無免許運転の定義は?どんなケースが無免許運転になる?
無免許運転は、2013年の道路交通法の改正に伴い交通違反点数と罰則が強化されました。
本記事ではまず最初に無免許運転の定義を確認します。
次にドライバーに対する罰則と、同乗者に対する罰則のご紹介をします。
最後に無免許運転で逮捕されやすくなるケースをご紹介します。
■無免許運転の定義
まず、無免許運転の定義をご紹介します。
無免許運転の定義は道路交通法第64条にて記載されています。
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
上記の道路交通法第64条にあるように、無免許運転の定義は
「公安委員会の運転免許を受けないで(停止や取消しでの効力がない状態を含む)、自動車又は原動機付自転車を運転していること」が定義です。
■どこからが無免許運転?無免許運転に該当するケース4つ
どのようなケースが無免許運転になるのでしょうか?
無免許運転にあたるのは下記のような4つのケースです。
(注意)免許を携帯していない場合は「免許証不携帯」となり、別の罰則が適用され無免許運転ではありません。
■純無免許
今まで1度も運転免許を取得していないのに自動車を運転しているケース
■停止中/取消し無免
免許停止に自動車を運転しているケース
免許取消し処分後、免許の再取得をせず自動車を運転しているケース
■免許外運転
普通自動車免許を持っている人が対象外の大型車両を運転している等、自身の保有している免許では運転が出来ない区分の車両を運転しているケース
【ドライバー】無免許運転の罰則・交通違反点数・行政処分
無免許運転を犯したドライバーには、
・罰則
・交通違反の点数加点、それに伴う行政処分
があります。
■罰則…3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
無免許運転は重大な交通違反のため、非常に重い罰則が課されます。
無免許運転の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
■交通違反点数…25点
無免許運転は25点の加算となります。
いわゆる赤切符(赤キップ)と呼ばれる、交通違反切符が渡されます。
赤切符は6点以上の重大な交通違反を犯した際に渡される切符で、行政処分を伴うことを意味します。
■行政処分…1発免許取り消し
道路交通法では、違反時の行政処分の内容が基準点数ごとに定められており、
15点以上の違反は、免許取り消し(1年※)が行政処分として課せられます。
※前歴等がない場合の欠格期間(免許を再取得できない期間)
無免許運転の場合は25点が加点されるため、行政処分前歴がなく、累積の違反点数が0点のであっても、1発で欠格期間2年の免許取り消しとなります。
また、純無免許の場合は25点が違反点数として課せられますが、交通違反の点数は累積制となっているため、最後に起した交通違反等の日から起算して、過去3年間の違反点数が累積され計算されます。
そのため、違反点数6点で免許停止処分となった後、停止中無免を行うと6点と25点が加算され合計で31点の累積となります。
この場合、行政処分前歴も1回となるため欠格期間3年の免許取消し処分です。
点数毎、行政処分前歴毎の処分内容については下記、警視庁のリンクよりご覧下さい。
【同乗者】無免許運転の幇助の罰則と行政処分
無免許運転のドライバーであることを知りながら、ドライバーの車に同乗していたり、ドライバーに車を貸していた場合は、無免許運転幇助(ほう助)にあたり罰せられます。
無免許運転幇助の同乗者に対しては、下記のような罰則があります。
■無免許運転と知りながら車を”貸した”場合の罰則と行政処分
ドライバーが無免許であると知りながら車を貸した場合は、車を貸した所有者に無免許運転幇助として下記のような罰則と、場合によっては行政処分が課されます。
罰則…3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。
行政処分…基本的には行政処分はありません。
しかし、「重大違反唆し(他人に重大違反をさせる、そそのかす、若しくは重大違反を助ける行為。)」と看做された場合は、ドライバー同様に1発で免許取り消しの可能性があります。
■無免許運転と知りながら車に”同乗した”場合
ドライバーが無免許であると知りながら車に同乗した場合は、同乗者も無免許運転幇助として、下記のような罰則と、場合によっては行政処分が課されます。
罰則…3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。
行政処分…基本的には行政処分はありません。
しかし、車を貸していた場合と同様に同乗者が「重大違反唆し」をしたとされる場合は、免許取り消しとなる可能性があります。
無免許運転で事故を起こしてしまった場合は・・・?
無免許運転をおこなったドライバーが罰せられる交通違反点数は、先に記載したように「25点」で、前歴、累積点数がゼロの場合は2年の欠格期間の免許取消し処分となりますが、無免許運転時に事故を起こしてしまった場合等は、もちろん処分が重くなります。
■交通事故は付加点数が加算される
無免許運転にて交通事故を起してしまった場合は、25点以外にも付加点数が加えられます。
違反行為をしたドライバーの不注意から発生する物損事故は3点、人身事故の場合は3~20点が付されます。
交通事故の場合の違反行為に付する付加点数一覧は下記よりご覧下さい。
事例
事例を出して計算をするとイメージが付きやすいため、下記の事例を元に違反点数の計算をします。
~事例~
無免許運転(純無面で行政処分前歴無し)で走行中、よそ見をしており一時停止が必要な交差点で停止をせずに走行。前を走る車両に追突してしまい全治30日のケガを負わせてしまった。
上記のような事例の場合は、
無免許運転:25点
指定場所一時不停止等:2点
安全運転義務違反:2点
交通事故の付加点数(負傷者の治療期間30日以上):9点
が妥当な違反点となり、合計38点の違反となります。この場合の行政処分は欠格期間3年の免許取消し処分です。
また、上記の場合は交通事故の被害者に対する救済処置をおこなった場合のものなので、無免許運転の発覚を恐れ、救済処置をおこなわずその場を去るいわゆる「ひき逃げ」の場合は、交通事故の付加点数は上記の9点ではなく「35点※1」が加算となり、合計64点の違反点数になります。
行政処分は、欠格期間10年(※2)の免許取消し処分です。
※1 平成21年の道路交通法改正によりひき逃げに対する罰則は強化
※2 ひき逃げの場合は特定違反行為に該当し、通常より重い処分。通常64点は欠格期間8年
■【自動車保険】自身の損害は補償外。被害者への補償は対象
また、通常であれば物損・人身かを問わず交通事故を起してしまった際に利用する「自動車保険」ですが、無免許運転で交通事故を起してしまった際の保険の補償についても触れておきます。
ドライバー自身のケガや運転する車両に関する自動車保険は「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」等が上げられますが、これらは無免許運転での場合全て補償の対象外となります。
同乗者が居る場合、同乗者には「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」が適用されますが、ドライバーが無免許と知っていて同乗した場合(無免許運転幇助)は、補償の減額や対象外となることがあります。
人身事故をおこし、相手側が負ってしまった負傷の治療費や車両の修理費などについては、「自賠責保険」「対人賠償保険」「対物賠償保険」が被害者救済という観点の元から支払いの対象になります。
ですが、相手側への補償が対象だからと言っても無免許運転は許されない違法行為です。
絶対にやめましょう。
無免許運転で逮捕されてしまう事例は?
無免許運転をおこなった事のみで逮捕されるようなケースはそんなに多くありませんが、無免許運転が発覚した際に警察から逃げたり、交通事故を起したり、証拠隠滅を図ったり等があればもちろん罪は重くなります。
下記にあげるような5つの行動・状況に当てはまる場合は逮捕される可能性があります。
■常習的に無免許運転を行っていた場合
数十年に渡って無免許運転を行っていた場合や、常習的に無免許運転を行っていた場合は、その常習性から逮捕される可能性が高まります。
■無免許運転と合わせて交通事故を起こした場合
無免許運転での死傷者を出す人身事故は、逮捕される可能性が高いです。
無免許運転は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、過失運転致死傷罪で有罪になれば7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処されます。
交通事故をおこし、無免許運転が発覚するケースが非常に多いです。
■警察から逃走、当て逃げ、ひき逃げや証拠の隠滅を行った場合
無免許運転の状態で警察からの逃走を試みたり、当て逃げ、ひき逃げ、カーナビの履歴を消すことで無免許運転の証拠隠滅をはかると逮捕される可能性が高まります。
特に無免許運転に加えて当て逃げなどを行うと、基本的な交通ルールを守れていないことに加えて、逃亡・証拠隠滅のため初犯であっても実刑判決を受ける可能性が高まります。
■執行猶予期間中だった場合
執行猶予期間に無免許運転を行うと、執行猶予が取り消され、実刑判決がくだされる可能性が高まります。
■他の交通違反や犯罪を起こしている場合
無免許運転以外に、免許証の偽造や飲酒運転など他の交通違反を起こしていると、逮捕される可能性が高まります。
無免許運転が発覚し、逮捕された実例
これらに該当し、逮捕されるケースは決して珍しくありません。いくつかの実際に起こった事例を掲載します。
無免許運転の発覚を恐れて逃走、18歳少年をひき逃げ容疑で逮捕 | レスポンス(Response.jp)
https://response.jp/article/2017/01/09/288044.html概要:18歳少年が無免許運転中、自転車を運転する77歳女性をはねて逃走。後日出頭し、自動車運転死傷行為処罰法違反(無免許運転過失傷害)や道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕。
不審車両を運転していたのは14歳少年、無免許運転の現行犯で逮捕 | レスポンス(Response.jp)
https://response.jp/article/2017/02/27/291252.html概要:不審車両と認識されパトカーから追跡されていた車両が信号待ちをしている車両に追突。事故による人的な被害は無かったものの運転手が14歳少年と発覚し道路交通法違反(無免許運転)の現行犯で逮捕。同乗していた18歳少年は18歳の少年は身柄確保時に暴れたため、公務失効妨害の現行犯で逮捕。
酒気帯び状態でバイクを無免許運転、少女を逮捕 | レスポンス(Response.jp)
https://response.jp/article/2017/03/08/291781.html概要:パトカーから逃れようとUターンした2人乗りバイクが転倒する事故がおきた。取り押さえられた2人は、15歳の女子中学生で呼気から酒気帯び相当量のアルコールが検出。警察は発見時に運転していた少女を道路交通法違反(無免許・酒気帯び運転)の現行犯で逮捕。同乗していたもう1名の女子中学生は補導。
約39年間に渡って無免許運転していた男、ひき逃げで逮捕 | レスポンス(Response.jp)
https://response.jp/article/2017/10/31/301913.html概要:道路を歩いていた7歳女児に軽自動車が追突。女児は軽傷だったものの、そのまま車は逃走。防犯カメラ映像等から65歳男性が、自動車運転死傷行為処罰法違反(無免許運転過失致傷)や道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕。なんと約39年間に渡り無免許運転をしていたことが発覚。
上記のように無免許運転で事故を起し、逮捕されると言う事例は決して珍しくありません。
無免許運転での事故や逮捕は常習者を除くと未成年者が多いのも特徴です。
まとめ
本記事では、ドライバーと同乗者の無免許運転の罰則や交通違反点数、行政処分に関連する情報についてをまとめて掲載致しました。
無免許運転は、自分だけでなく他者の人生をも不幸にしてしまう可能性がある重大な交通違反です。
無免許運転は絶対にしないこと。当然のことですが定められたルール・法律は守り豊かなカーライフをおくりましょう。