高位に君臨するフラッグシップモデルです。
最新型のファントムVIII(EWB)は排気量が6.75LでV12気筒エンジンを搭載し、最大出力は571馬力に及びます。
全長は5,990mmで、全高は1,645mmもあります。背の低い女性であれば、体を屈まなくても楽に乗車できます。
キャビンは後席の快適性が重視されており、走行時の遮音性が高いという特徴があります。車両重量は約3tもありますが、0~100km/h加速は5.4秒でスポーツセダン並みの俊足性を誇ります。ロールスロイスファントムは、英国や他の国の王室で使用されています。
メルセデスマイバッハS650
メルセデス マイバッハSクラス
メルセデスマイバッハは、同社が生産するSクラスを超える最高級クラスの4ドアセダンの乗用車です。
メルセデスマイバッハ Sクラスには4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載するS560と、6.0リッターV12ツインターボエンジンを搭載するS650の2種類があります。
マイバッハには、メルセデスベンツが培ってきた高い操舵性能と走行安定性の技術が盛り込まれています。
S650は全長が5.5mもあり、後席では背が高い人でもゆったりと足を伸ばせるほどです。日本国内での販売価格は2,930万円で、オプションを追加すると軽く3,000万円を超えます。
■スーパーカーの高級車たち
スピードを追求したスーパーカーと呼ばれる車の中にも、高級車が存在します。スーパーカーはスポーツクーペの中でも走行性能に秀でており、最高速度は軽く時速300kmを越えます。軽量な車体に高出力エンジンを搭載しており、“公道を走行可能なレーシングカー”と言える存在です。
フェラーリ・812スーパーファスト
フェラーリ 812スーパーファスト
812スーパーファストは、イタリアの高級自動車メーカーであるフェラーリが製造する乗用車の中で最高ランクに君臨するスーパーカーです。
6.5LV型12気筒エンジンを搭載し、最高出力は800馬力に及びます。最高速度は時速340kmで、販売価格は約4,000万円からとなっています。
パガーニ・ウアイラ
パガーニ ウアイラ BC
ウアイラは、イタリアの高級車メーカーパガーニが2011年に発売したスーパーカーです。1,350kgの重量の車体に排気量6LのV型12気筒エンジン(最高出力730馬力)を搭載しており、最高速度は時速360kmです。
パワーウェイトレシオは1.85kg/PSに達し、V12エンジンを搭載したスポーツカーの中ではトップクラスの性能を誇ります。
パガーニ・ウアイラの生産台数は全世界で100台のみで、販売価格は1台あたり1億5,000万円です。生産台数が少ないことから希少性が高く、入手することが非常に難しい自動車のひとつです。
■SUVの高級車たち
高級車と聞くと、多くの方はセダンタイプのVIPカーやスーパーカーを思い浮かべる方が多いかもしれません。
富裕層のニーズに応えるために、実用性を重視したSUVの高級車も存在します。SUVの高級車は高い走行性能とキャビンの快適性に加えて、各自動車メーカーが持つ強みを兼ね備えています。
メルセデスAMG G63
メルセデスAMG G63
AMG G63はドイツの高級自動車メーカーとして有名なメルセデスベンツが製造・販売するSUVで、オフロード走行が可能な4WDです。
路面や走行状況に応じて前後の駆動トルク配分が変化し、悪路の走破性が高められています。AMG G63は加速性能にも優れており、0~100km/h加速が4.5秒で最高速度は時速240kmに達するほどです。
これはスポーツカーに匹敵するほどの高い走行性能を誇るSUVで、販売価格は2,194万円に設定されています。
ランドローバー・レンジローバー
ランドローバー・レンジローバー
レンジローバーは、英国の自動車メーカーのランドローバーのフラッグシップモデルです。同社の持つ最高の技術が盛り込まれており、走行性能と耐久性を追求した5ドアSUVです。
レンジローバーは高級SUVの先駆け的な存在で、かつては「砂漠のロールスロイス」と呼ばれていました。
現行モデルは軽量なオールアルミモノコック構造が採用されおり、高い走行性能と乗り心地の良さを両立させています。
日本も負けてない!日本メーカーの高級車
トヨタ センチュリー
高級車の多くは海外ブランドですが、日本車にも乗り心地や走行性能の高い車種が存在します。国産車の高級車(Fセグメントのセダン)は、トヨタや日産が生産・販売しています。
日本メーカーの高級車は国内の企業・公的機関の公用車などに加えて、皇室用の御料車に使用されています。近年は、葬儀社が洋型霊柩車に改造した高級国産車を使用するケースもあります。
■トヨタ・センチュリー
トヨタ センチュリー
4ドアセダンのセンチュリーは、トヨタ自動車のフラッグシップモデルです。全長5.3mで海外の高級車にも引けを取らないサイズです。
センチュリーは国内での販売しか想定されておらず、細部に至るまで純和風な高級車と言えます。センチュリーのV8ハイブリッドのパワートレインやプラットフォームは、4代目レクサスLSのものを改良したものが採用されています。
電気式無段階変速機が採用されているので、スムーズに加速します。トヨタやレクサスブランドの他の車とは異なり、ボディは熟練工が手作業で最終の仕上げ調整をする方法で組み立てられています。
後席のサイドシルと床面の段差が低く、和服を着用した女性でも乗り降りがしやすいように配慮されています。ちなみにセンチュリーの販売価格は、約2,000万円です。
■レクサス・LS
レクサス LS500h
レクサスLSはトヨタ・セルシオの後継車種として発売された4ドアセダンの高級車で、レクサスブランドの最高級モデルです。現行モデルは2017年10月に発売され、ガソリンエンジンとハイブリッドモデルの2種類があります。
レクサスLSは輸出を考慮して設計されており、競合車種のメルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズを意識したデザインが採用されています。
LS500は販売台数が多いのでセンチュリーよりも価格が低く抑えられており、販売価格は約1,000万円(ガソリンエンジン)です。
■日産・シーマ
日産シーマ
1988年に登場したシーマは、日産ブランドの乗用車の中で最上級のフラッグシップモデルです。ボディの全長は5120mmでFセグメントに属し、競合車は同クラスのレクサスLSなどがあります。
レクサスやクラウンなどと比較するとシーマの販売台数は少ないですが、他の車種にはない特徴を備えています。
シーマ(現行モデル)のパワートレインはハイブリッド仕様のみで、燃費性能が大幅に向上しました。走行状況に応じて、モーターのみ・エンジン+モーター・エンジン走行+充電・回生ブレーキなどに切り替わります。
ちなみにシーマの燃費性能はJC08モードで16.6km/Lで、ガソリンエンジンのFセグメント車における平均的な燃費値を大きくを上回ります。
まとめ
トヨタ センチュリー
高級車は大きくて豪華に見える車と思われがちですが、見えない部分にも多くの最新技術や工夫が盛り込まれています。
新技術については、最初に高級車で採用された後に大衆車にも搭載されるようになるケースが少なくありません。
自動車の分野で最先端の技術について興味がある方は、高級車を深く調べてみることをおすすめします。