昭和の自動車業界はどうだった?
車が生活にかかせない存在となった昭和。高度成長期を背景に高速道路網も整備されると、各メーカーから次々と新しい車種が生まれ、現在でも記憶に刻まれる名車も登場しました。
では、どんな車が名車と呼ばれているのでしょうか?今回、昭和を彩った多くの車種の中から、名車といわれる20車種を独断と偏見で選んでみました。
貴方はどれだけ知っているでしょうか?
1. ホンダ S600
ホンダ S600(1965)
■発売期間 1964年(昭和39年)~1965年(昭和40年)
1963年にホンダ初の乗用自動車として発売されたS500の翌年に登場し、現在のホンダの四輪自動車メーカーとしての礎をきずいたのが、このS600です。
自動車製造の経験不足をオートバイやフォーミュラカーで培われた技術で補い、独特のアイデアやメカニズムが盛り込まれた結果、世界に類を見ない高性能な車両となりました。
誕生から半世紀以上経過した現在では、ビンテージカーとして、世界中の愛好家から高い評価を得ています。
2. 日産 シルビア 初代
初代 日産シルビア
■発売期間 1965年(昭和40年)~1968年(昭和43年)
初代のシルビアは、当時の2座スポーツカーであるダットサン フェアレディのシャーシにクリスプカットと呼ばれた美しいデザインのクーペボディを架装して作られたスペシャリティーカーです。
日産初採用のフロントディスクブレーキ、4速フルシンクロのトランスミッションなど意欲的に取り入れたものの高額であることなどで1968年に554台のみで生産を終了し、1975年に2代目が登場するまでシルビアの名はラインナップから消えてしまいました。
3. トヨタ スポーツ800
トヨタ スポーツ800
■発売期間 1965年(昭和40年)~1969年(昭和44年)
空気抵抗の低減を目指したデザインは徹底して丸みを帯び、小さな2シーターボディは愛嬌のある形態となって親しみを持って「ヨタハチ」というニックネームで呼ばれていました。
ほとんどのコンポーネントをパブリカからの流用され、エンジンも2気筒790ccで45PSと非力ですが、空気抵抗係数0.35を誇る空力性能と軽量化の効果によって、モータースポーツでは当時クラス最強を誇ったホンダS600と台頭に戦える戦闘力もありました。
4. トヨタ 2000GT
トヨタ 2000GT
■発売期間 1967年(昭和42年)~1970年(昭和45年 )
2000GTは、ヤマハ製ヘッドを搭載した直列6気筒DOHC2.0Lエンジンや四輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、四輪ディスクブレーキ、ラジアルタイヤ、マグネシウムホイール、リトラクタブルヘッドランプなどの当時、日本初の技術を採用していました。
小型のリトラクタブルヘッドライトと、固定式フォグランプを採用したフロントノーズと流麗な曲線のボディシルエットが国産車離れした美しいものとなりました。
見た目の美しさだけでなく、最高速度は220km/hと欧州製のスポーツカーに並ぶ性能を誇りました。
5. マツダ コスモスポーツ
マツダ コスモスポーツ
■発売期間 1967年(昭和42年)~1972年(昭和47年)
世界で初めて、量産型ロータリーエンジンを搭載した市販車となるマツダのコスモスポーツは、高回転までスムーズに吹け上がるロータリーエンジンと、未来的スタイリングが特徴の2座スポーツカーです。
2ローターのロータリーエンジンは、排気量は491x2の2ローターにより982ccとなり、最高出力は最終的に128PSになり、960kgという軽量ボディにより最高速度は200km/hと公表されています。
6. 日産 フェアレディZ 初代
初代 フェアレディZ
■発売期間 1969年(昭和44年)~1978年(昭和53年)
初代フェアレディZは、魅力あるスタイルに、欧州製のスポーツカーに引けを取らない性能
を兼ね備え北米市場で大ヒットしました。そして、日本においてもロングノーズのボンネットにL型直列6気筒エンジンを搭載したZに、若い層を中心に高い支持を受けました。
また、「スカイラインGT-R」と同じエンジンが搭載された「Z432」も設定され、さらに、2.4Lエンジンの「240Z」、ロングノーズの「240ZG」などが追加設定されました。
7. トヨタ セリカ 初代
トヨタ・セリカ(1970年)
■発売期間 1970年(昭和45年)~1977年(昭和52年)
日本初のスペシャリティカーとして誕生した初代セリカは、その斬新でスタイリッシュなスタイリングが受け大ヒットした2ドアハードトップクーペです。
特に最上級モデルのDOHC1.6Lエンジンを搭載した1600GTは最も人気が高くなりました。
その後リアにハッチゲートが採用された「セリカLB(リフトバック)」が登場し、2.0Lエンジン車も追加設定されました。
8. 日産 スカイライン 4代目
スカイライン 2000GT-R(ケンメリ)
■発売期間 1972年(昭和47年)〜1977年(昭和52年)
現行モデルで10代目となるスカイラインは、それぞれの代で名車と呼ぶにふさわしいモデルとなっています。その中でもインパクトが強く、今でも人気があるのが通称「ケンメリ」と呼ばれる4代目です。
スカイラインと言えばスポーツセダンというイメージが強いのですが、このモデルでは2ドアハードトップの人気が高くなります。
直列6気筒2.0LのGTと、4気筒の1.6L、1.8Lエンジンがあり、そしてこのモデルの人気を決定付けたS20型エンジン搭載の「GT-R」が設定されています。
9. いすゞ 117クーペ
いすゞ 117クーペ
■発売期間 1968年(昭和43年)〜1981年(昭和56年)
117クーペは、ジウジアーロがデザイン担当した流麗なデザインを備えた4座クーペで、1.6Lと1.8Lと2.0Lエンジンが搭載されています。
そのデザインは、大きなグラスエリアやステンレス製ウインドウガーニッシュなど、各部に斬新で繊細なデザイン処理は現在でも高い評価がされています。
繊細なデザインのボディゆえに初期のモデルは大量生産ができず、多くの工程を手作業で行っていたため「ハンドメイド117」と呼ばれ、生産台数も少なく、その希少性は117クーペの名声をさらに高めることになりました。
10. マツダ サバンナRX-7 初代
初代サバンナRX-7
■発売期間 1978年(昭和53年)~1985年(昭和60年)
12A型水冷2ローターエンジンを搭載し、パワーウェイトレシオ7.6~7.8kg/psという2座のライトウェイトスポーツカーとして登場しました。
エクステリアではリトラクタブル・ヘッドライトやガラスハッチを持ち、ワイド&ローのスタイリッシュなものとなっています。
130PSの2ローターエンジンは、後期モデルでターボ仕様が加わり、165PSにまで向上しました。
11. スズキ アルト 初代
初代スズキアルト
■発売期間 1979年(昭和54年)~1984年(昭和59年)
初代アルトは、「47万円」という衝撃プライスで大ヒットした軽自動車です。また、軽ボンネットバンブームの火付け役となる軽自動車の分岐点となる車種と言えます。
デラックス化しつつあった軽乗用車とは異なり、機能最優先に徹した簡潔な仕様で、内外装ともシンプルに仕立てられていましたが、女性ユーザーへのアピールを念頭に赤をイメージカラーに採用するなどで、広い層にアピールしました。
12. トヨタ マークⅡ(マークツー) 4代目
4代目マークII(1980年)
■発売期間 1980年(昭和55年)〜1984年(昭和59年)
ソアラが大ヒットとなったハイソカーブームは、このマークⅡと兄弟車種のチェイサー、クレスタにより、4ドアセダンへと移行し、より高級感が好まれるようにました。
人気はサッシュレスの「4ドアハードトップ」を採用するマークIIの方が高く、特に直列6気筒2.8Lエンジンを搭載する最上級グレードのグランデに人気が集中しました。また、この人気は次の5代目モデルまで続きました。
13.マツダ ファミリア5代目
マツダ ファミリア5代目
■発売期間 1980年(昭和55年)~1985年(昭和60年)
5代目となるファミリアは、VWゴルフなど小型車のトレンドになりつつあったFF(フロントエンジン・フロントドライブ)の駆動方式を取り入れて大成功しました。
ウェッジの効いたボディスタイルは、大きなグリーンハウスによるクリーンなものになり、3ドアハッチバックと4ドアセダンが設定されていました。
月間販売実績でもたびたび、当時の王者カローラを抑え込み、特に、若いユーザーを中心に、電動サンルーフを標準装備した3ドアハッチバックの「赤のXG」が爆発的な人気を呼びました。
14. ホンダ シティ 初代
ホンダ シティ
■発売期間 1981年(昭和56年)~1986年(昭和61年)
初代シティは、当時のホンダの主力小型車であったシビックよりも小さいサイズのコンパクトカーでありながら、室内高が高く「トールボーイ」と呼ばれるデザイン一大ブームを巻き起こしました。
ターボチャージャー付きの「シティターボ」やインタークーラーターボ付きの「ターボII」(ブルドッグ)、ハイルーフ仕様の「マンハッタンルーフ」、さらにはピニンファリーナが幌の設計を手がけたオープン仕様の「カブリオレ」など、多くの車種も登場しました。
15. トヨタ ソアラ 初代
トヨタ ソアラ2800GT 1981年
■発売期間 1981年(昭和56年)~1986年(昭和61年)
ソアラがデビューした昭和56年はバブル景気の兆しが見え始め、ソアラの登場で「ハイソカー」ブームが沸き起こりました。そして、当時の若者の間ではソアラに乗っていることがステイタスとされました。
高級車戦略と最新技術が惜しみなく採用され、全グレードで6気筒エンジンによる走行性能でも他を圧倒しました。
16. ホンダ プレリュード 2代目
ホンダ・プレリュード(1982年)
■発売期間 1982年(昭和57年)~1987年(昭和62年)
「川越ベンツ」と呼ばれ、その走行性能に高い評価を得た初代に続き、昭和57年に登場した2代目モデルは一転、プレリュードはFFスペシャルティカー、“デートカー”として、若いユーザーに支持されました
ガングリップ型のシフトレバー、低いシートポジション、電動スモークドガラスのサンルーフ、カラード液晶デジタルメーターなどのカッコよさで、ライバルとの差別化を計っていました。
17. トヨタ レビン/トレノAE86(エーイーハチロク)
AE86カローラレビン
■発売期間 1983年(昭和58年)~ 1987年(昭和62年)
4代目カローラレビンとスプリンタートレノの車両型式番号が通称名となったAE86は、FR駆動で小型軽量な車体と、1.6Lエンジンによる軽快な走りで人気モデルとなりました。
特に、販売終了後からFR駆動の車種が極端に減った現在まで、中古車での人気が高く、走り屋と呼ばれる若いユーザーに絶大な支持を得るようになりました。
18. トヨタ MR2(エムアールツー)
トヨタ 初代 MR2
■発売期間 1984年(昭和59年)~1989年(平成元年)
MR2は、日本初の市販ミッドシップ車として誕生し、エポックメーキングなライトウェイトスポーツカーとなっています。
直線的なボディラインのデザインと、1トン前後という車重にレビン/トレノと同じ1.6Lの直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、のちにスーパーチャージャー仕様も設定されています。
ちなみにMR2は、1984年度の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
19. スバル アルシオーネ 初代
スバル・アルシオーネ(1989)
■発売期間 1985年(昭和60年)~1991年(平成3年)
アルシオーネは、世界トップレベルの空力性能を誇る高速AWDツアラーとして開発されました。
他に類を見ないリトラクタブルヘッドライトを採用した極端なくさび形のエクステリアと、インテリアには、コントロール・ウィングやL字型スポークステアリング、そして液晶式デジタルメーターなども用意されました。
また、エンジンには水平対向6気筒2.7Lと水平対向4気筒1.8Lターボが設定されました。
20. 日産 シーマ 初代
日産セドリックシーマ
■発売期間 1988年(昭和63年)~1991年(平成3年)
シーマは日産の一般オーナー向けの最上級のモデルであり、全車3ナンバーという高級車でありながら、バブル期における高級車志向の高まりにより、「シーマ現象」と呼ばれるほどの販売台数を記録しました。
正式には販売店系列の違いより、セドリックシーマ、グロリアシーマという名称となりますが、車両自体に違いはありません。
V型6気筒3.0Lと同ターボエンジンがが搭載され、電子制御エアサスペンションによるしなやかで高級車らしい乗り心地に加えて、国産車離れした動力性能も魅力の車種でした。
まとめ
昭和の名車20台をご紹介しましたが、これ以外にもまだまだ多くの名車があります。また、名車と評価されても初代で姿を消してしまう車もあれば、後世になって改めて評価されるクルマなど、名車といっても色々あります。そして、機会があれば昭和から平成にかけての名車もご紹介したいと思います。