オイルエレメントとオイルフィルターの違いとは?
オイルフィルターの役割を改めて考えてみましょう。車、バイクに乗っているとエンジンが動きます。エンジンが動くということはエンジンオイルも循環します。エンジンの様々な働きにより、金属が擦れあって金属の摩耗粉はもちろんのこと空気中のゴミ、カーボンなどの様々な不純物が、循環しているオイルに混交してしまいます。
不純物が混交してしまった循環オイルは細かい通路やエレメントを詰まらせてしまい、エレメントが詰まるとろ過されず汚れたオイルがエンジンを循環して、オーバーヒートや焼き付きの原因になってしまいます。
これらの理由によりオイルラインの途中にオイルフィルターを設けて、エンジン内のオイルに混入している不純物を取り除き、エンジン内に綺麗なオイルだけを供給できるようになっています。
入口から流れ込んだ不純物を含んだオイルは、フィルタエレメント(ろ紙)を通過して様々な異物を取り除き、出口から再び流れ出ます。100分の数ミリ単位の不純物をろ過するよう設計されていてエレメントは非常に目の細かい繊維質などで作られています。
このエレメントがどんどん不純物を受け止めてくれます。そのうち受け止めてくれなくなりますよね。だからこそ正しい交換頻度を守らないといけないのです。
オイルフィルターとオイルエレメントを同じ物と同じ部品と考えている方は非常に多いです。まず、オイルフィルターは、エンジンオイルを綺麗にするカートリッジ全体を指します。オイルエレメントはオイルフィルター内の「ろ紙」を指します。間違いのないようにしましょう。
オイルエレメントの構造は?
オイルエレメントには沢山の役割を持つパーツで構成されています。
上から順に「オイルシート」はオイル漏れや異物の混入を防ぐ密封装置の役割をします。このシールが破けたりするとオイルが漏れてしまいます。
オイルシートの下にはオイルフィルターでろ過したオイルが流れ込む通路の役割をもつ鉄やアルミ 素材の物とゴム素材の物が下にきます。
通路の下は「バルブ」です。フィルター内にオイルをとどめておくための弁です。エレメントが目 詰まりを起こしてしまった場合オイルがエンジンに届かなくなります。そうなるとオーバーヒート、すなわちエンジンが焼き付きを起こしてしまいます。この緊急事態の時にオイルをエンジンに届けるために開きます。
エレメントが目詰まりを起こしている状態で、エンジンにオイルが行き渡り、ろ過されず汚いオイルがエンジンにいきます。だからこそオイルフィルターを交換するのです。
「エレメント」見た目は非常に小さく直径が約10cmほどです。フィルターを外して広げてみたところ数メートルにもなりました。ひだ折りになっているエレメントは広い面積のろ紙をたたみ込むことで広い表面積を確保し、エンジンオイルに含まれている不純物を取り除きます。
最後にこれらのパーツを収納している「カバー」です。非常に高いオイル圧に耐える耐久性を持っています。中には値段だけは安いが耐久性が劣る商品もありますので注意が必要です。
オイルエレメントとは?どんな役割がある?
オイルエレメントとは、車のエンジンルーム内にあるエンジンオイルの汚れを綺麗にするろ過フィルターのようなもので、オイルフィルタエレメントなどといわれることもあります。
エンジンオイルは、エンジンに使用されている潤滑油のこと。エンジンを心臓とすると、エンジンオイルが血液のようなもので、エンジンオイルがないとエンジンは機能しません。
エンジンオイルは「潤滑」「冷却」「密閉」「防錆」「洗浄」という5つの役割を担っていて、エンジン各所に循環させることによってエンジンが動きます。
そのエンジンオイルは、エンジン内に発生する汚れ(スラッジ)やスス、金属片などを吸着させてエンジンを綺麗にしているので、エンジンオイル自体が汚れていきます。汚れたエンジンオイルの循環は、エンジン性能も落ちて車の燃費も悪くなってしまいます。
エンジンオイルが汚れたら都度交換できればいいのですが、メンテナンス費用がかさんでしまいます。
そこで登場するのが、オイルエレメント。オイルエレメントはエンジン内で汚れなどを吸着したエンジンオイルをろ過し、きれいな状態にする役割を担っています。
オイルエレメントによって、エンジンオイルの性能を維持することができるのです。
■オイルエレメントを交換せずに放置するとどうなる?
この重要な役割を担っているオイルエレメントですが、交換せずに放置していると、エンジンオイルのろ過機能が低下していきます。
その結果、エンジンオイルの性能も低下していきエンジンへの負荷が増します。そうなると、エンジンの寿命が縮み、燃費が悪くなるどころか最悪の場合エンジンが焼き付き、使い物にならなくなるという事態になる可能性も。
もしエンジンの交換となると、エンジン本体だけで中古価格でも10万円以上、海外からの取り寄せになると100万円を超える場合もあります。
オイルエレメントの定期的なメンテナンスは車の安全走行のためにも欠かせないだけでなく、エンジン故障による突然の高額な費用負担を避けることにもつながります。
オイルエレメントの選び方
オイルエレメントにはまず2種類に分けられます。メーカー純正品か社外品です。メーカー純正品とは、各車バイクなどに元々取り付けられているもので、社外品はメーカー純正品以外の商品になります。
純正品はメーカーが企画し制作したため理にかなっておりよっぽどの乗り方をしない限り純正品で問題はありません。
社外品と純正品の違いは主に性能です。社外品は純正品より性能を高めていることが多いです。オイルエレメントでいうとフィルターの目を細かくして、ろ過性能を向上させていたり、高価で特殊な素材を使ってオイルの流れはしっかり確保しながら、細かい不純物まで吸着するという、純正品にはない特徴を持っているものもあります。それにより純正品より高価になってしまいます。
注意しなければならないのは大した性能や特徴を持っていないのに高価な社外品もありますので、しっかり商品を見極めなければなりません。基本的には街乗りに使用する程度であればメーカー純正品で問題はありません。使用用途に合わせてオイルフィルターを選びましょう。
オイルフィルターは必ず交換するものなので色々なオイルフィルターを試してみるのもいいかも しれません。
■ろ過性能に特化したフィルターを選ぶ
ここで重要になってくるのは「ろ過精度」です。ろ過精度とは、フィルターが除去できる不純物の大きさのことです。
通常40ミクロほどの不純物ですらエンジンに入り込めば摩耗の原因になってしまいます。ろ過精度は、必ずしもその大きさの不純物を除去するということではありません。エレメントの種類やメーカーによって様々ですので確認が必要です。
■マグネット付きオイルフィルターを選ぶ
オイルフィルター内部に強力なマグネットを組み込んだオイルフィルターです。マグネットの力によりオイルに混ざっているスラッジ(鉄粉)を吸収します。通常のオイルフィルターより交換頻度が増えるのと、値段が高くなります。
■スポーツ走行用のフィルターを選ぶ
オイルエレメントの交換【交換方法・費用・交換時期】
スポーツ走行する場合、瞬間的に高熱のオイルが高圧力でオイルフィルターに負荷としてかかります。これらを想定して作られたのがスポーツタイプのオイルフィルターです。
純正のオイルフィルターとは耐久性が格段に違います。フィルターのろ過性能やろ過精度があらゆる高負荷の条件下で適正な油量確保を引き出すように設計されています。
さて、ここからは実際にオイルエレメントの交換方法や交換時期、費用に関して解説していきます。
自分でオイルエレメントを交換する場合と、カー用品店等の店舗に交換を依頼する場合との比較などもしていきますので、ご自身にどちらが合っているか、ぜひ参考にしてみてください。
■自分で行う場合の交換方法
オイルエレメントの交換は自分で行うことができます。
セルフで交換する際には、事前にエンジンに関する知識をしっかりと把握し、交換できる環境と工具を用意してから実施するようにしてください。エンジンオイルは可燃性ですので、安全第一で行うことが鉄則です。
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用意するもの
・交換用オイルエレメント
・オイルエレメント用のレンチ
・交換用ワッシャー
・廃油用の処理箱
・油のふき取り用ウエス
・ジャッキ類
交換手順
手順ややり方はいくつかありますので、こちらは一例として確認ください。
1.5分程度エンジンを温めてからジャッキアップする
2.新聞紙や廃油処理箱を設置してオイル漏れの防止し環境準備
3.オイルパンから、オイルエレメントの場所を探る
4.レンチを使って、ボルトを外してエンジンオイルを流しだす
5.オイルエレメントを外す
6.ウエスで取り付け部分に付いているオイルをふきとる
7.Oリングに古いエレメントが付いていないか確認
8.新しいオイルエレメントを取り付ける
9.新しいエンジンオイルを補充する
10.Oリングが触れたところからレンチで締めていく
上記の手順で基本的には交換が可能です。ただ、交換を行う際には以下のチェック項目を事前に確認するようにしてください。
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チェック事項
・エンジンの温めすぎに注意(熱くなったオイルでヤケド防止のため)
・ゴムパッキン周囲にオイルを軽く塗ったか(新しいエレメント取り付け時のオイル漏れ防止のため)
・取付時のオイルフィルターの締め付け過ぎていないか
・エンジンオイルを入れ過ぎていないか(8分目位が目安)
・安全確保をしているか(ジャッキアップしたまま下に潜り込まず、車をしっかりと固定する)
オイルエレメントの純正品であれば、カー用品店で1,000~1,500円で購入できます。安いエレメントであれば、300円程度から購入可能ですが、安価なエレメントはろ過がうまく行かない場合もあるので、交換頻度を上げるのがおすすめです。
■交換依頼できる業者と交換にかかる時間
オイルエレメント交換の依頼先はいくつかあります。
エレメント交換可能な業者
・ガソリンスタンド
・カー用品店
・ディーラー
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オイルエレメントの対応が可能な店舗は、広い敷地面積があり、2つから4つ程度のピットを備えているようなところです。
このような店舗であれば、スタッフも豊富でオイルエレメントの交換は20分程度で終わるので、近くに大きな店舗がないか探してみるといいかもしれません。カー用品店であれば安価なエレメントでの交換もでき、費用を安く抑えられます。
逆に、小規模店舗の場合は広さがない為、交換に時間がかかることもあります。1時間以上かかることもあるので、事前に店舗へ問い合わせるといいでしょう。
車を購入したディーラーであれば、相談もしやすく、愛車に最も適したオイルエレメントで対処してくれるので、安心して任せられます。
業者に依頼した際の交換費用
ガソリンスタンド、カー用品店、ディーラーともに工賃1,000~4,000円程度、これにオイルエレメント代がプラスされます。
エンジンオイルとオイルエレメント、セットでの交換しかうけつけていない店舗もあるので、注意が必要です。
■交換時期・交換頻度はどれくらい?
オイルエレメントを交換するタイミングは、一般的には下記のいずれかとされています。
・オイル交換2回ごとに1回
・走行距離1.5万km~3万km程度
・使用期間1年~2年程度
オイルエレメントのろ過フィルターは、新品では目が粗くなっていて、ゴミ(スラッジ)やススなどをろ過し続けることによって、丁度よい目の細かさになるのが、1万km程度走行した頃といわれています。そのまま2万kmまでは使用を続けて、オイル交換とあわせてオイルエレメントも交換するのがいいでしょう。
ただし、新車の場合はエンジンも新しい分、金属片なども出やすくエンジンオイルが汚れやすいので、1万kmで交換するのが良いといわれています。
上記の交換時期はあくまでも目安なので、以前よりも燃費が落ちたり、エンジン音がいつもと違うようであれば、メンテナンスを行いましょう。
まとめ
今回は、オイルエレメントの役割と重要性、交換時期に関して紹介しました。愛車に長く乗り続けるためにも、定期的なメンテナンスを行って、車の走行性能を常に良い状態に保ちたいものですね!
よくある質問
■オイルエレメントの役割は?
オイルエレメントは、車のエンジンルーム内にあるエンジンオイルの汚れを綺麗にするろ過フィルターです。オイルエレメントを交換せず放置すると、エンジンオイルの性能も低下し、エンジンへの負荷が増すことで、エンジンの寿命を縮めてしまいます。
■オイルエレメントの交換時期は?
オイルエレメントの交換は、オイル交換2回ごと/走行距離が1.5万~3万km程度/使用期間が1~2年程度のいずれかを目安に行いましょう。ガソリンスタンド、カー用品店、ディーラーで交換でき、交換工賃は1,000~4,000円程度です。