車に乗り続けるなら必須の「車検」高くてビックリ?
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「車検」と聞くと、出費がかさむイヤ〜なイメージが浮かぶ方も多いのでは。正式には車検は「自動車継続検査」といい、乗用車の場合は新車から3年後、その後は2年ごとに行う検査のことです。
車検を受けることは道路運送車両法の第六十二条で義務付けられています。この第六十二条を読んでみると、検査を行うスパンが定められているというよりは、車検証の有効期間が満了した後で新しい車検証を発行してもらう際に、検査によって保安基準などの検査基準を満たしていることを確認する必要があることが定められていることがわかります。
第六十二条 登録自動車又は車両番号の指定を受けた検査対象軽自動車若しくは二輪の小型自動車の使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後も当該自動車を使用しようとするときは、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう継続検査を受けなければならない。この場合において、当該自動車の使用者は、当該自動車検査証を国土交通大臣に提出しなければならない。
乗用車の新車は3年間、その後は2年間が車検証の有効期間となっていますので、車検もそれに応じて3年、2年で行っているというわけですね。
道路運送車両法第五十八条では、有効な自動車検査証を交付された自動車でなければ運航の用に供してはならないと定められているので、車検を受けずに車検証の有効期間が過ぎた車を公道で運転すると、違法行為となります。
■そもそも車検ってどうして必要なの?
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そもそも車検ってどうして必要なの?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。特に近年では自動車の高品質化が進んでいますので、不具合や故障を体験することもないのに車検なんてなくてもいいんじゃないの、と思ってしまいそうになります。
しかし、車検は申請すれば自動的に合格するものではありません。その車が基準にきちんと適合しているか、適合していない場合は別途整備を行なって適合するように修正して初めて新しい車検証を交付してもらえるのです。直近の不具合だけでなく、長期的な目線で見て問題となるような不具合の兆候も、項目によっては車検に通らない原因となり得ます。
不具合や故障を洗い出すことで、それに起因する事故を予防することも車検の意義のひとつでしょう。
ライト類の球切れなど、普段運転していて気付きやすい不具合ならまだ対応がしやすいものの、プロの目でないと予兆を掴むことが難しい不具合もありますし、場合によってはその不具合が事故を招く可能性もあります。
いくら普段の運転では問題がなさそうに思えても、自動車は消耗部品の塊ですし、エンジンや足回りなどで調整しろがだんだんとずれてきてしまうこともあります。自動車が危険な状態に陥らないためにも、車検によって定期的なメンテナンスを確実に行うことが多いに役立つというわけです。
さらに、部品の消耗などによって自動車の環境性能が落ちてしまうこともあります。新車時のクリーンな排ガスが維持できているかどうかも、車検の重要なチェック項目のひとつです。
車検費用を大分析!不変な費用と変動する費用、分けて考えよう
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車検費用とひとくくりに言っても、必要となる費用は、どこに車検を頼んでも変わらない「不変な費用」と、車の状態や車検を頼む先によって変わる「変動する費用」に分けることができます。
どちらがどれくらいかかるものなのか、まとめてみました。
■【車検費用の不変部分】税金、自賠責保険料などはどこでもいっしょ!
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車検費用の中でも、法定費用と呼ばれる金額は、さまざまある車検の依頼先によらず、どこでも同じだけかかります。この法定費用には、自動車重量税や自賠責保険料、印紙・証紙代が含まれます。
3点ともに、軽自動車と普通車など車の大きさに応じて変わるのですが、一般的な法定費用は、軽自動車では3万円程度、普通車では4〜8万円程度となります。
重量税は、エコカー減税や初度登録からの経過年数に応じて安くなったり高くなったりと変動が大きいので、法定費用を上下させる原因となっています。
■【車検費用の変動部分】車の状態や、車検の依頼先次第で変わる
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法定費用と異なり、車によって、車検の依頼先によって変わってくるのが点検や整備の費用です。点検料などをまとめた基本料金が設定されている場合もあります。
車検を通すために数多くの部品交換が必要になる車では整備費用がグンと上がりますし、反対に問題が少ない車なら整備費用は抑えられることになります。また、部品代や工賃、点検費用などはカーディーラーや整備工場など、車検の依頼先がそれぞれが独自に設定している部分ですので、変動します。
そのため、負担はこの程度、と価格帯を定めるのは難しいところですが、状態の良い車なら数万円程度、ある程度の整備が必要になる車なら10数万円程度、部品交換が多数必要な車なら20万円以上と見ておけば、目安のひとつとなるでしょう。
車検の依頼先別、費用相場と特徴まとめ
《画像提供:Response 》車検の判断基準は車検費用が最多 定額カルモくん調べ
ここからは車検を依頼するお店別に、先ほどご紹介した車検費用の変動部分の差と、特徴についてご紹介していきます。
意外とたくさんある車検の依頼先、どれがあなたにぴったりなのか、しっかり見極めていきましょう。
■カーディーラー:安心感はバッチリ、費用は高め…
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多くの方が利用されていると思われるのがカーディーラーによる車検。新車や中古車を購入したお店でおまかせしている方も多いことでしょう。
カーディーラーは、その技術水準の高さと、自社の車に対する深い知識が特徴。部品交換が必要な場合でも純正のパーツでしっかりと整備してもらえるので、安心感があります。
元からお付き合いのあるカーディーラーなら、車の使い方などに沿ったきめ細やかな整備も期待できますし、車検前後のやり取りも気楽に行えそうです。
その高クオリティの反面、カーディーラーでの車検費用は高くなりがち。予防的に部品を交換してしまうことも多く部品代もかさみますし、点検費用や工賃なども高めになっている場合が多いです。
一例として、軽自動車で3〜4万円以上、普通車で5〜6万円以上程度が基本料金として設定されている場合では、交換部品代などを抜きにしても大きめの車などではすでに総額で10万円以上かかってしまう計算になります。輸入車などではより高値が設定されている場合もあります。
一度車検を受けた後は2年間安心して過ごせそうな点はメリットではありますが、その安心感の対価としてプラスアルファが納得できるかどうかがポイントですね。
また、利用する方が多いこともあってか、車検の予約を取ろうと思っても結構先まで詰まってしまっていることもあります。車検証の有効期限ギリギリになってしまわないよう、ハガキなどでお知らせが来たら早めに行動したほうがよさそうです。
■車検専門店:安い・早いが特徴的!
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目立つ看板やテレビCMなどでも見かける車検専門店は、基本料金が安く、かつ早いものでは作業時間1時間以内という車検プランを用意する店もあるなど、スピーディな点も特徴的です。
安さの秘訣は点検項目を絞り込んでいることと、追加の整備などはパックなどで別料金となっている点などがありそう。お気軽に車検を受けるのにはぴったりでしょう。
しかし、車両の状況などによっては結局整備が必要となり、安かった基本料金に追加料金がかさんでしまう可能性もあります。
また、カーディーラーなどのように予防的な部品交換などは具体的にお願いしないと期待できないでしょう。車検に合格できる状態とはいえ、その後2年間の間でトラブルは起きないかな?と少し不安になってしまうかもしれませんね。車検に影響のない整備は行ってもらえないこともあるので注意が必要です。
整備が充実したプランを選択しても、カーディーラーよりはまだ割安に収まる場合も多いようですが、安さと安心感のバランスをどの程度取るのか、選択肢が広い分悩ましいところもある意味デメリットかもしれません。
例として、軽自動車で1〜2万円以上、普通車で2〜3万円以上程度が基本料金として設定されている場合では、車検としては破格の安さがやはり光ります。基本料金が格安とはいえ、代車の貸し出しなどに対応する店舗もあるので、お近くのお店ではどんなサービス内容なのか、詳しく調べてみるとよいでしょう。
■整備工場:対応が柔軟、費用も抑えられる場合も
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街中の整備工場は、カーディーラーと車検専門店の中間のような存在といえそうです。価格的にはカーディーラーよりも基本料金は安く設定されていることが多く、それでいて整備内容などに融通が利く場合も多いでしょう。
しっかりと時間をかけて点検整備してもらえる分、予防的な部品交換も含めて安心感重視でお願いできたり、社外品のパーツを用いるなど価格的にできるだけ節約をお願いしやすかったりと、対応に幅をつけてもらいやすい点は、カーディーラーとも車検専門店とも異なった部分でしょう。
ガソリンスタンドでも車検を受け付けているところがありますが、その場合でも実際の点検整備作業などは近隣の整備工場が対応している場合がほとんどのようです。
整備工場は、ひとつのメーカーに限定せずに整備を受け入れているところも多いですので、カーディーラーのような専門的な知識という面では劣ると見る方もいるかもしれません。実際、整備に特殊な機械が必要になる整備などは、整備工場からカーディーラーに車を持ち込んで作業を依頼したりすることもあるようです。
また、比較的予約の取りやすい車検専門店と違って、カーディーラー同様に車検の予約が取りにくい場合も。代車などの用意があるかも工場によってまちまちですので、事前に車検のサービス内容などについて問い合わせておくとスムーズですね。
例として、軽自動車で2〜3万円以上、普通車で4〜5万円以上程度が基本料金として設定されている場合では、部品代を除いて10万円程度とリーズナブル。お近くの整備工場に車検を依頼してみれば、愛車行きつけの主治医が新たに見つかるかもしれません。
もっと節約するなら「ユーザー車検」という手も!
東京運輸支局 車両検査場
もちろん必要な整備を自分で行うか、整備工場などに依頼することが前提ではありますが、さらに安上がりにするなら「ユーザー車検」にチャレンジすることも可能です。
これはユーザー自らが運輸支局などに車を持ち込んで、検査レーンを進んで検査を受けていくというもの。もちろんユーザー車検だからといって基準が緩いといったことはありませんので、不備があると失格とはなってしまいますが、同日中の再検査も可能だったり、検査場の近くには軽度な整備を行ってくれる専門工場があったりと、平日に時間の取れる方ならチャレンジしてみてもよいかもしれません。
ご自分で整備をする場合なら車検費用としては法定費用のみで抑えられるので、かなり格安に車検を通すことが可能です。
まとめ
オートバックス車検 イメージ
車検の依頼先別の特徴や、相場についてご紹介してきました。変動幅の大きい車検だけに、ご自分に合った依頼先をしっかり選んでおきたいところですね。
価格の安さはもちろん嬉しいものですが、だからといって安心感もある程度は確保しておきたいところ。
また、車検を受けたからといってほったらかしにせず、適宜点検を受けたり、整備を行ったりすることも大切でしょう。
よくある質問
■車検費用って、お店によって違うの?
車検費用としては、税金などの法定費用は共通であるものの、そのほか整備費用や工賃などは店舗ごとに異なります。
■車検費用ってどうすれば節約できるの?
車検の見積もり段階で、交換を先延ばしできるような部品がないか聞いてみれば、少しでも節約につながるかもしれません。また、車検の基本料金を少しでも安く設定している店を探してみることもできます。
■車検って必要なの?
車検は法律で定められた義務であり、車検切れの車は、公道で走行させることはできません。車検によって、外から見える部分・外からは見えない部分の点検整備をすることで、不具合や事故を未然に防ぐことができます。