予約受注の現状
予約受注台数が、発売前の約3か月で、月間販売計画台数の約6倍にも達したマツダCX-8
最近の新型車の発売時におけるニュースを読み返してみると、3列シートSUVとして2017年9月14日に発表し、2017年12月14日に注目のデビューを果たした「マツダ CX-8」の予約受注台数が、発売前の約3か月で、月間販売計画台数1,200台の約6倍の7,362台となっていました。
また、三菱自動車が3月1日から販売を開始した、新型コンパクトSUVの「エクリプスクロス」は、2017年12月22日より予約注文を受け付け、発売直前の2018年2月末時点で約5,000台の予約注文となっています。
このように、おおよそ3か月前から予約受注を開始するのが一般的であり、5月18日には、スバルが今夏発売予定の新型「フォレスター」の先行予約を開始したことを発表していますが、これも、おおよそ3か月前からの予約受注開始となっています。そして、正式発売日には月間販売目標の何倍もの予約受注をかかえていることが、誇らしげに公表されることになります。
予約受付開始が早まった理由
予約注文が約5,000台にもなった三菱自動車のエクリプスクロス
メーカーにとっては、より早く新型のセールスを開始する方が、同クラス他車のライバルを検討するユーザーを引き留めることもでき、顧客代替えを促進する時間も多ければ多いほど成果が期待できます。しかし、早すぎれば旧型車がまったく売れなくなることから、旧型車の生産中止が始まるころからの新型車の予約受注の開始となり、それが3か月前という事になるようです。
そして、予約受注されたグレードや装備、そしてボディカラーの人気などから、無駄なく生産予定を組み立てることが出来ることも、先行予約の重要なメリットとなります。
また、売れるのが数カ月先になる予約受注ばかりでは、営業がなりたたないことからも、新型車の情報で顧客の購買意欲を高めつつも、既存車種を売りたいというディーラーの思惑もあります。
しかし、これらはすべて、メーカーやディーラーの事情でしかありません。では、ユーザーにとってのメリットはあるのでしょうか?
ユーザーにとってのメリットは?
5月18日より予約受付を開始したSUBARUフォレスター
新型車の発表直前であれば、試乗は無理でも実車は確認できますが、3か月も前となってはセールスマンの持っている写真やマニュアルなどの資料でしか判断する材料はありません。
それでも最近は、ティザー広告やサイトなどで、スタイリングや装備、そしてスペックなども事前にわかるようになっており、実車を見ずとも購入を決めることは可能でしょう。特に、そのメーカーの顧客であればなおさら。
そうなると、正式発表のあとでは納期もかかることも予想されるので、新型を少しでも早く乗るためには、より早いうちに予約することが必要となります。
また、メーカーとディーラーでは、予約受注をより多く取るために、自銘柄の顧客に対しては特別な対策を用意しています。
その対策の内容としては、表立った値引きこそ出来ませんが、下取り車の査定アップという方法が一般的に多く採用されています。
通常は、下取りに入れるよりも、買取専門店で売却したほうが得策と思われていますが、この期間に限って言えば、下取りに入れることで、実質的な値引き以上に得するケースが多いのです。
また、ディーラーオプションなどの割引やサービス、クレジットの特別金利など、有形無形のサービスも多く見受けられます。これを含めると、どうせ購入する気があるのなら、正式発売の前に予約してもけっして損はしないと言えます。
では、デメリットとしてはどんなことがあるのでしょうか?
デメリットはあるのか?
発売まじかのカローラハッチバックも多くの予約受注をかかえているはず。
新車を購入するには、まず試乗することが重要です。他車との違いや、今乗っている愛車とどのような差があるのかを確認することは絶対に必要な作業となります。
また、数種類のパワーユニットをそろえた車種ならば、すべては無理でも、気になるタイプや、希望条件にあったタイプを確認しておくことは大切ですし、ボディカラーやグレードなども、実車を見て初めて判断できる内容もあります。
実車を見て、思っていたのとイメージが違ったなんてことも、少なくないのです。
それらをすべてスルーして、数百万円の買い物をするのは、大きな賭けとも言えます。
もっとも、予約段階では仮の契約なので、気に入らなければキャンセルは可能ですし、予約金も返してもらえます。また、ボディカラーやグレードなどの変更も、車両が引き当てられていない段階なら比較的簡単に可能です。
車本来の買い方として、実車を見ず、乗らずに決めるのは個人的にお勧めできませんが、気に入らなければキャンセルするという約束で、特典があるうちに予約しておくというのも1つの手かも知れません。
まとめ
顧客を多く抱えるクラウンも予約受注がさかんな様子
予約を多く取るために、キャンセルが簡単に出来るからと、強引に予約を取るケースもあり、発表された予約受注がすべて正式契約になるとはかぎらないのも事実です。
予想を大きく裏切るような車は、今の国産車ではありえませんが、急いで決めることにそれほどメリットがあるとは思えません。新型が新鮮に映るのは発売からほんの少しの間です。
その後で、他車と比較してじっくり品定めしたり、 評判が出きってから買うのも賢い買い方だと言えるでしょう。
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