バッテリー上がりとは?
バッテリー上がり
バッテリー上がりとは、クルマのバッテリーに蓄えられた電池残量がゼロに近い状態のことです。その状態になると、エンジンスタートなどのさまざまな操作ができなくなってしまいます。
最近では、カーバッテリーの高性能化が進み、以前ほどはバッテリー上がりを聞かなったかもしれません。しかし、バッテリー上がりは今でも自動車の代表的なトラブルです。
JAF(日本自動車連盟)が発表している「2019年度 JAFロードサービス出動理由TOP3」によれば、出動理由の第一位はバッテリー上がりでした。全体の38.72%を占めています。つまり、トラブルの3件に1件以上はバッテリー上がりということになります。
ですから、バッテリー上がりの対処方法を覚えておくことは、いざという時に役立ちますし、安心のカーライフにつながるでしょう!
そもそもバッテリーって何?
バッテリーとは、充電式電池のクルマ版です。スマホなどの充電切れに、モバイルバッテリーを利用しておられる方は多いかもしれませんが、それがクルマ用に大きくなったと思ってもらえれば、イメージしやすいでしょう。
クルマは、燃料となるガソリンだけでは動きません。エンジンをスタートさせるためには「セルモーター」を動かす必要があります。このセルモーターを動かすために必要となるのが、バッテリーに蓄えられた電気です。ですから、たとえガソリンが満タンであっても、バッテリー上がりで電気が供給されなければ、エンジンを始動させることさえできません。
■どうしてバッテリー上がりが起こるのか?
バッテリー上がりは、充電量より供給量が多い状態が長く続くことで起こります。
クルマのバッテリーは通常、走行中に電気を蓄えています。バッテリーはエンジンを始動させるときに電気を供給しますが、エンジンが動いて走行しているときにはオルタネーター(発電機)から電気をもらうことで充電するのです。
このバランスが崩れてしまうと、バッテリー上がりが引き起こされます。
■バッテリー上がりの原因は?
バッテリー上がりの原因となる代表的なものに、
・ヘッドライトの消し忘れ
・自然放電
・エンジンをかけないで、エアコンなどを長時間使った
・半ドアで室内灯がつきっぱなしだった
・バッテリーの寿命
があげられます。
上記理由のうち、「バッテリーの寿命」以外は、いずれもエンジンが動いていないためバッテリーに充電がされないまま、電気を使い続けてしまったことによるバッテリー上がりです。
「自然放電」というのは、長くクルマを運転しなかったことによって、バッテリーに蓄えられていた電気が少しずつ減ってしまっている状態です。バッテリーは使わなくも少しずつ電気を減らしています。ですから、久々にクルマを運転しようというときには、バッテリー上がりの可能性が高くなっています。
バッテリー上がりのときにおきる症状
■エンジンがかからない、セルモーターの回転が弱い
エンジンを始動させようとすると、「キュルキュル」と音がするだけで、なかなかエンジンが始動しない場合、バッテリー上がりの可能性があります。この「キュルキュル音」はセルモーターが回転する音ですが、モーターに送る電力が少ないため、エンジンを始動させるほどのパワーがない状態と考えられます。
充電量がほとんどゼロになっているバッテリー上がりでは、セルモーターも回ってくれませんので、「キュルキュル音」さえしない場合もあります。
■電装品やライト類が作動しない
エンジンがかからない場合、「ライト・ランプ類」が点くか試してみるとよいでしょう。
エンジンがかからないだけであれば、他のトラブルも考えられますので、電気系統を試してみて、バッテリー上がりの可能性を探ります。バッテリー上がりを起こしていると、これらが点灯しません。また、メーター周辺の表示灯も点かなかったり、暗くなったりします。ウインカー、カーオーディオ、カーナビゲーションなども同様ですから、それらも含めてチェックしてみましょう。
エンジンはかからないが、バッテリー上がりではないトラブル
エンジンはかからないが、バッテリー上がりではないトラブルもあります。たとえば、
・セルモーターが故障している
・ガス欠状態でエンジンがかからない
・オートマチック車(AT車)の場合、シフトポジションがパーキング(P)に入っていない
・ハンドルロックがかかっている
といったケースです。
まずは落ち着いて、「電装類・ライト類」が作動したり、点いたりするかを確かめましょう。もし、問題なく作動するのであれば、バッテリー上がりではなく、別の理由でエンジンがかからない可能性が高いといえます。
バッテリーが上がったときの対処方法:ジャンピングスタート
ブースターケーブル
ジャンピングスタートとは、バッテリーが上がってしまったときに、他のクルマなどから電気を一時的に分けてもらって、エンジンを始動させる方法です。
■ジャンピングスタートの必要アイテム
ジャンピングスタートには最低限、
・ブースターケーブル
・電気の供給元(通常は、電気を分けてもらう救援車)
が必要になります。
ただし最近では「ジャンプスターター」も数多く発売されています。ブースターケーブルと携帯用バッテリーがセットになっているもので、その場合、救援のクルマがなくてもエンジンを始動させることが可能です。
■救援車をつかった手順
ジャンピングスタートは、ブースターケーブルを、バッテリー上がりを起こしたクルマと、救援車のそれぞれつないでおこないます。
1. ブースターケーブルをつなげるよう、バッテリー上がりのクルマと、救援車を近づける
2. ブースターケーブルを取り付ける
ケーブルをつなぐ順番は、
①バッテリーの上がったクルマの「プラス端子」に、赤いケーブルを取り付ける
②救援車の「プラス端子」に、赤いケーブルの反対側を取り付ける
③救援車の「マイナス端子」に、黒いケーブルを取り付ける
④黒いケーブルの反対側を、バッテリーの上がったクルマの「エンジンやフレームといった金属部分など」に取り付ける(バッテリーのマイナス端子につなぐのは避ける!)
となります。つなぐ順番を間違えると、バッテリーがショートしてしまう場合もありますので、順番通りにおこないましょう。
なお、バッテリーのプラス端子にはカバーがついていることが多いので、ブースターケーブルをつなぐ際は、カバーを外して取り付けるとよいでしょう。
3. 救援車のエンジンをかける
AT車はシフトをパーキングに、MT車はシフトをニュートラルにして、エンジンを掛けましょう。サイドブレーキもかけておくことも忘れずに。
エンジンをかけたら、充電ができるまで数分間そのままにしましょう。
4. バッテリーが上がったクルマのエンジンをかける
5. ブースターケーブルを外す
外す手順は、つないだときと反対の順番です。
6. バッテリー上がりから復旧したクルマをしばらく走行させる
ジャンプスタートでエンジンがかかったとはいえ、バッテリー残量が十分に回復したとは限りません。クルマを走行させて、引き続きバッテリーに充電がおこなわれるようにします。
■救援車がハイブリッド車の場合、注意が必要
ハイブリッド車には注意が必要!
一般に、電気系統の仕組みが異なるハイブリッド車は、ガソリン車のジャンピングスタートをおこなえません。大きな電流が発生してしまい、救援にきたハイブリッド側のユニットを故障させてしまうからです。
実際にバッテリー上がりを起こしている現場では、あわただしい状況かもしれませんが、「ハイブリッド車に救援を頼むことはできない」ということをぜひ思い出しましょう。
自分で手に負えないとき:ロードサービス
自分では手に負えない、ブースターケーブルを用意していなかった、ジャンプスターターも持っていない。そんなときに頼りになるのが、ロードサービスです。
ロードサービスの主な選択肢は、「JAF(日本自動車連盟)」と「自動車保険に付帯しているロードサービス」になるでしょう。
■JAF(日本自動車連盟)
2021年2月現在、JAF会員であるなら、「一般道・高速道路」や「昼間・夜間」の別なく、バッテリー上がりの対応を無料で受けられます。
ただし、入会していない場合、「昼間、一般道」の作業で、13,130円がかかります。もしJAF会員でないなら、大きな出費を覚悟しなければならないでしょう。
■自動車保険(任意保険)
任意の自動車保険の多くには、ロードサービスが付帯しています。それぞれの保険会社によってサービス内容は異なりますが、バッテリー上がりの作業を無料で対応してくれるところが多いようです。一度、保険会社に相談してみるとよいでしょう。
なお、ロードサービスが付帯しているのは「任意の自動車保険」です。自賠責保険の保険会社では、ロードサービスを対応してもらえませんので、ご注意ください。
その後のメンテナンス
《写真提供:response》バッテリー交換
ジャンピングスタートは、あくまで応急処置です。ですから、早めのバッテリー交換をおすすめいたします。バッテリーの寿命や発電機の不調が関係していた場合、エンジンを止めると再び始動できないケースも考えられます。
可能であれば、エンジンがかかったその足で、ディーラーや修理工場へ向かったほうが安心でしょう。
まとめ
今回は、バッテリー上がりについてまとめました。
自力でバッテリー上がりに対処するには、必要なアイテムがあります。そのため、事前の準備は欠かせません。また、救援車を呼べない状況なども考慮して、自動車保険にロードサービスが付帯しているか、チェックしておくこともおすすめします。
いざという時の備えをして、安心のカーライフを過ごしましょう。